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7K1BIB/AC1AMの業務日誌 (2024/11/24 11:05:49)
現在データベースには 149 件のデータが登録されています。
先日、地裁判決が言い渡され 、 今後高裁での審理が予定されている 「会計帳簿等閲覧・謄写請求訴訟」にかかった費用は、以前「JARL正常化弁護団」に対し頂いたカンパから支出させていただきました。
2022年2月6日のご報告(第2回) 以降の収支を以下のとおりご報告申し上げます。
期初残高 | 633,112円 | |
収入 | 9円 | 銀行口座利息(3回) |
支出 | 13,000円 | 訴状貼付収入印紙代 |
6,000円 | 予納郵券(裁判所の通信費) | |
600円 | JARL登記簿全部事項証明書取得費用 | |
520円 | 郵送費(訴状提出) | |
440円 | 送金手数料(カンパ口座→出金者) | |
支出合計 | 20,560円 | |
残高 | 612,561円 |
「JARL正常化弁護団」にいただいたカンパは、法的手続きにかかる実費のみに使わせていただいています。弁護団は、弁護士報酬も交通費も飲食代もいただいておりません。
まだ十分な残高をお預かりしています。これだけあれば、さらなる裁判や、臨時社員総会の招集等、様々な法的手続きが考えられそうです。
JARL正常化弁護団へのご支援に感謝申し上げます。
(2023-04-30 記)
JARL選挙の問題点
JARLでは、2年に一度、2月から4月にかけて選挙が行われ、6月の社員総会で役員が選任されますが、なかなか複雑です。
特にわかりにくいのは、10個ある各エリアでの選挙で「理事の候補者」を選び、6月の社員総会にかけられ、承認された「理事」が各エリアの地方本部長に就任するしくみです。 「あるエリアの選挙で当選した人が、他のエリアの社員の反対で地方本部長に就任できなくなるのはおかしい」 との批判が、新法人発足直後からずっとなされてきました。
これまで、JARL執行部は、「解決は難しい」といって、この問題を放置してきました。
解決策
実は、解決はそれほど難しくありません。決定の順番を「理事→地方本部長」ではなく「地方本部長→理事」となるように入れ替えればよいのです。
ある人が「地方本部長」にふさわしいかどうかは、各エリアの正員が選挙で決めるべきです。
他方「理事」は、法律上、社員総会の決議で決めなければなりません( 法人法63条 )。
そこで、このようにすることを考えました。
- 「地方本部区域毎の理事の候補者の選挙」を、「地方本部長の選挙」に変更
し、各エリアの選挙で当選した人が、自動的に地方本部長に就任することにします。
- 6月の定時社員総会では、 以下の各候補者につき賛否の投票を行い、
過半数の賛成を得た人が「理事」に就任 することにします。
- (ア) 全国から選出された理事候補者 5名(変更なし)
- (イ) 地方本部長の選挙の当選者 10名
- (ウ) 理事会推薦 2名(変更なし)
こうすれば、「あるエリアの選挙で当選した人が、他のエリアの社員の反対で地方本部長に就任できなくなる」という事態は生じません。
社員提案
このようなアイデアは、何も私だけのものではなく、これまでもいろいろな方が提案してこられました。ですが、JARLの規程類をどのように変えれば良いのかという点まで踏み込んだご提案はなかったように思います。
私は、仕事柄、私ができる貢献と考え、規程類を読み込んでみました。その結果、「 定款 」の変更は不要で、「 規則 」の改正だけでできることがわかりました。つまり、 社員総会で過半数の賛成があれば実現できるということです。この点は、JARL総務部総務課に確認済みです 。
そこで、今年の6月25日(日)に開催される第12回JARL社員総会に「社員提案」を行いたいと考えています。すでに、たくさんの社員の方から、共同提案に参加するといって頂いています。
この案は、”立場”の違いを超えて、JARL選挙を合理化できるものと私は信じています。5月20日(土)の理事会で、よもや「山内の提案はどうあれ握りつぶす」なんてことが起こらないことを願っています。
なお、今回の提案よりさらにすすんで、例えば、「選挙の当選者が自動的に「理事」に就任するようにすべきだ」、といったご意見もあるかもしれません。ですが、社員が選挙で選ばれる今の代議制を前提とする限り、そのような制度は法人法63条に反するので、とり得ません。それなら代議制自体やめるべきだとなると、定款の大改正が必要となり、話はまとまらないでしょう。そこまでの大改革なしに、今の制度の大きな問題を解決できるということでご理解頂きたいと思います。
社員提案権行使書(地方本部長選挙)
現時点の案文です。もう一度見直して、来週には賛同者と一緒に事務局に提出したいと考えています。
JARL組織の今後
今回の提案は、JARLの組織改革の出発点です。JARL組織の問題点は、以上にとどまりません。
- 本部執行部に対する監視体制の圧倒的な不足、
- 委員会の固定化・不透明化、
- 理事と地方本部長の関係/社員と支部長の関係、
- 地方本部長・支部長の任務過重、
- 会長をはじめとする役職者の後継者不足、
- バンド活性化・バンド防衛、
- 交信確認を巡る諸問題、
- 体験運用等を使った一般社会とアマチュア無線界の関わり方、
- 広報・情報発信の不足
等々・・・問題は山積みです。
人口減少社会を踏まえつつ、先輩方から受け継いだ億単位の留保金があるうちにこれを有効活用して、アマチュア無線を未来に受け継ぐためにJARL組織をどうしたらよいか、思いを巡らせています。このブログを読んでくださっている皆様のご意見を、ぜひお聞かせください。
(2023-04-22 記)
2023年3月30日の東京地裁判決の続報です。
原告社員有志は、JARL(髙尾会長)に対し、東京地方裁判所の開示命令を受け容れるよう申し入れていましたが、被告JARLは、4月13日(木)、東京高等裁判所に控訴しました。大変残念なことです。
社員の会計帳簿開示請求権
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」第121条 は、全社員の10分の1の請求があれば、例外事由がない限り、一般社団法人は、会計帳簿等の開示請求を拒むことはできないと定めています。
JARLの財政は、私たち会員から集めた会費から成り立っています。おかしな使い途がないか、検証のため、会員に開示されるのは当然のことだと思います。
髙尾会長の独断
髙尾会長は、今回の会計帳簿開示請求訴訟の対応を、理事会にかけることなく、独断で進めています。今年2月の理事会で、開示請求に応じるべきとする田中理事の「決議案」を、会長髙尾氏は無断で「協議事項」に格下げし、決議を不当に回避しました。今回の控訴も、理事の意見を聞くことなく、髙尾会長が独断で決めました。
これまでは会長と行動を共にしていた理事の間からも、さすがに、控訴は弁護士費用の無駄だからやめるべきだとの声が上がっているようです。
今後の裁判がどう進むかは高等裁判所次第ですが、高裁の判決は、6月25日(日)の第12回社員総会よりは後になってしまうと予想されます。髙尾会長の控訴は引き延ばしが目的でしょう。原告側では、対応を検討しています。
疑いを掛けられている本人が、会員から集めたJARLの金を使って、自分の保身を図っています。JARLは、会長の暴走を止められない、ガバナンスが効かない末期状態に陥っています。
開示された会計帳簿・領収書の公開
3月30日の判決は、原告社員有志が過去の会計帳簿・領収書をウェブサイトで公開したことは問題ないと結論づけましたが、髙尾会長は、未だに納得しないようです。控訴しただけでなく、自分が行った不適切な支出を棚に上げて原告社員側を非難する文書をJARL Webから削除せず、自分のブログのトップ記事にも固定しています。
過去の開示で判明した不適切な支出
原告社員有志は、令和元年度の会計帳簿・領収書から判明した不適切な支出についての詳細な主張を、東京地裁に提出していました。以下のとおりです。
ア 1年間で約160万円もの飲食費と説明の拒否
