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feed 「前会長・髙尾執行部に関する報告書」ができるまで (2024/3/8 22:12:49)

2024年3月4日、社員有志による「前会長・髙尾執行部に関する報告書」がJARLにより公表されました。私も、社員有志22名のひとりとしてこの報告書の作成に関わりましたので、その経緯について書き残しておきます。

7年分の会計帳簿の開示命令

一般社団法人の社員は、法律により、総社員数の10分の1が集まれば、会計帳簿と領収書の開示を求める権利が与えられています(法人法121条)。理事の不当な行為があれば、それを是正することは、一般社団法人の社員の重要な責務なのです。

社員有志22名は、東京地方裁判所にJARLの会計帳簿の開示を求める裁判を提起し、 2023年3月30日、東京地裁は、JARLに対し、JG1KTC髙尾義則氏が会長に就任した平成28(2016)年度から今年度まで7年分の会計帳簿・領収書ほぼすべてを開示するよう命ずる判決を言い渡しました 。しかし、 髙尾会長(当時)は、理事会に諮らず独断で控訴 していました。

6月に髙尾氏が執行部から去った後、新たに会長に就任されたJA5SUD森田耕司会長は、「この控訴は組織にとって何のメリットも無い」と判断され、理事会の承認のもと控訴を取り下げ、7年分の会計帳簿・領収書を開示してくださいました。

2023年7月26日、会計帳簿がExcelデータで開示されました(髙尾前会長の時代は、データは無いとの理由で、紙での開示でした。)。領収書は紙で綴られていましたが、JI1RKA板橋社員、JJ1WTL本林社員、JA1UMW小林大輔(Daisuke)さん他のご協力により、2日間にわたって、大量の写真撮影を行いました。

会計帳簿の分析は誰が?

さて、この大量の会計帳簿類の分析を誰がやるのか・・・?

段ボール箱数箱の領収書。これでも一部。JARL本部にて。

社員有志の間には、「第三者の弁護士に頼んで客観的に分析してもらうべきだ」という意見もありました。いわゆる「第三者委員会」です。ですが、弁護士に頼むとなるとお金がかかります。一説には数百万から一千万を超えるのではないかといわれました。そこまでの金額を社員有志では負担できませんし、赤字財政のJARLに負担を求めるわけにもいきません。

社員有志が手分けして、手弁当で分析することを決めました。

ところで、2013年に、全日本柔道連盟(全柔連)において立て続けに不祥事が発生し、柔道界に激震が走ったこと( 女子柔道強化選手への暴力問題 と、 助成金の不正受給問題 )を覚えていらっしゃる方も多いと思います。私は、弁護士として、暴力問題では調査委員のひとりを務め、不正受給問題では第三者委員会の委員長を務めました。当時は、自分の顔が新聞に載り、たくさんの方から「記者会見をテレビで見たよ!」といわれたものです。

私は、その時に得た知識・経験を、本件にも全面的に投入しました。

不祥事の調査案件では、①事実を正確に把握すること、②適切な判断基準を立てること、③疑われている人の弁明の機会をきちんと確保すること、以上3点がとても重要と考えています。

①事実の正確な把握

大量の会計帳簿と領収書は、社員有志で手分けして分析し、それぞれが気づいた点を集約しました。特に、JK7LXU 石岡洋一社員は、経理の知識経験を生かして、全ての帳簿類に目を通し、疑惑のある支出の一覧表をとりまとめて下さいました。

②判断基準

支出の正当性については、以下の基準を立てました(報告書8頁)。

『JARLの経費として認められるためには、会食の日時・場所・人数だけでなく、会食の「目的」、「相手の氏名役職」等が明らかとされ、その会食がJARLにとって有益なものであったことの証明が必要である。』

法律的な説明をすれば、一般社団法人と理事は委任関係に立ち( 法人法第64条 )、理事は法人に対し善管注意義務( 民法第644条 )、忠実義務( 法人法第83条 )を負うところ、義務を履行したこと、つまり、善良な管理者として忠実に職務を遂行したこと(私的な飲食ではないこと)は、理事側が主張・立証しなければならない、といえます。

