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<JARLや個人から提出された意見は9件>総務省、6.7MHz帯を用いた空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム導入に関する技術的条件(案)へのパブコメ結果公表 (2024/6/5 18:00:17)
総務省は、電気自動車のバッテリーを地面に設置した「送電パッド」の上に駐車して充電を完了させたり、家の床下に伝送コイルを引き詰めて、家全体の機器を充電するというアイデアまである「ワイヤレス電力伝送システム(WPTシステム)」の技術的条件を検討するため、情報通信審議会 情報通信技術分科会 電波利用環境委員会を立ち上げ、同委員会がまとめた「6.7MHz帯の周波数を用いた電界結合型ワイヤレス電力伝送システムに関する技術的条件(案)」に対して、令和6(2024)年4月12日から5月16日まで広く意見募集を行い、6月5日に募集結果を公表した。一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)や個人などから9件(法人・団体など2件、個人4件、匿名3件)の意見提出があり、提出された意見とそれに対する委員会の考え方を紹介。総務省は「意見募集の結果を踏まえ、令和6年6月6日(木)開催予定の情報通信審議会 情報通信技術分科会にて審議されます」としている。
空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムは、すでにスマートフォンなどをコイルを利用して充電する方法が実用化されているが、これは「近接結合型」と呼ばれるもので、送電部と受電部とを直接接触、または数cm離して電力を供給を行う。一方、今回の「空間伝送型」とは、10m以上離れて給電することを想定して実用化に係る制度整備が進んでいる。
以下、公表された意見とその意見に対する総務省の考え方(一部抜粋)。
●一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)から提出された意見
報告書案にも示されているとおり、今回新たに導入の検討が行われている6.7MHz帯の周波数を用いた電界結合型ワイヤレス電力伝送システムは、私どもアマチュア無線家が使用している7MHz帯の隣接した周波数を使用することになります。
報告書案の「3.1.5.2 基本周波数の帯域外での放射妨害波の測定例」に示されている「-20dBcで約30Hz程度に収まっている。基本波は無変調正弦波であることから、帯域外への放射は基本的にはかなり低いと考えられる。」は、アマチュア無線機で十分にノイズとして受信可能なレベルであり、通信を妨害するには十分なレベルであるものと考えられます。これらのデータをもとに、「同システムから発射される電波の不要放射による影響は少ないと考える」との結論になっていますが、影響がないと言い切ることはできません。
7MHz帯は私たちアマチュア無線家にとって、国内通信に限らず、外国のアマチュア無線家との交信に年間を通して安定して交信している周波数帯です。
同システムを導入するに当たっては、既存の無線システムへの影響のないように帯域外への放射等にも十分にご配慮いただきますようお願いいたします。
●提出された意見に対する考え方
本システムの基本周波数では通信を行わず電力伝送のみを目的としており、報告案P.18にあるとおり、無変調正弦波であることから、帯域外への放射は基本的にはかなり低いと考えられます。
もし障害が発生した場合には、設置者は障害を除去するために必要な措置を取ることが求められます。制度化後は、総務省において動向を注視し、適切な対応を取るべきものと考えます。
●匿名者から提出された意見
1.アマチュア局への配慮を含めた検討をいただいたものと理解しました。アマチュア局への影響は少ないと考えられるという結論ですが、P.16 図3.1-2を見る限り、実験では電波の質が良い送電装置(アマチュア無線機の改造品?)が使用されたと推測します。位相ノイズ等による近接の周波数帯域への影響が極力少ないよう、WPT機器の製造者には可能な限り高品位な設計を期待します。
2.実運用上でアマチュア局への混信等が発生した場合には、WPT装置の設置者が影響調査に協力をすることや、高周波利用設備の設置許可の取り消し等も考慮した運用がされることを期待します。
3. P.55 2.2.4.2および2.2.4.3項について、「その特性を記録するとともに、供試装置の測定データにこれを添付する」とありますが、具体的にどのようなデータを示す必要がございますか。具体例が示されていないため、試験報告書にこれらを含めることは難しいかと考えます。もしくは試験所が発行する試験報告書に含まれなくてもよいということでしょうか。
●提出された意見に対する考え方
1,につきまして、本システムの基本周波数では通信を行わず電力伝送のみを目的としており、報告案P.18にあるとおり、無変調正弦波であることから、帯域外への放射は基本的にはかなり低いと考えられます。
2.につきまして、本システムは許可が不要な高周波利用設備である型式指定の対象としての規律が想定されており、もし障害が発生した場合には、設置者は障害を除去するために必要な措置を取ることが求められます。制度化後は、総務省において動向を注視し、適切な対応を取るべきものと考えます。
3.につきまして、P.16にあるとおり、本システムは受電位置等により妨害波が変動するため、その特性を記録することを定めております。
●関連リンク:
・総務省
電波利用環境委員会報告書(案)に対する意見募集の結果―6.7MHz帯の周波数を用いた電界結合型ワイヤレス電力伝送システムに関する技術的条件―
・総務省
近接結合型ワイヤレス電力伝送システムの利用高度化に向けた検討について(PDF形式)
・非接触電力伝送(ウィキペディア)
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