無線ブログ集
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無線局の「紙の免許状」を廃止し、これらの内容をインターネットで閲覧できる「完全デジタル化」が2025年10月1日(水)から施行される。それに先立ち、総務省は電波法および放送法の一部を改正する法律(令和7年法律第27号)に基づき、定めようとする「命令等及び根拠法令条項一覧」を公表して、一般から広く意見を募集を行った( 2025年5月30日記事 )。さる7月25日(金)に「電波法関係手数料令の一部を改正する政令案」について、集まった意見(法人・団体2者、個人3者)と、総務省の考え方が公表したが( 2025年7月25日記事 )、1か月後の8月25日(月)に「無線局の免許状等のデジタル化等に係る制度整備を行うため、電波法施行規則等の一部を改正する省令案等」について、集まった意見(法人・団体8者、個人31者)と、総務省の考え方が公表した。
今回の無線局免許状等のデジタル化のイメージ
総務省の公表内容は以下のとおり(一部抜粋)。
無線局の免許状等のデジタル化等に係る関係省令等の改正案に対する意見募集の結果
総務省は、無線局の免許状等のデジタル化等に係る制度整備を行うため、電波法施行規則等の一部を改正する省令案等について、令和7年5月31日(土)から同年6月30日(月)までの間、意見募集を行いました。この結果、39件の意見の提出がありましたので、提出された意見及びそれらに対する総務省の考え方を公表します。
1.背景及び概要
近年、政府全体として、個々の行政手続やこれに関する行政機関の事務が一貫してデジタルで完結する「デジタルファースト原則」を推進しています。電波法に基づく行政手続についても、免許人等及び行政機関の双方の業務の更なる迅速化や効率化、コスト削減に資するデジタル化を更に推し進める必要があります。
こうした背景の下、電波法及び放送法の一部を改正する法律(令和7年法律第27号)に基づき、無線局の「紙の免許状」等を廃止し、免許人等が免許等の内容をインターネットで閲覧できる仕組みを導入し、「完全デジタル化」により適した無線局の免許状等のデジタル化を実施することとしています。あわせて、電子処分通知等を可能とする予定としています。
今般、改正法の施行に伴い、無線局の免許状等のデジタル化等に係る制度整備を行うため、「電波法施行規則等の一部を改正する省令案」等を作成し、当該制度改正案に対して意見募集を行いました。
2.意見募集の結果
提出された意見及びそれらに対する総務省の考え方は、別添1PDFのとおりです。
3.今後の予定
本日、省令案等に基づき、電波法施行規則等の一部を改正する省令等を公布しました。これらは、令和7年10月1日(水)(一部除く)から施行されます。
提出された意見および総務省の考え方は以下のとおり(一部抜粋)。
●一般社団法人 日本アマチュア連盟(JARL)が提出した意見
この度の無線局の免許状等のデジタル化等に係る関係省令等の改正案について賛成の意見を申し上げます。
特にアマチュア局の免許記録の「備付け」の条件について、その表示についてカードサイズまで縮小表示を認めていただくことにご配慮いただきましたことをお礼申し上げます。
また、先般の意見募集において当連盟から提出いたしました意見をご理解いただき、移動するアマチュア局の免許記録等の備付場所等につきましても送信装置のある場所等に整理いただきましたことにつきましても併せてお礼申し上げます。
さらには、提出意見の趣旨等をふまえていただき、個人が開設する移動するアマチュア局については、免許人がスマートフォンを携帯していれば、常置場所や送信装置のある場所にスマートフォン等を備え付けるといった必要がないよう整理いただきましたことについてもご配意いただきありがとうございます。
無線局の免許状等のデジタル化について早期整備に期待いたします。
●それに対する総務省の考え方
賛成の御意見として承ります。
●個人Aが提出した意見
マイナンバーカードを活用し、無線局免許状・無線従事者免許証の紐付けを実施して欲しい。特にアマチュア局とデジタル簡易無線局については速やかなデータの紐付けを行って欲しい。
●それに対する総務省の考え方
マイナンバーカードの活用等についての御意見は、本意見募集の対象ではありませんが、今後の検討に当たっての参考とさせていただきます。
●個人Bが提出した意見
アマチュア局については、常時、運用中は無線従事者免許証と無線局免許状を携帯させるように法改正して欲しい。
●それに対する総務省の考え方
本意見募集の対象ではありませんが、無線従事者免許証は、従前より運用中の携帯を求めています(電波法施行規則第38条第11項)。免許記録(無線局の免許状)については、今後の検討に当たっての参考とさせていただきます。移動するアマチュア局については、従前より無線局の運用中の免許記録(無線局の免許状)の携帯は求めておらず、その態様等から、無線設備の常置場所や送信装置のある場所等に備え付けることができるものとしており、現時点で規制を強化する必要はないと考えます。
●個人Cが提出した意見
アマチュア局について、免許記録に記録する事項や無線局等情報検索で表示する周波数等について、周波数等の一括表示記号を用いず以前の個別の指定とすること、少なくとも国等による検査等を受けなければならない 200W以上は別の周波数等の一括表示記号とすることを希望する。
・無線局を開設する者同士、相互に許可された周波数帯および出力の確認ができないと、違法に無線局を開設している者に注意喚起や行政への通告等ができません。