まあ、こんなややこしい言い方をしなくても、ふつうの方なら、社会常識としてご理解頂けると思います。

これは過去に存在した事実の証明であり、無いことの証明=いわゆる「悪魔の証明」などというものではありません。

JARLには支出の基準が無かったのでは?という人もいるようです。内規がないことをいいことに、その点に付け入って私的飲食をしていたのだとすれば、もっと悪質なのではないでしょうか。「昔からJARLはこういうもんだった」というのも、全く言い訳にはなりませんよね。

③弁明の機会

疑いをかけられている人に十分な弁明の機会を与えること。この点には非常に神経を使いました。私たちの考えを髙尾氏に一方的に押しつけるのではなく、あくまで誠実・公平に、髙尾氏からの意見・弁明・反論に、十分に耳を傾けようと決めました。

2023年11月:報告書「案文」を理事会に提出

社員有志でとりまとめた報告書を、まずは「案文」としてJARL理事会に提出しました。

会計帳簿を受け取ってから「案文」のとりまとめまで4ヶ月かかりました。社員有志はそれぞれ本業等がある中、余暇をこの作業に割いて下さったわけで、決して遅くはなかったと思います(私個人も、身内に不幸があったりいろいろありました。)。

報告書の「案文」としたのは、まず理事会で確認していただいた後、髙尾氏に「案文」を送付して意見を聞いて、誤りがあれば修正したいと考えたからでした(高尾氏は「案文」とあったことを 「不適切な書面」と主張 しています。私たちの配慮は、残念ながら高尾氏には通じないようです。)。

2023年11月の理事会では、6エリア中村理事を除き、出席理事全員が、「案文」の髙尾氏への送付に賛成して下さいました。

2023年11月25・26日開催 第70回理事会報告より

2023年12月:髙尾氏代理人弁護士からの「ご連絡」

以下、 有志社員←→JARL事務局←→髙尾氏代理人弁護士の間でやりとりされた文書は、JARL会員ページに開示 されています。

髙尾氏は、代理人弁護士を選任し、JARL事務局に回答文を送ってきました。自分は任期中にこれだけのことをやった、というリストから始まる回答文からは、反省や後悔は一切感じられず、自己正当化と責任転嫁の文章で一貫していました。

特に興味深かったのは、報告書(案)で指摘した1300万円あまりの使途不明の飲食費に対し、1円単位の細かい数字での反論があったことでした。弁護士と髙尾氏が、私たちが作ったリストを細かくチェックして、これとこれは理由が付けられる、といった検討を行い、合計額を計算したに違いありません。

髙尾氏代理人の通知書(2023年12月18日付け)より

そこで、私たちは、髙尾氏代理人弁護士と面談し、各支出について、ひとつひとつ確認を行いたいと考えました。その方が、文書でやりとりするよりも早いと思ったからです。飲食の中には、”書面に残せない相手”というのもあるかもしれない、そういうものについては、口頭で説明をいただければ、リストから落としてもよいと考えていました。

2024年1月:髙尾氏代理人弁護士の面談拒否

私が社員有志の代表として、髙尾氏代理人弁護士の事務所に電話をしました。事務員さんが出て不在だと仰るので、コールバックをお願いしました。また、面談を提案するメールも送りました。

ところが、髙尾氏代理人弁護士からは、一向にコールバックがありません。何度電話をしても事務員さんは、弁護士は不在とおっしゃいます。しまいには、留守電が出るようになってしまいました。髙尾氏代理人の先生は、病気でもされたのだろうかとすら思いました。

初めて電話をしてから1週間後、意外なことにJARL事務局から連絡がありました。髙尾氏代理人からJARL本部に、”山内弁護士から当方宛てに面談のご要望を頂いているが、当方(及び髙尾氏)としてはこれに応じかねる” ”今後、山内弁護士から電話・メールがあっても対応いたしかねる”という連絡があったというのです。

実は、私はずっと高尾氏から避けられてきました。イベントですれ違ってあいさつしても、ちょうど”電話がかかってきた”様子で反対方向に行ってしまわれます。Facebookではブロックされています。私の方は、以前から(今でも)髙尾さんといちど腹を割って話したいと思っています。 「課題解決に向けての議論のご提案」 を仲間と送ったこともあります。髙尾氏に、私たちと対話をした方がよいと助言してくださった方も複数いるようなのですが、髙尾氏は、「山内とは絶対に会わない」「あいつはJARLを乗っ取ろうとしている」と、激高されてしまったそうです。

