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(2025/12/1 20:05:55)
<JARLや無線家…131者(法人・団体等74者、個人57者)が意見提出>総務省、集まった意見と考え方を踏まえて「周波数再編アクションプラン(令和7年度版)」を公表
(2025/12/1 12:05:22)
総合通信基盤局電波部電波政策課は、「周波数再編アクションプラン(令和7年度版)(案)」を作成して、9月12日(金)から約1か月間にわたり、内容について一般から意見募集を行ったが( 2025年9月12日記事 )、このほど集まった131者(法人・団体等74者、個人57者)からの意見とともに総務省の考え方を公表。その結果を踏まえて「周波数再編アクションプラン(令和7年度版)」をあわせて公表した。集まった意見の中には、一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)や無線家からと思われるものもあり、「アマチュア無線に関するご意見」いう項目を設けて寄せられた意見に対し、総務省の考え方として回答している。なお、個人からの意見の大多数はアマチュア無線に関するものだった。
総務省では、毎年度この時期に「周波数再編アクションプラン」を改定・公表しているが、事前に「令和7年度版の案」として作成され公表されたプランには、「アマチュア無線については、ピーク時の1/4程度にまで利用者が減少している状況であり…(中略)…国際的な電波の利用動向、他の新たな電波システムの需要やアマチュア無線の態様等を踏まえた、アマチュア無線全体の周波数割当ての見直しや更なる共用の推進等に向けた検討を行う」として、「(13)アマチュア無線周波数帯における周波数の割当てや共用等の検討」を表記。「430~440MHz帯等において、第4章II4(2)①自営系無線システムに併せた検討を進める」などの記述があったため、アマチュア無線家を中心に関心を集めていた。
さらに「10.1~10.15MHz帯において、国際的な電波の新たな利用需要や国際分配等を踏まえ、固定業務との共用検討を行う」「10.45~10.5GHz帯、24~24.05GHz帯、47~47.2GHz帯において、特定実験試験局の対象周波数とすることを検討する」「国際的な電波の利用動向、他の新たな電波システムの需要やアマチュア無線の態様等を踏まえ、いわゆるバンドプラン(運用規則告示)全体の将来的な見直しや更なる共用の推進に向けた検討を進める」など、当面の課題をあげていた。
集まった意見と、総務省の考え方を一部抜粋して紹介しよう。
●一般社団法人 日本アマチュア無線連盟が提出した意見>第4章Ⅸ(8)
5.7GHzの空間伝送型ワイヤレス電力伝送(WPT)は極めて高出力であるが、5.7GHzのアマチュア無線の呼出周波数や月面反射通信など、重要な周波数に隣接していることから実際の運用においてアマチュア無線がWPT の近傍の雑音やスプリアスを受けるおそれがあると考えられるため干渉の抑制技術を駆使し、アマチュア無線の運用に影響のないようご配慮をお願いいたします。
●それに対する総務省の考え方
頂いたご意見を踏まえ、既存無線システムの運用に配慮しつつ、慎重かつ丁寧に検討を進めてまいります。
●一般社団法人 日本アマチュア無線連盟が提出した意見>第4章Ⅸ(10)
太陽光発電システムを原因とする無線通信妨害が全国で多発しており、アマチュア無線にも通信妨害が発生しております。もし、無線局への通信妨害が発生した場合には、施工業者等が障害対策の実施を義務とする制度作りが必要と考えますので、早急な制度化の検討をお願いいたします。
●それに対する総務省の考え方
頂いたご意見を踏まえつつ慎重に検討を進めてまいります。
●一般社団法人 日本アマチュア無線連盟が提出した意見>第4章Ⅸ(13)
アマチュア無線の局数については、ピーク時に比べ、趣味の多様化もあり減少しているように見えますが、これは、1980
年代からの個人的なコミュニケーション需要のバブル的増大によってアマチュア無線の利用が急増した時点との比較にすぎません。その後、個人的なコミュニケーション需要は携帯電話に流れましたが、これら携帯電話などの使用は与えられたアプリの中の世界であり、電波の技術的研究や実験ができる余地はほとんどありません。かつてのピーク時に真に無線通信と電波の技術的研究に楽しさを見出した沢山の人たちは、その後もアマチュア無線に留まって精力的に活動しています。諸外国と比較しても、日本のアマチュア局数は絶対数、人口比ともに多い方であり、その存在意義は決して減少していません。昨今のワイヤレス人材育成の観点からもアマチュア無線は技術者の登竜門としての活路があるものと考えております。
