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feed <この1年で会員は1,183名減少、QSLカード転送遅延はどうなった?>JARLの令和5年度末「年齢層別会員構成」「QSLカード転送処理枚数」などが判明 (2024/6/13 7:00:21)

一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)は今年4月、令和5年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の事業報告を作成し、理事や社員など同連盟の関係者に配布した。その中で公表された2024年3月7日現在のJARL会員数と年齢層別の構成、男女比、無線従事者資格別分布、QSLカード転送枚数などを紹介する。

 

 

 

 JARLが作成した資料「令和5年度事業報告」によると、2024年3月7日現在のJARL会員数は「正員」が50,948名(前年同期は53,089名)、「社団会員」が1,288名(同1,334名)、「家族会員」が1,018名(同1,098名)、「准員」が11,481名(同10,397名)の合計64,735名となっている。これは前年同期(2023年3月7日現在)の合計数(65,918名)と比較して1,183名減り、2年続けてJARL会員数は減少している。

 

 

◆年齢層別会員構成
 正員と家族会員の年齢層別会員構成は「5歳刻み」でグラフ化したものが掲載されている。

 

JARLの「令和5年度事業報告」に掲載されている2024年3月7日現在の正員と家族会員の年齢構成(※グラフを見やすくするため、画像加工などを施しています)

 

 最も多い正員は71~75歳の9,696名。それに続くのは66~70歳(9,665名)。さらに61~65歳(9,181名)、56~60歳(6,563名)と続く。下記グラフの通り、全体的に76歳以上では増加する一方、75歳以下は各年齢とも減少しており、特に56~60歳の減少が著しい。また40歳以下は合算してもわずか2.5%(1,302名)に過ぎず、前年同期より159名減少している。一方で71歳以上の会員は448名増加し18,649名と全体の36.6%となった。

 

2024年3月7日現在の正員年齢層別構成と、2023年3月7日現在のデータとの増減比較(hamlife.jp作成)

 

 

 下のグラフは今回発表された正員の年齢層別構成と、1年前(2023年3月7日現在)、2年前(2022年3月7日現在)、3年前(2021年3月7日現在)、4年前(2020年3月7日現在)、5年前(2019年3月7日現在)、6年前(2018年3月7日現在)、7年前(2017年3月7日現在)および8年前(2016年3月7日現在)のデータを比較してみたものだ。

 

 5歳刻みで発表されている影響も考えられるが、この8年間で76歳以上の会員数は増加する一方で71~75歳は減少に転じている。また70歳以下の全年代では減少傾向となり、特に46~50歳、51~55歳、56~60歳は大きく減っている状況が読み取れる。

 

 また「お試し入会キャンペーン」が実施されている25歳以下は、2021年以降で見てみると、2022年に15歳以下と21~25歳で若干の増加があったものの、それ以降は減少している。ただし同キャンペーン開始前の2016年3月7日時点と今回発表の2024年3月7日時点を比較してみると、16~20歳と21~25歳で増加し、さらに26~30歳の区分でも増加しているので、このキャンペーンは一定の効果があったと考えられる。

 

2024年3月7日現在の正員年齢層別構成と、1年前・2年前・3年前・4年前・5年前・6年前・7年前・8年前の同データを比較したグラフ。折れ線グラフは2023年3月7日現在のデータとの増減比較(hamlife.jp作成)

 

 

◆会員数増減グラフ
 平成24(2012)年3月から令和6(2024)年3月までの “ざっくりとした” 会員数増減グラフが掲載されているので紹介しよう。
 正員・社団会員・家族会員・准員の総計は、平成27(2015)年頃までは急激な右肩下がりが続いていたが、その後は減少に一定の歯止めがかかり、横ばいに近くなった。平成30(2018)年に入った付近から再び減少したものの、令和2(2020)年5月頃から増加に転じ、令和4(2022)年秋頃まで増加傾向が続いていたが、ここに来て再び大きく減少しているのがわかる。

 

 なお、平成25(2013)年と令和4(2022)年、令和6年(2023)に正員数が大きく減り、准員数が急増したのは、JARLが “会員台帳整備” を行ったことによるものだ。JARLは定款で正員要件を「電波法に規定するアマチュア局の免許を有する者」と定めており、総務省の「無線局等情報検索」サイトなどで会員のアマチュア無線局情報を確認、有効な局免許が確認できなかった会員にハガキを送り、返信がないなど免許の確認ができなかった場合は定款の規定(局免許を失った場合は準員にする)に基づいて准員に移行する措置を行っている。

 

JARLの「令和5年度事業報告」に掲載されている会員数増減グラフ

 

 

◆男女比、エリア別会員数
 正員、家族会員、准員を合算した「男女比」は、男子が61,459名で全体の96.9%。女子は1,988名で3.1%。今回は男女とも前年度よりも減少したが、男女の構成比率は前年度と変わらない。また前年度は女子の増減率がマイナス2.4%(50名減少)と大きかったが、今回はマイナス1.9%(38名減少)となっている。

