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link 7K1BIB/AC1AMの業務日誌 7K1BIB/AC1AMの業務日誌 (2024/5/6 8:35:45)

現在データベースには 144 件のデータが登録されています。

feed 「課題解決に向けての議論のご提案」に対し、JARL会長からお返事があり、さらにご提案をお送りしました。 (2022/2/7 22:55:06)

2022年1月28日に、JH4PHW坂井志郎社員、JJ1WTL本林良太社員と連名でJARL髙尾義則会長にお送りした文書 に対し、髙尾会長からメール及び手紙でお返事を頂きました。

髙尾会長からは、私たちの提案に対し謝辞を頂くとともに、私たちが指摘した課題について、しっかり協議を行い、会員の皆様、アマチュア無線の発展に向けて取り組んで行くので、今後共、ご協力の程、よろしくお願い致します、とのことでした。

そこで、私たち3名は、以下の文書をお送りしました。

 

私たちが今回のご提案文書をお送りしたことにつき、皆様から多数のご意見を頂いております。私たち3名は、引き続き皆様の声を拝聴したく、賛成・反対を問わず、ご意見をお待ちしております( 私あてには、このサイトの「ご質問・ご意見」フォームをご利用下さい。 なお、頂いたご意見は、私たち3名の間に限って、共有させて頂きますので、ご了承下さい。)


課題解決に向けての議論のご提案(2)

令和4年2月3日付けのご回答をメール及びレターパックにて拝受しました。早急に対応して下さりありがとうございました。「頂戴しました様々な課題について、しっかり協議をおこなう」と書かれていました。

今回ご提示した3つの課題

第1 カード転送の安定化
第2 法制度・バンドプラン改善対応
第3 財政健全化

は、どれも数年前から、緊急の課題として問題提起されてきたものですが、近年、改善に向けた動きがみられなかったものです。この度、「しっかり協議をおこなう」とお返事を頂いたことで、今後、どのように動かれるのか、私たちだけでなく、全国のJARL会員が注目しています。

今後、3つの課題についてそれぞれ、①どのようなメンバーが、②いつまでに結論を出すのかについて、しっかりと協議をして頂きたく存じます。例えばですが、ちょうど、今月26日・27日の週末に、JARL第59回理事会が予定されているので、その場で協議されてはいかがでしょうか。

私たち3名は、昨年の社員総会で社員から提起された「もっと対話を」との声を受け、以上の緊急課題を解決するための協議に参加することで、会長に全面的にご協力申し上げる準備がございます。具体的な進め方について議論する場をお願いしたく、ご連絡をお待ちしております。

以上

(2022-02-07 記)


feed 「JARL正常化弁護団」カンパ収支ご報告(第2回) (2022/2/6 19:22:12)

「JARL正常化弁護団」に対し、たくさんの方からカンパをいただきました。 ありがとうございます。

2020年11月13日に収支をご報告 して以降、ご報告が遅れたことをお詫び申し上げます。2020年11月14日以降本日(2022年2月6日)までの収支を以下のとおりご報告申し上げます。2020年末から2021年6月にかけて行った2020年度JARL会計帳簿開示請求に使わせて頂きました( この間の弁護団の活動についてはこちらをご覧下さい )。

なお、これは、「JARL正常化弁護団」としていただいたカンパであり、法的手続きにかかる実費のみに使わせていただいています(弁護士報酬も飲食代もいただいておりません。)。また、「 JARL正常化プロジェクト 」の活動費(JARL正常化タイムズの郵送費等)は、すべてプロジェクトメンバーの自腹で賄っており、弁護団にいただいたカンパからは支出しておりません。

期初残高 925,980円
収入 15,508円 寄付3件及び利息
支出 1,601円 会計帳簿開示請求書(内容証明郵便)
6,335円 会計帳簿開示請求仮処分
:印紙代、切手代、交通費、コピー代等
300,000円 会計帳簿開示請求仮処分
:保証金(東京法務局に供託)
440円 送金手数料(カンパ口座→出金者)
支出合計 308,376円
残高 633,112円

まだ十分な残高をお預かりしています。これだけあれば、例えば、さらなる会計帳簿の閲覧請求や、臨時社員総会の招集等、様々な法的手続きが考えられそうです。そこで、当面は、カンパの受付は中止とさせていただきたく存じます。

JARL正常化弁護団へのご支援に感謝申し上げます。

(2022-02-06 記)


feed バンドプランは誰のもの?(7MHz帯狭帯域データを中心にその変遷を振り返る) (2022/1/30 19:08:00)

「7041問題」(7MHz国内FT8周波数移転問題) について考えていくうちに、過去のバンドプランの変遷を調べたくなりました。・・・が、データ職人・JJ1WTL本林さんのウェブサイトにちゃんとまとめがありました(さすがです)。

本林さんのサイト「アマチュア関係の告示の変遷」
http://motobayashi.net/history/kokuji/index.html
→「バンドプラン」
http://motobayashi.net/history/kokuji/bandplan.html

バンドプランは、以前はJARLが決めた「紳士協定」でしたが、1992年に法制化されました。その後、必要に応じて改正されてきています。バンドプランを決めている総務省(かつては郵政省)の告示の名前はとっても長いので、以下「 バンドプラン告示 」と略称したいと思います。

http://motobayashi.net/history/kokuji/bandplan.html より
(本林氏の許諾を得て90度回転)

以下では、「7041問題」に関係する部分を詳しく見ていきます。

狭帯域データ周波数帯の歴史

「7041問題」が生じたそもそもの原因は、国際的なFT8の標準周波数7074kHzで、JA局同士のQSOが禁じられており、別の周波数を選ばないとならない点にあります。

この、「外国のアマチュア局とのQSOに限る」との制限はいつ入ったのか、遡っていくと、1992(H4)年7月1日施行、バンドプランが法制化された当初の時点ですでに存在していました(紳士協定時代から入っていた制限を引き継いだようです。)。

この時点のデータ通信帯は、
7025-7030 国内○/国外○
7030-7040 国内×/国外○
というとても狭い範囲でした。まだ7100kHz以上が開放されておらず、JT65もなかった時代です。

(注)7,030kHzから7,040kHzまでの周波数は、外国のアマチュア局との
F1電波によるデータ伝送にも使用することができる。
「アマチュア無線機器総合カタログ93年度版」より

1997(H9)年4月1日、画像系通信(SSTV・Fax)をデジタル帯から外し電話帯全体に拡張するなど、全面改正されたバンドプラン告示が施行されました。7MHz帯のデータ通信帯は
7025-7030 国内○/国外○
7030- 7045  国内×/国外○
となりました。外国局とのみデジタルOKな周波数帯が、5kHz拡張されています。

(注)7,030kHzから7,045kHzまでの周波数は、外国のアマチュア局との
狭帯域ディジタル電波による通信にも使用することができます。
「JARLアマチュア無線ハンドブック増補改訂版」(1997年4月20日発行)より

時は下って2002(H14)年、JARL理事会から周波数委員会に対し、「アマチュア無線のデジタル化に対応した周波数使用区分の改正案の検討」について諮問がありました。このころ、D-STARの開発がすすんでおり、実用化に向けた準備の一環と思われます。周波数委員会は、会員の意見を募集しながら1200MHz帯以上の周波数帯について検討し、同年6月に理事会へ答申を行いました。JARLは、この答申に基づき総務省に対しバンドプランの改正について要望し、2004(H16)年01月13日、全面改正されたバンドプラン告示が施行されました。

当時のJARL周波数委員会は、2004年の改正は1200MHz帯以上に限定したものであったが、1200MHz帯以下についてもJARL及び総務省に対し多数の意見が寄せられ、可能なものについては改正に反映されたものの、積み残しがあるとして、2004(H16)年12月15日から2005(H17)年1月31日まで、ふたたび 意見募集 を行います。

2005(H17)年1月31日までのこの意見募集の結果、74件の意見が提出され、同年4月4日、 意見に対する周波数委員会の考え方 と、バンドプラン案が公表されます。
https://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/freq-iken.htm

7MHz帯に関する部分を抜粋します。

https://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/freq-besshi2.pdf  より
改正案の「注2 7,030kHzから7,045kHzまでの」は
「注2 7,040kHzから7,045kHzまでの」の誤植と思われる。

寄せられた意見は、狭帯域デジタル周波数帯の拡張(及び専用化)を求めるものが多かった一方で、現状維持でよいとの意見もありました。周波数委員会の案は、狭帯域デジタルについては、国内QSOができる上限を7030kHzから7040kHzに広げるというという限度の修正に留めるものでした。