「打合せ 会長他、計○名」という名目の経費が「広報活動費」や「連絡会費」として150件以上(つまり週に複数回)、金額にして合計160万円以上計上されていることが発覚し、これに対応する飲食店(居酒屋等)の領収書が多数発見された。
これに対し、複数の社員が、令和2年9月に開かれた社員総会(継続会)で、その目的や明細を明らかにするよう求めたが、会長である髙尾氏は、飲食の目的については、「被告の運営に必要」という抽象的な回答しかせず、相手についても、「相手先はプライバシーに関係するから回答を控える」としてこれを答えなかった(令和2年9月5日第9回定時社員総会継続会速記録・25頁)。
イ 福岡県行橋市でのスナック飲食代4万円
髙尾氏は、令和元年12月22日、福岡県行橋市を訪れ、某人物(髙尾氏は相手の名前を、プライバシーを理由に明かさない。)との会合と称して、一次会、二次会へ行き、被告から交通費を含む費用を拠出させた。二次会のスナック費用は4万円であった。被告の収入のほとんどが会員からの会費(正員の年会費は7200円)であることに照らせば、社会通念上許容しがたい金額である。
行橋市から車で約20分の距離にある築上郡築上町に、髙尾氏が被告における幹部選挙のために結成した「JARL会員ファーストの会」のメンバーであるA氏が居住している。この飲食が行われた令和元年12月当時、A氏は福岡県支部長であったが、翌年2月告示の選挙で、髙尾氏の熱烈な推薦を受けて九州地方本部長に出馬し、当選し、社員総会の承認を経て理事に就任した。なお、令和元年12月22日に、九州地方で被告の公式行事はなかった。
以上の事実に鑑みると、 令和元年12月22日の行橋市での飲食の相手はA氏であって、被告の公式行事と関係はなく、翌年の選挙に向けた「会員ファーストの会」の選挙活動としての飲食である蓋然性が高い。 もしそうだとすれば、 被告会長である髙尾氏は、会員が拠出した会費を、選挙における自らの支援者との飲食のために使用したことになる。このような個人的な利益のためにJARL会員からの会費を使用したのだとすれば、言語道断である。
ウ アウト・ドアへの「後援」
髙尾氏は、同氏が主宰する私的なサークル(クラブ)である「アウト・ドア」の参加メンバー(会員以外の者も含まれている)に提供したジュースの代金を、被告に支払わせたことを社員総会で認めた (令和2年9月5日第9回定時社員総会継続会速記録・17~19頁)。会長や専務理事は、被告の会員増強組織強化委員会による同クラブへの「後援」があったと取り繕おうとしたが、後援名義は、会員増強組織強化委員会委員長である髙尾氏が承認したものであり、所詮は「お手盛り」にすぎない。
被告に登録する他の私的なクラブにこのような現物支給がなされた例は見受けられないし、クラブが被告に申請すれば後援や現物支給を受けられることについての周知もされていない。要するに、髙尾氏による被告の資金の私的な流用である。
エ 会長の義兄への慶弔費の支払い
髙尾氏の義理の兄が逝去したことについて、被告から慶弔費が支出されている。同氏の義理の兄は、被告の活動とは全く無関係の人物である。本件以外に、会員の義理の親族に対して被告から慶弔費が出された例は、原告らの知る限り存在しない。
オ 髙尾氏と親しい一部会員への慶弔費
髙尾氏と親しい一部の会員に対してのみ、その親族の不幸に関し手厚いお見舞いがされている。 すなわち、髙尾氏と親しい島根県支部長(当時。後に中国地方本部長・理事)の妻が逝去したときに、被告から13万円という異例の費用が支出されている。髙尾氏と親しい副会長(北海道出身)の関係者の不幸についても、5万円ほどの支出が被告からなされた。他方、一般的な支部長本人が死去したときには、被告からは1万5000円の花が贈られただけであった(甲22の1:令和2年6月28日第9回定時社員総会速記録・16頁)。このように、合理的な理由なく、会員に対して不公正・差別的な処遇がされ、被告会長である髙尾氏に親しい人についてのみ手厚い対応が、会員からの会費を原資とする被告の経費でまかなわれている。
カ 会長の定期券の購入
被告会長は非常勤職であるのに、髙尾氏は定期券(最寄り駅の自転車駐車場料金と、鉄道運賃)を購入し、その代金を被告に請求している(甲22の1:令和2年6月28日第9回定時社員総会速記録・23頁)。
キ 髙尾氏名義の多数の請求書
髙尾氏名義で発行された被告宛の請求書 が多数存在し、それに基づき被告から髙尾氏に支払いがされているが、何ら明細等が付されておらず、具体的な内容が不明である(甲6-1:「開示された領収書の分析(その1・旅費交通費)」・2枚目。甲22の2:令和2年9月5日第9回定時社員総会継続会速記録・27頁)。
これについて髙尾氏は、「JARLの活性化、JARL運営、その他各種情報交換等の関係で支出しております。私的なものは一切ありません。」などと釈明したが(甲22の2・28頁)、 領収書の具体的な明細や目的・相手等も明かされない 状態で、「私的なものはない」と納得することなど不可能である。被告の運営はほとんどが会員からの会費でまかなわれているのであるから、支出の内容は会員に対し透明でなければならないのは、当然である。
JARL側から具体的な反論なし
以上の指摘に対し、JARLの代理人弁護士( 弁護士法人Authense法律事務所 )は、第1回目の期日で、「被告は、次回期日までに、・・・ 原告らの主張するような不正な支出が存在しないこと・・を主張する予定 である。」と述べました。JARL代理人弁護士も、髙尾会長からきちんとした説明があると思っていたのでしょう。
ところが、驚くべきことに、第2回目の期日で、JARLから具体的な反論はなく、 最後まで、具体的な反論はありませんでした。
最初はJARL代理人弁護士が「原告らの主張するような 不正な支出が存在しないこと を主張する予定」と言っていたのに反論できなかったことから、疑惑はますます深まるばかりです。
赤字決算について
JARLの赤字決算が続いていることについて、JARL(会長髙尾氏)からは、「被告の赤字決算は被告代表者が会長に就任する以前から発生していたものであり、むしろ、被告代表者が会長に就任して以降、赤字額は大幅な減少傾向にある。」「赤字決算の原因が現執行部の責任であることを窺わせるような事情は全く見受けられない。」との反論がありました。ですが、 過去も赤字だったから今も赤字で良いということにはなりません 。
私は、単純に「赤字だからダメ」と言っているわけではありません。先輩方から引き継いでいる億単位の留保金を有効に活用せず、ただ赤字の補填に使っている髙尾会長の姿勢を問題としているのです。赤字運営が続いてJARLがいつか破綻するのではないか、存続していけるのかと心配する声を、多くの会員から聞きます。
かつてJARLには、「 役員の重任は連続4期8年まで 」という覚書事項が存在しましたが、 髙尾氏が会長に就任した後の2017年9月に撤廃されてしまいました 。髙尾会長は、来年6月に満8年を迎えます。
事業の見直しもされず、財政改善の計画も立てられず、トップが自分の考えに固執して会員の声を無視し、場当たり的な運営が行われている状態は、さすがにもう終わりにしたいと思います。
監査法人との契約解消
JARL(髙尾会長)は、私がJARLの監査法人(当時)に連絡を取ったことを問題視しましたが、裁判所は、問題ないと認めて下さいました。
私が監査法人に連絡を取ったのは、もちろんの個人的な行動ではなく、複数の方の後押しがあってのことです。髙尾会長や日野岳専務理事が、社員総会等の場で、たびたび「決算については監査法人の承認を受けている」と説明していたことから、監査法人が、本当に赤字決算や不明朗な支出を良しとし、適正であると考えていたのか、確認したいと思ってのことでした。
実は、私は、監査法人の担当会計士から一度だけ電話をいただいたことがあります。その会計士は、監査は理事会との契約であって多くは話せないとしつつも、自分が請け負っていることは、 理事・監事・社員による被告の内部統制が効いていることを前提 に、社団法人として適正に会計処理が行われているかを、顧問料40万円(作業4日分)の範囲で見ているだけ、各支出が、当該法人の支出として適切かどうかは判断していない、それは、社員の方々等、内部の方が追究することである、外部の会計監査にそんなに大きなことを期待しないでほしいと、胸の内を吐露されました。
