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link JL7KHN/ミヤギKI529のブログ JL7KHN/ミヤギKI529のブログ (2024/5/19 16:05:30)

feed 【新技適化】ICB-770の性能を引っ張り上げる (2023/6/25 18:19:04)

■今年のコンディション

「週末に合わせてくれた?」と聞きたくなるような”梅雨の晴れ間”。

せっかく晴れた週末なのですが、Esはガツンと長時間続く感じが有りません。やっぱり地震と関係あるんじゃないかと定性的に思ってしまいます。

 

まっ、そんなコンディションの副作用のお陰で、休日にやらなければいけない事も進みますし、実験もやれたりする効果はあります。

 

 

■ソニー製品の癌、2SC710

この頃のトランジスタは銀マイグレーションと言う特有の劣化モードがあります。当時は部品の足に銀メッキをすることでハンダ上がりを良くする技術として普及しましたが、この銀が仇となって大気中の硫化ガスにより銀マイグレーションが起きてしまいます。

部品の足だけでは無く、樹脂モールドの内部にも進み、チップに到達するとリークが増加し、hfeの低下などを招くものです。

 

▼やっぱり足は真っ黒。削っても性能は戻りません

 

今回預かっている770も例に漏れずトランジスタは全て硫化が進んでいました。また、預かった内の1台は”整備品”として購入されたとの事ですが、これが他の個体よりも状態が悪いのがまた何とも言えない感じです。

オークションって・・・。

 

▼フレームに”AT”と手書きのサインが。「田中篤志さん」の検査履歴?何回見ても”Automatic”と思っちゃいます(^^)

 

 

■代替部品

巷で770を直されている方はたくさんいらっしゃると思います。2SC710の代替部品は、2SC1675あたりがテッパンとされている様です。

 

悪くは無いと思います。

 

元々付いている2SC710のトランジション周波数ftは200MHzに対し、2SC1675は250MHzと確かに相当品です。

しかしながら、1675も入手性があまり良くなく、無理に購入すると ランクも分からない大陸製の怪しい部品 を掴まされるリスクもあります。しかもそんなに安くも有りません。

 

そこで、在庫しているトランジスタでまずは修理をしてみることにしました。

 

 

■テーマは「ハイゲイン、ローノイズ」

hfeは、経験的に 使用周波数の10倍を目安 にしています。

古い本には2倍を目安と書いてあるものもありますが、選択肢がなかった時代の話ですので、今の時代にはアンマッチです。

もちろん、 ftはコレクタ電流依存性があります ので、高い周波数でもhfeを取りたければIcを増やしてやることで頑張れるデバイスもあります。

 

今回は、このftを”無駄に”高いものを選んでみます。

特にUHF、SHF用とうたわれているものを選ぶ事で、ftだけでは無く、帰還容量、出力容量も小さく、しかも自ずとNFが小さいものとなります。

 

この観点で手持ちのトランジスタで探し、ミキサーと増幅段を入れ替えていきます。今回は650MHzと7GHz品。どちらも普通に入手出来ます。

なお、ミキサー段のトランジスタ化については、 FETと比較し局発レベルが小さくて済む メリットもあります。これは、受信時における副次波スペックに対しては感度低下をさせないテクニックとしてでもあります。

 

 

~ちょっと寄り道~

 

ちなみに、前段階実験としてSA612(NE612)と言うDBMを使ってみました。これは、トランジスタと比較し、NFが良い事、線形性が抜群である事、実効効率が良い事など、基本的にはメリットばかりです。

入出力インピーダンスをそこそこ合わせてやることで利得も稼げ、かつAGCもちょっと工夫をすればかける事も出来ます。

実際やってみましたが、かなり静かなリグにはなりましたし、測定機で測る分には高感度に仕上がりました。

 

が、フィールドに出ると弱い局がちょっと辛い・・・。局発のレベルも結構突っ込んでいるつもりですが、弱レベルの線形性が悪い様でした。逆に予想では、強入力時に歪みやすいので違法局にやられるかと思ってましたが、意外とそちらは大丈夫。一粘りしましたが、最終的には断念しました。

 

▼DBMに置き換えた版。SNは良いが…680と同じ感度は無いなぁ。

*一応書いておきますが、外部電源から伸びている線はカウンターポイズでは無く、CH-580(極性が逆)に繋がってる電源線です。

 

~寄り道ここまで~

 

 

なお、一番肝心なフロントエンドはパラレルFETにしました。

 

「ここはトランジスタじゃないんだ?」と突っ込みが聞こえてきます・・・。

実際にトランジスタで組んでみるとわかるのですが、意外とトランジスタはFETよりもインピーダンスの崩れで発振に至りやすいです。特にCBではきちんと整合された外部アンテナが接続されるわけでは無く、インピーダンスが不安定なフィールドにほっぽり出されます。

その時に発振しやすいので、Icを絞りゲインを下げざる得なくなります。

なので、フロントエンドはFETで、ちょいとハイインピーダンスのノイズマッチを取り仕上げました。

 

 

■フィールドテスト

さて、実際に外に持ち出してみました。

比べたのはKI-707(新技適機)です。これはFETに拘って、感度向上とNF良化を図ったものです。

 

それと比べてみると、Sメーターは+2ほどよく振ります(メーターのS9レベルはどちらもコリンズと同じレベルで設定)。

無論かなりトータルゲインが上がったので、 AGCはかなり早い段階から当てる ようにしています。市販のアマチュア無線機と同じ考え方で、この方が静かな無線機になります。

それでもかなり振ってきますし、ノイズの中から浮いてきます。また、707よりもSPが大きく、筐体サイズもあるので更に聞きやすい感じです。

 

IPが取れているので違法局の被りに対してもフロントエンドが飽和することも無く、4ポールクリスタルフィルタを入れていることもあり、全然耐えられてます。

 

トランジスタも真面目に使うとポテンシャルが高い ということが、改めて勉強になった機会でした。

 

▼707はボリュームMIN。ノイズフロアは707がS3-4程度、770がS2-3程度。

 

 

 

このリグですが、あとはハイコンプレッションのコンプレッサのみ搭載すれば、この段階で技適は通ると思います。

 

「見た目はそのままで、性能を上げるのも、技適化ならではのお遊び」かと思います。


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