高尾氏ご本人はともかく、代理人弁護士まで私の連絡を無視してきたことには、とても驚きました。弁護士は、敵・味方に分かれても、対話を通じてお互いの立場を理解し対立の解消を試みるという、ある種の信頼関係を共有しています。ですので、髙尾氏代理人弁護士が私を無視したのは、弁護士の意向ではなく、山内には絶対に会うなという髙尾氏の強い指示があったからに違いありません。もし私が髙尾氏の代理人だったら、むしろ社員有志側に面会を申し入れ、一生懸命事情説明をし、損害賠償を申し出て、報告書の公表を阻止しようと努力したでしょう。

2024年1月:追加質問と「回答」

直接対話を拒否されてしまったので、仕方なしに私たち社員有志は、JARL事務局を経由して、代理人弁護士に対し追加質問を送っていただきました(事務局の手間が増えただけで申し訳なく思います。)。1円単位の合計額を示してきた飲食の内訳はどれなのか、具体的なリストを示して欲しいと依頼したのです。

これに対する髙尾氏代理人弁護士の返事もまた、驚くべきものでした。私たちの質問には答えず、”そもそも不適切とはいかなる意味か、なにゆえ不適切であるかを説明せよ” ”どれが私的飲食費に当たるのか、そちらが示せ” という、問いをもって問いに答える文章でした。

髙尾氏は、真面目に答えるつもりがないんだな、と思いました。同時に、JARLの経費として認められるためには、会食の「目的」、「相手の氏名役職」等を示さなければならないという「一般常識」もわきまえない人なんだなと、残念に思いました。私たちは、髙尾氏代理人弁護士とのやり取りはもう十分であり、これを打ち切って、報告書を完成させることにしました。

2024年2月:報告書(最終版)の理事会への提出

最終版の作成に当たっては、髙尾氏代理人弁護士の主張を受け入れ、私たちの主張を取り下げた部分もありました。最終版を完成させ、2024年2月15日、JARL理事会に提出しました。

2024年2月24・25日の理事会でご検討いただいた結果、以下のとおり、出席理事13名全員のご承認を頂きました(6エリア中村理事は途中退席、7エリア尾形理事は欠席)。理事の皆様のご英断に感謝申し上げます。なお、社員有志として、髙尾氏の説明を聞いて1度は落としてもいいかなと思った委員会後の会食費が、実は割り勘だったと、複数の理事が指摘されたそうです。「ポッケナイナイ事件」は、報告書にあった4件だけでは無かったということなのです。

2024年2月24・25日開催 第71回理事会報告より

2024年3月:報告書の公表/髙尾氏代理人と社員有志の通信文の公表

こうして、2024年3月4日、JARL Web及び会員サイトで、社員有志の報告書が公開されるに至りました。

翌5日には、髙尾氏側の希望により、髙尾氏の主張文書も併載されました。社員有志としては、何も隠し立てをする必要はありません。理事会・有志社員の報告書と、髙尾氏の主張を見比べて、 どちらがJARLのことを真剣に考えているのか 、ご判断頂きたいと思っています。

なお、3月6日には、髙尾氏のブログ・ホームページに選挙の「所信」が掲載されました。高尾氏は社員有志の報告書が公開されたことに気づいているはずですが、報告書には一切言及がなく、やはり、反省も後悔も一切感じられませんでした。

感想

「打合せ 会長 ●名」といった使途不明の飲食の件数と金額が目を引きますが、そもそも、JARLの「打合せ」を、なぜ連日連夜、飲み屋やスナックでやる必要があったのでしょうか。森田会長は、JARLの会長を引き受けてから、打合せを飲み屋でやる必要性を感じたことは無いとおっしゃいました。