周波数委員会は、このバンドプラン案について同年(2005)年5月31日までふたたび 意見募集 を行い、 改正要望書 をとりまとめ、2006(H18)年にJARLから総務省に提出されています。

総務省は、さらに意見募集を行い、2009(H21)年03月30日、全面改正されたバンドプラン告示が施行されました。このとき、135kHz帯の開放と共に、待ちに待った7MHz帯の大幅拡大が実現したのですが、狭帯域データ周波数帯は、
7025- 7040  国内○/国外○
7040 7045  国内×/国外○
7100-7200 国内○/国外○
と、上記周波数委員会案のまま、国内QSOができる上限を7030kHzから7040kHzに変更するものに留められました。なお、7100kHzから7200kHzまでの拡張部分は全電波型式とされ、狭帯域データでもQRVできることにはなっていました。

JT系デジタルモードの登場

さて、FT8が登場する前、JT系デジタルモードとしてはJT65が使われていました。 「HF帯で極めて弱い局と交信するためのJT65の運用テクニック」(月刊FBニュース2013年6月号) によれば、2006年頃から、もともとEME用として開発されたJT65をHFでも運用する局が現れはじめ、2008年の「JT65-HF」の登場により一気に増加したということのようです。

JAでも、先進的な方々の間で、JT65を使ったスケジュールQSOが行われていました。JT65の運用は、世界的には7076kHzで行われていましたが、当時のJAの7MHz帯のバンドプランは上記のとおりであり、 7076kHzでは国内外問わず一切データ通信ができませんでした 。インターネット上には、2012年にJT65のスケジュールQSOがなされた記録がありますが、このときの周波数は 7026kHz だったようです。JAでデータが許される帯域の下限である7026kHzが選ばれたのかもしれません。

その後、JT65スケジュールQSOの周波数は、国内データ帯域の上限である 7039kHz にQSYします。CWとのQRMを避けたのかもしれません。先駆者による熱心なスケジュールQSOの結果、7039kHzに出る局は徐々に増えていき、JA局だけでなく外国の局が出てくることもあったようです(ちなみに、私がJT65で初めてQSOしたのは、2013年2月のことでした。)。

しかし、JA局が7076kHzに出られない状況については、改善が求められていました。

7076kHzの開放(ただし「外国のアマチュア局とのQSOに限る」)

2012(H24)年、JARL周波数委員会は、同年5月31日を締め切りとして意見募集を行います。「新しい通信方式の普及状況や、新規に分配された周波数の有効利用を図るため」というのは、JT系デジタルモードの登場や7MHzの拡張を指しているのでしょう。特に7MHz帯については、大幅な拡張があったにもかかわらず、2009年のバンドプラン改正は、その前の意見募集の結果に基づくものにとどまっていましたから、全面的な見直しが必須と考えられたのでしょう。

意見募集の結果は、2012年末発行のJARL News 2013年冬号に掲載されたようです(ネット上では入手できず。)。その後、周波数委員会は「改正の方向性」を公表し、2013(H25)年5月31日を締め切りとしてさらに意見募集を行います。
https://www.jarl.org/Japanese/A_Shiryo/A-3_Band_Plan/h25-ikenboshu.pdf

このとき、周波数委員会からは、バンドプラン改正の方向性として以下の基本方針が示されました。

また、このとき公表された7MHz帯の案は、以下のとおりでした。

つまり、国外局とのQSOのみが許されていた7040-7045kHzを国内局同士のQSOにも開放し、7045-7100kHzは「外国のアマチュア局とのQSOに限る」との制限を付して、狭帯域データ帯域として開放するという案でした。あくまで7MHz帯においては、国内と国外を分けたい、ということなのでしょうか。

この改正案についての意見募集の結果は、おそらく2013年中に公表されたと思われますが、ネット上では見つけられませんでした。

2015年1月5日、改正バンドプラン告示が施行され、7MHz帯は以下のように改訂されました。

7MHz帯の狭帯域データ周波数帯は、
7030 7045  国内○/国外○
7045 7100  国内×/国外○
7100-7200 国内○/国外○
となっています。2013年に公表された周波数委員会案と比較すると、データ帯域の下限が7025kHzから7030kHzに削られていますが、他は同じです。

これで、JAの局も、晴れて7076kHzに出られるようになったのですが、ここでも「外国のアマチュア局との交信に限る」との制約が残され、JA局同士のJT65によるQSOは別の周波数で行わざるを得なくなりました。

ここで、バンドプラン上は、改正前に使われていた7039kHzを使い続けてもよかったはずですが、なぜか、2kHz上の7041kHzが使われるようになりました。バンドプラン告示の改訂を受けて、2015年2月、JARL制定のCWコンテスト周波数が「7010-7030kHz」から「7010-7040kHz」に拡張されましたので、この帯域を避けた7041kHzを使う方が良いと考えられたのかもしれません。 この頃までは、JT65(続くJT9やT10等)のユーザー数はそれほど多くなかったので、先駆者の呼びかけによるQSYも容易だったものと思われます

2017年夏、FT8が発表され、瞬く間にブームとなりました。WSJT-Xには、7MHzのFT8用周波数として7074kHzがセットされていましたが、この周波数ではやはりJA国内局同士のQSOができません。ここで、7041kHzとは別の周波数を提唱する動きもあったようですが、 いったん成立した7041kHzという慣習はとても強力で、 結局、JT65と同じ7041kHzがFT8でも使われるようになりました。 これだけJT系デジタルモードのユーザー数が増えてしまえば、一部の個人の呼びかけではQSYは無理でしょう。 そして、今日に至ります。

バンドプランは誰のもの?

今回の調査で、 過去のJARLは、バンドプランについて、一般アマチュア無線家から 何度も意見募集を行い、実に丁寧に 検討を行い、改正案をとりまとめて総務省に働きかけ、バンドプラン告示の改正を実現してきたことがわかりました

しかし、2013年を最後に、JARLによるバンドプランに関する意見募集は行われていないようです。2020年の1.8MHz帯及び3.5/3.8MHz帯の拡張の際も、JARLによる意見募集は行われませんでした。2020年初旬から始まったIARUによる全世界的なバンドプラン変更(統一)は、JAに対しても当然大きな影響を与えるものですから、意見募集がされてしかるべきでしたが、国内に対し情報提供すらされていません。そして、 あの意味不明な7MHz国内周波数についてのアナウンス です。

バンドプランは、アマチュア無線家みんなのものであって、密室で決められるべきものではないと私は考えます。広く、アマチュア無線コミュニティから意見を募集するのは当然のことです。

過去のJARLにはできたことが、 なぜ、 今のJARLにはできなくなってしまったのでしょうか。

(2022-01-30 記)


feed 「課題解決に向けての議論のご提案」をJARL会長宛にお送りしました (2022/1/29 0:04:18)

本日(2022年1月28日)、JARL会長髙尾義則氏宛に、 JH4PHW坂井志郎社員 JJ1WTL本林良太社員 と連名で、下記の文書を送付しました。

坂井さんは1エリアトップ当選の社員で、電子QSL、衛星通信、マイクロ波に詳しい技術系ハム、本林さんはアマチュア無線関係のデータ職人、おふたりとも、私がもっとも強く信頼を寄せる方々です。3人で、アマチュア無線界の将来、JARLの将来について真剣に議論した結果、髙尾会長に対し、このようなご提案をするに至りました。

新年のご挨拶 にも書きましたが、私は最近、JARLの進歩を止めている要素=「ボトルネック」がどこかにあるのではないか、一部の従順な人を優遇する一方で、なぜやりたいと名乗り出る人を排除してしまうのか、それが人の問題なのか組織的な問題なのかを、ずっと考えています。

昨年の社員総会で、執行部に対し、執行部に意見する者との意見交換、意思疎通を求める声が上がりました 。これは、JARL社員、JARL会員の総意であると私は思っています。

今回の提案文書に書き足りていない点がございましたら、ご意見をお寄せ下さい。また、この文書をどうぞ拡散して下さい。

髙尾会長との面談が実現することを楽しみにしています。



課題解決に向けての議論のご提案

JARLの会員が増えていると聞きます。それはそれでよいことですが、今のJARLに改善して欲しいという会員の声を、会長も直接お聞きになっていることでしょう。私たち社員3名は、JARLが今すぐに取り組むべき緊急の課題を、以下の3点にまとめました。