また、南海トラフのような非常災害時において自助共助の観点からも地元に根付いたコミュニケーションツールとしての一助になるものとも考えます。
各項目における意見は次のとおりですが、新たな電波システムの需要等には理解するものの、ワイヤレス人材育成の裾野を広げるための取組ができる混信等のない環境の維持にご配慮いただき慎重なご検討をお願いいたします。
・10.1~10.15MHz帯は、国際的にもアマチュア無線に割り当ての行われている周波数であり、国内の遠距離通信はもとより、海外との通信にも適しているため多くのアマチュア局が運用していますが、帯域
50kHzと狭い周波数帯であるため、固定業務との共用検討を行うにあたり、同周波数帯での交信が混信等を原因に交信ができなくなることのないように十分な検討が必要になるものと考えます。
・430~440MHz
帯においては、アマチュア無線をはじめたばかりの人たちの多くが使用する入門バンドとなっている一方、ベテランのアマチュア無線家の方が技術的な実験研究の行いやすい周波数帯ともなっており、さらに月面反射通信や人工衛星を用いた微弱な電波を利用した通信など世界的にも同一の周波数を使用した交信が行われています。アマチ
ュア無線 100
周年を前に、当連盟も体験運用等を通じた普及活動にとり極めて有用な周波数帯です。よって、アマチュア業務が一次業務であり、430MHz帯を利用するアマチュア局の数は多いことからも他の業務との共用は非現実的であると考えます。
・10.45~10.5GHz帯、24~24.05GHz帯、47~47.2GHz帯など、近年マイクロ波とミリ波は、公共通信において重要な位置づけとなっているが、アマチュア無線においても対応した無線機器が市販され、無線技術の研究開発に適した周波数帯であり、これらは科学技術の体験的な理解とワイヤレス人材育成推進にも極めて重要であるものと考えます。特定実験試験局の周波数共用の検討を行う場合には、交信実験等に混信等を与えることのないように十分ご配慮いただきますようお願いいたします。
・いわゆるバンドプラン(運用規則告示)については、令和5年9月にも大幅な見直しが行われています。現在、大きなトラブルは確認していません。バンドプランの簡素化が進むことにより他の諸外国で運用しているアマチュア無線家に混信等の妨害も与えているケースも報告されています。また、144MHz帯や
430MHz帯を中心にアマチュア業務でない通信をしている局への周知が十分ではない状況です。JARL
として国内向けのガイドを作成し、混乱の減少に務めていきますが、さらなる検討が必要になるものと考えます。
●それに対する総務省の考え方
頂いたご意見を踏まえつつ、慎重に検討を進めてまいります。
「アマチュア無線周波数帯における周波数の割当てや共用等の検討」については、電波監理審議会による「電波の利用状況調査に係る電波の有効利用の程度の評価結果」(令和5年度及び令和6年度)を踏まえて、ワイヤレス人材育成の裾野を広げるための取組を引き続き進めるとともに、アマチュア無線全体の周波数割当ての見直しや更なる共用の推進等に向けた検討を行うこととしたものです
●株式会社西日本電子が提出した意見>第4章Ⅸ(13)
A・10.1-10.15MHz
帯には御省、アマチュア無線連盟の努力でアマチュア無線に割り当てられた周波数ですので現状の通りアマチュア無線局に割り当てられることを希望します。
理由:世界的な情勢を鑑みても我が国の平均的技術水準はあまり進歩していません。特殊な分野での我が国の技術は世界に目を見張るものが有るのは承知していますが、平均的な若者たちの技術レベルはそんなに高くはありません。このような状態を鑑み次世代に期待をする(講習会、体験会)にあたり少しでも多くのチャンスや周波数帯域を確保するのが必要と思われます。
B・430-440MHz 帯等において、第4章 24(2)1 自営系無線システムに併せた検討を進めるにつきまして
上記同様に現状通りの周波数帯域を割り当てられる事を希望します。
理由:1.
