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7K1BIB/AC1AMの業務日誌 (2024/11/22 2:05:41)
現在データベースには 149 件のデータが登録されています。
来年のWRC-23で、1200MHz帯におけるアマチュア業務の見直しが議論されます。 日本政府の「考え方」の案がパブコメにかかりました。
私は、以下の意見を提出しました。
「1,240-1,300MHz帯に二次分配されているアマチュア業務及びアマチュア衛星業務から無線航行衛星業務(RNSS)(宇宙から地球)の局(受信機)を保護するための技術的及び運用上の検討」に際し、 アマチュア局がRNSSに対し与える影響の評価基準として、単に電波の強度や電波型式だけではなく、連続送信時間も加えるよう 、日本政府として提案されるよう要望する。
RNSSは、衛星から発せられる電波を連続して受信しなければ機能しないものではないから、仮にアマチュア局が電波を短時間(例えば15秒間)発信し、 一時的にRNSS衛星からの電波を受信できなくなったとしても、アマチュア局の送信が終了すれば、RNSS衛星からの電波を受信できるようになり、実務上支障は生じないと思われる。したがって、アマチュア局に対し、出力や電波型式だけでなく、送信時間に上限を設ければ、アマチュア局のRNSSに対する影響を抑えることができると考えられる ため、以上の提案を行う。
なお、この件については、IARU(特に第1地域)が尽力してくださっています。私の2022年6月25日の連続ツイートをご覧下さい。
IARUとしては、アマチュア側からの提案として、以下の3つの案のいずれかを検討中のようです。
第1案:
バンド端1298-1300MHzは100WまでOK
1250-1254でデジタルATVを100WまでOK
1260-1262でサテライトを20WまでOK
そのほかは5mWまで
第2案:
Galileoに重なる帯域のATVは削除
1293MHzあたりにFM音声のローパワー帯を新設
第3案:
全帯域の出力(EIRP)を1Wに制限
JAとしては、第2案が比較的ましでしょうか。第1案の5mW制限は相当厳しいですし、第3案ではビームアンテナが使えなくなってしまいます。もっとも、1200MHz帯のアマチュア業務は2次業務ですので限界があります。JARLは動いているのでしょうか。とても心配です。
(2022-07-01 記)
2021年6月26日に開催されたJARL第10回定時社員総会に、社員として参加しました。
第1号議題 令和3年度決算
日野岳専務理事は、「令和3年度の赤字は400万円まで減り、ほぼ収支均衡を達成できた」と説明していましたが、令和4年度の予算としてすでに2350万円の赤字予算を組んでいるのですから説得力がありません。
賛成/反対/保留及び棄権の順に挙手による採決が行われたのですが、集計に3度、4度と手間取って30分くらい要した上に、休憩前に公表された数字が休憩後に訂正されました。今後は、挙手による採決はやめて紙による投票にしてほしいところです。
第2号議題 役員選任の件
日野岳充候補が理事として否認される、という大波乱がありました。他の理事・監事はすべて承認されました。挙手による賛成票だけを数え、反対票と棄権・保留票は挙手も行わないという採決方法は、違法ではないまでも妥当ではなかったと思います。
詳細な票数はJH2DFJ岩田さんのツイートを引用させて頂きます。
2年前は、髙尾氏が全国の社員に働きかけて特定の社員に大量の委任状を集めた結果、理事候補5人が否決されるというとんでもないことが起きました。「こんなはずではなかった」と思った社員も多かったと聞きます。今年は出席率が高く、日野岳氏の答弁を直接聞き、ご自身の判断で直接投票した社員が多かったのですから、今年の方が、社員の意見がより正確に反映した結果であると考えます。
社員からは(私も)、役員をひとりひとり選任するのだから、専務理事による一括答弁ではなく、JARLが抱えるさまざまな課題について、候補者ひとりひとりの意見を聞きたいとの声が高かったのですが、結局、候補者が個別に発言する機会は与えられませんでした。現職理事の中にも、例えばQSLカードの転送遅延問題について、財政問題について、電波法令問題について、本当は様々なお考えがあると思うのですが、髙尾・日野岳執行部は、現職理事らに頑なに答弁させませんでした。いったい、何を恐れているのでしょうか。
現職専務理事である日野岳候補の否認は、髙尾・日野岳執行部の組織運営に社員から「ノー」が突きつけられたに等しく、日野岳充氏を推薦し、社員総会でも持ち上げていた髙尾氏の推薦責任は重いと考えます。また、社員による髙尾氏への賛成票も決して多くはありません。常識的には、髙尾氏の会長続投はありえないと思いますが、社員総会後の理事会では、現職理事らの賛成により、髙尾氏はまた会長に選任されたとのことです。
(2022-06-26 記)
東京都が、太陽光発電パネルの設置をハウスメーカーに条例で義務づける案を公表し、パブコメにかけています。
パブリックコメント(東京都環境基本計画のあり方について(中間のまとめ))
太陽光発電パネル等のインバータノイズに悩まされている方々は多いと思います。私もそうです。以下の意見を提出しました。
「 東京都環境基本計画のあり方について(中間のまとめ) 」の44頁16行目以下「(4)家庭部門における対策」において、新築マンション及び中小規模新築建物(住宅等)について、再エネ設備の設置を義務付けることが提案されている。ここでいう「再エネ設備」は、主に太陽光発電設備を念頭においていると理解される(33頁)。
何より環境問題の解決は人類にとって重大な課題であることは十分認識している。一方で、太陽光発電設備が有する安全性、製造から廃棄までのライフサイクルまで視野に入れたときの環境負荷等のさまざまな問題が指摘されているが、他の意見に委ねる。私は弁護士であり、かつアマチュア無線家(第1級アマチュア無線技士)として、電波法との関係について以下の意見を述べる。
