無線ブログ集
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JR北海道(北海道旅客鉄道株式会社)は2025年9月10日、同社の列車防護無線機61台について、総務大臣から免許を受けずに車両に搭載していたことが判明したとして、北海道総合通信局および北海道運輸局に報告を行い、2025年9月6日までに免許交付を受けた無線機に交換したことをプレスリリースで発表した。これらの防護無線機の大半は、2020年ごろに車両に搭載したもので、原因は「免許申請を失念していたためです」「申請を失念した経緯等については現在調査中です」と説明している。報道によると北海道総合通信局は、JR北海道に対し今回の経緯を文書で報告するよう求め、報告を受けた上で電波法令に基づく処分を検討する方針という。

JR北海道の車両の運転席の例。国鉄時代の1980年から運行しているディーゼルカー(キハ40形)だが、上部に防護無線機を搭載している。(hamlife.jp 2017年撮影:この車両は2023年3月に廃車となった)
列車防護無線は、列車の脱線や人身事故などの緊急時に操作することで電波を発射し、周囲を走行する列車(電波の到達範囲にいる列車)に緊急停止を促し、二次事故を防止する役目を果たす装置だ。
この電波を受信した列車の防護無線機からは「ピピピピ…」という警報音が鳴り響く。列車に乗っているときに突然急停車し、車掌からの「ただいま危険を知らせる無線を受信したため停止しました」というアナウンスと、その背後で鳴る警報音を聞いたことがある人もいるだろう。防護無線は300MHz帯の専用波を使用し出力は1W、発射源から半径約1~2kmに電波が届くとされているが、見晴らしの良い高架線上などを走行中に、遠方の防護無線をキャッチして停止するケースもある。

運転席に「タテ位置」で設置されたJR東日本の防護無線機の例。写真左は通常の状態。 写真右は防護無線を発報中の状態 。発報するためにボタンの保護カバーが割られ、中央のボタンが点灯していることがわかる貴重な写真だ(画像提供:おだQ指令)
JR北海道の発表内容は以下のとおり。
総務大臣の免許を受けていない防護無線機を車両に搭載していた事象について
1.概要
車両に搭載している「防護無線機」(※)について、本来総務大臣の免許を受けなければいけないところ、免許を受けずに車両に搭載しているものが61台あることが判明しました。
当該の防護無線機については直ちに免許状交付済みの防護無線機に取り換えを実施済みです。
※防護無線機とは
列車乗務員が異常を知得した際に、防護無線機のスイッチを扱うことで無線信号を発信し、付近の他の列車に緊急停止を促し、後続列車同士の衝突などの二次災害を防ぐための装置
2.原因
免許申請を失念したためです。
申請を失念した経緯等については現在調査中です。
3.判明した経緯と対応
(1)無線機台帳を精査していた(※)際に、当該防護無線機61台に免許状が交付されていないことが9月2日に判明しました。
※無線局免許の一元管理と電子申請に対応するための「無線局管理システム」を2026
年度から稼働させるため既存の無線機台帳を精査していました。
(2)免許を受けていない防護無線機については、速やかに北海道総合通信局ならびに北海道運輸局に報告するとともに、9月6日までに免許状交付済みの防護無線機への取替えを実施しました。
(3)免許状を受けていなかった防護無線機は免許申請に向けて手続きを開始しています。
4.関連情報
(1)免許を受けずに車両に搭載していた防護無線機について、詳細は調査中ですが大半のものが2020年頃に車両に搭載したものです。
(2)他の無線機についても免許申請を失念したものがないか確認中です。
5.その他
当該の防護無線機は設置時及び定期検査時において正常に機能することを確認していました。
●関連リンク:
・総務大臣の免許を受けていない防護無線機を車両に搭載していた事象について(JR北海道ニュースリリース)
・JR北海道
“防護無線”61台を免許受けずに列車に搭載、申請を失念(HTB北海道ニュース)
・【また不祥事】今度は”無免許”の防護無線機を5年間列車に搭載_その数61台…うち1台は2011年に免許失効→取り外すも2023年に再び搭載「申請を失念」と説明し経緯調査中<JR北海道>(北海道ニュースUHB)
・防護無線61台無免許 JR北海道、電波法違反か
担当者が手続き失念(北海道新聞デジタル)
・列車防護無線装置(ウイキペディア)
The post <「免許申請を失念したため」と説明、北海道総合通信局は電波法違反で処分を検討>JR北海道、免許を受けていない列車防護無線機61台を2020年ごろから車両に搭載 first appeared on hamlife.jp .