第1 カード転送の安定化

QSLカードの転送に、以前よりも時間が掛かっているように見えています。この要因は、在宅時間の増加や、デジタルモードの普及などに伴う交信・転送量の増加によるものと推察されます。新入会員には、入会しても半年以上カードが届かないようです。一方で、終活でカードの処分に困っていらっしゃる方もいますし、IARUは不要・不達のQSLカードの削減を呼びかけています。また島根の受託会社がビューローを辞めるという噂も絶えず、カード転送事業の継続が難しいのではないかと心から心配しています。

電子QSLシステムの利用促進、転送枚数を減らすための呼びかけ、公平な費用負担など、本格的に検討し、迅速に取り組みましょう。

第2 法制度・バンドプラン改善対応

昨年11月の内閣府「規制改革推進会議・経済活性化ワーキンググループ」にJARLは参加できませんでした。日本のアマチュア無線家を代表する団体として、とても残念なことです。

今年1月26日に、総務省に「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」が設置され、会長が構成員に就任されました。規制緩和を実現する最大のチャンスです。全国のアマチュア無線家の意見をしっかりと聞き、総務省に伝えていきましょう。要望書は多くの人の意見を取り入れてJARL会員の総意として作られるべきです。

また、IARUから、QRMの解消のため、国内FT8のQSOに使われている7041kHzを移転するよう求められている件については、JARLとして、一般アマチュア無線家に対しお願いするだけではなく、JARLが主導して新周波数を決めましょう。周波数委員会、コンテスト委員会などときちんと連携し、一般アマチュア無線家の意見もしっかりと聞きましょう。そうしないと、日本が世界に迷惑をかけたままになってしまいます。

第3 財政健全化

JARLは毎年数千万円の赤字を続けています。JARLの財政はこのままではいつか破綻します。これを改善するためには、QSLビューロー(年間7500万円)と、紙JARLニュース(年間3500万円)という主要費目をどのようにしていくのかが重要です。読みにくいJARL Webを全面的に改修し、「ニュースはJARL Webに」「充実した読み物は紙ニュースに」載せるように役割を分担し、経費を節減しましょう。地方予算を削ることなく、赤字の縮小・収支均衡を目指しましょう。

*****

私たち3名は、以上の緊急課題を解決するために、全国のアマチュア無線家と一緒に、会長に全面的にご協力申し上げる準備がございます。

昨年の社員総会で、社員から「もっと対話を」との声がありました。まずは、ご面談をお願いし、具体的な進め方について議論させていただきたく存じます。ご検討のほど、よろしくお願い致します。

以上


(2022-01-28 記)


feed 「7041問題」(7MHz国内FT8周波数移転問題)の論点整理 (2022/1/22 0:14:10)

2021年9月26日付けの記事「 国内FT8周波数が7041kHzから7037kHzに移行?(追記あり) 」の続きです。

ラジオ番組「ハムのラジオ」が、2022年1月16日(日)の放送で「7041問題」という言葉を使っていました ので、私も同じ呼び名を使わせていただくことにしました。

IARUの新バンドプラン案

現在、IARUにおいて、 バンドプランの改訂 が議論されています。 この議論、今に始まったことではなくて、実は2020年3月頃から始まっていた ようです。JARLには当然はじめから情報が行っていたと思うのですが、その間、一般ハムに向けて情報提供されたことはありませんでした。

現時点の新バンドプラン案は、IARU第3地域総会資料集から誰でもダウンロードできます
https://www.iarur3conf2021.org/documents/  )。「Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf」という名前のファイルです。下記ファイル名をクリックするとダウンロードできるはずです。全文英語ですが、重要な資料です。関心のある方は是非ご覧ください(JARLが日本語訳を用意してほしいものです。)。

Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf

新バンドプラン案の基本的な考え方は、 データモードの激増を背景として、異なるモード間のQRMをできるだけ減らす というものです。

例として、7MHzのページを抜粋しておきます(クリックすると大きくなります。)。

Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf 24枚目
Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf
25枚目
Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf
26枚目

基本的に、

  • 7000-7040 CW
  • 7040-7080 Data
  • 7080-7200 Voice

と区分し、Dataの中はさらに

  • 7040-7044 PSK/Olivia
  • 7044-7060 RTTY
  • 7050-7065 ACDS
  • 7065-7080 FT8, FT4, JT65, JT9, Q65, JS8Call等

と細分化する、という案になっています。

JAのバンドプラン

7MHzでのFT8の周波数は、世界的には7074kHzですが、ご存じのとおり、JAでは、国が決めたバンドプラン( バンドプラン告示 )の制約から、7074kHzでは国外局とのQSOしかできません。そのため、FT8の国内QSOは7041kHzで行われています。

ところが、7041kHzは、7040-7044をPSK/Oliviaとする、というIARUの新バンドプラン案とバッティングしてしまいます。 今でも、7041kHzのJA国内FT8は、EU等で行われているPSK/OliviaにQRMを与えているそうなのです。

そこで、2021年9月のIARU第3地域総会で、 JARLに対し、日本の国内FT8周波数を7041kHzから7030-7040kHzの間に変更できないかを検討し、2021年末までに回答せよ、という宿題が課せられました。

JARLの対応

その後、JARLからは特に表だった動きはありませんでした。IARUから上記の宿題が出されたとのアナウンスもなく、会員からの意見募集もありませんでした。そして、2021年11月20日・21日に開催された第57回理事会に、突然、以下の「協議事項2」が上程されました。

JARL第57回理事会報告より 

(ここから)
2.7MHz帯でのFT8による運用周波数について
 2021年9月20日(月)から22日(水)まで、3日間にわたって開催された第18回IARU第3地域総会(リモート会議)において審議された、第3地域バンドプランの改定について協議がおこなわれ、同総会において要請された7MHz帯でのFT8による運用周波数について協力して、周知活動をおこなっていくことで、全員異議なくこれを了承した。
(ここまで)

よくわからない文章ですが、IARUの要請をただそのまま「周知」する、と読めます。 IARUの宿題は「検討し、回答せよ」だったはずですが、検討した様子はありません。

そして2021年12月13日、 「7MHz帯FT8での国内局同士の運用周波数について -ご協力のお願い-」という文章 が、JARL Webの奥の方にこっそり掲載されていることが「発見」されました。

JARL Webより引用  https://www.jarl.org/Japanese/A_Shiryo/A-3_Band_Plan/7MHz_FT8_info.html

この文書は、 トップページからリンクが張られることもなく 、文字通りひっそりと掲載されていました。これでは「周知活動」とはいえません。

また、その中身も、「今後、国内局同士のFT8による運用については、7030-7040kHz(キャリア周波数 7030-7037kHz)の帯域での運用とするように、デジタル通信をご利用の皆様にはご理解のうえ、ご協力いただきますようお願いいたします。」というだけです。 どの周波数に移って欲しい、とは書かれていませんし、いつから移行して欲しいのかも書かれていません。 これではアマチュア無線家側は、動きようがありません。

JARL会員課に問い合わせた友人がいます。このような返事が返ってきたそうです。

(引用ここから)
なお、今回の件につきましては、これまでに周波数委員会や理事会でご審議いただき、その結果をご案内させていただいているもので、すでにご案内させていただいておりますとおり、 当連盟では各デジタルモー ドの運用周波数についての詳細な取り決め等は行っておりません
(引用ここまで)

つまり、 JARLとしては、「この問題について音頭を取るつもりはない、FT8ユーザーに任せるから新周波数は勝手に決めてね」 ということなのです(なお、周波数委員会でご審議頂いたと書かれていますが、第57回理事会報告には、周波数委員会が開催されたとは書かれていません。)。

JARLからIARUへの回答期限は2021年末でしたが、どのような回答をしたのかも公表されていません。

7MHz国内周波数は誰が決める?

