無線ブログ集
メイン | 簡易ヘッドライン |
IC-775DXⅡ 電源が入らない (2023/5/10 12:45:19)
IC-775DXⅡ 電源が入らないとのことでお預かりしました。
オーナー様がアンテナチューナーを確認中に電源付近から焼損し、電源が落ちたとのことです。
電源ユニットの点検。
IC-775にはサードパーティー製であるルビコン社の電源ユニットが搭載されています。
そのため、サービスマニュアルには電源の回路図が書かれていません。
以下はIC-736のサービスマニュアルのものですが、こちらは回路図付きで、同じような構成をしています。
13,8Vと28Vが出力されます。
ブリッジダイオードを点検。
これがNGだとヒューズが飛びます。
本機のヒューズは飛んでいないので大丈夫だとは思いますが点検します。
最初の電源を入れるときは怖いものです。
ブリッジダイオードはこのように4本のダイオードからなっています。
取り外し。
ボディーに + 〜 〜 ー の記載が見えます。
上記のダイオード図のとおり、導通の方向が正しいか調べます。
テスターのダイオード測定レンジで調べます。
+から〜への導通があってはいけません。
導通無し、OKです。
〜から+への導通は有り。
ダイオードの電圧降下ぶんを表示すればOKです。
同様にすべての端子間で測定したところ、ブリッジダイオードは正常ということがわかりました。
基板を点検すると、抵抗R11、R12、R15が焼損していました。
オーナー様が燃えたのを見たのはこれです。
すべて交換しました。
Q2、Q1のFETが不良です。
電圧が燃えた抵抗のほうにだだ漏れになってしまいます。
実測すると141Vです。
不良のFETです。
IRFPE50
半導体テスターで計ってみると抵抗化しておりました。
3Ωで、ほぼリーク状態です。
こちら、1Ωと0Ωです。
完全にリーク状態です
IRFPE50 のデーターシートです。
800V 8Aくらいで使えそうなFETを調達していただきました。
SPW11N80C3
PIN配列もそのままOKです。
交換しました。
電源投入です。
スライダックにて徐々に電圧を上げてゆきます。
ビクビクしながら50Vを通過しました。
60V通過あたりで、リレーのスイッチが入り「カチッ」っと音がしました。
何か音がするとビックリします。
100V到達しました。 燃えません! OKです。
が、しかし13,8Vも28Vも出力せず、スイッチング動作をしません。
そんなに甘くありませんね。
部品を一つ一つ確認してゆくと、バランス抵抗がオープンでした。
0,1Ω 5Wのセメント抵抗に交換しました。
スイッチング制御のカスタムICが不良です。
ICに穴が開いています。
抵抗が燃えたところは基板が炭化しています。
中身はM51977FP
ICに穴が開くほどの焼けです。
これではスイッチングができないわけです。
手持ちのあったジャンク無線機からカスタムICを調達交換しました。
不動になる可能性がある部品を総点検します。
FETとダイオードです。
半導体テスターにて計測。
MOS FET 正常と確認しました。
ダイオード 正常と確認しました。
コイルの周辺と下の部分に汚れが見えます。
コイルを取り外すと電解コンデンサーからの液漏れが広がっていました。
アルコール洗浄しました。
電解コンデンサーをオール交換しました。
ヒドイ状態です。
これも。
部品を取り外して電解液漏れが付いていないか確認します。
電解コンデンサーを外した場所です。
アルコール洗浄。
半導体テスターにて電解コンデンサーを計測すると、ダメージパーツとなり完全に死亡しています。
28Vの出力コネクターを外してみると、電解液漏れが及んでいる状態でした。
28Vコネクター。
コネクター基板の状態です。
アルコール洗浄します。
13,8V系のカスタムICを取り外し。
ICの取付け部を洗浄しました。
R62が不良です。
オープン状態です。
交換しました。
ダイオード2本を交換。
ERA91-02 trr 35ns
ERB44-08 trr 0,4us
ダイオード規格表にて確認。
分類では整流ダイオードのようです。
28Vの出力が不安定です。
VR51を交換しました。
VRの状態です、腐食が進んでいます。
フォトカプラの点検。
フィードバック用のフォトカプラ
PC111
PC1、PC2 2個あります。
PC111のデーターシート。
中身はフォトダイオードとトランジスターです。
ダイオード側はOKです。
トランジスター側はNGです。
スイッチング動作を制御するフィードバックがされないということ。
フォトカプラの基板パターンです。
パターンからトランジスターのベースは使われていないことがわかります。
使えそうなフォトカプラを入手しました。
LTV-817
LTV-817のデーターシートです。
取付けました。
フィードバックもOKです。
13,8Vと28Vを出力するようになりました。
13,8Vは安定していますが、28Vが不安定で無負荷状態では電圧が小刻みに4Vくらい上下します。
電源が入りました。
送信すると出力が20Wくらいしか出ず、それ以上はリレーがばたついてパワーが落ちてしまいます。
電圧監視用のカスタムICを交換しました。
28V系が安定せず、ダイオードを交換しました。
20Aのダイオードです。
ESAD92M-03
PIN足にLが付いているので移植します。
代替え品に交換です。
D20SC9M 20A
しかし、出力上がらずです。
サーモスタット 異状無しです。
平滑コンデンサーの点検。
250V 1000uF
テスターにて確認。
容量はOK ESRも0Ωです。
容量OK Vロス0,5% ESRは0Ω
ほとんど低下していませんでした。
28VがNGです、パワーを上げてゆくとスムーズに出力が出ずにリレーがバタついてしまいます。
PAユニットを点検。
PA基板を取り外しました。
470uFの電解コンデンサーが焼損しています。
コンデンサーの底部には焼損の跡があります。
ヒドイ状態です。
炭化して穴が開いています。
洗浄しました。
電解コンデンサーを交換しました。
電源ユニットからの28V系が不安定な状態にて、別電源から16Vを供給しました。
出力 80W出ました。
PAユニットは元気を取り戻したようです。
交換したダイオードが良くありませんでした。
高速スイッチングを行うため、FRD 超高速ファストリカバリーダイオードでないとダメです。
ダイオードを元に戻しました。
100Wでました。
Poメーター100W指示しました。
周波数。
7,10Mhz
スプリアスの状態。
受信感度が悪いです。
コイルを調整しても感度がでません。
アンテナ系のリレーを総交換する必要が出てきました。
フィルターユニットのリレーも総交換か。
RFユニットに直接信号を入れても受信感度が悪いままです。
ここから先に問題があります。
RFユニットのハンダ不良を点検。
アッテネーターのリレーです。
取り外しました。
分解できるリレーの場合はメンテナンスができます。
PIN足を押し上げて接点の間隔をあけます。
接点洗浄と研磨をしました。
組み立て。
接点抵抗は0,2Ωになりました。
REL機能があるテスターの場合は、テスターリードのぶんを0補正します。
受信感度を調整。
受信感度、復活しました。
ー127,0dBm
ー87,0dBm 受信のとき、
Sメーター 59です。
アンテナチューナーが動作していません。
ステップモーターがガリガリ空回りしているような音がします。
固くて回りません。
オーバーホールしてみます。
洗浄しましたが、回転しませんでした。
手持ちのあった部品に交換しました。
チューナーの動作OKです。
フロントパネルを点検。
コイルがぼろぼろになっているのを発見しました。
L12
発熱でパリパリになっています。
L12 回路図記号が L になっていませんが。
導通が失われているわけではないため、そのままにしました。
コントロールユニット 470uF 1本を交換。
DSP動作の最初の無線機です。
調整箇所が少ないです。
execution time : 0.028 sec