無線ブログ集
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日本のアマチュア無線界を代表する3つの団体、JARL(一般社団法人 日本アマチュア無線連盟)、JAIA(日本アマチュア無線機器工業会)、JARD(一般財団法人 日本アマチュア無線振興協会)は、アマチュア無線の入門者に向けて、趣味の魅力や資格取得から開局までの方法を案内するコンテンツを公式サイトに掲載している。しかし、いずれも 掲載されている情報が古いままで、入門者を戸惑わせる内容が多数含まれていることがわかった。改善が必要な具体例をいくつか挙げていこう。
hamlife.jpでは、JARL、JAIA、JARDの公式サイトに掲載されている、次のコンテンツを2025年3月9日にチェックした。
●JARL「アマチュア無線の免許を取ろう!」コーナー
https://www.jarl.org/Japanese/6_Hajimeyo/6-1-8.htm
●JAIA「さあ免許を取ろう!」「免許を取ったら開局だ!」コーナー
https://www.jaia.or.jp/gbook/menkyo.html
https://www.jaia.or.jp/gbook/kaikyoku.html
●JARD アマチュア無線ガイドの「始めよう!」コーナー
https://www.jard.or.jp/guide/lets-begin-ham-radio.html
上記ページの中から古い情報で記載され、改善が必要な部分をいくつかピックアップしてみよう(画像内の赤枠はhamlife.jpで付加した)。
■古い情報① 無線従事者免許証を取得しないと運用できない
2020年および2023年の電波法令改正で、アマチュア無線技士の無線従事者資格を有しない、いわゆる「無資格者」でも、既存のアマチュア無線局の免許人の監督と責任の下で、その局の無線設備を使って「体験運用」ができるようになった。実際にアマチュア無線機を使って、一般のアマチュア無線局と交信できる制度は、初心者にこの趣味をPRし興味を持ってもらう機会として定着しつつある。
しかしJARLのコンテンツでは『アマチュア無線をはじめるには、「アマチュア無線技士の資格」を取得する必要があります。この資格を得るには、「国家試験を受験する方法」と「養成課程講習会を受講する方法」の2つがあります。このいずれかの方法で無線従事者の資格を得たあと、局の免許の申請(開局申請)をおこない、初めてアマチュア無線の運用(操作)ができます』と記載され、体験運用には触れていない(体験運用についてはJARLの他ページで、主に体験運用実施者に向けた説明が掲載されている)。

JARLのコンテンツより。このコーナーには体験運用に関する説明が一切記載されていないのは残念だ
またJAIAのコンテンツには体験運用に関する記載が一切ない。JARDのアマチュア無線ガイドコーナーは『アマチュア無線をはじめるには、まずアマチュア無線技士の国家資格を取得する必要があります』とし、体験運用の説明が記載されていない。
■古い情報② 国家試験の開催回数
公益財団法人
日本無線協会が主催する、第4級アマチュア無線技士(4アマ)と第3級アマチュア無線技士(3アマ)および一部の特殊無線技士の国家試験は、2022年度から「CBT方式」に移行し、全国300か所以上の会場(CBTテストセンター)で、受験者が希望する日時・会場を選び、ほぼ
“いつでも”
受験できるようになった。さらに試験の出題や解答は試験会場のコンピューター画面で行えるようになった。
また第2級アマチュア無線技士と第1級アマチュア無線技士の国家試験は2025年度から「5月期」と「11月期」の年2回開催に削減された。
しかしJARLのコンテンツでは『国家試験は公益財団法人 日本無線協会が実施しています。地域によって開催数はまちまちですが、第4級アマチュア無線技士の国家試験については、日曜日の開催も多く、とても受験しやすくなっています。また第1級・第2級アマチュア無線技士の国家試験についても、年に3回開催されていて上級資格へのステップアップへのチャンスもグン!と広がっています』と記載し、受験に関する情報がアップデートされていない。

JARLのコンテンツより。現在3・4アマの国家試験ははCBT方式に移行。受験者が希望する日時と会場(全国300か所以上)で受けられる。また1・2アマ国家試験は年2回に削減されている
JAIAのコンテンツでは『まず最初に、入門するための第4級アマチュア線技士の資格を取ろう。国家試験は、日本無線協会が東京のほか全国24都市で実施しています』と、これも古い情報のままになっている。
■古い情報③ 国家試験の申請方法、申請書、手数料
無線従事者国家試験の受験申請は、2022年から日本無線協会のサイトから行う「Web申請」のみになり、紙の受験申請書は使われていない(市販もされていない)。また現在の受験手数料は4アマが5,100円、3アマが5,400円、2アマが7,800円、1アマが9,600円だ(いずれも払込手数料を除く)。
しかしJAIAのコンテンツでは、4アマについて「試験手数料は5,013円(受験票の郵送料含む)」「試験申請書は、全国の日本無線協会の窓口、アマチュア無線機の販売店、またはJARL事業課で販売」と大きな誤りになっている。

JAIAのコンテンツより。国家試験の実施方法や試験手数料、試験申請書の入手方法など、古い情報のオンパレードだ
■古い情報④ 養成課程講習会の種類
アマチュア無線技士の養成課程講習会は、JARDが集合形式(教室形式)で「4アマ標準」と「3アマ短縮(4アマ対象)」、さらに不定期だが「2アマ短縮(3アマ対象)」の3コースがある。また自宅で受講できるeラーニング方式として、誰でも受講できる「3アマ標準」と3アマ対象の「2アマ短縮」の2コースを開催している。
さらに民間企業である株式会社キューシーキュー企画は集合形式(教室形式)で「4アマ標準」と「3アマ短縮(4アマ対象)」の2コース、eラーニング方式で「4アマ標準」と「3アマ短縮(4アマ対象)」の2コースをそれぞれ実施している。
しかしJARLのコンテンツでは『JARDが実施している「養成課程講習会」には次のコースがあります』として、集合形式の4アマ標準と3アマ短縮の2コースのみを紹介し、誰でも受講が可能なeラーニングの3アマ標準コースには触れていない。