ネット上には、7MHzの国内FT8周波数は慣習的に決まったものだから、新しい周波数も、JARLが決めるのではなく、FT8ユーザーの間で自然と決まっていけばよい、との意見も見られました。ですが、今後、新周波数は自然に決まるでしょうか。

無線通信は相手があって初めて成立します。特にFT8の場合、皆が同じ周波数に集まってQSOする慣習が確立しています。現状、7041kHz以外の周波数でCQを出しても、まず呼ばれません。呼ばれないから、7041kHzに戻らざるをえません。つまり、 皆が7041kHzに集まっているという一旦成立したFT8の慣習は、誰かが音頭を取って、「いつ」「どこへ」移りましょうと呼びかけない限り、そうそう簡単には変わらないのです。 現に、この記事を書いた今日も、7041kHzでは盛んにFT8の国内QSOが行われています。

JARLの理事会には、FT8のこのような特性を理解している理事がいなかったのではないでしょうか。

また、皆が7030-7040kHzの間の好きなところでバラバラにQSOを始めたらどうなるでしょうか?却ってQRMは増えてしまいます。元も子もありません。

では、FT8ユーザーの誰か個人が、音頭を取って決められることでしょうか・・?その前に、考えられる具体的な選択肢を検討してみます。

考えられる選択肢

ネット上の議論も含め、各局の意見を整理すると、大きく分けて以下の選択肢が考えられそうです。

  • 案1:「7065-7080kHz」で国内QSOもできるようにする。
  • 案2:「7030-7040kHz」のどこかに、国内FT8周波数を動かす。
  • 案3:「7100kHz以上」のどこかに、国内FT8周波数を動かす。

案1:「7065-7080kHz」で国内QSOもできるようにする

バンドプラン告示の「注2:7,045kHzから7,100kHzまでの周波数は,外国のアマチュア局とのデータ通信に使用することができる。」を削除してもらう、という案です。これなら、IARUの統一バンドプランにJA用の「例外」を設けてもらわなくても済みます。そもそも、この注2の制約はなぜ存在するのでしょうか?あまり合理的とも思えません。

注2:7,045kHzから7,100kHzまでの周波数は,
外国のアマチュア局とのデータ通信に使用することができる。
(JARLバンドプランより引用)

この「注2」は、 バンドプラン告示 で定められているものですので、総務省に掛け合って告示を改正してもらう必要があります(あるいはこの際、バンドプラン告示からHF帯は外してもらい、JARL限りで柔軟に決められるようにしてもらうという手も考えられます。)。すぐに実現できるものではないでしょう。

なお、JARLのアナウンスには、総務省に告示の改正を働きかけるとは書いていません。JARLとしては、総務省への働きかけはしない、ということでしょうか。

案2:「7030-7040kHz」のどこかに、国内FT8周波数を動かす

IARUの資料には、7037kHzという数字がみられます。7030-7040kHzのはしっこ、という意味でしょうか。しかし、これはあくまで「suggestion(示唆)」であり、ここにしてくれというわけでなく、議論のスタートと考えられます。では、7037kHzがよいでしょうか。

(1) 7037kHzは、その付近に出ているロシアの軍事ビーコンからのQRMがありそうです。

(2) 7038.6kHzで行われているWSPRとの関係も問題となりそうです(IARUでは、7038.6kHzはダイヤル周波数であり、実際にWSPRの信号が出ているのは「7040.0-7040.2kHz」なので、7037kHzでFT8の信号(7037-7040kHz)を出してもギリギリかぶらないと整理されているようですが、本当に大丈夫でしょうか。)。

Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf
26枚目より

(3)  7030-7040kHzのどこに移すにしても、CWコンテスト周波数帯「7010-7040kHz」とバッティングしてしまうのが大きな問題 です。ネット上には、7030-7040kHzに移すことに対するコンテスターからの強い異論が多く見られました。そして、JARLのコンテスト委員会委員長が、2021年12月28日付けでJARL会長宛に異議申立書を提出されています。詳しくは、委員長のブログ記事をご覧下さい。

12/28 JARL会長宛にFT8周波数移行について異議申立書を出した

「7.030-7.040MHzにFT8が移ってくればCWでのコンテストは大混乱に陥るのが明白だけど、コンテスト委員会には事前にまったく情報が伝えられず、相談も無かった。」 というのですから、ひどい話です。

(4) さらに、7030-7040kHzに移行すると、RTTYとのQRMが発生するという指摘もありす。ただし、IARUの新バンドプラン案では、RTTYは7044-7060kHzに移行させる計画なので、国際RTTYとJA国内FT8のQRMは徐々に解消されていくかもしれません。ですが、国内RTTYをどこでやるのか、という問題は残ります。

(5) そもそも、国際的なハーモナイゼイションとして、7000-7040kHzをCWの周波数帯にしようという計画なのですから、国内FT8を「7030-7040kHz」のどこに持っていっても、CWとの軋轢は避けられないように思います。

という次第で、第2案は、なかなか難しそうです。

(なお、私も実行委員会のメンバーとして参加した「バーチャル・ハムフェス2021」併催の 「社会実験・FT8 QSOパーティ」 において、当初、IARU-R3からJAに対する今回の要請を踏まえ、推奨周波数を「7030~7040kHzまでの1波(有力候補として7031kHz)を開催日までに指定する。」としつつ、皆さんのご意見を伺いたい、としていました。すると、7030~7040kHzの間ではCWやRTTYとの混信、軍事レーダーの影響、当日はEU主催のRTTYコンテストがある等、たくさんの有益なご指摘を頂き、 実行委員会として「7030~7040kHz」は避けるべきと判断した、という経験をしています(7151kHzを第1推奨周波数、7154kHzを第2推奨周波数として当日を迎えましたが、QRM状況に鑑み、開始後間もなく、ご参加の皆様に呼びかけてさらに7181kHzに変更して頂きました。)。この過程で、厳しい言葉や決めつけを浴び(例えば、7031kHzでQSOパーティを「強行しようとした」などという事実はありません。)、半ば炎上気味になってつらい思いもしましたが、やはり、アマチュア無線家の皆様の意見を広く伺うことは有益でした。「7030-7040kHz」内に国内FT8周波数を移行させるのは相当難しいと認識した次第です。)

案3:「7100kHz以上」のどこかに、新国内FT8周波数を決める。

IARUの新バンドプラン案には、随所に「JAでは、7045kHz以上ではJA局同士のDataモードのQSOが禁止されている」と書かれています。

Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf 24頁

ですが、 正しくは、JAのバンドプラン上、7100kHz以上は「狭帯域の全電波型式」と指定されており、JA局同士のFT8でのQSOは可能です。この点をJARLがきちんとIARUに伝え、IARUの議論のベースになっていたのかどうか、IARUの資料からはわかりません

(JARLバンドプランより引用)

この点を正しく伝えれば、IARUでも、「なんだよ、7100kHz以上でOKなら、7030-7040kHzなんて狭いところに行かないで、7100kHz以上に持っていこうよ」ということになったかもしれません。

客観的に見れば、「7100-7200kHz」の方が「7030-7040kHz」よりも広く、例外的に国内FT8の周波数を認めてもらっても問題は小さいのではないでしょうか。10kHzも取る必要はなく、5kHzで十分と思われます。

早まるのは禁物ですが、もし、国内FT8の周波数を7100-7200kHzに持っていけるとした場合、さらにIARUの新バンドプラン案の以下の点を考慮する必要がありそうです。

Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf
26枚目より
  • 非常用通信周波数を、世界的に7110kHz(7105-7115kHz)に統一することが提案されていること(第2地域の非常用通信周波数を7060kHzから7110kHz に移行し世界的に統一)
  • コンテスト優先周波数を「7080-7100kHz」及び「7130-7175kHz」とすることが提案されていること

なお、7100kHz以上のどこに持って行くにしても、FT8による国内QSOなのですから、できるだけQRPで行い、SSB(特に外国のSSB)にQRMを与えないようにする国際的な配慮が必要ではないでしょうか。

(なお、現在のJARLのコンテスト周波数は「7060-7140kHz」ですが、IARUの新バンドプラン案ではSSBの下限が7080kHzとされていること、7110kHzの非常用通信周波数はあけておくべきであろうことから、いずれにせよコンテスト周波数の見直しが必要と思われます。IARUの新バンドプラン案で「7080-7100kHz」及び「7130-7175kHz」がコンテスト優先周波数とされていることが参考になりそうです。)