なお、JARLから提出された証拠の中に、JARL事務局と監査法人の間でやり取りされたメールがありました。事務局が監査法人に対し「社員総会で決算が否決された場合、どのように対応すべきか」と質問したのに対し、監査法人は、「承認を得られるまで臨時総会を開催する必要があると思います。 通常は役員を交代して承認を得られやすくなった段階で開催します。 」と回答しています。理事・監事の責任の取り方のひとつとして辞任があることを監査法人も示していたことになります。
(2023-04-19 記)
いよいよ官報掲載→施行
2023年3月22日、「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線の活用等に係る制度改正」関係の改正省令・告示が、官報に掲載されました。こちら(e-Govのパブコメ結果サイト)に、 改正省令・告示・審査基準の全文 が掲載されています。
JARLによる改正法令の解説は、悲しいかな、官報掲載に間に合いませんでした。代わりに、 総務省移動通信課の手による解説がJARL Newsに掲載され、そのPDFが一般公開されました 。総務省は、 社会貢献活動に関するガイドラインを2021年3月の法令施行までに出せなかったJARL には期待できないと判断し、代わりに自分で解説を書いたものと思われます。
JARLが果たした役割(JARLの公式見解)
パブコメ開始時 (2022年11月16日)
パブコメ結果公表時 (2022年3月9日)
改正省令等施行時 (2023年3月22日)
まるで、 JARLがきっかけを作り、「アドバイザリーボード」で内容が決まった、JG1KTC髙尾義則会長が制度改正を推し進めたかのような 書き方です。実際はどうだったのでしょうか。最近はやりの「ファクトチェック」をしてみましょう。
結論
- 今回の改正の中核部分は、「アドバイザリーボード」より前に開催された内閣府の規制改革推進会議「経済活性化ワーキング・グループ」で、すでに決まっていた。
- JARLにとって、内閣府のワーキンググループに参加できなかったのは黒歴史なのか、一言も触れていない。
- アドバイザリーボードでの髙尾氏のプレゼン内容は、すでに内閣府で決まっていた内容をなぞったもの。独自の要望もあるがほとんど実現していない。
- 総務省は、今回の改正を受けてJARLに「宿題」を与えているが、髙尾会長は頑としてやろうとしない。
私は、髙尾氏が、このような現実を隠して「今回の改正は自分の手柄」のように言うのは、不誠実だと思います。
「デジタル変革時代の電波政策懇談会」にJARLが提出した意見(2020年12月)
確かにJARLは、「 デジタル変革時代の電波政策懇談会 」が始まってすぐの2020年12月に 意見を出していました 。その要旨が、 JARL第54回理事会報告 に掲載されています。
「無線従事者資格と無線局免許が一体となる」いわゆる「包括免許制度」を要望しています。長年の願望を繰り返しただけで、具体的な改正案を提案したわけではありません。
それにしても、意見募集に対し、 JARLとしては極めて珍しく感度良く動いている のが印象的です。総務省から意見を出すように誘われたのでしょうか。
「デジタル変革時代の電波政策懇談会」報告書(2021年8月)
懇談会がまとめた報告書案が、 2021年7月1日にパブコメに掛けられました 。
ご覧のように、「法制度全体との中で整合性を図りつつ」という、後ろ向きの言葉が入っていました。 「そんなに変えないぞ」という総務省の意図 が透けて見えました。私は、アマチュア無線に厳しい規制を課す必要はないと考えており、 「他の無線局との差異を法制度全体の中に適切に位置づけつつ」と修正すべきである、との意見 を出しました。
他方、JARLの意見はこちら。文章はやたら長いのですが、法制度をどう変えてほしいのか、ほとんど読み取れません。
懇談会の意見書は、2021年8月31日、 「法制度全体との中で整合性を図りつつ」という文言のまま確定し 、公表されてしまいました。
からめ手から伏兵現る!
その後、しばらく進捗が止まったように見えました。
ところが、突如、思わぬ方向から伏兵が現れます。 2021年11月19日に開催された内閣府の規制改革推進会議「経済活性化ワーキング・グループ」で、アマチュア無線免許手続が取り上げられた のです。
この会議に、著名なDXerであるJQ1GYU櫻井豊氏が「YOTA-Japanの事務局」としてご登場。「 アマチュア無線免許の制度改革に関する要望- Society 5.0時代のワイヤレス人材の育成に向けて - 」と題するプレゼンをされました。
櫻井氏は、「 既存の私たちアマチュア無線家にとっての要望というより、これから日本を背負って立つ若者を、どうアマチュア無線を上手に教材として使って育てていくか、人材を育成していくか、という視点に立った上での制度改革という御提案を申し上げたい 」と前置きをされた上で、これまで、社会に変革をもたらすイノベーションが出現する際、黎明期前夜にアマチュア無線が「プロトタイプ」の役割を果たしてきたという事実を明らかにし、アマチュア無線は「ワイヤレス人材育成ツールとしての存在価値」があると論じ、そのような価値を踏まえた制度改革に関する要望を、 大所高所から 展開されました。
これ以上私があれこれ説明するのは野暮ですので、以下の資料で直接、櫻井氏のプレゼンを味わって頂ければと思います。一流のプレゼンテーションとはこういうものをいうのだと思います。
さて、本記事との関係で、櫻井氏が提案された制度改革案の核心部分を見てみましょう。
櫻井氏は、「現行制度の枠組みを尊重」「段階的に」と、総務省の立場を尊重しつつ、
- 国家試験に合格後、従事者免許と無線局免許(コールサイン)を同時に付与すること
- 技適を受けた市販無線機であれば、あらゆるケースで「届出」で済むようにすること
- 自作無線機については既存の保証制度を用いつつ、必要に応じて制度見直しを行うこと
と、提案されています。これ、今回の制度改正の目玉である、
- 従免と局免の同時申請手続の導入
- 一括表示記号(電波型式・周波数及び空中線電力)の導入による局免記載事項の簡素化と、その結果、「届出」ですむケースの大幅拡大
と、ほぼ同じ内容です。
つまり、今回の改正の中核部分は櫻井氏のアイデアであり、それが、内閣府の懇談会で採用され、総務省に下りてきたものだった、というわけです。
より詳しくは、後日、2022年12月に行われたYOTA Japanのオンライン公開討論会で、櫻井氏自身がウラ話も含めて解説されています(1時間5分過ぎくらいから)。
特にこのシートに書かれた「今回の意見募集に至った経緯」が強烈です。
櫻井氏の2022年1月1日付けブログ記事「 2021年を振り返って 」にもまとめられています。
このように、内閣府の規制改革推進会議「経済活性化ワーキング・グループ」での動きに、 JARLはまったく絡むことができませんでした 。
昨年の社員総会で、JA3HBF田原社員がこの点について質問したのですが、日野岳専務理事(当時)は、 「JARLが意見を求められたことはない。」「どのような経緯で設置されたかもわからない。」「これ以上答えられない。」と、半ば自嘲気味に答えただけ でした。とても情けなく、残念なことでした。
JARLは、この内閣府のワーキンググループの存在について、JARL WebでもJARLニュースでも、一切触れていません 。JARLにとっての「黒歴史」になってしまったからでしょう。
「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」では・・・?
さて、内閣府のワーキンググループで事実上「決着」が付いてしまった後、年が明けた2022年1月26日、「当連盟の髙尾会長も構成員として参画」した「 ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード 」第1回会合が総務省で開催されました。
髙尾氏が行ったプレゼンテーションが、「 議事次第・配付資料 」として公開されています(PDF20枚目以降)。
「アマチュア無線界を代表して」?