JARLのコンテンツより。誰でも自宅で受講できる「3アマ標準コース」のeラーニング養成課程についての説明がない。ちなみにキューシーキュー企画は「4アマ標準コース」と「3アマ短縮コース」のeラーニングも開講している
JAIAのコンテンツでは『確実に免許を取得するなら、高い合格率を誇るJARD主催養成課程講習会を受講するのが近道です。養成課程講習会は入門者用に「第4級標準コース」が実施されています』と記載。こちらもeラーニングの3アマ標準コースには触れていない。
■古い情報⑤ 養成課程講習会の受講料
JARDの養成課程講習会は2024年7月から養成課程講習会(集合形式、eラーニング)の受講料を改定している(キューシーキュー企画は2019年、2020年、2024年の3回に分けて部分改定)。これによってJARDの4アマ標準コースは一般が25,950円、18歳以下が13,850円(無線従事者免許申請料を含む)になったのだが、JAIAのコンテンツでは『受講料23,150円(無線従事者免許の申請料を含む)』と旧料金のままの表記になっている。

JAIAのコンテンツより。4アマ標準コースの受講料を古い料金で案内している。また18歳以下の受講料金には言及していない
■古い情報⑥ 無線局開局申請書の入手方法
アマチュア無線局の開局に必要な「開局申請書」は現在、総務省のホームページからダウンロードする形式だ。または同省の電子申請サイト「電波利用・電子申請」を使って電子申請を行うことになる。
以前はJARLが「アマチュア局開局用紙」といった各種申請用の用紙をジャンル別(開局・変更・再免許申請)で市販し、無線ショップや書店で購入することができたのだが、2022年10月末をもって終了となっている。
しかしJARDのコンテンツでは『申請用紙は、総務省の各地域の総合通信局等からダウンロードで取得するか、近くのハムショップや通販などで購入することができます』という古い情報を掲載している。さらにJARLとJAIAのコンテンツでは「電子申請」が利用できることに言及していない。

比較的誤りの少ないJARDのコンテンツだが、無線局開局申請書の入手方法は古いままだ
■古い情報⑦ 無線局開局申請書の提出先
現在、アマチュア無線局の開局申請は、使用する無線機が2007年12月以降に作られ、技適(技術基準適合証明、工事設計認証)を受けた機種であれば、JARDの保証認定を通さず地方総合通信局へ直接申請ができる。
しかしJAIAのコンテンツでは『開局申請用紙に必要事項を記入して、JARD(空中線電力200W以下)をとおして、地方総合通信局(沖縄総合通信事務所を含む)へ開局するための免許の申請をします』という古い情報で案内されている。

JAIAのコンテンツより。開局申請ににJARDの保証認定が必須だった時代の説明がそのまま残っている
■古い情報⑧ 同時申請への言及がない
2023年の電波法令改正で、国家試験に合格した場合や養成課程講習会を修了した場合は、「無線従事者免許証の申請」と「アマチュア局の開局申請」が同時に行え、開局までに要する時間が短縮できるようになった。
ところがJARL、JAIA、JARDのコンテンツを見ても、同時申請に言及したものはない。JARLは「無線従事者の資格を得たあと、局の免許の申請(開局申請)をおこない、初めてアマチュア無線の運用(操作)ができます」と案内している。
■古い情報⑨ 電子申請サイトの名称
アマチュア局の開局・変更などに使用する総務省の電子申請サイト(電波利用 電子申請・届出システムLite)が2025年1月に統合・リニューアルし、新たに「電波利用・電子申請」という名称になった。
電子申請について唯一言及しているJARDのコンテンツも『申請方法は、総務省の電子申請Liteを利用するほか、書面を提出して開局申請を行う(書面申請)こともできます。電子申請は書面申請より申請手数料が安く設定されているので、ぜひ電子申請をご利用ください』と、電子申請サイトを旧名称のままで案内している。

JARDのコンテンツより。総務省の「電波利用 電子申請・届出システムLite」は2025年1月から「電波利用・電子申請」に名称が変わった
◆メーカーの「アマチュア無線入門」サイトにも古い情報が…
今回のチェックの対象外だが、無線機器メーカーの中にも「アマチュア無線入門」のコンテンツを掲載しているところがある。しかし内容がアップデートされておらず「JAIAの問い合わせ電話番号が誤っている(移転前の古い電話番号を記載。この番号に掛けてもJAIAにはつながらない)」「JARDの養成課程講習会の受講料金が旧料金のまま」といったものが見られた。
◇
アマチュア無線の世界への入門を考えている初心者を、古いままの入門ガイドで戸惑わせることは避けなくてはならない。
特に日本のアマチュア無線界を牽引している「SD会議」構成団体であるJARL、JAIA、JARDは、常にアップデートした最新情報を提供するよう心掛けていただきたい。もちろんhamlife.jpも協力を惜しまないつもりだ。
The post <JARL、JAIA、JARDの公式サイトをチェックしてみた>入門者を戸惑わせる「アマチュア無線の免許を取ろう」コーナーの古いままの情報 first appeared on hamlife.jp .