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POTANT 7(WVU式POTA用ロッドアンテナ)について (2024/4/3 16:08:32)
POTANT
7は、私がPOTAの移動で最もよく使っているHF用のロッドアンテナです。名前からわかるようにGAWANTを改良したものですが、モドキが数々あります(KIBANT,
CHIBANTなど)のでそれにちなんでPOTA用なのでそういう名前をつけてみました(笑)
皆様から多くの要望を頂いておりますので実験途中であるのですが、使ってもらってリポートを頂こうかと先月くらいから人柱版で少しずづ頒布を始めています。今回はこのアンテナについて実験結果や実際に公園でどう使うかなど、現状をまとめておきます。
注:このアンテナは市販のコイル短縮型と比べたことはありませんが、放射効率は低いのでよく飛ぶということはないと思います。しかし、本文に記載の通り、HFでPOTAのACTは十分できる性能はあり、ラジアル長や張り方が適当でも使え、バンド変更がアンテナアナライザーなしでバリコンを回すだけでできるという利点があると思います。
1.公園移動のアンテナについて
まず、POTAのActivator(移動側)の条件としては10局以上交信することがACT(activation)の条件となります。山頂やロケのよいところであればV/UHFで達成できると思いますが、普通は平地で場合によっては都会のロケーションの悪いところもあるので、バンドはHF、その中でも日中で運用局が多い7MHzに出ることが必要です。
一方、都心の公園では、人も多くワイヤーアンテナや釣竿アンテナは目立ってあげれない場所も多いのでどの程度が許容できるか自分なりに考えたところ以下のような大きさ、構造でよいかなと思いました。
①ロッドアンテナは、CB無線機などの2m程度を最大とする
②三脚は、一般的に写真撮影にも使うので一般的に馴染みがある
③ラジアル線は、7MHzの1/4波長だと10mもあるが地面や生垣に這わすと目立たない
また、POTAは一か所でずっと運用してもよいのですが、一日に5か所、10か所ACTするともらえるアワードもあるので短時間で設置、解体ができ、マッチングやコンディションの悪いときはバンド変更も頻繁に行いますので調整が容易ということも条件になります。
そんなときに思いついたのは主に受信用に使われているGAWANTでした。これは、バリコンを回せばHFのマルチバンドで簡単にVSWRを落とせる便利なものなので、これをもう少し飛びがよくならないか考えてみました。
2.解決のためのアイデア
いろんなアイデアを思いつき、以下のようなものが効果があるようでしたので試作してフィールドで実験してみることにしました。
①GAWANTは、共振回路にロッドをつけたアンテナのためロッド長を長くしすぎると飛ばなくなるため、7MHzで最大2m程度とする(ハイバンドはロッドを縮めて使う)
②一般的なバーチカルアンテナと異なり、ノンラジアル型ANTなのでラジアル線はなくてもSWRは下がりますが、アース側にラジアル線を接続することで共振回路部分の電界強度を高めることで感度UPを図る
③同軸ケーブルは②の影響を避けるためにコモンモードフィルタなどで高周波的に分離する
④給電点は、極力周りの影響を避けるために三脚の上に設ける
これらを図にまとめると以下のようになります。
3.試作品と実験結果
試作品は、以下のようなものです。
3-1 実験1:カーボン竿ANTとの比較
6m長のカーボンアンテナとベランダで並べて日中7MHzの受信比較をしてみました(ラジアル長は共に10m)。当然長いカーボン釣竿が優位でどのくらい感度が下がるかなと実験したのですが、試作品の方が僅かによく受信できている感じがしました。なぜだか分かりません(日中なので打ち上げ角の問題かも知れません。また、カーボンアンテナの長さも1/4波長以下の非共振で使用していることも原因かも知れません)
3-2 実験2:ラジアルの有無の比較
PSKRを使って7MHz FT8 0.5WでCQを出して飛び具合をみてみました。オリジナルのGAWANT(ラジアルなし)ではどこにも受信されませんでしたが、下図のようにラジアル線をマンションの鉄筋に接続したり、10m程度のラジアル線を展開することで明らかに飛びが改善することが確認できました。そしてラジアル線をつけた状態では0.5Wでも結構呼ばれたので驚きました。
ただし、この実験は各状態を同時に比較することができません。そのため、時間によってコンディションも変わるので同様の実験を数回実験しましたが同じような結果になりました。
3-3 実験3:ラジアル長の長さの比較