髙尾氏は、「アマチュア無線界を代表して」意見を述べると言っています。しかし、このプレゼンに先立ち、アマチュア無線界から意見を公募したわけでもなく、 誰の意見をもとに作成したのかわかりません 。
髙尾氏のプレゼンの内容
髙尾氏のプレゼンでの要望事項と、今回の改正で実現した内容を比較しました。
髙尾氏の要望事項 | 今回の改正との関係 |
無資格運用の拡大 |
今回、実現しました。体験局→学校・親族体験制度→体験運用の全面解禁は、総務省としての既定路線でした。 髙尾氏はARISS局導入が要望された2017年当時、無資格者の運用に後ろ向きだったことは有名な話 です。その後、体験局を運用したこともなく、学校体験制度が導入されても普及活動を行いませんでした。無資格運用の拡大はよいことですが、髙尾氏の意見としては唐突感を覚えます。 |
教育・研究活動の場での活用 | 今回、実現しました。実際には、JARDが要望されたもののようです。髙尾氏の意見としては、唐突感を覚えます。 |
プロ資格での操作範囲の拡大 | 今回は実現していません。 |
養成課程の受講日数の1日への短縮 | 今回は実現していません (1日はオンラインでもOKにはなりましたが、JARDの要望でしょう。)。 |
従免と局免の同時申請・初心者用申請様式 | 今回、実現しましたが、櫻井氏の提案に基づき、 内閣府のワーキンググループで既に決まっていた話でした 。 |
「包括免許制度」「無線機の把握を行わない」「無線機の検査も不要に」 |
今回、実現しましたが、櫻井氏の提案に基づき、
内閣府のワーキンググループで既に決まっていた話でした 。 なお、内閣府のワーキンググループでは「無線機の個別把握は維持する」とされていました。「無線機の把握を行わない」と要望することは悪くありませんが、今回は実現していないことは事実です。 |
より一層の電波監視体制の強化 | 今回の改正では、 むしろ、電波監視体制は後退 してしまいました。144/430MHz帯のVoIP帯と広帯域データ帯でのFMシンプレックス運用が認められてしまい、バンドプラン違反を問えなくなってしまいました。 |
外国アマチュア無線家が手続不要で運用を可に | 今回は実現していません。 |
「移動する局」と「移動しない局」の統合 | 今回は実現していません。 |
第三者のための通信を認めて | 今回、非常時に限って、第三者通信が行えることが明確になりました。髙尾氏の意見としては唐突感を覚えます。 |
髙尾氏の要望のほとんどは実現していないこと、実現したのは、内閣府のワーキンググループですでに決定していた事項ばかりであったことがわかります。
さらに、今回の改正には、髙尾氏も要望せず、アドバイザリーボードでも議論されなかったことが多数含まれています。
- 送信機の外部入力端子に接続する「アマチュア局特定附属装置」に係る手続の簡素合理化
- 再免許の申請期間の短縮(6ヶ月に)
- 人工衛星等のアマチュア局に関する制度の明確化及び整備
- バンドプラン告示の簡素合理化
- 記念局の制限
- 同一構内での遠隔操作についての簡素合理化
- 移動しない局への電場防護指針の適用厳格化
- 複数のレピータのネット接続の解禁
アドバイザリーボードは、バンドプラン告示の簡素合理化(いわゆる「 7041問題 」の抜本的解決策)や、 複数のレピータのネット接続の解禁 (C4FM等のデジタルモードのレピータ実現につながる)などの 要望事項を述べる絶好の機会だったはずです。 髙尾氏はFT8やデジタルモードをしないので、関心が無かったのでしょうか。
総務省の方は、私のこのブログを含め、幅広く情報収集をされているそうです。 総務省の方が、アマチュア無線界の要望を直接広く拾い上げてくださったとは、JARLとして情けないことではないでしょうか。
私は、髙尾氏がアドバイザリーボードで、アマチュア無線家の長年の夢を幅広に要望したこと自体は、よいことであったと思っています。また、アドバイザリーボードに毎回出席された髙尾氏のご足労にも、一会員として感謝したいと思います。
ですが、 内閣府のワーキンググループの存在を隠し、今回の改正は自分だけの手柄であるかのように述べていることは、誠実ではないと思います。 事実と異なりますし、今回の改正に尽力された関係者にも失礼ではないでしょうか。
改正法令施行後
改正法令施行と同時に公開された総務省の解説 に、わざわざ「JARL会員の皆様へのお願いと期待」なる項目が用意され、このように書かれています。
総務省が、アマチュア無線家・JARL会員ひとりひとりに呼びかけていることに私は驚きました。我々は、総務省から、JARL会長の頭越しに、直接呼びかけられているのです。
また、総務省は、「 集合知として 」、つまり、これまで体験局や体験運用を経験してきたアマチュア無線家の知識・経験を集めて、マニュアルやツールを作ることを期待しています。
集合知(しゅうごうち):多くの人の知識が蓄積したもの。また、その膨大な知識を分析したり体系化したりして、活用できる形にまとめたもの。(「 コトバンク 」より)
人間たるもの、全てのことをひとりでできるわけではなく、誰でも得意不得意があります。特に、組織のトップに立つ人は、自分だけで(あるいは、自分の好き人たちだけで)何でもやろうとするのではなく、不得意なことは人に任せる、頼むことも必要だと思います。
ですが、昨年11月の理事会で、「体験局・ニューカマー支援委員会」等の設置が提案されたにもかかわらず、髙尾氏は、ファースト派理事を巻き込んでこれを否決し、葬り去ったのです。そして、未だに、体験運用マニュアルは作成されていません。 やる気のある人を潰しておいて自分はやらないとは、どういう考えなのでしょうか。自分より目立ちそうな人が登場するたびに排除していては、組織は回らず、衰退していくばかりです。
バンドプラン告示の簡素合理化を受けて、JARLとしては、独自のバンドプランを制定する必要があります。アマチュア無線界の意見に耳を傾け、 IARUでのバンドプラン改定の動き を踏まえた検討が必要ですが、そのような動きは見られません。このまま9月25日を迎える気なのでしょうか。
髙尾氏は、 2023年3月24日、総務省を訪れて 、今回の改正についての「謝意」を伝えたとされています。その際に電波部長から、「今回の制度改正を広くアマチュア無線界に周知し 業界をあげて アマチュア無線の活性化に取り組んでいただき、ワイヤレス人材育成が進むことへの期待」と、念押しされています。総務省は、髙尾氏に対し、今回の改正を自分の手柄と独り占めするのではなく、人の意見を聞き多くの人の協力を得て、まじめに広報やマニュアル作成等の体制作りをせよとおっしゃっているのではないでしょうか。
総務省の解説 には、「JARL髙尾会長様」という、行政が使うにしては珍妙な言葉が6カ所も登場します(通常、肩書きに「様」は付けません。いうなら「JARL会長髙尾様」でしょう。)。「髙尾さん、お願いだから仕事して!」という悲痛な叫びが聞こえるようです。
(2023-04-09 記)
一般社団法人日本アマチュア無線連盟(JARL)の社員有志22名は、JARL(会長:JG1KTC髙尾義則氏)に対し、過去7年分の会計帳簿及び領収書の開示を求める「会計帳簿等閲覧謄写請求訴訟」を提起していましたが、本日(2023年3月30日)午前10時、 東京地方裁判所は、JARLに対し、髙尾氏が会長に就任した平成28(2016)年度から今年度まで7年分の会計帳簿・領収書全て(ただし最後の2週間分は除く)を開示するよう命ずる判決を言い渡しました。
判決主文
裁判所は、主文第2項で、JARLに対し、過去7年分の会計帳簿・領収書を社員有志に開示するよう命じました。
なお、主文第1項の意味は、「令和5年3月18日から31日までの会計帳簿・領収書は、審理が終結した3月17日の時点ではまだ作成されていないとJARLが主張するので、その部分は開示命令の対象から除外する」というものです(判決文10~11頁)。大きな問題ではありません。
判決理由のハイライト
会計帳簿・領収書の開示を求める理由
今回の訴えの原告となった社員有志22名は、
- 髙尾氏が会長に就任した平成28年以降、 JARLの赤字決算が継続 しており、会計帳簿等を確認してその原因を明らかにする必要がある、
- JARL執行部による不適切と考えられる支出が既に明らかになっているので、平成28年以降の会計帳簿を確認することで 不適切な支出が判明する可能性が高い
と主張しました。裁判所は、そのような理由は具体的であり、法律の要件を満たすと判断しました(判決文11~12頁)。
領収書も開示
JARLは、領収書類は開示の対象ではないと主張しました。
ですが、裁判所は、 領収書の開示を認めなければ、社員がJARLの経理状況について必要な情報を把握することができず、業務執行の是正を適切に行えないおそれがある、現に、過去に開示された領収書の記載内容から、社員らが問題視する飲食代などの具体的な支出の特定が可能になった として、領収書類も開示の対象と認めました。
「現執行体制を打倒するためという政治的な理由」?