・アマチュア無線の従事者免許を受けている者が、許可されていない周波数帯や出力で無線局を開設して摘発される例もあり、行政の摘発が無いと違法行為が相互監視できないのは問題です。
・実際に許可になっている周波数、空中線電力を確認することができないために、指定されている空中線電力を超過して運用するアマチュア局の温床になっています。
・昨今、第1級アマチュア無線技術取得者が、200Wを超える申請、落成検査をせず200W超過の局が多数見受けられます。
・免許された内容を逸脱した運用をしないような注意意識の高揚、不法運用についての関係各所への連絡や報告を容易にすることを可能とすることにより、電波法順守の意識も高まり、かつより上位資格取得や正規な免許制度に従った無線局の申請・運用を促すものと考える。
・本来の目的は各個人の資格が明確になることではなく、電波防護指針等によって許可された電波の型式、空中線電力を明示することではと思います。
●それに対する総務省の考え方
御意見については現行規定の内容等から変更等をするものではなく、本意見募集の対象ではありませんが、次のとおりですので御理解をお願いします。
無線局等情報検索については、情報通信行政の透明性の向上を図るとともに、電波利用の一層の推進を図るため、「無線局の免許記録に記録されている事項」を公表の対象(電波法第25条第1項)としているものであることから、周波数等の一括表示記号が公表の対象となります。
周波数等の一括表示記号については、一般社団法人日本アマチュア無線連盟のほかアマチュア無線関係者を含む有識者等を構成員とする「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」の提言書※(令和4年8月)等に基づき検討が行われ、導入されたものです。
※提言書「4.アマチュア無線局免許制度の簡素合理化」抜粋
アマチュア無線局に指定可能な電波の型式、周波数および空中線電力を記号により一括して指定すること(中略)は、より容易にアマチュア無線局の申請を行うことができることにつながり、アマチュア無線局を開設・運用する際の手続の簡素合理化につながる。これらは特に、青少年などの初心者やライトユーザーにとって、アマチュア無線を始めやすく・続けやすくなることにつながるものと考えられる。また、以下の「〔補足説明〕周波数等の一括表示記号について」のとおり、周波数等の一括表示記号の導入の趣旨等から、落成検査の要否などによる更なる区分をすることなどは、考えておりません。なお、引き続き、不法無線局、違反運用等の不正利用を防止し、電波の適正な利用環境を確保できるよう、取締り、周知等の取組を適切に実施してまいります。
〔補足説明〕周波数等の一括表示記号について
周波数等の一括表示記号は、アマチュア局が多数の免許人で周波数を共用してお互いに譲り合いながら電波を使用しており、かつ、一の規格であること等から、その態様等に鑑みて、いずれのアマチュア局であっても「周波数の割当て可能性」が同じとなることに着目して、アマチュア局として周波数の割当て(割当てに係る空中線電力を含む。)が可能な全範囲について、周波数等の一括表示記号を導入したものです。一方で、無線従事者資格等の区分に応じた周波数等の制限があることから、全てのアマチュア局に同一の周波
数等の一括表示記号による表示をすることは不合理であるため、結果として、これらの区分に応じた周波数等の一括表示記号を定めるものとしたものです(無線従事者資格に紐付いて周波数等の一括表示記号を定めたものではなく、結果として無線従事者資格等の区分に応じた周波数等の一括表示記号と見えることとなったものに過ぎません。)。
このため、①あくまでも免許記録等の記録上の簡素化等を行うためのものですので、実際には、工事設計書に記載した無線設備が発射可能な周波数等しか用いることはできません。また、②これまでどおり、工事設計書の記載などは必要となります。ただし、人工衛星等のアマチュア局については、国際調整等の結果を踏まえ、個別に周波数等を指定すること等から、周波数等の一括表示記号の対象外としております。
●個人Dが提出した意見
個人のアマチュア局では色々な備付けができるようですが、社団局についても広げてほしいです。
●それに対する総務省の考え方
今後の検討に当たっての参考とさせていただきます。個人が開設するアマチュア局は、免許人である無線従事者がただ一人であり、一方、社団局は複数の無線従事者が選任、複数の者が無線局を管理運用するものであることから、無線局の態様や無線局の適切な管理運用等の観点で個人が開設するアマチュア局と同様とすることについては、慎重な検討が必要と考えます。
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<期間は5月31日(土)から6月30日(月)まで>総務省、アマチュア局を含めた無線局免許状等のデジタル化制度整備に関する意見募集を改めて実施
<政令案に基づき2025年10月1日から施行へ>総務省、アマチュア局など無線局の「紙の免許状」を廃止してデジタル化するための意見募集結果と今後の予定を公表
●関連リンク:
・総務省
無線局の免許状等のデジタル化等に係る関係省令等の改正案に対する意見募集の結果
・総務省
「無線局の免許状等のデジタル化等に係る関係省令等の改正案に対する意見募集」意見募集結果提出された御意見及び総務省の考え方(PDF形式)
・シン・局免の電子化(時期・手数料確定)(CIC:JJ1WTL
本林氏のブログ)
・デジタル庁 デジタル社会の実現に向けた重点計画
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