整理

以上まとめますと、「7041問題」を解決するためには、例えば、以下のような対応が必要ではないでしょうか。

  • (1) IARUに対し、JAでは7100kHz以上でも国内FT8が可能であることを正しく伝え、JAのためのデータモードの例外は「7030-7040kHz」ではなく、7100kHz 以上のどこかに今から変更してもらえないか、と逆提案する。
    →もっとも、IARUの議論は相当進んでいますので、今からドラスティックな提案をしてももう遅すぎるといわれてしまうかもしれません(IARUのバンドプラン改革は2020年3月から始まっていたのですから、JARL執行部がもっと早く周波数委員会やコンテスト委員会などにきちんと諮問し、一般ハムからの意見も聞き、本気で取り組んでくれていれば、こんなことにはならなかったのにと思います。残念です。)。
    →IARUのバンドプラン案の変更が受け入れられなかったときは、①CWとのQRM覚悟で「7030-7040kHz」内にFT8国内周波数を持って行くか、②IARUの新バンドプラン案には反すること覚悟で、7100kHz以上にFT8国内周波数を持って行くか、の決断を迫られてしまいます。。
  • (2) 「7030-7040kHz」にしても「7100kHz以上」にしても、その中で国内FT8用の特定の周波数を決める。
  • (3) その周波数に移行する日時も決める。
  • (4) 新バンドプラン案にあわせて、コンテスト周波数を変更する。
  • (5) 以上を、あらゆる手段を使って広報する。ウェブ等でのアナウンスだけでなく、新周波数でのQSOパーティを開催したらどうでしょうか。
  • (6) 以上と平行して、バンドプラン告示の改正に向けて、総務省と協議する。

さらに、いずれにせよ、 海外へのQRMを避けるために、 国内QSOは できるだけQRPで運用するよう呼びかける ことも必要でしょう。

さて、これだけのことを、FT8ユーザーの誰かが音頭を取って実現できることでしょうか・・?私は、個人では相当難しく、やはりJARLが組織として取り組むべき課題だと思います。

黒点数が上昇するこれからの時期に、FT8ばかりでなく、RTTYやPSKといった他のモードでDX交信のチャンスを広げるために、7040-7060kHzをRTTYやPSK用にクリアにするという提案は、JAを含む全世界のアマチュア局にとってメリットがあると思います。ですが、このままでは、7041kHzでの国内FT8が、世界に迷惑をかけ続けることになりかねません。JAとして恥ずかしいことではないでしょうか。

JARL現執行部におかれては、この「7041問題」の解決をユーザーに丸投げするのではなく、改めて、真正面から取り組んで頂きたいと思います。


付録

IARUの新バンドプラン案資料には、WSJT系デジタル周波数についての「提言」も書かれています。とても興味深い内容です。

例えば、7MHzでは、FT8を7074-7080(dialとしては7074と7077)にしたらどうかと提言されています。7074だけでは混みすぎなので”散らしませんか?”というアイデアと思われます。

14MHzでは、FT8は14074-14083とされ、ダイヤル周波数としては14074、14077、14080の3つも示されています。

Image with no description

私は密かに、FT8は混みすぎなのでもっと散らしたら良いのにと思っていました。この「提言」が実現すれば、QRMが相当程度解消されそうです。

さすがIARU、とてもよく考え抜かれています。JARLも逃げていないで、IARUのメンバーとして、このバンドプラン改革が前に進むよう、積極的に協力すべきではないでしょうか。

(2022-01-21 記)


feed 新年のご挨拶(2022年) (2022/1/10 17:36:08)

松も取れてしまいましたが、遅ればせながら新年のご挨拶を申し上げます。

QSOパーティ

昨年2021年は、正月恒例のQSOパーティで幕を開けました。 2018年1月以来訴えてきた期間延長が実現した初めての年、6日間フル参加しました。 たくさんの方と新年の挨拶を交わすことができました。

クラハCQ部屋

2021年2月頃からでしょうか、音声チャットアプリ「Clubhouse」が日本でも急に盛り上がり始めました。音声だけのやりとりはアマチュア無線に似ているということで、友人がアマチュア無線をテーマとしたグループ「 CQアマチュア無線クラブ 」を立ち上げ、私もモデレーターの末席に加えて頂いています。 毎週土曜日21時からのラグチュー部屋が途切れることなく続いている のは、無線愛が熱くまた個性あふれる参加者の皆さんのおかげです。 私が5I3BタンザニアとQSOできたのも、クラハメンバーの応援のたまものでした。 みなさまも是非、毎週土曜日21時の「CQアマチュア無線クラブ」を聞きにいらしてください。

8J1-7CALL

2021年4月22日まで、そのちょうど1年前に開局し た7コール発給開始30周年記念局「8J1-7CALL」 の運用をやり切りました。コロナ禍で、「7コールアマチュア無線クラブ」メンバー個々人による運用が主でしたが、その合間を縫って、 一昨年10月11日の「アウトドアミーティング in 八王子 2020」での体験局「8J1YAB/1」運用 と、 5.6GHzATV等を運用した昨年4月18日の「第2回ハムらde無線フェア」での公開移動運用 という2回の屋外合同運用を実現できたのは奇跡でした(JARL東京都支部の皆様には感謝しかありません。)。「 #20日後にQRTする記念局 」キャンペーンを経て、 2021年4月22日最終日のすみだ生涯学習センター(ユートリヤ)での合同運用、そしてその夜、珍モード「Feld-Hell」の送信をもって閉局した のも、7コール組らしい幕引きでした。無線歴がほぼ同世代の「7コールアマチュア無線クラブ」メンバーがネット上で集まって作った記念局を、私は一生忘れることはないでしょう。 ※「8J1-7CALL」1年間の個人的振り返り記事はこちら

JARL社員総会

2021年6月27日には、社員として初めて、JARL定時社員総会に出席しました。JARL執行部が今年から速記録を廃止してしまいましたので、その内容を少しでも詳しく皆様に伝えられるように「 JARL第10回定時社員総会ご報告(その1) 」以下、5本の記事を書きました。JARLの現状をご理解いただけましたら幸いです。

#駅前QRV

2019年11月に産声を上げた #駅前QRV 。7L4XQIけんけんさんが提唱された「日常の中でも無線運用を楽しめる」スタイルは、雑誌やオンラインメディアにも取り上げられひとつのジャンルとして定着した感があります。ネットの力をうまく利用しながら、地上でパイルアップを受けられるのです。2021年4月には 記念局「8J1-7CALL」で #駅前QRV 。6月以降は「VX-3で開局したニューカマーが付属ホイップで」「ニューカマーが ショートホイップSRH805S を買ってみた」「カムバックハムが昔のリグC501で」といった 「想定シリーズ」を敢行 。12月にはなんと あの「ももすけ」さんも駅前QRVを実行 してくださいました。

バーチャル・ハムフェス2021

2021年11月13日には、昨年に引き続き 「バーチャル・ハムフェス2021」 に実行委員として関わりました。今年もたくさんの方から非常にレベルの高いご出展をいただき、バーチャル呑み会は翌朝まで続きました。アイコム株式会社様と第一電波工業株式会社様からいただいた全面的なバックアップは、実行委員会代表として大変心強いことでした。バーチャルイベントにリアルの要素を、と 「社会実験・FT8 QSOパーティ」を併催 し、たくさんの局にご参加いただけました。JARL執行部から一部妨害があったことはとても残念でしたが、”立場”を超え、たくさんのJARL理事・地方本部長・支部長・社員の方々にもご参加いただけたことは、アマチュア無線界の「分断」を望まない私にとって感激でした。

パブコメ意見提出・制度改正の読み解き

ここ数年、アマチュア無線に関連する重要な法改正が続いています。2021年も、パブコメに意見を提出したり、制度改正を私なりに読み解く記事を公表してきました。本来はJARL本部の仕事だろうと思っています。


2022年の抱負

2021年は、なぜかアマチュア無線が一般メディアに取り上げられることが多かったのですが、その多くが「レトロな趣味」と位置づけていたように思います。アマチュア無線衰退の原因をインターネットに求める人もいます。ですが、私たちは、FT8や、 昨年公表された新デジタルモード「Q65」 といったデジタルモードを挙げるまでもなく、インターネットやパソコンといった最新技術を軽やかに利用し、アマチュア無線の活動の幅を広げてきたのではないでしょうか。アマチュア無線には、もっと大きな可能性が秘められていると、私は信じています。

今年は、2年に1度のJARL選挙の年です。「山内はJARLを乗っ取ろうとしている」と言う人がいるそうですが、意味がよくわかりません。JARLは誰か一人の所有物ではなく、アマチュア無線界みんなのものであり、取ったり取られたりするものではありません。

会員の代表である社員として、たくさんの皆さんのご意見を聞くに付け、ずいぶん前から繰り返し指摘されているJARLの課題がなぜ解決できないのかと考えさせられます。JARLの外では数々の有益な活動が行われており、JARL地方本部(北海道・東海・関西)はオンラインイベントを成功させ、各県支部でも地域にしっかりと根を下ろした活動が行われています。