430-440MHz帯等においてアマチュア無線連盟の電波形式による割り当てが今後デジタル化を鑑みるにあたり適切ではないと感じています。これから今までの
D-STARやC4FMだけの電波形式ではなくDMRやP25などの海外では主流になっている電波形式、またパイスターのような小規模のリンクシステムなど将来の底辺的技術の礎になる実験通信が今後ますます増えてくる可能性を秘めています。50年前の入門バンドは7MHz帯や50MHz帯で30年前には144MHz帯がアマチュア無線の入門バンドでした。しかしこの周波数帯はわが国では2MHzの幅しか割り当てられて無く
その後現行の430MHz帯が入門バンドとなっています。ここにはバンド幅も広く入門に適した通信方式が沢山あり入門者にとって非常に魅力的な周波数となっています。小遣いの少ない少年達はハンディタイプでレピーターを用いて遠距離の通信も可能で
またDMRなどデジタル通信の実験も可能です。以前の様にアナログのレピーターも増やせれば災害時の運用も可能で社会に貢献できると思います。現状アマチュア無線連盟の指導により新設レピーターはD-STARを進められますが
アマチュア無線家達は次世代のデジタル通信に妙味を強く持っていてD-STARへの興味は希薄です。これから発展する可能性の有る周波数帯なので現状の維持を希望します。
●それに対する総務省の考え方
頂いたご意見を踏まえつつ、慎重に検討を進めてまいります。
「アマチュア無線周波数帯における周波数の割当てや共用等の検討」については、電波監理審議会による「電波の利用状況調査に係る電波の有効利用の程度の評価結果」(令和5度及び令和6年度)を踏まえて、ワイヤレス人材育成の裾野を広げるための取組を引き続き進めるとともに、アマチュア無線全体の周波数割当ての見直しや更なる共用の推進等に向けた検討を行うこととしたものです。
日本におけるコールサイン研究の第一人者、JJ1WTL・本林良太氏のブログでは、公表された「周波数再編アクションプラン(令和7年度版)」を丁寧に分析。「第4章 各周波数区分の再編方針 Ⅱ 222~714MHz 帯に関するご意見」についてと題して、No.143さん(個人)からの意見を踏まえて、総務省の考え方で“案の変更を勝ち取った例”などを紹介しているので参考にするといいだろう。
さらに、本林氏はパブリックコメントで集まったアマチュア無線に関する意見を抽出して整理し類型化して、意見を項目ごとに整理した。以下がその目次である。記事下の「関連リンク」から確認できる。
【アマチュア無線に関するご意見】
局数減
・ピークは一時的な流行~それを基準にするな
・実トラフィックは減っていない
・無線機の需要減には直結しない (経済的貢献?)
・若年層の減が主要因
侵食全般
・アマチュアバンドは“公園”
・アマチュアバンドは国際分配
・アマチュアバンドは“テストコース”
・アマチュアバンドは無線技術の発展に不可欠
・アマチュアバンドはそもそも広くない
侵食やむなし~むしろダントラの封じ込めになるかも
・再分配は当然
・ダントラに割譲~アマチュア側は健全化
二次業務としてアマチュアのバンド拡大を
・討って出よう
取り締まりの強化を
・ダントラ
・デジ簡の危機
・日本版GMRSの提案
JARL…尊重・指導
・ポジティブ
・ネガティブ
運用
・「二次業務局 vs 他局」の法令解釈
・体験者の制限緩和(CWの許容など)
バンドプラン
・総論(要 さらなる検討)
・ドローン(周波数帯・ビーコンの扱い)
・占有周波数帯幅の法令解釈(運用規則 vs 設備規則)
免許
・さらなる簡素化を
・ドローンはアマチュアとは別制度に
475kHz帯
・中波放送の縮小にあわせ,制限の緩和を
1.8MHz帯
・拡大を
3.5~3.8MHz帯
・拡大を
4630kHz
・CW以外も
5MHz帯
・日本でも分配を
7MHz帯
・拡大を
10MHz帯 ≒ 短波帯デジタル固定局
144MHz帯
・コールチャンネルのモードの拡大を
・広帯域サブバンド内での,狭帯域モードの許容を
220MHz帯
・分配を
430MHz帯
1200MHz帯
・共用反対・削減反対
2400MHz帯
・拡大を
5.6GHz帯
・拡大を
10GHz帯
・共用するにしても干渉の抑制を
24GHz帯
・拡大を
77GHz帯
・拡大を
↓この記事もチェック!
<アマチュア無線はピーク時の1/4程度にまで利用者が減少している状況であり…>総務省、「周波数再編アクションプラン(令和7年度版)(案)」を公表して10月14日まで意見募集
●関連リンク:
・総務省
周波数再編アクションプラン(令和7年度版)の公表
・総務省
周波数再編アクションプラン(令和7年度版)(案)に対する意見募集の結果及び意見に対する考え方(PDF形式)
・周波数再編アクションプラン(令和7年度版)(PDF形式)
・周波数再編アクションプラン概要(令和7年度版)(PDF形式)
・周波数再編アクションプラン(CIC:JJ1WTL 本林氏のブログ)
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