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feed IC-775DXⅡ 電源が入らない (2023/5/10 12:45:19)
IC-775DXⅡ 電源が入らないとのことでお預かりしました。

オーナー様がアンテナチューナーを確認中に電源付近から焼損し、電源が落ちたとのことです。

IMGP0624

電源ユニットの点検。

IC-775にはサードパーティー製であるルビコン社の電源ユニットが搭載されています。

そのため、サービスマニュアルには電源の回路図が書かれていません。

以下はIC-736のサービスマニュアルのものですが、こちらは回路図付きで、同じような構成をしています。

13,8Vと28Vが出力されます。

Screenshot from 2023-04-20 01-05-31

ブリッジダイオードを点検。

これがNGだとヒューズが飛びます。

本機のヒューズは飛んでいないので大丈夫だとは思いますが点検します。

最初の電源を入れるときは怖いものです。

IMGP0552

ブリッジダイオードはこのように4本のダイオードからなっています。


bridgediode01

取り外し。

ボディーに + 〜 〜 ー の記載が見えます。

上記のダイオード図のとおり、導通の方向が正しいか調べます。

IMGP0553

テスターのダイオード測定レンジで調べます。

+から〜への導通があってはいけません。

IMGP0556

導通無し、OKです。


IMGP0554

〜から+への導通は有り。

ダイオードの電圧降下ぶんを表示すればOKです。

同様にすべての端子間で測定したところ、ブリッジダイオードは正常ということがわかりました。

IMGP0555

基板を点検すると、抵抗R11、R12、R15が焼損していました。

オーナー様が燃えたのを見たのはこれです。

すべて交換しました。

Screenshot from 2023-04-20 01-11-52

Q2、Q1のFETが不良です。

電圧が燃えた抵抗のほうにだだ漏れになってしまいます。

実測すると141Vです。 

1

不良のFETです。


IMGP0548

IRFPE50


IMGP0549

半導体テスターで計ってみると抵抗化しておりました。

3Ωで、ほぼリーク状態です。

IMGP0550

こちら、1Ωと0Ωです。

完全にリーク状態です

IMGP0551

IRFPE50 のデーターシートです。


Screenshot
from 2023-04-20 01-00-14

Screenshot from 2023-04-20 00-59-49


800V 8Aくらいで使えそうなFETを調達していただきました。

SPW11N80C3

PIN配列もそのままOKです。


Screenshot from
2023-04-20 01-01-04

Screenshot from 2023-04-20 01-03-21

交換しました。


IMGP0583

電源投入です。

スライダックにて徐々に電圧を上げてゆきます。

ビクビクしながら50Vを通過しました。

IMGP0585

60V通過あたりで、リレーのスイッチが入り「カチッ」っと音がしました。

何か音がするとビックリします。

100V到達しました。  燃えません! OKです。

が、しかし13,8Vも28Vも出力せず、スイッチング動作をしません。 

そんなに甘くありませんね。

IMGP0586

部品を一つ一つ確認してゆくと、バランス抵抗がオープンでした。


IMGP0558


IMGP0557

0,1Ω 5Wのセメント抵抗に交換しました。


IMGP0581

スイッチング制御のカスタムICが不良です。

ICに穴が開いています。

抵抗が燃えたところは基板が炭化しています。

IMGP0559

中身はM51977FP


IMGP0560


Screenshot from 2023-04-20 01-12-11


ICに穴が開くほどの焼けです。

これではスイッチングができないわけです。

IMGP0562

手持ちのあったジャンク無線機からカスタムICを調達交換しました。


IMGP0563

不動になる可能性がある部品を総点検します。


IMGP0564

FETとダイオードです。


IMGP0568

半導体テスターにて計測。

MOS FET 正常と確認しました。

IMGP0565

ダイオード 正常と確認しました。


IMGP0566

コイルの周辺と下の部分に汚れが見えます。


IMGP0570

コイルを取り外すと電解コンデンサーからの液漏れが広がっていました。


IMGP0571


IMGP0572

アルコール洗浄しました。


IMGP0573

電解コンデンサーをオール交換しました。

ヒドイ状態です。

IMGP0569

これも。


IMGP0575

部品を取り外して電解液漏れが付いていないか確認します。


IMGP0574

電解コンデンサーを外した場所です。


IMGP0576

アルコール洗浄。


IMGP0577

半導体テスターにて電解コンデンサーを計測すると、ダメージパーツとなり完全に死亡しています。


IMGP0578

28Vの出力コネクターを外してみると、電解液漏れが及んでいる状態でした。


IMGP0603

28Vコネクター。


IMGP0604

コネクター基板の状態です。

アルコール洗浄します。

IMGP0605

13,8V系のカスタムICを取り外し。


IMGP0606

ICの取付け部を洗浄しました。


IMGP0607

R62が不良です。


IMGP0579

オープン状態です。


IMGP0580

交換しました。


IMGP0582

ダイオード2本を交換。

ERA91-02 trr 35ns
ERB44-08 trr 0,4us

ダイオード規格表にて確認。
分類では整流ダイオードのようです。

IMGP0584

28Vの出力が不安定です。

VR51を交換しました。

Screenshot from 2023-04-20 01-12-55

