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<アマチュア無線に強力なノイズが混入する事例も…>総務省、影響・原因から対策まで「太陽光発電システムを原因とする無線通信の妨害について」のページを新設 (2024/1/25 12:05:18)
2024年1月24日(水)、総務省は「最近、太陽光発電システムからの不要電波の発射による無線通信への妨害が全国で多発しております」として、その影響・原因から対策までをまとめて、総務省電波利用ホームページに「太陽光発電システムを原因とする無線通信の妨害について」を新設した。ページには「防災行政無線の通信ができなくなった場合、屋外拡声器や戸別受信機を介して防災情報や行政情報を受信できなくなってしまいます」との記載があるが、アマチュア無線でも太陽光発電(ソーラー発電)システムのインバーターが原因と思われる強力なノイズの混入に悩ませられていることから、太陽光発電システムの導入者や施工業者との交渉において役立つヒントになるかもしれない…と、無線家の間で話題になってる。なお、総務省は「障害の発生を認知した場合にはお住まいの地域の総合通信局(沖縄県の場合は沖縄総合通信事務所)までご連絡ください。担当:総合通信基盤局電波部電波環境課」と案内している。
昨年(2023年)の夏、東京都が新築。または既存住宅、工場などのスペースに、要件を満たした太陽光パネルを新たに設置すると助成金が支給される助成事業が話題になった。世の中は「SDGs(持続可能エネルギー)」としての太陽光発電に注目が集まっている。
太陽光発電システムを販売・設置する国内メーカーのなかには「アマチュア無線などに電波障害を与える場合があるため、カタログなどに「近隣にアマチュア無線のアンテナがあるところに太陽光発電システムを設置すると、太陽光発電システムの機器や配線から発生する電気的雑音(ノイズ)を感度の高いアマチュア無線機が受信することで通信の障害となる場合がありますので設置はお控え願います」と注意喚起を促している場合もある。
パナソニック株式会社エレクトリックワーク社「住宅用 太陽光発電システム」のカタログには「アマチュア無線機が受信することで通信の障害となる場合がありますので設置はお控え願います」と明記している(赤枠はhamlife.jpが記入)
しかし、まだまだ周知されておらず、太陽光発電システムの導入者や施工業者とトラブルになったり、アマチュア無線家が泣き寝入りするなるケースも少なくないのが現状だ。
今回、総務省が「太陽光発電システムを原因とする無線通信の妨害について」として、影響・原因から対策までをまとめたページを新設したことは、それだけ多くの相談や問題があることをうかがわせる。
以下、一部を抜粋して紹介しよう。
●太陽光発電システムを原因とする無線通信の妨害について
1.概要
最近、太陽光発電システムからの不要電波の発射による無線通信への妨害が全国で多発しております。
大規模な太陽光発電所からだけでなく、一般の住宅に設置されている太陽光発電システムからの不要電波によって、防災行政無線等の人命に関わる無線通信が妨害をうけた事例も把握しております。
不要発射の発生の影響とその原因を理解し、妨害電波が発生しないよう注意しましょう。
2.影響と原因
こうした妨害が発生した場合、近隣の無線局の通信ができなくなる可能性があります。
特に、防災行政無線の通信ができなくなった場合、屋外拡声器や戸別受信機を介して防災情報や行政情報を受信できなくなってしまいます。
太陽光発電から不要電波が発射される原因として、パワーコンディショナー(パワコン)が主要な原因となっています。パワコンが直接発する電波だけでなく、パワコンから交流線や直流線に高い周波数の電流が流れることで副次的に不要電波を発するケースも考えられます。
3.確認された事例
総務省では疑わしい事例を含め、令和元年以降約100件の事例を把握しております。以下に代表的な事例を紹介します。
4.対策
こうした妨害を防ぐために「太陽光発電システムの導入者」及び「太陽光発電システムの施工者」がそれぞれ対策すべき点についてご説明します。
【太陽光発電システムの導入者】
太陽光発電システムを導入する際には、不要電波の発射が弱い機種を選定するようにすることでこうした妨害の発生の可能性を抑えることができます。
特に国際規格であるCISPR 11第6.2版以降の基準に適合したパワコンであれば、不要電波の強度が一定値以下となることが確認されているため、妨害を発生させるおそれが低くなります(これまでの障害事例で該当はありません)。
また、導入した太陽光発電システムが無線通信に妨害を与えることが明らかになった場合には、施工業者等にご連絡いただき、追加の対策を行っていただきますようお願いいたします。
【太陽光発電システムの施工業者】
太陽光発電システムを施工する場合には、不要電波の発射が弱い機種を選定するようにすることでこうした妨害の発生の可能性を抑えることができます。
特に国際規格であるCISPR 11第6.2版以降の基準に適合したパワコンであれば、不要電波の強度が一定値以下となることが確認されているため、妨害を発生させるおそれが低くなります(これまでの障害事例で該当はありません)。
また、上記の基準に適合していない機器を設置する場合でも、施工時にシールドケーブルを利用するなどの工夫をすることでもこうした妨害を防ぐことが可能です。施工する機器製造者が提供する設置マニュアルやガイドラインにしたがって施工を行うことも重要です。
施工した太陽光発電システムが仮に無線通信に妨害を与えることが明らかになった場合には、ノイズフィルタを追加するなど、速やかに障害の原因の除去を行っていただくようお願いいたします。
5.障害発生時の連絡先
障害の発生を認知した場合にはお住まいの地域の総合通信局(沖縄県の場合は沖縄総合通信事務所)までご連絡ください。
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<都市部では深刻な問題も>JQ1BWT澤田氏、ソーラー発電(太陽光発電)システムからのノイズ障害に関する情報を収集中
●関連リンク: 総務省 太陽光発電システムを原因とする無線通信の妨害について
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