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feed 【考察】荒幡山岳会パトロールに八丈島から応答!21時のラジオダクトを科学する (2026/10/26 18:06:57)

荒幡山岳会UHF電波と地球の奇跡の交信メカニズム

 

 いつも荒幡山岳会パトロールへのご参加ありがとうございます。

 ここ2回(2026年8月20日と10月20日)のパトロールでは、なんと 約300km離れた八丈島の鉢巻道路 から、DCR(デジタル簡易無線)および430MHz(FM)で相次いでパトロール報告をいただきました。

 「見通し外でUHF帯の電波は届かないはずなのに、なぜ飛んできたのか?」 今回はその謎について、地形データや大気伝搬の観点からAIを使って考察してみました。

1. 地球の丸さを超える「海の抜け道」と「上空ダクト」

 荒幡富士から八丈島の鉢巻道路までの直線距離は 295km 。 所沢から南へ発射された電波は、多摩丘陵の山なみをすり抜けて鎌倉あたりから相模湾へ抜け、その後は太平洋の海上を進みます。

 しかし、ここで立ちはだかるのが「地球の丸さ」 です。 地球が丸いため、直線で結ぶと中間付近の海面が 標高約950mの山のように盛り上がって立ちはだかります。直進するUHF帯の電波なら、完全に海に沈んで届かない計算です。

 そこで登場するのが「ラジオダクト(大気逆転層)」です。 海上の大気中に「気温が高く湿度が低い層」ができると、電波が下向きにクイッと曲げられ、まるで空中の管(ダクト)の中を通るように海面に沿って進んでくれます。

  • ダクトの厚さと周波数 :430MHzなら厚さ60〜70mの中規模ダクトでも通りますが、波長が少し長いDCR(351MHz)を通すには 厚さ70〜90m以上のしっかりしたダクト が必要です。今回はDCRでも交信できたため、かなり立派なダクトが形成されていたと考えられます。

  • なぜ21時だったのか :日没から2〜3時間後の「21時」は、海風から陸風へと風が入れ替わり、上空の逆転層がもっとも安定するゴールデンタイム。定例パトロールの時間帯が見事にかみ合いました。

 さらに八丈島側が海岸線ではなく、中腹の「鉢巻道路(標高約535m)」だったことも幸いし、上空にできたダクトの出口にアンテナがドンピシャで入っていたようです。

 

2. もうひとつの事件:菜の花台からは「市民無線」だけが届いた?

 「これで謎は解けた!」とスッキリ終わるはずだったのですが、無線仲間から興味深い報告が入りました。

 10月25日、丹沢・ヤビツ峠下の「菜の花台展望台(秦野市)」に移動したトシマYY5局が、同じ八丈島・鉢巻道路の とうきょうCT73局と 市民無線(27MHz)で交信成功 。しかし、 DCRでは繋がらなかった とのこと。 (そういえば昔、私が関八州見晴台から八丈島の とうきょうCT73局へ1-wayで飛んだ時も市民無線でした……)

 「もしダクトが出ているなら、DCRも飛んでいいはずでは?」と思いますよね。 実はこれ、地図上で直線を引いてみると理由がはっきり分かります。

  • 荒幡富士からのパス :伊豆大島や三宅島を東側の海へ綺麗にかわす「完全海上パス」(だからダクトが八丈島まで直通した)

  • 菜の花台からのパス :直線上に 大島・三原山(758m)、三宅島・雄山(775m)、御蔵島・御山(851m)が一直線に立ちはだかる「島の山ブロックコース」

 菜の花台からのパスは、海上にダクトがあっても途中の三原山に正面衝突して壊されてしまいます。直進性の強いDCRが遮断されたのはこれが原因と考えられます。

3. なぜ27MHz(0.5W)だけが3つの島を越えたのか?

 では、なぜダクトにも乗らない市民無線(27MHz・わずか0.5W)だけが届いたのか。ポイントは2つあります。

  1. 波長11mの「山岳回折」 電波は波長が長いほど、山の裏側に回り込む「回折」が強く働きます。UHF帯にとっては分厚い壁となる三原山などの島々も、波長が11メートルもある27MHzなら、山の稜線を回り込んで飛び越えていくことができます。

  2. 海面を這う「表面波(グランドウェーブ)」 垂直アンテナから出た27MHzの電波には、導電性の高い海面に張り付いて進む「表面波」という性質があります。標高570mの菜の花台から相模湾へ飛び出し、海面を這いながら島々を回折して八丈島へ到達したと考えられます。

おわりに

  • 島をかわす海の上空をダクトで突き抜けた荒幡富士のUHF

  • 重なる山々を回折と海面表面波でねじ伏せた菜の花台の27MHz

 机上の計算や見通し線だけでは「届かない」とされる場所でも、大気の状態や波長の特性、地形のわずかな隙間によって思いがけないドラマが生まれます。これだから移動運用と電波の探求はやめられません。

 今後も「理論上は厳しい」と言われるようなパスを見つけては、果敢にチャレンジしていきたいと思います(笑)。


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