 

JARLの「令和5年度事業報告」に掲載されている会員男女別構成

 

 エリア別会員数は下記の通り。前年度は関東、九州、信越の3地域で会員数が増加したが、今回は全エリアとも減少している。会員数に占める退会者数の割合が大きかった支部は北海道(3.1%)、東北(2.7%)、関西(2.2%)の順だった。

 

JARLの「令和5年度事業報告」に掲載されているエリア別会員数

 

 

◆無線従事者資格別分布
 正員と家族会員を「無線従事者資格別」で見てみると、昨年度までと同様、多い順に4アマ→3アマ→2アマ→1アマ→1・2総通→3総通→1・2陸技→航空通となる(不詳者を除く)。4アマの割合は年々減少し今回は27.7%(前年度は28.9%)に。一方で3アマの割合は26.8%(前年度は26.7%)に微増。2アマの割合は21.8%(前年度は21.3%)とこちらも増加している。増減率では4アマ(マイナス8%)、航空通(マイナス5.4%)、3アマ(マイナス3.7%)などの減少が大きく、その反対に1アマ、2アマ、1・2総通は増減率のマイナス幅が小さく “上級資格者ほどJARLを退会しない傾向” と言えそうだ。

 

JARLの「令和5年度事業報告」に掲載されている無線従事者資格別分布

 

 

◆QSL・SWLカード転送状況
 この1年間にJARL QSLビューローが取り扱った、QSL・SWLカードの転送状況を見てみよう。年間の処理枚数は975万9,387枚で、昨年度よりも1.1%(103,634枚)増加している。このうち国内転送枚数は838万2,228枚で、昨年度よりも5.3%増となった。
 外国転送枚数は68万9,868枚と昨年度よりも42万3,397枚(マイナス38.0%)の大幅減少となった。外国転送枚数の実績があるのは7月と3月のみで、その他の月は「0」となっている。これは国内向けの転送を優先し、外国局向けのQSL転送作業は年2回しか行っていないということだろうか?

 

JARLの「令和5年度事業報告」に掲載されているQSL・SWLカード転送状況

 

 なお、このデータは “ QSLビューローが当月転送作業を行った枚数 ” で、会員や海外局から ビューローへ到着したカードの枚数ではない 。2020年春のコロナ禍以降、アマチュア無線家の「おうちで無線」という風潮とFT8のブームにより、2020年夏にはRadio JARL.comで「わずか半月で50万枚もの転送用QSLカードがビューローに届いた」といった報告があったが、その後も月間100万~120万枚が届いたという。

 

 2024年のJARL発表によると、島根のQSLビューロには 約500万枚のカードが滞留 しているという。一方でQSLビューロー月間処理枚数の実績は70万枚程度だ。そのため、会員が国内局向けの転送QSLをビューローに送ると、相手の会員局のもとへ届くまでに10~12か月かかっている(2024年春現在)。こうしたことから、JARLでは2023年11月と2024年4月に「QSLカードの発行枚数見直し」を会員に呼び掛けており、2024年3月時点での月間到着枚数は55万枚程度になり、滞留は徐々に減っているという。

 

QSLビューローにおける、2023年と2024年の月間到着枚数の比較(hamlife.jp 2024年4月4日記事 より)。現在の滞留分が500万枚、月間の処理能力が70万枚とした場合、転送遅延解消には約3年かかる計算になる

 

 

◆JARL NEWS発送状況
 最後に機関誌「JARL NEWS」の発送状況を見てみよう。発行月平均で45,249部が各会員へ発送されていることがわかる。年度合計の前年比で947部の減少となった。
 なお3月31日現在で「コールサイン@jarl.com」のE-mail転送サービスの利用者は30,325名(前年比で242名の増加)、毎月5日と20日に送信される「JARLメールマガジン」の配信数は32,658件(前年比で284件の増加)であることが公表された。

 

 会員のほぼ半数が、E-mail転送やメールマガジンの購読などインターネットを日常的に利用していると推測できる一方、高齢の会員は現在も年4回郵送されてくるJARL NEWSを連盟情報を知る手段にしていると考えられる。

 

JARLの「令和5年度事業報告」に掲載されているJARL NEWSの発送状況とE-mail転送サービス、JARLメールマガジンの購読者数

 

 なお、ここで紹介したデータが掲載されているJARLの「令和5年度事業報告」は、現時点では一般会員向けには公開されていない。

 

 

こちらの記事も参考に↓(2024年4月4日掲載)
<「引き続き “発行枚数見直し” にご協力を」と呼び掛け>JARLが「QSLカード転送遅延が改善しつつある」と会員へ現状報告

 

 

 

●関連リンク:
・JARL Web
・局免許が確認できない会員の調査と准員移行措置について(JARL Web)
・転送作業の様子をリポート!QSLビューロー(島根県)訪問 PDF(JARL Web/JARL NEWS特集&企画ダイジェスト)

 

 

 

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