太陽電池が発電する電気は直流であるため、太陽光発電設備には、これを交流に変換するためのインバータが含まれているところ、このインバータが、強力なノイズを広大な周波数に渡って大量にまき散らしている現実がある。従来から、中波帯~短波帯(中波ラジオ放送、短波ラジオ放送、漁業無線、自衛隊無線、アマチュア無線など)にノイズをまき散らしていることが認識されていたが、最近は、超短波帯(VHF:航空無線、消防無線、アマチュア無線など)から極超短波帯(UHF:警察無線、各種簡易無線、アマチュア無線など)にもノイズが広がっていることが確認されており、これらの無線通信に支障を与えている例が増加している。
私が所有するラジオ放送受信機、アマチュア無線設備も例外ではない。近隣の家に設置された太陽光発電設備のインバータが発生する大量のノイズの我が家での受信状況を別紙資料にまとめた。インバータが発生するノイズは、広大な周波数にわたって等間隔に発生するのが特徴である。我が家の貧弱な受信設備(アンテナ)でも、近隣家屋に設置された太陽光発電設備等が発生するノイズがこれだけ多く受信できてしまっている。
電波法第101条は、電波法82条を準用し、「無線設備以外の設備」が副次的に発する電波若しくは高周波電流が、他の「無線設備」の機能に継続的かつ重大な障害を与えるときは、総務大臣は、その設備の所有者又は占有者に対し、その障害を除去するために必要な措置をとるべきことを命ずることができると定めている。同条は、前提として、「無線設備以外の設備」が副次的に発する電波又は高周波電流が無線設備の機能に継続的且つ重大な障害を与えることを禁止していると解される。
太陽光発電設備も、当然に「無線設備以外の設備」に該当し、これが副次的に発する電波又は高周波電流が「無線設備」(近隣のラジオ受信機や無線機)の機能に継続的かつ重大な障害を与えることは、電波法第101条、同第82条違反であり、本来許されないはずであるが、現実には、上述のとおりの惨状である。
そもそも、インバータノイズによる無線通信への障害に気づいたとしても、どの家屋に設置された太陽光発電設備から発生しているのか、その発生源を特定することは容易ではない。仮に発生源を特定できたとしても、建物の所有者(一般人)はもちろん、ハウスメーカー、太陽光発電設備等の設置業者やメーカーは、遺憾ながら電波法の規制に無理解・無頓着であり、無視するか、真面目に対応しないことが多い。中には、対策を試みるハウスメーカー等もあるが、実際にノイズの除去を行おうとしても、無線工学に関する知識・経験に乏しく、ノイズの除去技術・ノウハウが確立していないため、不十分な対応に終わってしまうことが多い。電波法第101条は、総務大臣(各地の総合通信局等)に監督権限を与えているが、ノイズ被害が大量に発生していて、すでに対応し切れていない状況である。
このような惨状を放置したまま、一般居住用家屋への太陽光発電設備の設置を推進すれば、東京都はインバータノイズで充満し、中短波放送やアマチュア無線にとどまらず、人の生命や安全に関わる各種業務無線にも必ずや支障を与え、取り返しの付かないことになることは必至である。
そこで、以下の対策と修正を求める。
・条例制定前に、太陽光発電設備の設置を推進した場合の各種無線通信に与える影響について、専門的見地からのアセスメントを実施されたい。
・アセスメントの結果、太陽光発電設備の各種無線通信に与える悪影響が甚大で、看過できないと判断されたときは、設置の義務づけ案を撤回されたい。仮に、原案どおり太陽光発電設備の設置をハウスメーカー等に義務づけるとしても、総量は無理のない最小限度に抑えられたい。
・「中間まとめ」については、33頁22行目~24行目を以下のとおり改められたい(変更箇所に下線を引いた)。
「太陽光発電設備の設置の標準化に当たっては、太陽光発電設備を安全、安心して利用できるように、導入に関する留意点・進め方、適切な維持管理、関連法令(建築基準法令、電波法令)の遵守などを、都民、太陽光発電設備のメーカー、設置業者、住宅供給業者等の事業者等にわかりやすく普及啓発していくべきである。また、太陽光発電設備のメーカー、設置業者、住宅供給業者等の事業者団体に対し、導入に関する留意点・進め方、適切な維持管理、関連法令(建築基準法令、電波法令など)の遵守などに関する啓発とノウハウ等の情報共有を行うよう求めるとともに、都としても、これらに関する啓発とノウハウ等の情報共有や、太陽光発電設備の設置により悪影響を受けた者による苦情を受け付ける専門部署を設けるべきである。」
以下は、太陽光発電設備の設置を義務づけるか否かに関わらず、早急に検討されたい。
・建築前の標識(看板)に、太陽光発電設備を設置する場合はその旨を公示するよう義務づけられたい。
・ハウスメーカー、太陽光発電設備等の設置業者やメーカーに、太陽光発電設備に関する苦情処理窓口を設けるよう義務づけられたい。
・東京都も、太陽光発電設備に関する苦情処理窓口を自ら設置されたい。 ・ハウスメーカー、太陽光発電設備等の設置業者やメーカーには、周辺の無線設備に太陽光発電設備からのノイズが支障を与えているとき、また与える可能性があるとの通告を受けたときは、ノイズを除去することを条例で義務づけられたい(電波法の規制の上書き)。
近隣の家に設置された太陽光発電設備のインバータが発生する大量のノイズの我が家での受信状況
受信日時: 2022年6月23日(木)午前9時頃 薄曇り
受信場所: 東京都杉並区
受信設備: ICOM社製アマチュア無線機(IC-7300, IC-705)。モービルホイップアンテナ
これらの受信設備は、ウォーターフォール表示機能(受信している特定の周波数だけでなく、その前後の周波数において受信されている電波を視覚的に表示できる機能)を有している。太陽光発電設備のインバータノイズは、等間隔に発生するのが特徴である。
●中波放送帯
