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<JARLなど124者(法人・団体等84者、個人40者)の意見が集まる>総務省、アマチュア無線バンドにも言及した「周波数再編アクションプラン(令和6年度版)結果」を公表 (2024/12/13 18:30:35)
総務省総合通信基盤局電波部電波政策課は、2024年10月1日(火)から10月30日(水)までの1か月間にわたり、「周波数再編アクションプラン(令和6年度版)(案)」についての意見募集( 2024年10月2日記事 )を行った結果を2024年12月13日(金)に公表した。周波数再編アクションプラン(案)には、アマチュアバンドに関する記述もあったことから、一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)をはじめ、アマチュア無線家からのものと思われる意見など124者(法人・団体等84者、個人40者)が集まり、これらの意見に対する総務省の考え方や周波数再編アクションプランの策定概要を明記している。今後、周波数再編アクションプラン(令和6年度版)に基づいて具体的な取り組みを確実に実行するとしている。
周波数再編アクションプラン(案)では、アマチュアバンドに関する記述に関して「アマチュア無線については、ピーク時の1/4に近い数字にまで利用者が減少している状況であり、電波監理審議会による電波の有効利用の程度の評価結果に基づき、ワイヤレス人材育成の裾野を広げるための取組を引き続き進めるとともに、国際的な電波の利用動向、他の新たな電波システムの需要やアマチュア無線の態様等を踏まえた、アマチュア無線全体の周波数割当ての見直しや更なる共用の推進等に向けた検討を行う」としていた。
今回の集まった意見を踏まえ、あらためて公表された「周波数再編アクションプラン(令和6年度版)」の中の「IX その他周波数の再編・電波の利用等に関する取組」の中で、「案」の記述と変更がなく、10MHz帯/1200MHz帯/2400MHz帯/5600MHz帯/10.1GHz帯/10.4GHz帯/24GHz帯/47GHz帯のアマチュアバンドに関して“当面の課題として検討する”としている。
(12)アマチュア無線周波数帯における周波数の割当てや共用等の検討
アマチュア無線については、ピーク時の1/4に近い数字にまで利用者が減少している状況であり、電波監理審議会による電波の有効利用の程度の評価結果に基づき、ワイヤレス人材育成の裾野を広げるための取組を引き続き進めるとともに、国際的な電波の利用動向、他の新たな電波システムの需要やアマチュア無線の態様等を踏まえた、アマチュア無線全体の周波数割当ての見直しや更なる共用の推進等に向けた検討を行う。
当面の課題として、以下に掲げるものについて検討等を行う。
・10.1~10.15MHz帯において、国際的な電波の新たな利用需要や国際分配等を踏まえ、固定業務との共用検討を行う。
・1260~1300MHz帯において、WRC-23の決議を踏まえ、アマチュア業務及びアマチュア衛星業務は、周波数を共用する無線航行衛星業務(宇宙から地球)の受信機に有害な混信を生じさせないことを条件とすることを周波数割当計画に反映する。
・2400~2450MHz帯、5650~5850MHz帯、10.0~10.25GHz帯の周波数帯において、いわゆるバンドプラン(運用規則告示)のアマチュア業務の中継用無線局の使用が低調又は使用されていない周波数の使用区別があることを踏まえ、検討を行う。また、国際的な電波の利用動向、他の新たな電波システムの需要やアマチュア無線の態様等を踏まえ、当該周波数帯も含めた、いわゆるバンドプラン(運用規則告示)全体の将来的な見直しや更なる共用の推進に向け、検討を進める。
・10.45~10.5GHz帯、24~24.05GHz帯、47~47.2GHz帯において、特定実験試験局の対象周波数とすることを検討する。
そのほか、集まった意見はアマチュア無線に関連するものだけでも多岐に渡るが、JARLからの意見と、それに対する総務省の考え方は以下のとおり。
(JARLの提出意見)
アマチュア無線については、ご指摘のとおり局数ベースではピーク時の1/4に近い数字まで減少したように見えますが、これは、1980年代からの個人的なコミュニケーション需要のバブル的増大によってアマチュア無線の利用が急増した時点との比較にすぎません。その後、個人的なコミュニケーション需要は、PHSと携帯電話に大多数の人が流れましたが、これら携帯電話などの使用は与えられたアプリの中の世界であり、自ら電波の技術的研究や実験ができる余地はほとんどありません。かつてのピーク時に真に無線通信と電波の技術的研究に楽しさを見出した沢山の人たちは、その後もアマチュア無線に留まって精力的に活動しています。諸外国と比較しても、日本のアマチュア局数は絶対数、人口比ともに多い方であり、その存在意義は決して減少していません。減少してもなお、他の種類の無線局と比較してダントツに多い局数であることも、言うまでもありません。