なのに、なぜJARL本部は、ハムフェアの出展者説明会すらオンラインに移行できず、総務省と約束した社会貢献活動ガイドラインを適時に公表できず、アマチュア無線免許手続きの簡素化が議論された昨年11月の内閣府規制改革推進会議に人を出せず、IARUからの要請である7MHz国内FT8周波数の移動についてきちんとした役割を果たせないのか。どこかに、進歩を止めている要素=「ボトルネック」があるのではないか。一部の従順な人を優遇する一方で、なぜやりたいと名乗り出る人を除してしまうのか。それが人の問題なのか組織的な問題なのかを探す活動を、私は今年も続けていきたいと考えています。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

(2022-01-10 記)


feed 「デジタル人材」の確保や育成のために必要だと思うことはなんですか? (2021/11/18 21:43:47)

デジタル庁が、「デジタル人材」の確保や育成のために必要だと思うことについて、意見募集をしています(2021-11-18まで)。

https://polipoli-gov.com/issues/VlJFCEJqGWyLl3qmPPnr

私は、以下の意見を提出しました。

(ここから)
・総務省は、最近、ワイヤレスIoT人材の裾野を広げるための取り組みとして、無線従事者資格を持たない者(特に小中学生)によるアマチュア無線の体験制度や、アマチュア無線を活用した社会貢献活動等の制度を導入しています。日本の産業を支えている技術者は、若い頃にアマチュア無線に触れていた人が大変多いのです。今でもアマチュア無線には熱意あるファンが多いのですが、従事者免許を取り開局をするための一連の手続きがとても面倒で、アマチュア無線への参入障壁になっています。

・令和3年8月に公表された総務省「デジタル変革時代の電波政策懇談会」報告書は、「ワイヤレス人材やデジタル人材の育成、無線技術の実験・研究開発の促進といった観点から、より自由で試行錯誤がしやすい実験・研究環境の実現、無線従事者資格取得から無線局の開設・運用までの手続の迅速化など、アマチュア無線をより活用しやすい制度・環境の実現に向けて」検討を進めると提言しています。

・従来の総務省の考え方は、アマチュア無線であっても他の業務無線と同じ扱いをするというものでしたが、アマチュア無線の本質は無線技術の実験・研究開発ですので、確実な通信を目的とする他の業務無線とは異なる扱いをすべきです。試行錯誤のためにいちいち行政の手続きを取らないといけない現状は、アマチュア無線の本質を阻害しています。手続きなしに試行錯誤できる環境を整えることは、デジタル人材の育成に資することであり、デジタル庁からも、総務省に対し、積極的に手続きの簡素化を進めるよう働きかけていただけるようお願い致します。
(ここまで)

(2021-11-18 記)

15分後くらいに、投稿した意見が公開されました。投稿ページの一番上でなくて、一番下に公開されるのですね・・5ページ繰っていかないとたどり着けませんでした。下記は、5ページ目に公表されていた私の意見をクリックして開いた窓へのリンクです。

https://polipoli-gov.com/citizens/Vr7ESZs9wgciGEZboD4s/profile/comments/nm1AlpunXGwUozEuKqdi

(2021-11-18 21:55 追記)


feed 「こち亀」アマチュア無線・ラジオ関係の巻一覧【メモ】 (2021/10/3 23:10:59)

秋本治さんのコミック、「こち亀」こと「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が、集英社のマンガサイト「ゼブラック」で、24時間限定で無料開放されています(2021年10月4日正午まで)。

https://zebrack-comic.shueisha.co.jp/title/221

たしかアマチュア無線やラジオを扱った回があるはず・・・とちょっと調べて Tweet してみると、Twittererなアマチュア無線家の皆さんからたくさんの情報がTweetされました。さすがです。

上げられた情報をもとに、アマチュア無線・ラジオ関係の巻をまとめてみました。

第65話 ただいま本番中!の巻

第795話ラジオでコンニチハ!?の巻

第876話 撃退!盗聴魔の巻

第900話「親愛なる兄貴への巻」

第977話 両さんの秋葉原案内の巻

第1914話 TVレポーターの巻

第1625話 闇に流れる声

第1744話 おれたち電波ハンター

そもそも両さんの弟、両津金次郎氏が弁護士でアマチュア無線家という設定ではないですか。なんかこそばゆい感じです。

(マンガのコマは、一部を著作権法第32条に基づき引用させて頂きました。)

(2021-10-03 記)


feed 国内FT8周波数が7041kHzから7037kHzに移行? (2021/9/26 17:52:03)

2021年9月20日から22日に、3年に一度のIARU-3の総会が、タイ連盟の主催で行われました。Zoomを使ったオンライン開催だったそうです。

興味深いことに、 HF帯におけるQRMの解消のために、 バンドプランの変更が議論されています。特に、 JARLに対し、日本の国内FT8周波数を7041 kHzから7030-7040 kHzの間(具体的には7037kHz)に変更できないかを検討し、2021年末までに回答することが求められた ことが注目に値します。

この件は、 ARRLの2021年9月23日付けニュースレター の”IARU Region 3 Considers Significant Expansion of HF Digital Segments”というタイトルの記事で知りました(より詳細には、このARRLレターを紹介されていた 「SDRでBCLを」さんの9月25日付け記事 で知りました。)。

ARRLのニュースレターは、非会員でもリンク先( http://www.arrl.org/arrlletter?issue=2021-09-23 )で読むことができます(ここにも、活動の成果をコミュニティに返そうというARRLの意思が感じられます。)。


IARU-3の総会の資料はここで公開されている ので、調べてみました。

Bandplan Committeeの原案

以下のドキュメントです。特に029と031。

  • 029 Bandplan Committee Report
  • 031 IARU Region 3 Conference 2021 – WIA – IARU R3 Interim HF Band Plan Proposal – Data Segment Revision
  • 035 Proposal to Seperate Bandplan Committee
  • 039 IARU Region 3 Conference 2021 – WIA – Band Planning Control Mechanisms

バンドプラン改定の目的として、以下が謳われています。

  • HFバンドプランの世界的なハーモナイゼイション(統一・調和)
  • Conversational(会話的)なデータモード(PSK, RTTY, Olivia等)とTime Synchronised(時間で同期された)なデータモード( FT8, JT9, JT65, WSPR 等)の分離
  • 時間で同期されたモードの増加に応じた帯域の拡大(主に、現時点では利用が減少したRTTY用帯域とのトレード)
  • 40m bandでのvoiceとdataのより効果的な分離

具体的には、下図において、現在上のようになっているプランを、下のように変更したらどうかという提案です。

029 Bandplan Committee Reportからの引用

よく見えないので赤枠部分だけ拡大すると、現在は

であるものを、

このように改訂したいという提案です(上からR1/R2/R3。青はCW、赤はData、緑はVoice)。

そのココロは、こういうことのようです(若干の意訳を含む。)。

  • 7000~7050でCWが出られるようにしたい。
  • 7040~7050を「会話的なデータモード(PSK, Olivia, RTTY)」のため確保したい。なので、voiceは7050以上とする。CWは7040~7050でいちおう出られるが、secondary baseとする。
  • 国内データ通信は7030-7045だけしか出られない日本みたいな例があることも理解している。
  • ただ、7040-7044が、IARU-R1(EUやAF)でPSK/Oliviaの中心周波数になっている。そこで、この範囲を他のモードも含めた(会話的なデータモードの)世界的な中心周波数にしたい。
  • そこで、7030-7040を「Domesitic Data Only(国内通信に限ってはのデータ通信も可能)」な周波数として残すので、JA国内周波数の7041は、7030-7040の間(031の文書では、より特定して「7037kHz」)に移動してもらえないだろうか・・・。
  • (7050-7060のデータモードはR3だけだが、さらに検討したいのでとりあえずそのままにする)。

40m以外については、

  • R-3の非常通信周波数3600kHzを3680kHzに変更する。
  • 世界的な20mのSSTV周波数を14230kHzから14330kHzに変更する。

Working Group 2での議論

「WG-2 Report」に書かれています。WG-2としては、

  • Bandplan Committeeの提案を直ちに採択はしない。その代わりに、
  • JARLに対し、JA国内周波数の7041を7030-7040の間に移動できるか検討し、2021年末までにBandplan Comitteeに報告せよ。
  • 他のR3連盟に対し、(特に40mにおいて)法制化された(administration-mandated)バンドプランがあるかを調査して、2021年末までにBandplan Comitteeに報告せよ。
  • 各国の連盟は、Bandplan Comitteeの提案文書(031と039)を各国のアマチュアコミュニティに配布し、意見を集めて、2021年末までにBandplan Committeeに報告せよ。