1100kHzを中心に、約550kHz~1450kHzの範囲を表示させている。0.6付近(NHK第1)、0.7付近(NHK第2)、0.8付近(AFN)、0.95付近(TBS)、1.1付近(文化放送)、1.25付近(ニッポン放送)、1.45付近(RFラジオ日本)に現れている太い線は正規の中波ラジオ放送であるが、それ以外の縦線は近隣の太陽光発電設備等からのインバータノイズと推測される。とくに1.1、1.2付近のノイズは強力である。
●3.8MHz付近
アマチュア無線帯である。ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生していることがよくわかる。
●7.5MHz付近
短波放送(海外放送)帯である。ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。
●9.5MHz付近
短波放送(海外放送)帯である。やはり、ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。
●11.73MHz付近
短波放送(海外放送)帯である。放送波に混じって、ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生していることが認識される。
●14.09MHz付近
アマチュア無線帯である。ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。
●21.68MHz帯付近
短波放送(海外放送)帯である。ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。かなりひどい。
●27.52MHz帯付近
漁業無線帯である。ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。
●50.5MHz付近
アマチュア無線帯である。ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。
●126MHz付近
航空無線帯である。やはり、ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。
●144.22MHz付近
アマチュア無線帯である。ノイズ(縦の白い線)が等間隔に発生している。なお、この受信機では受信できないが、この前後には消防無線や警察無線といった人の生命に関わる周波数帯があり、やはりノイズが発生していると推測される。
●433.02MHz付近
アマチュア無線帯であり、都内では最も盛んに使われている周波数帯であるが、残念ながら最近は、このバンドにも近隣の太陽光発電設備が発生していると思われるノイズが確認できる。
(2022-06-23 記)
2022年6月26日に開催される第11回JARL定時社員総会に向けて、「準備書面」(事前質問書)を提出しました。
(社員総会議事運営規程第14条第1項 社員総会で質問しようとする社員は、予め社員総会の 7 日前までに準備書面をもって質問を会長あてに提出すれば優先して回答を受けることができる。)
今のJARLが抱える問題点はおおむね網羅したつもりですが、もし不足があればお知らせ下さい(当日、できる範囲で質問します)。
第11回定時社員総会準備書面
I. 第1号議題(決算の承認)に関する質問
1. 冒頭の「前年同様今年も会員数が増加し」との点について
(1) 今年1月に局免許が確認できない正員5,914名を対象に調査が行われ、免許を受けた方が約800名、准員に移行させた方が約4,100名と発表された が、合計しても約4900人にしかならず数字が合わない。その後の継続調査も踏まえ確定した数字を明らかにされたい。
令和3年度事業報告の会員数増減グラフ
(2) 今年の会員増加数「288名」 には、准員も含まれているが、今年1月の調査の結果、正員から准員に4000名以上も移行している。准員の中には、すでに逝去された方や行方不明の方、会費が必要がないので名前だけ残っている方も含まれていると思われる。准員を対象とした生存確認・会員継続意思を確認する調査は行っていないと理解してよいか。
(3) 増加したという「288名」は、今年1月の調査で再開局すると回答しながら実際には再開局していない「いまだ幽霊正員」や、生存不明な准員の数により水増しされた数字 であり、実際には、「288名」も植えておらず、むしろ減少しているのではないか。これでは「2年連続会員増!」と豪語できるものではないのではないか。髙尾会長及び日野岳専務理事のご見解を伺いたい。
(4) (要望)今後、正員の局免調査は、選挙が行われる年の前年に定期的に行われたい。また、合わせて、准員についても、会員継続意思を確認し、確認できない准員については、「会友」等、会員外の新たなカテゴリーに移すことをご検討頂きたい。
2. 「当期経常増減額は▲4百万円と収支均衡となり」との点について
(1) 令和3年度は、令和2年度に引き続きコロナ禍で活動が制約されていたのだから、令和2年度と比較して赤字額が減ったとしても意味がない。そこで、経常費用につき、コロナ前の令和元年度と比較する。
赤で塗った総会費、理事会費、地方本部費、旅費交通費、諸委員会費、国際協力費が大きく減っており、その減少額は1800万円を超えている。これらの費目が減ったのは、コロナ禍で活動が制約されたからにすぎず、コロナ禍が収束すれば復活してくる費目である 。
(広告活動費が大幅に減少しているのはハムフェアが開催できなかったからである。ハムフェアが復活すると広告宣伝費は増加するが、入場料収入(雑収益)で回収できると考えられるので、ここではひとまず問題にしない。)
つまり、 今年の赤字額が400万円に押さえられたのは、たまたまコロナ禍があったからにすぎず、コロナが収束するとともに赤字はまた増えていくことが予想される が、会長及び専務理事のご見解を伺いたい。それとも、髙尾会長の支部訪問は、経費節減のため今後も控えられると理解して良いか。