ワイヤレス人材育成、特に若年層の無線技術への関心を醸成する観点からも、当連盟を中心に、業界団体・無線機器メーカー、出版社等の協力でアマチュア無線振興の取り組みを行っているところです。今回、共用の検討が提案されている周波数帯についても、これまでメーカー製の無線機は2400MHz帯が上限であったところ、既に5.6GHz帯及び10GHz帯の電波も送受信可能な無線機が我が国のメーカーにより開発されて世界的に販売されており、2023年夏のアマチュア無線フェスティバルでは24GHz帯の電波も送受信可能な無線機の開発が表明されて、完成が待たれているところです。このように、免許を取得されたばかりの方でもマイクロ波帯に挑戦が可能となっていますので、ワイヤレス人材育成の観点からも、挑戦する機会を奪うことがないようにご考慮いただきますようお願いいたします。
なお、今回、共用の検討が提案されている各周波数についての当連盟の意見は、次のとおりです。
10MHz帯には、上級資格の者だけに運用が認められていることもあり、データベース上は他のバンドに比べ局数が少ないように見えるかもしれないが、実際には、国内通信・国際通信ともに、電信・データー通信が活発に行なわれており、実際の運用局数は決して減っていない。現在、国内分配ではアマチュア業務が一次のみであり、専用となっているため、固定業務との共用が行なわれれば、アマチュアにとって甚大な制約が加えられ、混乱を来しかねないことを十分考慮していただきたい。
1200MHz帯について、WRC-23で採 択されたITU-RのTable of AllocationsのFootnote 5.A91Bは、規制当局が、無線航行衛星業務に対する「アマチュア及びアマチュア衛星業務の局により引き起こされた有害な混信の報告を受け取ったとき」(upon receipt of a report of harmful interference caused by a station of the amateur or amateur-satellite services,)に、所定の措置を講ずるとするものである。しかし、我が国では、そもそも常置場所以外での運用は 1Wに制限されていることに加え、2017年3月以降、中継局(レピータ)の出力を1Wに低減するなど、すでに必要な措置を講じていたため、無線航行衛星業務に対する有害な混信の報告はなされていない。「みちびき」をはじめとする無線航行衛星業務の社会的な有用性は十分に認識しているが、上記に照らし、1200MHz帯については、さらなる措置は不要である。仮に、何らかの措置を検討するとしても、上記Footnoteが参照する「Recommendation ITU-R M.2164-0」は、アマチュア業務の割り当てが1240MHzまでと広い国を前提としており、1260MHzまでしか割り当てがなく、全国津々浦々に数百局設置されたレピータの運用が盛んな我が国の実情には適合しないので、修正が必要である。また、WRC-23の対応を検討されるのであれば、WRC-15でアマチュア業務に二次業務として割り当てられることとなった5MHz帯の早期開放をお願いしたい。
2400MHz帯について、アマチュア及びアマチュア無線業務による利用が少ないとのご指摘があるが、2000年代前半からWiFiやデーター伝送などによって運用困難なほどの混信が広がった周波数帯であり、レピータ局についてもこれらの状況から運用が困難となり、都市部ではこの周波数帯での運用がほとんどできない状態となってきた。最低部にあたる2400MHz付近のみ比較的影響が少ないことから、やむなく、この部分に月面反射通信の割り当てを移行したが、その他の部分については山岳移動の間などでないと交信が困難な状況であるためである。この周波数帯はマイクロ波の中では低いことから比較的扱いやすく、技術的研究や実験を行なうアマチュア及びアマチュア衛星業務にとっての重要性は決して失われていないことをご理解いただきたい。
5600MHz帯について、当然ながら、5850MHz付近のDSRC等は優先されるべきであるし、既に5725MHz付近まで無線LANなどが進出してきていることは憂慮しつつも、アマチュア界としては受け入れているところである。現状、5760MHz付近の音声や狭帯域のデジタルでの通信、5745MHz付近のTV等の通信が中心となっており、特に5760MHz付近は日本と外国で共通して割り当てされている貴重な周波数であり、EMEでは唯一、欧米とも実験可能な周波数となっていることから、何としてもアマチュア業務としての確保をお願いしたい。5GHz帯は日本の気象条件および社会的条件を考えると、遠距離での通信実験に最も適した周波数であり、SDRとシングルボードコンピューターを用いて安価な送受可能なシステムを自作・構築することも容易であることから、現状の運用局数を前提とすることは適当ではない。これからのワイヤレス人材育成を考えた時に、この周波数帯は、さらに活用と実験がアマチュアにおいても進められる社会的意義があるので、こうした事情を十分に考慮することが、ワイヤレス人材育成という観点でも重要であると考える。