JARLは、社員有志の請求の目的は、「JARLの現執行体制を打倒するためという政治的な理由」であるから、開示を拒絶すると主張しました。
ですが、裁判所は、社員有志は、正に社員として保有する権利(社員総会での賛否の投票)に関する調査として開示請求をしていると認めました。そして、理事解任議案の提出など 社員による責任追及が、結果的にJARLの現執行体制を変更することにつながるとしても、それは、会計帳簿の閲覧謄写請求がその重要な役割を果たしたことを意味し、不当なものではない として、JARLの開示拒絶を認めませんでした(判決文14~15頁)。
ブログでの会計帳簿・領収書の公開は問題なし
JARLは、弁護士である山内がJARLの監査法人と連絡をとったために契約延長がなされなかったから、開示を拒絶すると主張しました。ですが、裁判所は、関連性が乏しく開示を拒絶する理由にはならないと判断しました(判決文16頁)。
また、JARLは、社員有志が過去の会計帳簿や領収書をブログで公開した結果、インターネット上の掲示板に被告関連の誹謗中傷が書き込まれるなど、迷惑行為を受け対応せざるを得なかったから、開示を拒絶すると主張しました。JARLが問題としたブログの公開記事はこちらです。
- 2019年度会計帳簿の解析結果 (その1) (その2)
- 2019年度領収書の分析結果 (その1・旅費交通費) (その2・飲食費)
- 2020年度会計帳簿の解析結果
ですが、裁判所は、確かにブログ記事がきっかけとなって、インターネット上でJARL会長髙尾氏への批判等がされ、JARLに一定の負担が生じたことが推察されるが、 社員有志が殊更にJARLの業務を妨害したわけではないと認めました 。また、裁判所は、 社員有志がブログ記事で会計帳簿等を公開したのは、JARL執行部に関する情報を社員に伝え、かつ候補者に関する情報を約6万人のJARL会員に伝達するためであって、不当な目的や態様は認められない と判断しました。
さらに、 裁判所は、 開示された会計帳簿等によって、仮に違法又は不当な支出が明るみになって、JARL会長髙尾氏への批判等がされる結果になっても、それを通じてJARLの業務が適正化されるのであれば、かえってJARL会員の共同の利益につながる と明言しました 。(判決文16~17頁)
訴訟の背景と今後
東京地方裁判所は、過去2回、 令和2(2020)年6月8日 と 令和3(2021)年5月31日 に、JARLに対し会計帳簿を開示するよう命じる仮処分命令を下していました。JARL会長である髙尾氏は、顧問弁護士であるAuthense法律事務所(旧法律事務所オーセンス)をJARLの代理人とし、今回も会計帳簿・領収書の開示を拒絶する姿勢を示していましたが、東京地方裁判所はこれを認めませんでした。 JARLとしては3回目の敗訴です 。
今回の開示請求訴訟について、 JARL会長髙尾氏は、理事会に諮ることなく独断で訴訟対応を進めました 。また、今年2月の理事会において、JR3QHQ田中理事が、会計帳簿の開示に応じることを決議する議案を提出したにもかかわらず、JARL会長髙尾氏は、これを無断で協議事項に格下げするなど、 ガバナンスが効かない状況に陥っています 。一般社団法人においては、全ての理事に議案提案権があり、理事の提案した議案を協議事項に格下げした髙尾氏の取扱は不適切でした。
今後、社員有志は、JARL会長髙尾氏に対し、3回目の敗訴を真摯に受け止め、控訴することなく今回の判決を受け容れ、会計帳簿の開示に速やかに応じるよう求めて参ります。
(2023-03-30 記)
先日、初めてできたLuxembourg。
今日、LoTWでコンファームいただき、Mix/Digitalで100に達しました。
弱小設備でも”Century Club”の入り口に立つことができました。これも、2013年2月からこつこつ続けてきたJT65/FT8のおかげです。Hamlogのデータや、再開前の紙ログのデータは入れていません。こうなると、調べてみたくなりますね(笑)。
今後は、他のモードにも手を広げ、無理のない範囲で増やしていければと思っています。
(2023-03-21 記)
2023年3月19日(日)開催の「 関西アマチュア無線シンポジウム2023 」に一般参加して参りました。JARL大阪府支部と兵庫県支部合同のイベントです。3年ぶりの開催とのこと。私にとっては初参加でした。
ブース巡り
午前中はクラブブース・販売ブース巡り。ICOMブースでは、昨年IC-705に搭載されたDVレピータモニター機能(遠方のレピータの音声を聞ける機能)が、近日中にIC-9700にも搭載されるとのアナウンスがありました。これは楽しみです。
レストアできそうな古い無線機に食指が伸びるも我慢し、IC-705に使えそうな1.4mのロッドアンテナを購入。
DXCCフィールドチェックをされていたボランティアの方のお話はとても勉強になりました(私は現在MIXで99。まだまだです。)。
立食パーティ
昼食は立食パーティに参加(この部分は参加費2500円)。参加者は70名を超えたそうで大盛況です。食事は和洋中華揃っていてとてもおいしかったのですが、経費節減のため、ケータリング業者に頼まず、実行委員の方が自分で店に足を運び調達されたとのこと。ありがたいことです。
Masacoさんの歌を聴きながら、高ア連( 全国高校アマチュア無線連盟・全国高文連アマチュア無線専門部設立準備会 )の先生のお話を拝聴。勤務校だけでなく全国の高校生の活動を支援されているご尽力に頭が下がります。次回の高校コンテストでは、頑張ってCQを出している学生さんたちに、もっともっとお声がけしようと思いました(JARLも、高校コンテストへの参加を呼びかけて応援すればよい。それが真のWAKAMONO支援ではないでしょうか。)。
JG1KTC髙尾会長のご講演
午後は髙尾氏のご講演を拝聴。タイトルはいつもの「JARLの現状と取り組み」でしたが、他の会場では30分なのに、今回は1時間30分もあります。質問タイムもあると聞きました。最近のJARLの業務運営に対する疑問・要望をたくさん聞いています。それを会長にぶつけることは、JARL社員の責務と考えて参加しました。
聴衆は40名ほど。
会長の自己紹介
移動運用一筋、以前はコンテスターだった、セスナ機からの運用、会長就任の翌年に大学医学部事務職を早期退職された等、だいたい以前伺った内容と同じ。移動運用の写真で「この写真ではステーは張っていませんが皆さんはステーをとってください。」と。
ここまでで約15分。
最近の取り組みのご紹介
昨年の社員総会で専務理事が専任されなかったので、専務理事の業務もカバーし、毎日JARLに出勤している。「無報酬」だが定期代はいただいている。
【注:一昨年の会計帳簿開示で、以前から定期代が出ていたことが発覚しています。】
JARLは潰れるよという声を聞くが、総会員数は2021年も2022年も増加。今年度は、正員は増えているが准員は減る見込み。
【注:「局免なし正員」の洗い出しにより「局免なし准員」が大幅に増加し1万人を超え、これが総会員数を押し上げています。】
会員の年齢構成。平均は65歳に近い64歳。「50代以下は若手」。
内部留保は「8億円」ある。サービスを落とさずにJARLを運営している。
昨年はハムフェアを開催できた。いろいろな意見、中には、感染したら会長が責任をとるのか!という意見まであった。昨年の出展者数は例年の7割。収支バランスを、いろいろ委員会で検討している。
【注:2023年の出展費大幅値上げには触れず。】
アマチュア無線がメディアに取り上げられた。NHKのニュースで、高層マンション居住者の取材があったときには私が立ち会った。
【注:紹介されたのは会長がかかわった報道ばかり。それ以外の報道もたくさんあり、私もできるだけTweetしていますが、JARL
Web等で紹介すればよいのにと思います。
ARRLのメルマガ には「Amateur Radio in the News」というコーナーがあります。】
昨年パブコメにかかった法改正について、総務省のパワポのコピーを使って簡単に説明。申請書はチェックをひとつつければよくなる、簡単になる等。
【注:いやいや、申請書が簡単になった=「一括記載コードの拡充」の意味がわかってらっしゃるのでしょうか。技適機種なら、購入後「遅滞なく届出」だけで、総通の審査を待たずに使い始めてよいことになるケースが大幅に増える、ということが、我々にとっての大きなメリットなのですが。】
今週中、24日までには官報に掲載されると思う。
【これは貴重な情報。しかし、官報掲載までに、JARLの広報は間に合うのか。→後に質問】
ここまでで約1時間経過・・。
会長になってからの取り組み
最近の取り組みのお話が終わり、いよいよ質問タイムかと思いきや、いつもの「会長になってからの取り組み」のお話が始まり、「質問はないのか」とのどよめき。内容は「職員へのマナー講座」「門標板の復活」「各種保険の宣伝」等。「カプセルモールスキー」のお話。5個持ってきたのでのちほどじゃんけんをしますと。
という次第で、ご自身のお話だけで、1時間25分を消費。
じゃんけん大会!
