ホーム >> 無線ブログ集 >> 【アルファードハイブリッド】くそ真面目に考えるボルテックスジェネレータ

無線ブログ集

  メイン  |  簡易ヘッドライン  

link JL7KHN/ミヤギKI529のブログ JL7KHN/ミヤギKI529のブログ (2025/10/21 6:05:29)

feed 【アルファードハイブリッド】くそ真面目に考えるボルテックスジェネレータ (2025/9/3 15:54:12)
■これって何だ?
街中で沢山走っているトヨタ車。その中でも見かけることが増えた「ボルテックスジェネレータ」付きの車。
そもそもボルテックスジェネレータ(以降VG)って何だ?となると思いますが、モノはこんな感じ。
ドアミラーやリアテールランプに付いている、この坐薬っぽい突起(笑)。
 
これはデザインミスでは無く、れっきとした空力性能パーツ。小さな三角形や翼状の突起で境界層に渦を与え、後流の剥離を抑える仕組みです。要は空気をちょっとかき混ぜて、しがみつかせる様な部品って感じです。
  
F1や航空機では昔から使われてきた技術ですが、流行りのミニバンでも燃費・直進安定性・静粛性の改善が狙えます。  

そんなオカルト感があるパーツなので、アフターパーツとしても容易かつ安価に入手出来ます。
ただ、アフターパーツあるあるでテキトーに付けても意味はなく、境界層の厚さを見極め、剥離が始まる直前に設置してやる必要があります。
  
今回は10系アルファードを題材に、見た目を重視しリアテールランプ付近(ルーフ後端から300mm以内)にVGを設置する設計をくそ真面目に設計してみました(割と本気)。


■ 設計の出発点
境界層は平板乱流近似で扱います。基本式は以下。
Re_x = (U_e * x) / ν
θ(x) ≈ 0.036 * x * Re_x^(-1/5)
δ(x) ≈ 0.37 * x * Re_x^(-1/5) # 99% 境界層厚さ
δ*(x) ≈ H * θ(x) # 排除厚さ(H ≈ 1.72)
C_f(x) ≈ 0.0592 * Re_x^(-1/5) # 摩擦係数
実車は逆圧力勾配 (APG) が強いので補正が必要です。
※Re_x(レイノルズ数)は流れの慣性力と粘性力の比で、流れの性質を示す指標です。

δ_APG(x) = APG * δ(x)  
δ*_APG(x) = APG * δ*(x)  

ここでは APG = 1.4 と仮定します。


■ 設置領域の条件設定
車体長(Aピラー基点からルーフ後端まで)をざっくり L ≈ 2.5 m とすると、  
VGの設置は「ルーフ後端から300 mm以内」、すなわち x = 2.20~2.50 m の範囲です。  

剥離予兆点を x* = 2.35 m と仮定し、境界層厚さ δ_APG(x*) を計算、その位置に渦が来るように上流側にコレを配置します。

渦の到達距離は L_up = λ * δ_APG(x*)、ここでは λ = 8。

設置位置:  x_VG = x* - L_up  

高さと寸法は境界層厚さ δ_APG(x_VG) に基づき、
h = 0.25 * δ_APG(x_VG)  
s = 6 * h  
ℓ = 3 * h  
α ≈ 15°

■ 計算例
この手のパーツは効果が出る速度が限定されてしまいます。
ウチのアルファードハイブリッドは高速走行が多いので、100km/hを前提にいくつか計算してみます。(U_e = 27.8 m/s = 100 km/h, ν=1.5e-5 m^2/s)

x* = 2.35 m  
Re_x = 4.35e6  
δ_APG(x*) ≈ 46 mm  
L_up = 368 mm → 設置は x_VG ≈ 1.98 m  
δ_APG(x_VG) ≈ 41 mm  
 → h ≈ 10.2 mm, s ≈ 61 mm, ℓ ≈ 31 mm

x* = 2.40 m  
 Re_x = 4.45e6  
 δ_APG(x*) ≈ 47 mm  
 L_up = 376 mm → x_VG ≈ 2.02 m  
 δ_APG(x_VG) ≈ 42 mm  
 → h ≈ 10.5 mm, s ≈ 63 mm, ℓ ≈ 32 mm

x* = 2.45 m  
 Re_x = 4.54e6  
 δ_APG(x*) ≈ 48 mm  
 L_up = 384 mm → x_VG ≈ 2.07 m  
 δ_APG(x_VG) ≈ 43 mm  
 → h ≈ 10.7 mm, s ≈ 64 mm, ℓ ≈ 32 mm


■ 結局の所…
・VGの設置位置は「ルーフ後端から約400~500 mm手前」が推奨箇所となります  
・ただ、見た目が悪過ぎるので、設置範囲を「後端から300 mm以内」と限定すると、実際にはやや前倒しで設置することになります。結局、  
・境界層厚さは 40 mm前後、VGの高さは 10 mm程度が適切。  
・その間隔は 60 mm前後。  

つまり「アルファードのリアルーフスポイラー手前 200~300 mmあたりに、高さ10 mmクラスのVGを等間隔に並べる」のが理論的な設計指針となります。


■ おまけ
・設置条件を後端から300 mm以内に制約すると、理論上の最適点より後ろ倒しになるものの、剥離抑制効果は十分に期待できると思います。  
・本来なら風洞実験で渦の届き方を観察し、間隔や角度を追い込むのが必須です。  
 →糸流し法や扇風機とドライアイスを使ったスモークテストなんかを試してみるのも面白いかも
・見た目や車検対応を考えると純正風の樹脂成形が無難、エーモンを始め、アリエクスプレスにも有りますので、それを使うのがベター。  

■ 結論
10系アルファードでリアテールランプ付近にVGを設置するなら、  
「ルーフ後端から200~300 mmの範囲、高さ約10 mm、ピッチ60 mm前後」。  
理論的には、ポケットの小銭で買える部品が境界層を整え、後流の剥離を抑えるベストな配置になる、と言う理屈です。信じるか?信じないか?はあなた次第(笑)。


ちなみに、VGの後付けは、我が家の車は4台でテスト中。効果は俄然車体が大きく、空力設計が古いアルファードハイブリッドが分かりやすく、直進安定性が良くなっており、高速走行でのレーンキープは楽になりました。
一方で、空力オバケが付いているBMW e46 330iは…分からん(汗)


execution time : 0.026 sec
サイト内検索

メインメニュー

ログイン
ユーザ名:

パスワード:



パスワード紛失


オンライン状況
58 人のユーザが現在オンラインです。 (40 人のユーザが 無線ブログ集 を参照しています。)

登録ユーザ: 0
ゲスト: 58

もっと...