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<達成までに8年>アイコム、アマチュア無線機「IC-7300」の累計出荷台数 “10万台突破” を発表 (2024/5/1 12:25:03)
アイコム株式会社は2024年5月1日、HF/50MHz帯トランシーバー「IC-7300」の累計出荷台数が、今年1月時点で10万台(うち海外150か国で約8割、国内は約2割)を突破したことをプレスリリースで明らかにした。同機種は日本初のRFダイレクトサンプリング方式を採用したアマチュア無線機として2016年1月に発売を開始したもの。同社は「IC-7300は、発売から8年を迎える現在も出荷台数を伸ばしているロングセラー製品です。旺盛な需要に応えるべく、2024年も引き続き販売を続けてまいります」と述べている。
PR TIMESが配信したアイコムの5月1日付けプレスリリースから一部抜粋で紹介する。
日本初の「RFダイレクト・サンプリング方式」を採用したHF帯対応アマチュア無線機
IC-7300が累計出荷台数10万台を突破
アイコム株式会社は、日本で初めてRFダイレクト・サンプリング方式を採用したアマチュア無線用HFトランシーバー「IC-7300」の累計出荷台数が10万台を突破(2024.1時点)したことをお知らせします。販売国数は約150カ国まで広がるヒット製品に成長しています。
(一社)日本アマチュア無線連盟によると、全世界のハム(アマチュア無線)の開局数は300万(※出典:令和4年1月 ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線に係る免許・検査などの各制度の在り方について)とあり、10万台という数字は、ハム愛好家の約30人に1人が本製品を購入している計算になります。
「IC-7300」は、海外との交信ができる高周波のHF帯のトランシーバーです。HF帯の入門機でありながら、本格的にHF帯を楽しめる高性能を実現した製品として2016年1月に発売しました。これまで、アイコムは業界に先駆けてアマチュア無線のデジタル化を進める製品をリリースしてきましたが、この製品の開発によりさらに大幅にデジタル処理の領域を広げることに成功しました。
◆送受信の信号処理をデジタル化、回路構成を大幅に簡素化
本製品は、プログラミング可能な集積回路(FPGA)を使用した、「RFダイレクト・サンプリング方式」を日本のアマチュア無線機として初めて採用しています。従来は複雑な回路で送受信信号をアナログ的に処理していたのに対し、集積回路ひとつで信号をデジタル処理することで、回路構成を大幅に簡素化しています。回路構成がシンプルになったことで、小型化・高性能化に成功。さらに、構成部品が少なくなったことで、メンテナンス性の向上や経年劣化の減少、クリアな音声の送受信を実現しました。また、電波状況もデジタルで一括処理できるため、電波状況をディスプレイに表示する「リアルタイムスペクトラムスコープ」など、コスト面などで高級機にしか搭載できなかった機能も備えました。パソコンをはじめとする周辺機器との連携も、SDカードスロットを設けるなど強化し、より手軽にHF帯のアマチュア無線を運用できるようになりました。
また、海外と交信可能なHF帯を送受信できる無線機としては比較的安価(国内希望小売価格 税込153,780 円)な点や、高さ10cmを切り、天面がA4サイズに収まるコンパクトなサイズ(幅 240mm×高さ 94mm×奥行 238mm)も人気の理由です。IC-7300は、当社のロングセラー製品として、旺盛な需要に応えるべく今後も販売を続けてまいります。
◆出荷台数、国外が8割超 国内外のハム愛好家から支持
こうした特徴が国内外のハム愛好家から支持を集め、発売から8年を迎える現在も、出荷台数を伸ばしています。累計出荷台数の国内外の内訳は、海外(アメリカ、ヨーロッパ、イギリス、スペイン、アジアの約150カ国)が約8割、国内が約2割(2024.1時点)。海外需要が国内需要を大きく上回ります。
ヨーロッパでは、コロナ渦の2020年度、21年度、22年度の出荷台数は、いずれも2019年度の約2倍で推移しました。外出できない期間の趣味として本製品が需要を呼んだものと分析します。
◆IC-7300の10万台突破に寄せてのコメント ~「ゲームチェンジャー」とまで言われる大ヒットに~
「IC-7300」について、当社の海外営業部長と開発担当者は以下のように述べています。