「会長になってからの取り組み」が終わったところで、私は待ちきれず(すみません)「質問!」というと、髙尾氏は顔色を変えて「質問ではなくてじゃんけんをします」とおっしゃり、持参されたカプセルキー5個を賭けたじゃんけん大会のはじまり。
じゃんけん大会終了でちょうど15時。
質問タイム
ご清聴ありがとうございました、とご講演を締めくくった後、演台を指さし、「ご質問という声がありましたので、後ほどここで個別に伺います」とのこと。「なんでや」「みんなの前で受けられんのか」との声。
私は、演台に近づき質問しようとします。
山内: 今年のハムフェアの出展料が値上げになった件ですが、・・
高尾氏: ちょ、ちょっと・・、荷物置いてくるから・・・(荷物をまとめて退室)
(戻ってこないのではないかとの声もありましたが、まもなくお戻りになりました。)
高尾氏: 個別に伺いますよ。
( ここでまず別の方が、演台で個別に質問。私は演台の近くで待ち、2番目に質問させていただきました。声が大きいので部屋中に響いていたかもしれません。)
山内: 今年のハムフェアの出展料が1.6倍になり、大騒ぎになっている。多くの方が、さすがに高すぎるので出展を取りやめようかといっている。値上げの前に、コストカットの議論をしていないのか。パーティションを見直すとか、会長のラジオのための防音ブースは要るのかとか、事前説明会をやめるとか、 コストカットをしてから、出展者の皆さんに、申し訳ないけど値上げさせてほしい、とお願いするのが筋ではないか。
会長: いろいろ幅広く議論をした。 ご意見としては伺う。
山内: いや、もう決めて出てしまっているのに。
高尾氏: だからご意見として伺う。
山内: ご意見として伺うという前に、では、ハムフェア実行委員会で話をしたのか。
高尾氏: もちろん。だから、 ご意見として伺う。
山内: では、今回は大幅な値上げなので、理事会では意見を聞いたのか。理事会ではこの件は話題にならなかったと聞く。
高尾氏: ご要望としては伺う、以上。
山内: ご要望ご要望って・・・
高尾氏: だって、・・・ご要望として意見を承っちゃいけないのか。
山内: (苦笑)・・では、今回の法改正について。会長ご自身がアドバイザリーボードでプレゼンテーションをされたりしたことはよくわかった。だが、今回の改正はバラ色の話ばかりではない。
髙尾氏: それはそう。
山内: 体験局は廃止、記念局の大幅な削減、バンドプランは大幅に法制度から削除される。それをうけて、JARLとしてどうするのか。3月に官報に載れば、体験運用は誰でもできることになる。 きちんと広報をしないと、ハンディ機を貸して「ほらCQ出してごらん」とやる人が出てくるかもしれない。これは違法。きちんと広報をする準備をなぜしないのか。
会長: ど・・どういう? (会場苦笑)。告示はこれからだ。
山内: 確かに告示はこれからだが、会長自身アドバイザリーボードに関わっていたのだから、改正の内容は知っていたのではないか。
高尾氏: いろいろ、だから・・ ご要望として承る。
山内: いや。
高尾氏: 人の話を聞きなさい。
山内: 私、会長はいい人だと思うが、そうやって人の意見を聞かないのがどうかと思う。
高尾氏: だって、ご要望として承るしかないじゃないですか。
(会場から田中理事):そうじゃないでしょう。何もやってないからこうして文句が出る。我々は提案しましたよ。
高尾氏: 何もわかっていないでいわないでよ。(手を挙げているJJ2JIX後藤氏(JARL社員)を指し)後藤さんどうぞ。
後藤氏: 今日の話で、これからどうするか、何も聞こえてこなかった。今の話も、 法体制が変わって、ではこれからどうするのかという話が何も聞こえてこない。会長はまだ答えを出してみえない。 こうやるべきですよということをいうべき。でないと、みんなが勝手な運用をしたら違法になる可能性もある。 今考えているともいわなかったし、やるともやらないともいわなかった 。ぜひやっていただきたい。
山内: ひとつ大きな問題は、 昨年11月の理事会で「体験局委員会の設置」が提案されたが会長はそれをつぶした。そのときに、会員増強組織強化委員会でやるといっていたのに、2月の理事会までに何もでてきていない。
高尾氏: それは、違うと思いますよ。
山内: 事実でしょう。
(会場から田中理事): 事実です。
山内: 何か違いますか。もっと正確に言えば、土曜日の時点では、委員会は必要だねと、会長を支持している理事も納得されていた。ところが、その日には採決がされなくて、一晩明けて日曜日の朝になってみたら、いつの間にか反対に回っていたという話。
髙尾氏: よくわからないなぁ。
山内: その理由は 「会員増強組織強化委員会の尾形委員長がやる。」と言った。なのに、2月の理事会までにやってなかったという話。だから3月の施行に間に合わなかったんでしょう。
会長: ちょっと違う。
山内: では、どこが違うか教えていただきたい。
会長: 一方的におっしゃっている部分が違うんじゃないですか、といっている。
山内: 具体的にどこが違いましたか?
会長: いついつまでにやる、という約束を尾形さんがしたとおっしゃっているが、それはしていない。 そこが違う。
山内: 約束をしてなかったとしても、 3月の施行ということはわかっていたでしょう。 これに間に合わせないと、皆さん違法運用しちゃうかもしれない。
後藤氏: 総務省も、JARLが広報をやっていただけるという話を言っている。
高尾氏: 今後ね。
山内: 今後でよいと思っていること自体が間違っていると思う。
髙尾氏: 1年後も今後だけど、何日後も今後だよ。
山内: 3月に施行されたと同時に広報できるように準備しないんですか。
髙尾氏: そこが・・そこがね・・
山内: 非常に残念。
髙尾氏: ただ、・・ご要望として承った。官報告示がどう出るのか、それも最終的に確認しなければいけない。
山内: 電波監理審議会を通ったものはまず変えられないですよ?
髙尾氏: 内容は、わかりませんよ。告示も出ていないんですから。
後藤: 今出ているものについて、作っておけますよね。準備しておいて、変わった部分があれば変えて出せばいい。
髙尾氏: だから、今後というのは、いろんな意味を含めているんですよ。申し上げられないけど。以上。(立ち去る)
感想
私たち会員が気づかない理由、お考えを、差し支えない範囲でご説明頂けるかと期待していたのですが、「要望として承る」ばかりで対話にならず、さすがに私も冷静さを欠いてしまったかもしれません。今振り返って猛省しています。
「告示の内容はわからない」とおっしゃる。話がかみ合わなかったのは、ひょっとすると髙尾氏は、パブコメにかかった告示案を読んでいないのかもとすら思わざるを得ません。
会員増強組織強化委員会やハムフェア実行委員会で議論したとおっしゃっていますが、それぞれの委員会は髙尾氏のペースで進み、委員の意見は通らないと聞きます。
会長職は、そこに座る人の「万能感」を満足させるためにあるわけではありません。髙尾氏も意固地にならず、もう少し人の意見をお聞きにならないと、JARLはますます迷走するばかりです。
(2023-03-20 記)
アマチュア無線フェスティバル(ハムフェア)2023の出展要項の配布が始まりましたが、以下の変更が大きな話題になっています。
出展代表者の個人情報のパンフレットへの掲載
住所(番地まで)、氏名、電話番号 → 住所(市町村まで)、氏名、電話番号又はメールアドレス
純粋展示(物販なし)
1コマ 23,760円 → 38,000円
2コマ 41,580円 → 66,500円
Far East DX Ploiters(FEDXP) の会長でいらっしゃるJA4DND松浦さん(JARL中国地方選出社員)が、ハムフェア実行委員会委員長髙尾義則氏(JARL会長)に対し、以下の申入書を提出されたそうです。拡散するようご依頼を受けましたので、ここに掲載します。内容については、私も同感です。
(ここから)
(1)ハムフェア ガイドブックでの個人情報保護について
昨年まではハムフェアガイドブックのクラブコーナーの出展者一覧表の中に、代表者の住所、氏名、電話番号が記載されていました。
今年は出展申込書に、「電話番号またはメールアドレス」と住所は「市町村名」の記入が求められています。しかし、この内容では基本的には前年と大差なく、一部個人情報保護の対象となるものもあり、「個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべき」との個人情報保護に関する法律についてのガイドラインにも抵触する恐れがあると思われます。
JARLの個人情報管理は、例えば会員名簿では記載事項のうち個人情報に関するものは、本人に掲載することについての確認(了解)の上記載されている、と理解しております。一方で、このガイドブックは不特定来訪者に制限なく配布されるものであり、個人情報についてはより慎重な対応が求められます。なかでも、住所、電話番号やメールアドレスは特に注意が必要です。
また出展参加要項には「来場者より、主催者ヘクラブの連絡先等の問い合わせがあった際には、代表者・連絡者の連絡先をご案内いたしますので、ご了承 ください」
との記述がありますが、問い合わせがあればその理由を明確にし、本人の確認を得たうえで案内をすべきです。
JARLとして、個人の意思を確認しないで住所(市町村名)やメールアドレス掲載するほどの必要性があるとは思いません。どうしても必要ならその理由を明記し、本人の意思の確認をすべきと思います。
主催者としていかなる理由があっても個人情報は厳格に守られるべきで、これが原因で個人に不利益や被害の発生がないように最大限配慮すべきと思います。余りにも個人情報を軽視していると言わざるを得ません。JARLとしてのコンプライアンスはどこに行ってしまったのでしょう?