ラジアル長はどのくらいがよいのか簡単な実験をしてみました。結果は1/4波長がよいようで、長くても短くても感度は下がるようでした。また、ラジアル長によるSWRの変化は少なく共振回路のVCで調整できる範囲でした。
3-4 実験4:ラジアルの張り方の比較
ラジアル線を地面に這わしたり上空に展開した比較をしてみました。地面にラジアル線を這わすと地面の状態によってSWRが下がらないことも結構ありました。周囲の条件によって変わるようですが、少しでも地面から離して水平に張る方がよいように感じました。
4.公園におけるラジアルの張り方
公園では木の枝にかけたり、生垣の上を這わしたりしていますが、そういうことができないときは地面の上に這わしてもACTはできています。以下に実際に私が行った公園でのラジアルの張り方について紹介します。
★ラジアル線は張り方によって木の枝にダメージを与えたり、人が通る場合は引っかかる場合があります。危険が予想されるところでは絶対に布設しないようにしてください。特に子供が遊んでいる場所では無線をしていると好奇心から近寄ってくることが多いので注意しましょう。
5.飛び具合について
HFなのでコンディションに左右されます。10Wでも全く呼ばれないときもありますので、運用バンドを変えることも結構あります。POTAでは短縮ホイップとかを使って公園やモービルから運用されている方も多いのですが、聴いている限りでは飛びはあまり変わらないような感じがします。また、ロッドの長さが短く内部のコイルで熱になっていますので受信より送信は悪い感じがします。
下図は、川沿いでUS方向にロケの良いところで18MHzで短時間運用したときのPSKRです。私は海外交信には興味はないのですが、サンスポットも高いようなのでハイバンドではコンディションがよければ海外からも呼ばれることもあります。
6.おわりに
昨年秋ごろにPOTAを始めて実験目的で半年で150か所の公園でACTしました。殆どがこのアンテナを使っており80か所は0.5WでACTできています。カーボン釣竿(+チューナー)もたまに使っていますがあまり変わらない感じがします。運用面ではこのサイズのアンテナでも公園から十分ACTできており、バンドQSY時の調整は、ラジアル長の変更と本体メーターを見ながら針が降れるようにVCを回すだけと簡単なのであまり不満はありません。
改善点としては、持ち運びが楽にできるようにスマホ用の軽量三脚(約380g)を使っているためトップヘビーとなり風が強いと倒れることがたまにあります。
簡単に自作もでき、GAWANTを持っている方はそのまま実験ができますので、試してみた結果など教えて頂ければ嬉しいです。
皆様から多くの要望を頂いておりますので実験途中であるのですが、使ってもらってリポートを頂こうかと先月くらいから人柱版で少しずづ頒布を始めています。今回はこのアンテナについて実験結果や実際に公園でどう使うかなど、現状をまとめておきます。
注:このアンテナは市販のコイル短縮型と比べたことはありませんが、放射効率は低いのでよく飛ぶということはないと思います。しかし、本文に記載の通り、HFでPOTAのACTは十分できる性能はあり、ラジアル長や張り方が適当でも使え、バンド変更がアンテナアナライザーなしでバリコンを回すだけでできるという利点があると思います。
1.公園移動のアンテナについて
まず、POTAのActivator(移動側)の条件としては10局以上交信することがACT(activation)の条件となります。山頂やロケのよいところであればV/UHFで達成できると思いますが、普通は平地で場合によっては都会のロケーションの悪いところもあるので、バンドはHF、その中でも日中で運用局が多い7MHzに出ることが必要です。
一方、都心の公園では、人も多くワイヤーアンテナや釣竿アンテナは目立ってあげれない場所も多いのでどの程度が許容できるか自分なりに考えたところ以下のような大きさ、構造でよいかなと思いました。
①ロッドアンテナは、CB無線機などの2m程度を最大とする
②三脚は、一般的に写真撮影にも使うので一般的に馴染みがある
③ラジアル線は、7MHzの1/4波長だと10mもあるが地面や生垣に這わすと目立たない
また、POTAは一か所でずっと運用してもよいのですが、一日に5か所、10か所ACTするともらえるアワードもあるので短時間で設置、解体ができ、マッチングやコンディションの悪いときはバンド変更も頻繁に行いますので調整が容易ということも条件になります。
そんなときに思いついたのは主に受信用に使われているGAWANTでした。これは、バリコンを回せばHFのマルチバンドで簡単にVSWRを落とせる便利なものなので、これをもう少し飛びがよくならないか考えてみました。
2.解決のためのアイデア
いろんなアイデアを思いつき、以下のようなものが効果があるようでしたので試作してフィールドで実験してみることにしました。