3. 紙JARLニュースについて
(1) 赤字財政を抜本的に解決するためには、大口の支出である紙JARLニュースとビューロー費(黄色で塗った項目)に手を付ける必要があることは明らかである。環境保護の観点からも、紙の削減に取り組み、浮いた経費を若者に対するアマチュア無線振興策に振り替えるといった施策を採るべきと考えるが、髙尾会長及び日野岳専務理事のご見解を伺いたい。
(2) 例えば、JARL
Webに掲載される情報はJARLニュースに載せるのをやめてページ数を減らし、かつ希望者にはPDFでの送信に切り替えれば、年4回のJARLニュース発行回数を増やすこともできると思われる。その方が会員にとってもメリットになり、新入会員のつなぎ止め策にもなると思うが、いかがか。
4. QSL費について
(1) 第54回理事会報告によれば、令和2年度のQSLカードのビューローへの到着枚数は前年比117%と大幅増加したとのこと であったが、令和3年度のビューローへの到着枚数は、前年と比較して何%増加したのか。
(2) ビューローから会員へのカード発送は、料金後納郵便と宅配便(信書便)で行われているが、全部でそれぞれ何区分あるのか。また、区分ごとの発送数(人数)を開示されたい。実際には、会員の利用枚数には偏りがあり、少数の会員のために多額の送付料が費やされているようにも思われるのでお尋ねする。
(3) QSLカードの転送にかかる期間は、コロナ前は3ヶ月ほどであったが、最近は8ヶ月から9ヶ月かかっているというのが多くの会員の体感である。大量のQSLカードがビューローに滞留しているのではないか。保管状態は大丈夫か。倉庫は足りているのか。
(4) ビューローでのカード受け入れ時の”FROMチェック”(JARL会員であることのチェック)は、カードがビューローに届いてから何日くらいで行われているのか。”FROMチェック”が遅れると、カードがビューローに届いたときは会員だったのに、”FROMチェック”の次点では会員期間切れと判断され転送が拒否されるといった不合理な事態が生じかねないため、お尋ねする。
(5) ビューローの処理枚数を増やすために、人員の追加などの対策は検討していないのか。
(6) このままでは、いずれ転送期間は1年を超え、せっかく入会してくれた会員が1回もQSLカードを手にしないまま退会するといった悲惨な事態にもなりかねないが、髙尾会長及び日野岳専務理事はどのような対策を考えているか。例えば、「カードの送付を一時的に3ヶ月くらい待って欲しい」といった呼びかけをし、その間に滞留したカードを処理することは考えられないのか。
(7) 昨年の社員総会で、執行部として、万が一、今の受託会社から契約の更新を断られた場合のバックアッププランは用意していないとのことであったが、その後、バックアッププランの検討は行ったか。
(8) (要望)今後は、ビューローへの月ごとの到着枚数と、ビューローで滞留しているカードの枚数、ビューローから発送される料金後納郵便と宅配便(信書便)の区分ごとの人数の公表を検討されたい。
II. 第2号議題(役員の選任)に関する質問
1. 「課題解決に向けての議論のご提案」について
(1) 今年1月、JH4PHW坂井社員、JJ1WTL本林社員、私の3名は、JARLが今すぐに取り組むべき緊急の課題を、①カード転送の安定化、②法制度・バンドプラン改善対応、③財政健全化の3点と考え、髙尾会長に対し「課題解決に向けての議論のご提案」をお送りした 。これに対し、 髙尾会長から、私たちが指摘した課題について、しっかり協議を行い、会員の皆様、アマチュア無線の発展に向けて取り組んで行くので、今後共、ご協力の程、よろしくお願いしたい、との回答を受け取った 。そこで、具体的にどのような協議をおこなったのかについて、髙尾候補のご説明を伺いたい。
(2) その後、17名の理事・監事候補者のみなさまに、3点の緊急の課題についてご意見を伺うアンケートを行ったが、お返事をいただけた候補者は、
JA2HDE 木村 時政氏 元
JG2GFX 種村 一郎氏 元
JH3GXF 安孫子 達氏 元
JR3QHQ 田中 透氏 元
JH4NMT 松田 佳之氏 新人
JA9PPC 森田 喜邦氏 新人
の6名のみで、他の候補者からは一切返事がなかった。 特に、現職の理事・監事からはひとりも返事がなかったことに驚いている。 理事や監事になられようという方々であるから、まさか意見がないということはないと思いたい。そこで、社員総会の場で、返事をされなかった11名の皆さんひとりひとりから、上記の3つの課題について、ご意見を伺いたい。
(3) 1月に提案文書を送った後、○○氏及び○○氏からは、重要な問題なので理事会で議論したいとのお返事を頂いていたのだが、その後はお返事がなくなってしまった。どなたかが、両氏を含む現職役員の皆さんに、「山内らのメールには回答するな」と止めたとしか思えないが、髙尾候補のご見解を伺いたい。
2. 日野岳候補に対するご質問
(1) 知床遊覧船
知床における事故
をきっかけに、遊覧船でのアマチュア無線機の不法・違法運用が明るみになったが、当初から無線免許の有無に焦点を当てた報道はなく、多くのアマチュア無線家がもどかしく思っていた。JARLとして、早期の段階で報道機関を集めてアマチュア無線制度に関する解説(レク)を行ったり、アマチュア無線機の不法・違法運用について断固反対する声明を出したりすることができたと思うが、JARLの業務を預かる専務理事として何も動かなかったのはなぜか。
(2) 東京都太陽光パネル義務化条例
東京都が、個人住宅にも太陽光発電パネルの設置を義務づける条例の制定に動いている。これが実現してしまうと、インバーターノイズが、HF帯はもとより、144MHz帯~430MHzまで悪影響を与えることが必至であるが、JARLの業務を預かる専務理事として、どのような行動を起こすのか。
政治家には働きかけたか。戸建て建設業界団体とは連携したか。
(3) 7MHz/FT8国内周波数問題
a.