公共団体、民間の組織、団体,企業においても、個人情報は近年特に厳格に管理されており、その実態からみればJARLのハムフェアガイドブックにおける個人情報管理はその見識の甘さを指摘する声もあり、憂慮しています。
むしろ、希望者にはコールサイン(個人情報ではない)を明記したほうが、情報としての有意性は高いかと思います。
(2)純粋展示の出展参加料値上げについて
今回の純粋展示の出展参加料が66,500円(2小間)になり大幅に値上げとなっていますが、この件に関して理事会で議論された形跡が見当たりません。
値上げという重要な内容を理事会で審議もしないで決めるというプロセスは組織としてのマネージメントの基本的な瑕疵であり、組織としてのコンプライアンスが確立されていないことに非常に危機感を覚えます。
なぜこの金額に設定したのか、なぜ今年は純粋クラブだけなのか等、出展者が納得できる説明が一切ないことは非常に残念です。
JARLとしては、値上げに至った正確な情報の提供と関係者に理解いただくための丁寧な説明が必要ではないでしょうか?
ハムフェアは来場者、出展者の理解と協力があってのイベントです。会員目線で汗もかき、知恵も出すというJARLの努力が必要と思います。
各団体とも当惑し、出展中止も含めた検討がされ始めているとの情報もありますので3月中の早急なる対応が必要と思います。
今年は従来通りとし、理事会の論議も含めて、関係者に十分丁寧な説明を行ったあとで来年の対応として周知徹底されてはいかがでしょうか?
いったん決めたことを撤回するのは勇気がいることですが、アフターコロナを見据えた今年のハムフェアの状況を見たうえで再度議論するという考えには多くの共感を得ることと思います。このまま強行すればJARLの信頼性をまた失ってしまいます。
(ここまで)
(2023-03-19 記)
体験運用の全面解禁(振興策試案)
JARLによる「体験運用の振興策」は、残念ながら3月の施行に間に合いそうにありません 。そこで、僭越ながら試案を考えてみましたので公開します。髙尾会長、尾形理事におかれましては、採用をご検討頂けましたら幸いです。
- 「体験運用セット」を作る。
- 宣伝用「体験運用ミニのぼり」
- 体験運用の前に行うレクチャーで使う資料。動画だとなおよし。
(今回の改正で、体験者が「無線技術に対する理解と関心を深めるとともに、当該操作に関する知識及び技能を習得できるよう、適切な働きかけに努める」こととされましたので、「はい、話せたね、面白かったね」ではちょっと不十分な感じです。) - 体験運用シナリオ
(しつこいようですが交信の最初は有資格者が始め、最後は有資格者が締める必要があります。シナリオは、違法運用を防ぐためにとても重要) - 修了者に渡す「アマチュア無線体験交信証」
- 「免許の取り方」パンフレット(国試と講習会の日程表付き)
- (以上、きれいに印刷して販売すれば、JARLの宣伝と増収策の一石二鳥)
- 「アマチュア無線体験運用シンポジウム」をオンラインで開く。
- 第Ⅰ部 総務省の方をお招きして制度のご説明
- 第Ⅱ部 体験局運営経験者による「(仮)体験運用のススメ」
- 第Ⅲ部 座談会「(仮)体験運用の苦労と喜び」
-
⇒Ⅱ部とⅢ部には、「JARL支部体験局」「学校クラブ体験局」「地域クラブ体験局」「ボーイスカウト体験局」「記念局を兼ねる体験局」等々の方々をお招きしたい。
-
「アマチュア無線体験運用の日」を制定する。例えば5月5日のこどもの日と10月第2月曜のスポーツの日はいかがでしょうか。
- 今回の体験運用の全面解禁を祝う「体験運用QSOパーティ」を開催する。
- コンテストに「体験局部門」を設ける。体験局とのQSOは得点アップ等々。
体験証の例( JR1YNU/8J1YAOのサイトよりリンク貼り付け )
ミニのぼりの例(8J2YABの例。 7コールアマチュア無線クラブのサイトよりリンク貼り付け )
外国人の日本でのアマチュア無線運用
今回の改正部分を含め、全体像を整理してみます。
「相互運用協定」締結国(注1)の免許保有者(国籍問わず) | それ以外の国の免許の保有者 | |
個人局の開局 | 来日前に開局申請が必要 コールサインは通常のJコール | 不可 |
社団局のメンバーになる | 来日前に総通から「証明書」の取得が必要 | 不可 |
社団局のゲスト運用 | できるが、社団局構成員の立ち会いが必要 | 不可 |
個人局・社団局の体験運用 | できるが、免許人によるコントロール必要 | 同左 |
外国旅行者が日本で運用するには、「事前の手続」(上ふたつ)か、「日本のアマチュアの立ち会い」(下ふたつ)が必要です。
赤く塗った部分 、「外国有資格者が(個人局を開設せず)社団局のメンバーになるためには、総通から証明書を取得することが必要」ということ、あまり知られていないと思います。 JJ1WTL本林さんの記事 に証明書のサンプルが載っています(「3. 日本の局免を持たない外国人の,社団局運用」)。
今回の改正は、 上の青く塗ったケース (ゲストオペ・体験運用)では、総通の事前証明書は不要ということを 明確にしただけ です。実質は変わりません。
日本の有資格者が米国を訪問したときは、何の手続も要らず、空港に降り立ったときから「W1/7K1BIB」のコールサインで運用できます。日本の手続はあまりに面倒。「相互」協定とはいえないと思います。OMOTENASHIの精神で制度を変えていきたいものです。
(注1)「相互運用協定」締結国:米、独、加、豪、仏、韓国、フィンランド、アイルランド、ペルー、ニュージーランド、インドネシア、 CEPT Recommendation T/R 61-02 参加国
D-STARレピータのリフレクタへの接続解禁?
C4FMレピータの解禁?