という意見でした。

総会として、このWorking Group 2の意見がそのまま採択されたのかどうかは、公表文書からはまだわかりません。ですが、ARRLのニュースレターによれば、そのまま採択されたものと思われます。

JAコミュニティ/JARLとしてありうべき対応

これをうけて、JARLはどう動くべきでしょうか。

  • まず、IARU-R3の要請を受け、今回の提案を大至急JAの「アマチュアコミュニティ」に提示して、パブコメにかけるべきでしょう。締め切りは2021年末ですから時間がありません。
  • JAの「アマチュアコミュニティ」としては、国内周波数を7041kHzとする必然性はあるでしょうか。 黒点数が上昇するこれからの時期に、FT8ばかりでなく、RTTYやPSKといった他のモードでDX交信のチャンスを広げるために、FT8を7037kHzに移動して 7040-7044をクリアにする という提案は、受け入れ可能ではないでしょうか。

なお、JAの現行バンドプラン(下記)と今回のR3の提案をさらに比べてみます。

注2:7,045kHzから7,100kHzまでの周波数は,
外国のアマチュア局とのデータ通信に使用することができる。
(JARLバンドプランより引用)
  • JAの現行バンドプランは、今回のR3の提案と、Phoneが下限7045まで出られてしまうこと、7045~7050の間で国外局とのデータ通信ができないことが整合していません。そこで、今後、「狭帯域データ」と「CW, 狭帯域の電話・画像」の区切りを7045から7050に移動させる必要があるかもしれません。
  • ですが、この部分はバンドプラン告示( 無線局運用規則第二百五十八条の二の規定に基づくアマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別 )で決まっていることなので、総務省にお伺いを立てて告示を改正してもらう必要があります。
  • そもそも論として、バンドプランといったアマチュア無線界の内部事情のために、いちいち総務省にお伺いを立てて告示改正をしてもらうのは手間で、申し訳ないと思います。2015年のバンドプラン改正まで7MHzと24MHzでJT65に出られなかったように、アマチュア無線家にとっても不都合があります。
  • また、JAの法的バンドプランの制約がなければ、R3のバンドプランにおいて、7030-7040を「Domesitic Data Only」として残してもらう必要もなかったように見えます。国際的にも迷惑をかけていることになります。
  • 確かに、違法局・不法局が蔓延しているVU帯については、法的な強制力があるバンドプランが必要です。ですが、HF帯とSHF帯以上については、規制緩和の一環として告示から外してもらい、JARLがバンドプランを自主的に制定できるようにした方が、国際的な動きにも柔軟に対応できてよいのではないでしょうか。

(2021-09-26 記)


feed 「デジタル変革時代の電波政策懇談会 報告書(案)」に対するパブコメ結果公表 (2021/9/20 12:21:28)

2021年8月31日付けで公表されていました。

「デジタル変革時代の電波政策懇談会 報告書」及び意見募集の結果の公表

私が提出した意見 は、「個人(33)」として、 別紙3「意見募集の結果」の125頁 以下に掲載して頂いていました。

私の意見と総務省のご回答と感想

1 5Gなどの電波の安全性の理解促進

私の意見(要約):国民の電波に対するリテラシーの向上のため、街の専門家であるアマチュア無線家の知見とリソースを使ってください。

総務省:「頂いた御意見は、総務省における今後の政策検討の際の参考とされるものと考えます。総務省において、 電波の安全性に関して知見を有している方々 の協力も得ながら、電波の安全性に関する周知広報活動が進められるものと考えます。」

感想:我々アマチュア無線家も、電波に関するリテラシーを高めていきましょう。

2 ワイヤレス電力伝送システムの普及・促進(52頁)

私の意見(要約):空間伝送型WPTシステムの導入で、2.4GHz帯と5.7GHz帯は大丈夫?慎重に検討してください。

総務省:「「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの技術的条件」のうち「構内における空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの技術的条件」については、 陸上無線通信委員会 において技術的な検討が行われ、令和2年7月に情報通信審議会からの一部答申を受けており、専門家等による十分な技術的検討が行われたものです。また、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの制度化に当たり、総務省は「 空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの運用調整に関する検討会 」を開催し、当該システムと既存無線システム等との円滑な運用調整が行える仕組の構築に向け、運用調整に関する基本的な考え方、プロセス、支援体制等の検討を行い、「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの運用調整に関する基本的な在り方」が本年5月に取りまとめられています。今後、同在り方に従い、当該システムの運用調整が行われていくものと考えます。」

感想:検討会での審議には、JARL日野岳専務理事ほか関係者が出席していますが、どんな意見を述べているのか、JARL会員にはほとんど知らされていません。人身御供にされていないか、大丈夫でしょうか。

3 ダイナミック周波数共用の推進(61頁)

私の意見(要約):アマチュア無線が周波数共用システムの対象とされないようにお願いします。

総務省:「頂いた御意見は、総務省における今後の政策検討の際の参考とされるものと考えます。」

感想:まあ大丈夫・・かな。

4 深刻化する自然災害への対応(68頁)

私の意見(全文):先日施行されたアマチュア無線を社会貢献活動で活用できるようにするための法改正により、継ぎ目のない支援を行えるよう、狭義の非常通信のみならず、非常災害発生直前や災害復旧時においてもアマチュア無線を活用できることが明確になった。一般社団法人日本アマチュア無線連盟は、社会貢献活動に関するガイドラインを作成することを表明したにも関わらず、未だにガイドラインを作成できていない。総務省におかれては、早急に作成するようJARLを指導されたい。

総務省:「頂いた御意見は、総務省における今後の政策検討の際の参考とされるものと考えます。」

感想:総務省におかれましては、大いに参考にされて下さい。

5 アマチュア無線を活用したワイヤレス人材の育成(80頁)

私の意見(全文):81頁の「踏まえるとともに、法制度全体との中で整合性を図りつつ、検討を進める必要がある。」を、「踏まえるとともに、他の無線局との差異を法制度全体の中に適切に位置づけつつ、検討を進める必要がある。」と修正されたい。

ワイヤレス人材やデジタル人材の育成、無線技術の実験・研究開発の促進のためにアマチュア無線を活用することについては大賛成であるが、「法制度全体との中での整合性」という名目で、アマチュア無線局を他の無線局と同等の規制下に置いている現状を抜本的に見直す必要がある。

アマチュア無線の免許人は、無線技術の実験・研究開発のために、無線設備を頻繁に変更する必要があり、これは、他の無線局にはない特殊な点である。このような特殊性を踏まえれば、開局申請・変更申請(届出)という事前規制がアマチュア無線にそもそもなじまないことは明らかであり、諸外国においても、日本のように細かな変更申請(届出)を求めている例はほとんどない。アマチュア無線への事前規制に多大なリソースを割くのは、人口の減少により人材確保に苦労されている電波行政にとっても端的に無駄である。そこで、申請・届出が必要なケースを激減させるために、開局の時点で資格に応じた周波数帯・電波型式・出力を最大限指定するようにする運用の改正と、指定事項の変更がないかぎり変更申請(届出)を不要とする法令改正を検討されたい。

総務省:「頂いた御意見は、総務省における今後の政策検討の際の参考とされるものと考えます。報告書(案)を踏まえて、アマチュア無線をより活用しやすい制度・環境の実現に向けて、 アマチュア無線に係る免許・検査などの各制度の在り方について、今後、総務省において具体的な検討 が行われるものと考えます。アマチュア無線家の方々の御要望は幅広く、場合によっては方向性が異なるものがあることも考えられ、検討に当たっては、代表的なアマチュア無線家団体に検討に御参画いただき、その具体的な御意見等を踏まえて、 有識者や関係者による検討会 を開催して議論していくことが考えられます。その際には、 アマチュア無線を取り巻く我が国の社会環境や電波利用状況等の変化、無線機器の市場・技術動向等の変化、各国の制度やその社会環境、さらには電波法の目的等 を踏まえて、日本のアマチュア無線に適した、より自由で試行錯誤がしやすい実験・研究環境の実現、未来を担う青少年などの初心者にとってアマチュア無線を始めやすくなるような環境の整備などが検討されることが期待されているものと考えます。」

感想:今回、もっとも注目すべき回答ですね!