昨年9月、IARUからJARLに対し、7.041MHzのFT8国内周波数の移転を検討し、12月末までに回答するよう要請があったが、IARUにおけるバンドプランの改定作業は一昨年から始まっていた話であった。バンドプランはすべてのアマチュア無線家に関係する極めて重要な事項であり、JARLの業務を預かる専務理事として、早い段階から会員に情報を周知し、議論を深めておくといった対応を取らなかったのは何故か?
b. 昨年9月のIARUからの要請から12月末の回答に至る過程で、周波数委員会やコンテスト委員会の意見を聞かなかったのはなぜか。特に、コンテスト委員会には全く知らされておらず、同委員会委員長からの異議申立書が提出されたが、どのように回答したのか。
c. 12月末に、IARUにはJARLとして何と回答したのか。それから6ヶ月経ったが、IARUにおける議論は現状どうなっているのか。
d. 今後、我々アマチュア無線家は、どう運用すればいいのか。7030-7040kHzの間に移転せよというJARLの要請は撤回されたとみて良いのか。それとも、いずれの段階で移転をさらに強く要請するのか。
e. そもそもこの問題は、告示で定められた日本のバンドプラン上、7074kHzで国内通信が行えないことに起因する。総務省にバンドプラン告示の改正は求めないのか。JARLの業務を預かる専務理事として、JARLが国際基準に合わせて柔軟に改訂できるようにするために、HFは告示から外してもらうことは考えないのか。
(4) 社会貢献活動ガイドラインについて
a.
ガイドラインを、社会貢献活動に関する法令の改正と同時に公表できなかったことに責任を感じているか。JARLの業務を預かる専務理事としての認識をお尋ねしたい。
b. 日野岳候補は、昨年の社員総会で、「有識者」の協力を得てガイドラインを作成していきたいと答えたが、有識者とは誰か。総務省の担当者のことか。
(5) 555万5000円の退職金について
昨年の社員総会で、「事務局職員退職一時金支給規定」による算定額よりも多いのではないかと考え、算定根拠を質問したが、明確な回答がなかった。555万という多額の、説明できない退職金を受け取っていることは大きな問題であるが、日野岳候補は、退職金を返金する意思はあるか。
(6) 社員総会速記録の代わりとなる録画録音の公開について
昨年の社員総会で、社員総会の録画録音を公開するよう要望があり、日野岳候補は「検討する」と明言したが、どのような検討を行ったのか。検討結果が理事会報告に記載されていないのはなぜか。
(7) 個人情報保護法
a.
今年4月1日付けで個人情報保護法の改正法が施行され、各社・各団体は対応に追われたが、JARLは何か対応したか。JARLの業務を預かる専務理事としての認識をお尋ねしたい。
b. 今年3月7日のメールで、 最新の局名録がヤフオクに出品されていること を日野岳候補と総務部に情報提供したが、何の対応もせず、結局、7,000円という高額で落札されてしまった。JARLとしてYahooに対し違反通報を行う等できたと思われるが、対応しなかったのはなぜか。
(8) ワイヤレス電力伝送
2.4GHz帯と5.7GHz帯に影響すると思われる
「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」が、今年、とうとう認められてしまった 。
日野岳候補は、このシステムについて議論した「情報通信審議会 情報通信技術分科会
陸上無線通信委員会」のメンバーであった
が、アマチュア無線に与える悪影響を排除するため、委員会でどのように行動したのか。もし何らかの行動をしたのであれば、それを会員にアピールしなかったのはなぜか。
(9) ハムフェアのパンフレットへの出展者の住所・電話番号の記載
a.
ハムフェアの出展代表者は、パンフレットにおいて住所・電話番号を公開させられるが、これを嫌って出展を断念した団体もある。いまどき、不特定多数の入場者に住所・電話番号を晒す理由を、ハムフェア実行委員長である日野岳候補にご説明頂きたい。
b. 参加者にとっては、住所・電話番号よりも、むしろ、団体のホームページや代表者のメールアドレスを記載した方が役に立つのではないか。この点について、ハムフェア実行委員会で議論があったと聞くが、どのような議論が行われどのように結論付けられたのか。
(10) 専務理事の役割
日野岳候補は、専務理事の役割を何と心得ているか。例年どおりの事業を例年どおり漫然と繰り返すだけであれば事務局長以下で十分である。専務理事の役割を果たしていないとの批判にどう答えるか。
3. 髙尾候補に対する質問
(1) JARL Webやラジオ番組で取り上げるトピック
a. 髙尾候補が関与した行事に極端に偏っている
が、誰がトピック選定し、記事を用意しているのか。髙尾候補が自分で選んでいると理解してよいか。
b. 昨年のボーイスカウト連盟による「JOTA 2021」の記事 の中で、関東のみを取り上げ、東海や関西については一切触れられなかったのはなぜか。
(2) 東京都太陽光パネル義務化条例
今年4月5日に泉田衆議院議員がJARLを来訪された際に、髙尾候補は、「太陽光発電システムのアマチュア無線局への影響についても意見を交わしアドバイスも頂戴した」とのこと
であるが、どのような助言を頂き、それを今後どのように生かすつもりなのか。
(3)
ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード
a.