電波法関係審査基準の「14 レピーター局」について、ひっそりと以下の改正がなされます。
改正後の条文 | 現在の条文 |
イ
公衆網に接続することによって一体として構成される レピーター局
に係る中継を行う場合(構成図は、図15―3のとおり。)。 ただし、周波数の有効利用の観点から、公衆網に接続するレピーター局を起動させるための信号は、特定のレピーター局を起動させるものであって、かつ、起動するレピーター局は必要最小限のものに限るものであること。 |
イ 公衆網に接続することによって一体として構成される 二のレピーター局 に係る中継を行う場合(構成図は、図15―3のとおり。) |
今は「2個のレピータ」をネット接続することしか認められていませんが、この個数制限がなくなります。これ、大きな朗報かもしれません。
D-STARは日本発のデジタル技術ですが、2個のレピータをインターネットでつなぐところから始まりました。いわゆる「ゲート越え」運用ですね。
海外では、D-STAR網はさらに進化して、「リフレクタ」という一種のサーバーに、たくさんのレピータがぶら下がる仕組みが主流になっています。世界各地のレピータがぶら下がっていて、米国からCQを出すとオーストラリアからコールバックがあるといった超巨大リフレクタもあります。日本から海外のレピータに「ゲート越え」をしようとしても対応していなかったり、レピータは対応していても現地のハムが「RX→CSボタンを押す」といった操作を知らないので、D-STAR経由での海外交信はなかなかできなくなってしまいました。
他方、日本のD-STAR網では、レピータのリフレクタ接続は認められていません。相変わらず「ゲート越え(コールサインルーティング)」だけ。
日本でレピータのリフレクタ接続が認められない原因は、現在の条文上、「2個のレピーター局」の接続しか認めていないことにあると私は見ています。リフレクタの仕組みでは、3個以上のレピータがリフレクタを中継してネット接続されることになってしまうからです。
WIRES-XやDMRのレピータが認められていないのも、(JARLの意向はさておき)現在の条文が「2個のレピータ局」の接続しか認めていないことに原因がありそうです。
ところが、今回の改正で「二の」という文字が消えることになりました。これは、リフレクタ接続に途を開くことになるのではないでしょうか。パブコメで以下の質問を投げてみました。
私の質問
総務省の回答
「ご提示の内容が不明」・・・総務省は、海外D-STAR網の実態までは把握されていないようです。さあここでJARLの出番でしょう。
2021年2月のJARL第54回理事会 で、D-STAR以外のレピータを検討することが決まっています。その後、動きが見られませんが、D-STARレピータでのリフレクタの解禁、WIRES-XやDMRレピータの解禁のため、JARLには積極的に動いてほしいものです。
(2023-03-17 記)
体験運用の全面解禁(振興策試案)
JARLによる「体験運用の振興策」は、残念ながら3月の施行に間に合いそうにありません 。そこで、僭越ながら試案を考えてみましたので公開します。髙尾会長、尾形理事におかれましては、採用をご検討頂けましたら幸いです。
- 「体験運用セット」を作る。
- 宣伝用「体験運用ミニのぼり」
- 体験運用の前に行うレクチャーで使う資料。動画だとなおよし。
(今回の改正で、体験者が「無線技術に対する理解と関心を深めるとともに、当該操作に関する知識及び技能を習得できるよう、適切な働きかけに努める」こととされましたので、「はい、話せたね、面白かったね」ではちょっと不十分な感じです。) - 体験運用シナリオ
(しつこいようですが交信の最初は有資格者が始め、最後は有資格者が締める必要があります。シナリオは、違法運用を防ぐためにとても重要) - 修了者に渡す「アマチュア無線体験交信証」
- 「免許の取り方」パンフレット(国試と講習会の日程表付き)
- (以上、きれいに印刷して販売すれば、JARLの宣伝と増収策の一石二鳥)
- 「アマチュア無線体験運用シンポジウム」をオンラインで開く。
- 第Ⅰ部 総務省の方をお招きして制度のご説明
- 第Ⅱ部 体験局運営経験者による「(仮)体験運用のススメ」
- 第Ⅲ部 座談会「(仮)体験運用の苦労と喜び」
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⇒Ⅱ部とⅢ部には、「JARL支部体験局」「学校クラブ体験局」「地域クラブ体験局」「ボーイスカウト体験局」「記念局を兼ねる体験局」等々の方々をお招きしたい。
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「アマチュア無線体験運用の日」を制定する。例えば5月5日のこどもの日と10月第2月曜のスポーツの日はいかがでしょうか。
- 今回の体験運用の全面解禁を祝う「体験運用QSOパーティ」を開催する。
- コンテストに「体験局部門」を設ける。体験局とのQSOは得点アップ等々。
体験証の例( JR1YNU/8J1YAOのサイトよりリンク貼り付け )
ミニのぼりの例(8J2YABの例。 7コールアマチュア無線クラブのサイトよりリンク貼り付け )
外国人の日本でのアマチュア無線運用
今回の改正部分を含め、全体像を整理してみます。
「相互運用協定」締結国(注1)の免許保有者(国籍問わず) | それ以外の国の免許の保有者 | |
個人局の開局 | 来日前に開局申請が必要 コールサインは通常のJコール | 不可 |
社団局のメンバーになる | 来日前に総通から「証明書」の取得が必要 | 不可 |
社団局のゲスト運用 | できるが、社団局構成員の立ち会いが必要 | 不可 |
個人局・社団局の体験運用 | できるが、免許人によるコントロール必要 | 同左 |
外国旅行者が日本で運用するには、「事前の手続」(上ふたつ)か、「日本のアマチュアの立ち会い」(下ふたつ)が必要です。
赤く塗った部分 、「外国有資格者が(個人局を開設せず)社団局のメンバーになるためには、総通から証明書を取得することが必要」ということ、あまり知られていないと思います。 JJ1WTL本林さんの記事 に証明書のサンプルが載っています(「3. 日本の局免を持たない外国人の,社団局運用」)。
今回の改正は、 上の青く塗ったケース (ゲストオペ・体験運用)では、総通の事前証明書は不要ということを 明確にしただけ です。実質は変わりません。
日本の有資格者が米国を訪問したときは、何の手続も要らず、空港に降り立ったときから「W1/7K1BIB」のコールサインで運用できます。日本の手続はあまりに面倒。「相互」協定とはいえないと思います。OMOTENASHIの精神で制度を変えていきたいものです。
(注1)「相互運用協定」締結国:米、独、加、豪、仏、韓国、フィンランド、アイルランド、ペルー、ニュージーランド、インドネシア、 CEPT Recommendation T/R 61-02 参加国
D-STARレピータのリフレクタへの接続解禁?
C4FMレピータの解禁?
電波法関係審査基準の「14 レピーター局」について、ひっそりと以下の改正がなされます。
改正後の条文 | 現在の条文 |
イ
公衆網に接続することによって一体として構成される レピーター局
に係る中継を行う場合(構成図は、図15―3のとおり。)。 ただし、周波数の有効利用の観点から、公衆網に接続するレピーター局を起動させるための信号は、特定のレピーター局を起動させるものであって、かつ、起動するレピーター局は必要最小限のものに限るものであること。 |
イ 公衆網に接続することによって一体として構成される 二のレピーター局 に係る中継を行う場合(構成図は、図15―3のとおり。) |
今は「2個のレピータ」をネット接続することしか認められていませんが、この個数制限がなくなります。これ、大きな朗報かもしれません。
D-STARは日本発のデジタル技術ですが、2個のレピータをインターネットでつなぐところから始まりました。いわゆる「ゲート越え」運用ですね。
海外では、D-STAR網はさらに進化して、「リフレクタ」という一種のサーバーに、たくさんのレピータがぶら下がる仕組みが主流になっています。世界各地のレピータがぶら下がっていて、米国からCQを出すとオーストラリアからコールバックがあるといった超巨大リフレクタもあります。日本から海外のレピータに「ゲート越え」をしようとしても対応していなかったり、レピータは対応していても現地のハムが「RX→CSボタンを押す」といった操作を知らないので、D-STAR経由での海外交信はなかなかできなくなってしまいました。
他方、日本のD-STAR網では、レピータのリフレクタ接続は認められていません。相変わらず「ゲート越え(コールサインルーティング)」だけ。
日本でレピータのリフレクタ接続が認められない原因は、現在の条文上、「2個のレピーター局」の接続しか認めていないことにあると私は見ています。リフレクタの仕組みでは、3個以上のレピータがリフレクタを中継してネット接続されることになってしまうからです。
WIRES-XやDMRのレピータが認められていないのも、(JARLの意向はさておき)現在の条文が「2個のレピータ局」の接続しか認めていないことに原因がありそうです。
ところが、今回の改正で「二の」という文字が消えることになりました。これは、リフレクタ接続に途を開くことになるのではないでしょうか。パブコメで以下の質問を投げてみました。
私の質問
総務省の回答
「ご提示の内容が不明」・・・総務省は、海外D-STAR網の実態までは把握されていないようです。さあここでJARLの出番でしょう。
2021年2月のJARL第54回理事会 で、D-STAR以外のレピータを検討することが決まっています。その後、動きが見られませんが、D-STARレピータでのリフレクタの解禁、WIRES-XやDMRレピータの解禁のため、JARLには積極的に動いてほしいものです。
(2023-03-17 記)