無線ブログ集
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未だにちょいちょいお話頂く受信用外部スピーカーの相談。
01なんかもそうですが、意外と聴きにくいと言うのが多いです。
無論、受信音は好みが強いので一概に言えないのが大変難しい所ではありますが、今回は、無線受信時の「音のヌケ」と「ノイズ除去」を両立するための、アナログ・オーディオフィルタを設計しましたので、ブログに残しておきます。
最近のDSP内蔵機器は確かに便利ですが、今回はCBらしくアナログ。
アナログ回路で音を整えるのもまた一興。
■目的と背景
無線交信では、300Hz~3.4kHzの帯域が「通話音声帯域」としてITU-T G.712で定義されています。
この帯域を中心にフィルタリングすることで、以下のメリットがあります:
・下限300Hzは低域の雑音(ハム音や風切り音)をカットし、明瞭度を確保
・上限3.4kHzは音声の子音を残しつつ、不要な高域ノイズをカット
コレにより
-
音声の明瞭度向上
- S/N比の改善
- 帯域効率の向上(特に混信時)
が期待出来ると言うものです。
■回路構成(RCフィルタ3段)
今回は、シンプルなRCフィルタを3段構成で組みました。DSPやオペアンプは使わず、完全パッシブ構成です。
無論、オペアンプを使う方がガッツリ特性が出ますが、回り込みの対策も面倒なので(汗)
・HPF | C1 = 0.047µF | R1 = 10kΩ | fc ≒ 300Hz |
・LPF1 | C2 = 47nF | R2 = 2kΩ | fc ≒ 3.4kHz |
・LPF2 |
C3 = 10nF | R3 = 4.7kΩ| fc ≒ 3.4kHz |
※C1~C3はフィルムコン推奨。電解コンデンサは避けた方が良いです。
■オマケのシミュレーション結果(LTspice)
LTspiceでAC解析を実施。
.ac oct 10 1 100k の条件で周波数特性を確認。
- 通過帯域:300Hz~3.4kHzでほぼフラット
- それ以下・以上の帯域はしっかり減衰
- 音声帯域の明瞭度が向上し、ノイズが減った印象
実際の交信録音をフィルタ通したら、「ザラつき」が減って、声が前に出る感じです。
■まとめ
今回のフィルタは、特にアナログ受信機や自作トランシーバーとの相性が良く、
「音が聴きやすくなる」だけでなく、「耳が疲れにくくなる」効果もありました。
DSP全盛の時代ですが、アナログの味わいと制御性はやはり魅力的。
もし同じような悩みを持っている方がいたら、ぜひ試してみてください。
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