北米・欧州・中東アフリカなど当社の全販売店で扱っており、世界150カ国以上で使用されている大ヒット製品です。多彩な機能を備えた高性能機でありながら、リーズナブルな価格という点が、ビギナーからベテランまで、幅広いユーザーに魅力を感じていただけていると思います。さらに、パソコンと連携して遠距離通信を楽しむFT8という通信方式を手軽に扱えることもあり、現在でも多くのユーザーから好評をいただいております。(海外営業部長 寺崎真也)
「RFダイレクト・サンプリング方式」は、社内でも当初は不安視されていた大きなチャレンジでした。しかし、設計・検証を重ねて実現したことで、高性能とコンパクトサイズが両立する、時代を画する製品になりました。シンプルな回路構成は、経年劣化の減少やメンテナンスのしやすさや、生産性の向上によるコスト低減も可能にしました。ユーザーの皆さまから「ゲームチェンジャー」と評価をいただくこともある機種で、多くのお客様に選んでいただけたことを誇りに思います。(開発担当 森下雄太)
IC-7300をはさんで(左)IC-7300の開発に携わった主任技師の森下雄太氏、(右)海外営業部長の寺崎真也氏
◆国内のアマチュア無線の動向~コロナ禍きっかけ、アマチュア無線の会員数27年ぶりに増加~
国内でも、電波を通じて国内外の人と交流できる手段として、かつてハムは「趣味の王様」と言われていました。
日本は、1970年代半ば、アマチュア無線の局数が30万局を超え、世界最大の“ハム王国”となります。映画「私をスキーに連れてって」(1987年公開)に、ファッショナブルな通信手段として登場すると、若者の心をつかみます。(一社)日本アマチュア無線連盟の会員数は1994年(1993年度)にピークを迎え、約19万4千人を記録。しかしその後は、インターネットや携帯電話の普及などで、2020年(2019年度)まで27年間、同会員数は減少を続けました。
そんなハムが、巣ごもり生活を余儀なくされたコロナ禍に、自宅で楽しめる趣味として選ばれ、2021年(2020年度)は574人、2022年(2021年度)は228人と、2年連続で会員数が増加。2023年はやや減りましたが、6万5918人とコロナ禍前より多い会員数を維持しています。
また、若手のハム愛好家を育成しようと、総務省が動き出しています。災害などで携帯電話の通信網がダウンした際、アマチュア無線は重要な通信手段として活躍するからです。同省は2023年3月に電波法に基づく制度を改正し、有資格者の立ち合いのもとで無資格でも交信を体験することが可能になる規制緩和を行いました。2020年4月に行われた規制緩和(立ち合いのもとであれば、資格者の子供や生徒に限定して体験可能)に続く取り組みです。現在は、小学校や区立の教育科学館に、体験局が開設されるなどしています。将来の通信技術を担う人材の育成という点でも期待されています。
プレスリリースの詳細は下記関連リンク参照。アイコムのホームページにも同件のニュースリリースが掲載されているが、その内容はかなり簡略化されているので、PR
TIMESが配信した全文を読むことをお勧めする。
なおアイコムのFacebookページによると、IC-7300の売上の半分以上は、主に北米市場をターゲットにしている米国仕様だと言う。今回アイコムの海外向けサイトには英文のニュースリリースが出たが、米国仕様のIC-7300と欧州仕様のIC-7300の比較表が出ているのが興味深い。
ちなみにアイコムのベストセラー機としては、ハンディ機の「IC-2N」(1980年発売)があまりにも有名だが、こちらの総生産台数は「同じ形の無線機(430MHz帯、業務用など)を含めて 最低で220万台以上 」にのぼり、同社関係者は過去の講演の中で「 おそらく世界で一番売れたハンディ機 」と述べている。
こちらの記事を参考に↓(2014年3月11日公開記事)
【動画】アイコム会長の特別講演「アイコムの50年<その8>」世界で一番売れたハンディ機、IC-2N編
●関連リンク:
・無線機大手アイコム、「ハム」の入門機が世界的ヒット 出荷台数10万台突破 世界の愛好家
約30人に1人が購入コア部分の信号処理をデジタル化した日本初の製品 小型化・高性能化に成功したロングセラー(PR
TIMES)
・日本初の「RFダイレクト・サンプリング方式」を採用したHF帯対応アマチュア無線機
IC-7300 が累計出荷台数10万台を突破(アイコム ニュースリリース)
・Icom’s IC-7300 HF Transceiver Hits 100,000 Unit Sales in the Global Market(Icom Global Site)
・IC-7300 製品情報(アイコム)
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