VRの状態です、腐食が進んでいます。


IMGP0608

フォトカプラの点検。


Screenshot from 2023-04-20 17-30-23

フィードバック用のフォトカプラ 

PC111

IMGP0609

PC1、PC2 2個あります。


IMGP0611

PC111のデーターシート。

中身はフォトダイオードとトランジスターです。

Screenshot from 2023-04-20 17-39-19

ダイオード側はOKです。


IMGP0612

トランジスター側はNGです。

スイッチング動作を制御するフィードバックがされないということ。

IMGP0613

フォトカプラの基板パターンです。

パターンからトランジスターのベースは使われていないことがわかります。

IMGP0614

使えそうなフォトカプラを入手しました。

LTV-817

IMGP0680

LTV-817のデーターシートです。

Screenshot from 2023-04-24
01-12-31

取付けました。

フィードバックもOKです。

IMGP0681


IMGP0588

13,8Vと28Vを出力するようになりました。

13,8Vは安定していますが、28Vが不安定で無負荷状態では電圧が小刻みに4Vくらい上下します。

IMGP0587

電源が入りました。


IMGP0600

送信すると出力が20Wくらいしか出ず、それ以上はリレーがばたついてパワーが落ちてしまいます。

電圧監視用のカスタムICを交換しました。

IMGP0682

28V系が安定せず、ダイオードを交換しました。


Screenshot from 2023-04-24 01-30-03

20Aのダイオードです。

ESAD92M-03

IMGP0684

PIN足にLが付いているので移植します。


IMGP0685


IMGP0686

代替え品に交換です。

D20SC9M 20A

しかし、出力上がらずです。

IMGP0683

サーモスタット 異状無しです。


IMGP0687

平滑コンデンサーの点検。

250V 1000uF

IMGP0690

テスターにて確認。

容量はOK ESRも0Ωです。 

IMGP0688

容量OK Vロス0,5% ESRは0Ω

ほとんど低下していませんでした。

28VがNGです、パワーを上げてゆくとスムーズに出力が出ずにリレーがバタついてしまいます。

IMGP0689

PAユニットを点検。


IMGP0589

PA基板を取り外しました。


IMGP0591

470uFの電解コンデンサーが焼損しています。


IMGP0592

コンデンサーの底部には焼損の跡があります。


IMGP0593

ヒドイ状態です。


IMGP0594


IMGP0596

炭化して穴が開いています。


IMGP0597

洗浄しました。


IMGP0598

電解コンデンサーを交換しました。


IMGP0599

電源ユニットからの28V系が不安定な状態にて、別電源から16Vを供給しました。


IMGP0602

出力 80W出ました。

PAユニットは元気を取り戻したようです。

IMGP0601

交換したダイオードが良くありませんでした。

高速スイッチングを行うため、FRD 超高速ファストリカバリーダイオードでないとダメです。

ダイオードを元に戻しました。

Screenshot from 2023-04-25 22-49-25

100Wでました。


IMGP0707

Poメーター100W指示しました。


IMGP0708

周波数。

7,10Mhz

IMGP0621

スプリアスの状態。


IMGP0620

受信感度が悪いです。

コイルを調整しても感度がでません。

IMGP0623

アンテナ系のリレーを総交換する必要が出てきました。


IMGP0622

フィルターユニットのリレーも総交換か。


IMGP0590

RFユニットに直接信号を入れても受信感度が悪いままです。

ここから先に問題があります。

IMGP0709

RFユニットのハンダ不良を点検。


IMGP0715

アッテネーターのリレーです。


IMGP0710

取り外しました。


IMGP0711

分解できるリレーの場合はメンテナンスができます。

PIN足を押し上げて接点の間隔をあけます。

接点洗浄と研磨をしました。

IMGP0712

組み立て。


IMGP0714

接点抵抗は0,2Ωになりました。

REL機能があるテスターの場合は、テスターリードのぶんを0補正します。

IMGP0713

受信感度を調整。


IMGP0716

受信感度、復活しました。

ー127,0dBm

IMGP0719

ー87,0dBm 受信のとき、


IMGP0718

Sメーター 59です。


IMGP0717

アンテナチューナーが動作していません。


IMGP0720


IMGP0721

ステップモーターがガリガリ空回りしているような音がします。


IMGP0722

固くて回りません。


IMGP0723

オーバーホールしてみます。


IMGP0724

洗浄しましたが、回転しませんでした。


IMGP0725

手持ちのあった部品に交換しました。


IMGP0726

チューナーの動作OKです。


IMGP0727

フロントパネルを点検。


IMGP0728

コイルがぼろぼろになっているのを発見しました。

L12

IMGP0729

発熱でパリパリになっています。


IMGP0730

L12 回路図記号が L になっていませんが。

導通が失われているわけではないため、そのままにしました。

Screenshot from
2023-04-25 23-37-26

コントロールユニット 470uF 1本を交換。


IMGP0731

DSP動作の最初の無線機です。

調整箇所が少ないです。

IMGP0734


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