報告書(案)の「法制度全体との中で整合性を図りつつ」という部分を読んだとき、これは「アマチュア局だけ特別扱いできないよ」という総務省からの牽制球と読みました。これに対し私は、「アマチュア局は無線技術の実験・研究開発のためのもの。そもそも特殊なんだからそれに見合った規制に変えて欲しい。」というボールを投げました。総務省は、「日本のアマチュア無線に適した、 より自由で試行錯誤がしやすい実験・研究環境の実現 、未来を担う青少年などの 初心者にとってアマチュア無線を始めやすくなるような環境 」を整備したいと、直球を投げ返して下さいました。

さあ、アマチュア無線家にとって、 合理的で先進的な電波法に変えていただける、最大のチャンス到来 です。

同時に、「アマチュア無線家の方々の御要望は幅広く、場合によっては方向性が異なるものがあることも考えられ、検討に当たっては、代表的なアマチュア無線家団体に検討に御参画いただき、その具体的な御意見等を踏まえて」というのは、 「パブコメでいろんな意見が殺到するの、まとめるの大変なので、JARLさん、先にアマチュア無線家の意見を聞いてまとめてきなさいよ」という総務省のメッセージだと思います JARLは、アマチュア無線家の代表として検討会に参画させて欲しい、なんて前のめりになっています が、検討会に参加する前に、やるべきことがあります。

JARLは、この種のロビー活動の経験があるメンバー、技術に対する造詣があるメンバー、電波法を正しく理解できるメンバーを集めてきちんとした委員会を作り、会員からもアンケートを取って、実現可能性の高い、きちんとした要望を出していく体制を整える必要があります。今までのように、会員の意見も聞かず、だれがどこで書いたかわからない「要望」を出して終わりにするようなやり方では、この最大のチャンスをみすみす逃すことになりかねません。

私は、もちろん、このチャンスにおいて、全面的にご協力する用意があります。

6 公共用周波数の利用状況の検証

私の意見(要約):5MHz帯の利用状況を検証した上で、アマチュア無線への開放をぜひお願いしたい。

総務省:「5MHz帯の周波数割当にかかる御意見については、今後のアマチュア業務の利用ニーズをはじめ、既存無線局の利用状況を考慮しながら、 総務省において検討がなされる際の参考とされるものと考えます。」

感想:よろしくおねがいします。

7 免許手続などのデジタル化(150頁)

私の意見(要約):免許状の電子化を是非進めて。

総務省:「頂いた御意見は、報告書(案)に対する賛同意見として承ります。」

感想:デジタル庁に期待ですね。

8 技術基準不適合無線機器の流通抑止(153頁)

私の意見(要約):インターネットショッピングモール上に技術基準不適合無線機器があふれている。ショッピングモールの事業者に対し技術基準不適合無線機器の販売を抑止する法的義務を課すこと、また違反業者に対する総務大臣による勧告・命令に経済産業大臣の同意を要求する電波法102条の11第5項を削除してほしい。

総務省:「頂いた御意見は、総務省における今後の政策検討の際の参考とされるものと考えます。」

感想:電波法102条の11第5項の削除は、引き続き主張していきたい。

9 電波利用料の使途(160頁)

私の意見’(全文):電波利用料の使途に「電波監視」が挙げられているが、アマチュア無線の周波数帯(特に144MHz帯及び430MHz帯)には、コールサインを言わず営利業務の連絡を行っている無線局(免許を持っていないと思われる)が横行している。特に大都市の平日・土曜日昼間は、これらの違法局・不法局でバンド内がすべて埋まり、通常のアマチュア無線局の交信ができない状況である。これらに対する規制局の運用強化等、電波監視をさらに強化していただきたい。

総務省:「頂いた御意見は、総務省における今後の政策検討の際の参考とされるものと考えます。」

感想:弱いなぁ・・・よろしくお願いしますね!

アマチュア無線関連団体のご意見

JARL 92~93頁

意見の冒頭で突然「まず、 懇談会には「無線の実験においてフィールドを使うことは現状困難である」との意見が寄せられておりますが 、我が国のアマチュア無線では、135kHz帯から249GHz帯まで、様々な周波数帯での免許を取得することが可能で、それぞれの周波数帯での特徴を活かした様々な実験においてフィールドを使用することは可能であり、これらのフィールドを使用した実験において座学と実践のギャップをアマチュア無線により埋めることができるものと考えております。」と書かれています。

これでは何のことかよくわからないので記録を調べてみたところ、2021(令和3)年3月19日の第5回会合で行われた事業者ヒアリングでの議論を受けたもののようです。

この会合で、 深層学習とIoTを業務分野とする株式会社Preferred Networksが「電波資源利用効率化に対する期待」と題するプレゼン をされたのに対し、ある委員が、深層学習と通信技術を関連させた研究開発においては「データセットを確保することが課題である」が、「特に電波の干渉や運用の障害といったイレギュラーなものは基本発生しないものということで現在のシステムは構成されていると思うので、それらを検出してどう学習させるかについて」の知見を尋ねたところ、Preferred社は、「データセットは重要な視点であり、諸外国の研究動向を見ると、無線は生モノであるため、データセットが集まりにくい。・・・実際に通信する際にはこうなりそうだという予測を立てつつ、モデルを修正していくということが今後できると良いのではないかと思っている。ただし、まずは端末が実装できないとデータを集められないが。 無線の実験においては、実際のフィールドを使うことは現状困難であると認識しており データを集める実験のために、一部地域において無線局の免許が割り当てられるような特区 みたいなものがあれば、教育という観点からも、良いのではないかと思う。」と回答されています( 議事要旨6頁 )。

JARLは「アマチュア無線では、・・・それぞれの周波数帯での特徴を活かした様々な実験」が行われているといいますが、Preferred社の方は、ローカル5Gにおける基地局と端末間の電波資源利用をディープラーニングにより効率化していくといった大変高度な話をしているわけで、Preferred社の方には、

Preferred社のプレゼン16頁

と見抜かれてしまっているのです。JARLは、そういう高度な実験にもアマチュア無線を使える、使って欲しいと本気で思っているのでしょうか。IT人材の育成にアマチュア無線を利活用して欲しいなら、単なるレポート交換にとどまらない、こういう分野にも対応できるように準備せよ、という話です。意見を言ったからには、本気を出してもらいたいものです。

なお、JARLの意見書は、全体に読みにくい日本語です。
×デジタル変革化時代 → ○デジタル変革時代
「変革化ってヘンな言葉だなぁ」と思ったら不正確な引用でした。パブコメにかかった意見書のタイトルなのですから、正しく引用しましょう。

JARD 30頁

「一層の免許制度の簡素化やより入門しやすい新たな資格区分の創設等の資格制度の見直し」を要望していることをとらえて「5アマの創設か?」という意見を目にしました。

私は、現在の4アマでも十分に簡単であり、これ以上に簡単な資格は不要(JARDがもしそのようなことを考えているのなら反対)と考えています。

JAMSAT 58~59頁

アマチュア衛星に搭載される中継器(トランスポンダー)の免許人をJARLに限るのではなく、開発機関の団体に直接付与することを認めて欲しいとの要望を出されています。

これに対し 総務省は、「なお、アマチュア衛星(人工衛星局及び地球局)については、国際調整や制御回線の確実性など、業務用の人工衛星局及び地球局と同様の審査や検査が必要であることから、アマチュア衛星以外のアマチュア無線局と同様に考えることはできないと考えます。」と回答 しています。

ですが、今のJARLに、衛星に関する技術サポートができる体制があるようには思えません。JARL理事会の議事録には、衛星に関する免許手続き等について引き続き支援・協力を行っているとありますが、実態は、免許に関連した検査、免許の申請費用などはそれぞれの団体持ちでJARLが負担することはなく、総務省への衛星についての事前説明と落成検査に免許人として同席すること程度だそうです。結局のところ、JARLを通すことで、単に手続きを煩雑にさせているだけではないでしょうか。

YOTA Japan 127~132頁

従前、法人格のない団体(無線クラブなど)の意見は、個人の意見と扱われており、この扱いは珍しいと思われます。若い方の視点から、とても詳細で練られた意見です。私としては必ずしもすべての内容に賛成ではありませんが、アマチュア無線家であれば一読の価値があると思います。

(2021-09-20 記)


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