1月26日の第1回会合で髙尾候補が行った意見書は、JARL
Newsの2022年春号に掲載されている。これは、誰が作成したのか。
b. 「アマチュア無線界を代表して」意見を述べたとあるが、会員から意見を公募したことはない。その結果、 C4FMレピーターの解禁、D-STARやWires-Xのホットスポットに別の免許が必要とされる問題、バンドプランの柔軟化、外国人による開局手続の簡素化等、会員の要望が高い事項が含まれていない 。意見を公募しなかったために、このような重大事項が欠落してしまったとの認識はないか。
c. この意見書について、 hamlife.jpが4月1日の記事で報道したにも関わらず、直後に削除 させたのは何故か。
d. アドバイザリーボードは、1回目が開催されてから半年が過ぎようとしているが、2回目以降が全く開催されていない。今後はどのように進んでいくのか。
(4) 不明朗な支出
一昨年に指摘された不明朗な支出について、JARLに返金・補填する意思はあるか。その一部(例えば、髙尾氏の義兄の葬儀香典代、「会員ファーストの会」メンバーによる福岡県での飲食費等)だけでも、返金・補填する意思はないか。
4. 志村監事候補(新人)に対する質問
(1) 志村監事候補は、現在は山梨県支部長・社員であり、昨年の社員総会において全国の社員から約20枚の委任状を受け、髙尾会長・日野岳専務理事・佐藤監事の解任議案の否決に大きく貢献した方である。そのような方が、現執行部に対する監査を公明正大に行えるのか。
III. 報告事項
1. 昨年の社員総会で、支部役員を当該支部の居住者に限っている地方本部組織運営規程第6条第4項(支部役員)の要件を緩和する方向での改正を提案したが、どのように検討されたのかお答え頂きたい。
2. 今年も多数の準備書面が提出されているのは、執行部と社員の対話の機会が年1回の社員総会の場しかないからではないか。例えば、 半年に1回、Zoomによる「社員集会」のような対話の場を設けたらどうか 。
以上
2022年5月9日に、知床遊覧船による「アマチュア無線」の使用が問題であると正面から取り上げた記事を毎日新聞が公表しました。
知床遊覧船、業務にアマチュア無線 節約で常用か、関係者証言 (毎日新聞 2022/5/9 20:06(最終更新 5/9 20:06) )
『アマチュア無線は「金銭上の利益」を目的として業務で活用することが電波法で禁じられている。違反すれば、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。だが、複数の関係者によると、知床遊覧船は今シーズン以前も運航する船同士や事務所との通信を主にアマチュア無線で行っていた。・・』
『別の関係者は「アマチュア無線を業務で使うのが違法だということは知っていた。本来ならば衛星電話をメインに使い、使えなくなった緊急時にアマチュア無線を使うのが普通」との認識があったが、「実際は日常的にアマチュア無線の使用を続けていた」と証言した。』
5月11日には、北海道総合通信局の職員が現地入り。12日には、事故を起こした知床遊覧船社にも調査を行うと報じられています。
【任意調査】観光船の無線使用を調査開始 北海道・知床沖沈没事故 政府の対策検討委も議論スタート(STVニュース)
『(北海道総合通信局 山田誠哉さん)「目的外で使ってはいけないので、常態化しているのであれば違反ということになりますので、見極めて必要な措置をとっていく」』
電波法令に照らして整理してみます。
アマチュア無線局の免許を受けていないとしたら・・
まずもって、アマチュア無線局は、試験又は講習を受けて合格し「アマチュア無線技士」の資格を取得した人が、総務省から「アマチュア局」の免許を受けなければ、開設してはいけません。
電波法第4条第1項 無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。(以下略)
電波法第39条の13 アマチュア無線局の無線設備の操作は、次条の定めるところにより、無線従事者でなければ行つてはならない。(以下略)
もし、知床遊覧船社を含むあの海域の遊覧船業者が、「アマチュア局」の免許を受けずに遊覧船に「アマチュア無線機」を設置していたとすれば、電波法第4条違反として、行政処分の対象となりえ、さらに1年以下の懲役または100万円以下の罰金という刑事罰が課される可能性もあります(電波法第110条第1項)。
用語法としては、「無免許」で設置された無線機も、いちおう「無線局」(電波法第2条第5号)には該当しますが、「違法に設置された無線局」です。報道は、「アマチュア無線」という言葉をカジュアルに使っていますが、正規の免許を受けていなければ「違法局」であり、「アマチュア局」「アマチュア無線」と表現するべきではありません。私は、「違法局」に使われた「アマチュア無線機」がかわいそうでなりません。
いちおうアマチュア無線局の免許を受けていたとしても・・・
もっとも、今日5月11日の時点で、このような報道もあります。遊覧船業者は、アマチュア無線局の免許は一応持っているのかもしれません。
『北海道総合通信局山田誠哉無線通信部長:「 無線局の免許だけでは確認できないので 直接話を聞き、そういった事実があれば適切な措置を講じていきたい」』( FNNプライムオンライン 北海道文化放送 2022年5月11日 水曜 午後0:15『知床観光船 “電波法違反”の可能性 アマチュア無線を日常的に使用か 国が聞き取り調査へ』 )
『担当者によりますと、 11日に聞き取りを行った2社では違反などは確認されなかった ということです。』( NHK北海道 NEWS WEB 『観光船の無線利用実態 北海道総合通信局が聞き取りを開始』 )
では、「アマチュア局」の免許を受けていれば無罪放免なのでしょうか。
