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NTS-115Aのアンテナ特性を測ってみた (2023/12/21 22:27:33)
■ひょんなことから
今年も色んな物の修理依頼が来ましたが、予想外の案件が舞い込んで来ました。
そう、NTS-115。
保証が切れているとの事なので引き受ける事にしました。(メーカー修理って高いのかな?)
■もののついで
修理と動作確認を終えたのですが、せっかく開けたのでちょっとオマケ確認したい事をやってみました。
やったのはアンテナ整合回路の確認。
NTS-115は他のリグと異なり、そのまま使うと何故か飛ばないと言われています。
実際、車のルーフ上ではなく、大地からもかなり離した木製テーブル上に設置したときのアンテナ電流は
SR-01≒KI-707≧CB one jr.(変調かけると01超)>>NTS-115 となります。
「あれ?壊れたか?」と思うほどNTS-115は弱いのが特徴です。
■まずはネットワークアナライザで測定してみる
説明のしやすさと、他の意図があり測定値はSWRにします。
・木製テーブル上、完全吊るし
→CB帯では3くらい
■じゃあ実運用では?
殆どの方はルーフ上に置いていると思いますので、それでテストします。
(それ以外は面倒だったとも言う・・・・)
・Bセグのルーフに直置き
→これは流石。
■シミュレーションモデルを作ってみた
MMANAGALで、解析モデルを作ってみました。
*PC画面がキャプチャじゃないのは、手抜きです。スマホで記事を書いてます*
・これが地面から浮いた吊るしの状態
→実測と良く合っている。
フィッティングをかけて驚いたのですが、想像以上にQが低いです。
ローディングコイルは手巻きの空芯コイル。その空芯コイル周辺にGND接続された金属があるとだいぶ堪える様です。但し、そのQが低い分救われている面もあるかとは思います。
*トロイダルコアでローディングコイルを作り、換装すると改善するかもしれません。
■結論
115の回路は送受信共に50Ωが前提で設計されています。(ただ、送信で変調がかかった時の動的出力インピーダンスを考えるのはちょっと厄介な回路です)
それに加え、アンテナも給電点が「十分大きな金属体の上」に置かれた条件下で50Ωとなるように作られています。
従って、 「車のルーフ上に置いて使うのが最低限のルール」となります。
逆に言うと、「最低限のルールさえ守ればガッツリ性能は出せる」とも言えます。
ちなみに、115は三脚にも付けられますが、三脚の種類によってはアース側が不足しアンテナはハイインピーになります。ハイ受けになりますので見かけの受信感度は良くなりますが、飛ばないと思います。
今回の測定では、SR-01の様に誰でもポンと置いて飛ばせるリグでは無いのは、アンテナ特性からも読み取れました。
ちょっとクセがあるリグ、これぞCBer向きかと思います。
★補足1
VNAから出ているピッグテールはアイソレータです。ちょっと高い周波数用だったので、コアも追加しHF帯でもアイソレーションを稼いでいます。
校正端面はケーブル先端です。
★補足2
公開されている回路図では、アンテナはLLマッチになってましたが、実物は異なっていました。初期ロットをお持ちの方からは色んな苦労話?を伺いましたが、もしかしたら、A付きでは変更されているのかも。
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