10.1GHz帯について、10.240GHzに呼出周波数を設定したこともあり、この付近が中心の運用となっているが、10.225GHz付近などはテレビなどの通信に用いられている。レピータについては、70MHzシフトという設定に対応することの困難性などもあり、あまり活用されていないことは否定できない。欧米では、日本ではバンド割当外となる10.368GHz付近を中心とした運用が行われており、EMEなどでは10.45GHzとのスプリット運用や欧米局に特別な受信コンバーターを配布するなどして交信する等、特別な困難がある。こうした困難性に対応しつつ、アマチュアの通信が取り組まれてきたことをご考慮いただきたい。
10.45GHz~47GHz帯について、現状では他のバンドと比較して運用局数が少ないことは否定できない。しかし、10.45GHz帯の10.45GHz付近は欧米とのEMEなどで活用されている。また、24GHz・47GHzは、実験的な要素の強い周波数帯であり、ワイヤレス人材の育成を国として重視するのであれば、アマチュアが多様な実験を行う環境を確保することに意義があると考える。太陽光発電システム等による都市ノイズの悪化から、短波帯の運用に支障を来す例も頻発しており、アマチュア無線界でも、高い周波数への興味関心が高まっている。特に10GHz帯と24GHz帯はメーカー製の無線機も準備され、ビーコンの発射も整えられて、参入がしやすくなってきたため、ユーザーの増加が見込まれるところである。
プロの業務通信では、通信の確実性が求められることからこれらの周波数は近距離を中心としたものとして設計されるが、アマチュアの場合にはむしろ不確実性の中での可能性を探ることがこれらの周波数での運用の中心となっている。こうした事から、これらの周波数での通信実験を活性化する中で、これからのミリ波の活用が進む時代にふさわしいワイヤレス人材育成にアマチュア無線が寄与することが可能になると確信している。
ワイヤレス人材育成の推進によってアマチュア無線を始める人たちのためにも、実際に電波を送受信しながら不自由なく活動できる環境が必要である。すなわち、クリアな一定の周波数帯を将来に亘って確保することが不可欠である。
< 割当てられた周波数がノイズや混信あるいは運用制限のために満足に通信ができなければ、ワクワクしながら志して来た若い人たちも失望して去って行くことも考えられる。今後の施策を検討される際には、ぜひご配慮いただきたい。
(JARLの提出意見に対する、総務省の考え方)
今後の施策の検討の際に参考とさせていただきます。
「アマチュア無線周波数帯における周波数の割当てや共用等の検討」については、「令和5年度電波の利用状況調査(各種無線システム・714MHz超の周波数帯)に係る電波の有効利用の程度の評価結果」(令和6年7月31日電波監理審議会)において、「アマチュア無線については、ピーク時の1/4に近い数字にまで利用者が減少している状況にある。アマチュア無線は、我が国におけるワイヤレス人材育成の裾野を広げることに資するものであることから、引き続きその取組を進めるとともに、国際的な電波の利用動向、他の新たな電波システムの需要やアマチュア無線の態様等を踏まえ、将来的なアマチュア無線全体の周波数割当ての見直しや更なる共用の推進に向けた検討を進めていくこと。」との有効利用の程度の評価結果を踏まえて、ワイヤレス人材育成の裾野を広げるための取組を引き続き進めるとともに、アマチュア無線全体の周波数割当ての見直しや更なる共用の推進等に向けた検討を行うこととしたものです。
また、
・アマチュア無線局は、“他の種類の無線局と比較してダントツに多い局数”ではありません。
・1260~1300MHz帯については、WRC-23でRR第5.332A号(第5.A91B号)が規定されたことを受け、我が国においてもRRとの整合を図る必要があることから、周波数割当計画に規定するものです。RR第5.332A号は、1240MHz~1300MHz帯やその一部において、二次業務であるアマチュア業務及びアマチュア衛星業務の運用を認める全ての国に対して適用されるものであり、混信の報告を受けた主管庁は混信排除のために必要なあらゆる措置を執ることとされているため、我が国においても対応が求められるものであり、周波数割当計画等において適切に担保していく必要があると考えます。今後、当該周波数帯において、アマチュア業務及びアマチュア衛星業務が他業務と共存していくために必要な措置等については、無線航行衛星業務に対する有害な混信等の実態等も踏まえ、慎重かつ丁寧に検討いたします。
・5MHz帯の割当て(分配)については、既存無線システムの運用に配慮しつつ、かつ、アマチュア無線の利用動向等を踏まえて、慎重かつ丁寧に検討を進めてまいります。
そのほかの意見や総務省の考え方は記事下の「関連リンク」から確認してほしい。
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●関連リンク:
・総務省
周波数再編アクションプラン(令和6年度版)の公表
・周波数再編アクションプラン(令和6年度版)(PDF形式)
・周波数再編アクションプラン概要(令和6年度版)(PDF形式)
・周波数再編アクションプラン(令和6年度版)(案)に対する意見募集の結果及び意見に対する考え方(PDF形式)
・パブコメ募集:周波数再編アクションプラン(CIC:JJ1WTL
本林氏のブログ)
・アマチュア無線の周波数帯/アマチュアバンド(ウィキペディア)
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