アマチュア無線局には「個人局」と「社団局」があります。そこで、遊覧船業者の従業員が「個人局」を開設し、遊覧船に備え付けていたパターンが考えられます。ですが、複数の「個人局」で同じ無線機を使うことはできません(設備共用の原則禁止。 電波法関係審査基準別紙1 無線局の局種別審査基準 第15 アマチュア局 19 設備共用 )。遊覧船に、従業員の人数分の無線機を設置していた様子はないので、まずその点が問題になりそうです。
また、遊覧船業者の従業員が集まって「社団局」を作り、遊覧船に備え付けていた、というパターンも考えられます。この場合、設備共用の問題は生じません。もっとも、現地(北海道斜里郡斜里町)にある社団局は「知床ハムクラブ」のみです。遊覧船とは関係なさそうです。
いずれにせよ、アマチュア無線局の免許を正式に受けていれば、電波法第4条違反にはなりません。ですが、報道もされているように、「アマチュア無線を業務に使うことは禁じられています」。正確には、「金銭上の利益のため」にアマチュア無線を使ってはいけないことになっています。
無線局の免許には、「無線局の目的」「通信事項」「通信の相手方」「移動範囲」「周波数」等の制限がかかっています(「指定事項」)。「アマチュア局」の場合、その「目的」は「アマチュア業務」に限られ、「通信事項」は「アマチュア業務に関する事項」に限られています。「アマチュア業務」とは、「 金銭上の利益のためでなく 、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究その他総務大臣が別に告示する業務を行う無線通信業務をいう。」と定義されています(電波法施行規則第3条第1項第15号)。
遊覧船業者は、遊覧船を運航することによりお客さんから料金を得る事業、つまり、「金銭上の利益のため」の事業を行っています。その事業の中でアマチュア無線を使えば、免許で指定された「目的」「通信事項」を逸脱して、アマチュア無線を使ったことになります。
報道によれば、知床遊覧船社では、「日常的にアマチュア無線の使用を続けていた」とのことです。「日常的に」というのは、出港や現在位置、帰港予定の連絡にアマチュア無線を使っていたということでしょう。もしそれが事実であれば、
「金銭上の利益のため」にアマチュア無線を使用していた
→アマチュア無線局の「目的」・「通信事項」を逸脱した使用をしていた
→電波法第52条1項柱書本文違反
ということになるでしょう。
第五十二条 無線局は、免許状に記載された目的又は通信の相手方若しくは通信事項(特定地上基幹放送局については放送事項)の範囲を超えて運用してはならない。(以下略)
行政処分の対象になりうるほか、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる可能性があります(電波法第110条第5号)。この罰則は、無免許の場合と同じレベルです。
なお、タクシーがアマチュア無線機を載せているケースがあります。タクシー業務の連絡にアマチュア無線を使っていれば「金銭上の利益のため」の運用でアウトですが、空車の時に他のアマチュア局と遠距離交信チャレンジや雑談をするための運用であれば、「金銭上の利益のため」とは言えずセーフです。もっとも、遊覧船が「空車」で海に出ることは考えられないので、「他のアマチュア局と雑談するために無線機を載せてました」という言い訳は通用しないでしょう。
アマチュア無線による非常通信
さて、今回の痛ましい事故の直前に、遭難した「KAZU I」の船長と近隣の遊覧船事業者との間で、「アマチュア無線」による連絡がなされたと報道されています。
【証言】あの日何があったのか 無線で「KAZUⅠ」と連絡を取った同業者が語る緊迫の事態 北海道・知床沖観光船不明 (STV News 2022年4月29日)
『(ゴジラ岩観光の関係者)「当社のアマチュア無線なら連絡がつくかもしれないので、自社に戻ってアマチュア無線の電源を入れた。電源を入れて2から3回、 『KAZUⅠ豊田さん』と呼びかけた 。こちらから呼びかけても返答がないのが数十秒続いて、向こうから声が聞こえた。今どこですかと聞くと、ちょっと見渡したような感じで、カシュニという声が聞こえている。 カシュニなので、戻るのにかなり時間がかかるという会話をした 。緊迫した様子はなかった」』 →以下「交信1」
『(ゴジラ岩観光の関係者)「無線で問いかける前に、向こうから救命胴衣渡せみたいな指示が聞こえた。現場から緊迫した状況が聞こえた。豊田船長の声。 無線を取って『KAZUⅠ豊田さん、どうしました』と 。 エンジンが停止して、船の前の方が沈んでいるということで動けない状況 」』 →以下「交信2」
「交信1」の時点では、「KAZU I」は難にあっているようには見えず、単なる現在位置の連絡にアマチュア無線を使っています。もし、知床遊覧船社とゴジラ岩観光社がきちんと無線局の免許を受けていたとしても、「金銭上の利益のため」にアマチュア無線を使っていますので、アマチュア無線局の「目的」「通信事項」を逸脱した使用をしており、同法52条1項柱書本文違反、ということになるはずです。
加えて、アマチュア無線局に割り当てられる「コールサイン」(呼出符号)ではなく「KAZUⅠ豊田さん」という呼びかけをしてしまっていますので、無線局運用規則第18条が準用する同第20条第1項違反にも該当しそうです。
無線局運用規則第20条 呼出しは、順次送信する次に掲げる事項(以下「呼出事項」という。)によつて行うものとする。
一 相手局の呼出符号 三回以下(海上移動業務にあつては二回以下)
二 DE 一回
三 自局の呼出符号 三回以下(海上移動業務にあつては二回以下)
では、「交信2」はどうでしょうか。
(目的外使用の禁止等)
第五十二条 無線局は、免許状に記載された目的又は通信の相手方若しくは通信事項(特定地上基幹放送局については放送事項)の範囲を超えて運用してはならない。ただし、次に掲げる通信については、この限りでない。
一 遭難通信(船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥つた場合に遭難信号を前置する方法その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