髙尾氏は、ソフトな語り口で人気があったと思いますが、実は感情のコントロール(いわゆるアンガーコントロール)があまり上手でなく、激高したり、人を罵倒したりされることは、今回の報告書で初めて明るみになったのではないでしょうか。彼に直接接触した人ほど、他人の意見を聞かないとおっしゃいます。報告書には書かれていませんが、実はJARDやJAIAの方々に対しても激高し、大変不愉快な思いをさせてしまったことがあったと伺っています。

また、髙尾氏が事実と異なる答弁をし、親しい方々を裏切ってきたことも明らかになりました。自分は表に出ず、他人を使い、都合が悪くなるとハシゴを外すという行動は、昨年6月の社員総会での第5号議題が典型例だったでしょう。もし髙尾氏が本当に田中理事を解任したかったのなら、会長として自分で解任議案を提案することもできたのです。なのに、社員を使って議案を出させた後、理事会での会長解職議案と社員総会での理事解任議案を突きつけられ、形勢不利と見るや「辞任届」を提出し、引き継ぎもなく逃げ去ったのです。髙尾氏を信じていた理事の皆さん、社員の皆さん、「アウト・ドア」の皆さんは、裏切られた後、何事も無かったかのように全国理事候補選挙に立候補してきた髙尾氏のことを、どう思われているのでしょうか。

なぜ選挙の時期にこの報告書を公開するのか?との指摘が理事会であったそうですが、上記のとおり、社員有志が懸命に作業した結果、この時期になっただけです。本当はもっと、できるだけ早く出したかったのです。決して「狙った」わけではありません。

髙尾氏の飲食の領収書を通してしまったJARL事務局に責任はないのか、と声を聞きました。責任はゼロではないかも知れませんが、数年前の社員総会で事務局長が答弁したように「会長が持ってくれば事務局としては断れない」というのが本音だろうと思います。激高したり罵倒したりする人が会長であったことも考慮しないといけないと思います。

髙尾氏を支持してきた理事の責任を問う声も聞きました。一理ありますが、かつて髙尾氏の強い影響下にあったある理事は「自分は地方にいるから、髙尾氏から言われたことを信じるしかなかった。真実を知りたかった。」とおっしゃいました。一度仲間になってしまうと、なかなかものが言えなくなる人情もわかります。私は、意を決して、髙尾氏の影響下から脱した方に対しては、強い非難はできないのでは、と感じています。

監事の責任を問う声も聞きました。今の監事2名は、いずれも県支部長ご経験者で、髙尾氏から指名された方です。つまり、会長→地方本部長→支部長という組織的なヒエラルキーに組み込まれた経験がある方です。なので、会長にもの申すことはできないでしょう。元支部長を監事に選ぶことは止め、法律や会計の専門家を選任すべきだと思います。

ともあれ、社員有志の報告書が公表され、一区切りがつきました。JARLにおける歴史的な不祥事ですので、社員有志の間には高揚感は全くなく、とても残念な気持ちでいっぱいです。

後ろ向きの問題にこれ以上時間を使っている暇はありません。これからは、アマチュア無線の普及・活性化、この趣味をもっと楽しくする活動に力を注ぎたいと、社員有志一同、決意を新たにしています。

最後に、今回の報告書の作成に関わった社員有志22名の一覧(裁判の原告団です)を掲げておきます。また、裁判費用は、たくさんの皆様から「JARL正常化弁護団」に頂いたカンパ金から拠出させていただきました(近日中に収支報告を公表します。)。今回の「報告書」は、アマチュア無線家の皆様のご支援の賜物です。ありがとうございました。

7K1BIB 山内貴博  JI1RKA 板橋直樹
JI1XKH 増田 浩  JJ1WTL 本林良太
JL1HHN 安田晃央  JH4PHW 坂井志郎
JH2DFJ 岩田泰典  JJ2JIX 後藤 直
JA3HBF 田原 廣  JA3WDL 井村 厚
JG3QZN 田中一吉  JH3IJY 武市章和
JK3IJQ 大東治宜  JL3JRY 屋田純喜
JE3DBS 蛭子健策  JA4DLF 綱島俊昭
JJ4KME 古城朋和  JJ4QKY 河村 博
JR6IKD 中嶋邦浩  JK7LXU 石岡洋一
JE8KQR 大國秀夫  JL8LGW 船水 明

(2024-03-08 記)


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