①GAWANTは、共振回路にロッドをつけたアンテナのためロッド長を長くしすぎると飛ばなくなるため、7MHzで最大2m程度とする(ハイバンドはロッドを縮めて使う)
②一般的なバーチカルアンテナと異なり、ノンラジアル型ANTなのでラジアル線はなくてもSWRは下がりますが、アース側にラジアル線を接続することで共振回路部分の電界強度を高めることで感度UPを図る
③同軸ケーブルは②の影響を避けるためにコモンモードフィルタなどで高周波的に分離する
④給電点は、極力周りの影響を避けるために三脚の上に設ける
これらを図にまとめると以下のようになります。
3.試作品と実験結果
試作品は、以下のようなものです。
3-1 実験1:カーボン竿ANTとの比較
6m長のカーボンアンテナとベランダで並べて日中7MHzの受信比較をしてみました(ラジアル長は共に10m)。当然長いカーボン釣竿が優位でどのくらい感度が下がるかなと実験したのですが、試作品の方が僅かによく受信できている感じがしました。なぜだか分かりません(日中なので打ち上げ角の問題かも知れません。また、カーボンアンテナの長さも1/4波長以下の非共振で使用していることも原因かも知れません)
3-2 実験2:ラジアルの有無の比較
PSKRを使って7MHz FT8 0.5WでCQを出して飛び具合をみてみました。オリジナルのGAWANT(ラジアルなし)ではどこにも受信されませんでしたが、下図のようにラジアル線をマンションの鉄筋に接続したり、10m程度のラジアル線を展開することで明らかに飛びが改善することが確認できました。そしてラジアル線をつけた状態では0.5Wでも結構呼ばれたので驚きました。
ただし、この実験は各状態を同時に比較することができません。そのため、時間によってコンディションも変わるので同様の実験を数回実験しましたが同じような結果になりました。
3-3 実験3:ラジアル長の長さの比較
ラジアル長はどのくらいがよいのか簡単な実験をしてみました。結果は1/4波長がよいようで、長くても短くても感度は下がるようでした。また、ラジアル長によるSWRの変化は少なく共振回路のVCで調整できる範囲でした。
3-4 実験4:ラジアルの張り方の比較
ラジアル線を地面に這わしたり上空に展開した比較をしてみました。地面にラジアル線を這わすと地面の状態によってSWRが下がらないことも結構ありました。周囲の条件によって変わるようですが、少しでも地面から離して水平に張る方がよいように感じました。
4.公園におけるラジアルの張り方
公園では木の枝にかけたり、生垣の上を這わしたりしていますが、そういうことができないときは地面の上に這わしてもACTはできています。以下に実際に私が行った公園でのラジアルの張り方について紹介します。
★ラジアル線は張り方によって木の枝にダメージを与えたり、人が通る場合は引っかかる場合があります。危険が予想されるところでは絶対に布設しないようにしてください。特に子供が遊んでいる場所では無線をしていると好奇心から近寄ってくることが多いので注意しましょう。
5.飛び具合について
HFなのでコンディションに左右されます。10Wでも全く呼ばれないときもありますので、運用バンドを変えることも結構あります。POTAでは短縮ホイップとかを使って公園やモービルから運用されている方も多いのですが、聴いている限りでは飛びはあまり変わらないような感じがします。また、ロッドの長さが短く内部のコイルで熱になっていますので受信より送信は悪い感じがします。
下図は、川沿いでUS方向にロケの良いところで18MHzで短時間運用したときのPSKRです。私は海外交信には興味はないのですが、サンスポットも高いようなのでハイバンドではコンディションがよければ海外からも呼ばれることもあります。
6.おわりに
昨年秋ごろにPOTAを始めて実験目的で半年で150か所の公園でACTしました。殆どがこのアンテナを使っており80か所は0.5WでACTできています。カーボン釣竿(+チューナー)もたまに使っていますがあまり変わらない感じがします。運用面ではこのサイズのアンテナでも公園から十分ACTできており、バンドQSY時の調整は、ラジアル長の変更と本体メーターを見ながら針が降れるようにVCを回すだけと簡単なのであまり不満はありません。
改善点としては、持ち運びが楽にできるようにスマホ用の軽量三脚(約380g)を使っているためトップヘビーとなり風が強いと倒れることがたまにあります。
簡単に自作もでき、GAWANTを持っている方はそのまま実験ができますので、試してみた結果など教えて頂ければ嬉しいです。
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