二 緊急通信(船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥るおそれがある場合その他緊急の事態が発生した場合に緊急信号を前置する方法その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
三 安全通信(船舶又は航空機の航行に対する重大な危険を予防するために安全信号を前置する方法その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。)
四 非常通信(地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、有線通信を利用することができないか又はこれを利用することが著しく困難であるときに人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために行われる無線通信をいう。以下同じ。)
五 放送の受信
六 その他総務省令で定める通信
「エンジンが停止して、船の前の方が沈んでいて動けない状況」は、電波法第52条第1号の「船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥つた場合」に該当し、その場合の通信は「遭難通信」に該当するでしょう。この場合、同条ただし書きにより、無線局の「目的」「通信事項」の制限が外れます。そこで、アマチュア局でも「金銭上の利益のため」に通信を行ってよいことになります。
もし、ゴジラ岩観光社(の従業員)と知床遊覧船社(の船長)がアマチュア無線局の免許をきちんと受けていれば、「交信2」それ自体は適法ということになりそうです。ちなみに、アマチュア局は通常アマチュア局としか交信できないのですが、遭難通信の場合、無線局の「通信の相手方」の制限も外れるので、例えば海上保安庁や警察の無線局との交信もできることになります(周波数や電波型式等の条件が合えば、ですが・・)。
ただし、先に指摘したように、遊覧船が「空車」で海に出ることは考えられず、実際には、遊覧船に乗せたアマチュア機で適法な「アマチュア業務」を行うケースはほとんど考えられないでしょう。遊覧船業者の本音としては、最初から遊覧船事業のため(「金銭上の利益のため」)だけに使うつもりでアマチュア局の開局申請を行い開局したものとして、「不正な手段により免許を受けた」として免許の取消し(電波法第79条)等の行政処分や、刑事処分としては、公正証書原本不実記載罪(刑法157条)、詐欺罪(刑法246条)等が考えられるかもしれません。
北海道総通には、できるだけ踏み込んで頂きたいものです。
なお細かい点ですが、『KAZUⅠ豊田さん、どうしました』という呼びかけは、無線局運用規則に定める手順を守っていない、という問題もあります。
(遭難呼出し)
第七十六条 遭難呼出しは、無線電話により、次の各号の区別に従い、それぞれに掲げる事項を順次送信して行うものとする。
一 メーデー(又は「遭難」) 三回
二 こちらは 一回
三 遭難している船舶の船舶局(以下「遭難船舶局」という。)の呼出符号又は呼出名称 三回
2 遭難呼出しは、特定の無線局にあててはならない。(遭難通報)
第七十七条 遭難呼出しを行なつた無線局は、できる限りすみやかにその遭難呼出しに続いて、遭難通報を送信しなければならない。
2 遭難通報は、無線電話により次の事項を順次送信して行うものとする。
一 「メーデー」又は「遭難」
二 遭難した船舶又は航空機の名称又は識別
三 遭難した船舶又は航空機の位置、遭難の種類及び状況並びに必要とする救助の種類その他救助のため必要な事項
3 前項第三号の位置は、原則として経度及び緯度をもつて表わすものとする。但し、著名な地理上の地点からの真方位及び海里で示す距離によつて表わすことができる。
では、ゴジラ岩観光社(の従業員)と知床遊覧船社(の船長)がアマチュア無線局の免許を受けていなかったらどうでしょうか。電波法第52条の主語である「無線局」は、あくまで「免許を受けた適法な無線局」を指すと考えられます。『船が沈みかけてるんだから細かいこと言うな!』というのは現実論ですが、電波法第52条は、免許を受けていない「違法局」による遭難通信までOKとするものではなく、電波法第4条違反は免れないように思われます。
「無免許でも緊急避難としてOK」という荒っぽい議論をする人もいますが、電波法第52条が、遭難通信等の場合にOKになる範囲を厳密に定めている以上、それを超えて拡大解釈するのは難しいのではないでしょうか。遭難したときのために、免許がないのにアマチュア無線機を持って山に登ったりする人がいますが、電波法第52条第4号の「非常通信」にあたると認めてもらうのは難しいように思われます。
(本記事は、現時点までに公表・報道されている限られた情報をベースに書いたものです。今後明らかになる事実に基づき、訂正等することもあり得ます。またあくまで一般論を述べたものであって、法的助言ではありません。)
(2022-05-11 記)
7K1BIBの常置場所がある東京都杉並区(JCC100115)は、今年で区制施行90周年を迎えます。
アマチュア無線界としてもこの慶事をお祝いし宣伝したく、 JN1VVR局 が中心となって「杉並区区制施行90周年記念局」を(体験局付きで)をやりたい!というプロジェクトが始まりました。まずはその母体を作ろうと、「杉並区アマチュア無線クラブ」の社団局を申請中です。
さて、2022年5月5日(祝)、杉並区内の数少ない高台、 大宮夕日が丘広場 に、発起メンバー数名が集まりました。
いつもは自宅から夕日が丘広場まで散歩がてら歩いて行くのですが、今日は機材が多いのでバスを使いました。いい天気。遠足みたいにワクワクしています。
12時少し前に現地到着。他の皆さんはもう始めていました。これは「ハンディホイップもラジアルを付けると飛びが良くなる」というイケナイこと(ってことはないですが)を、大の大人がよってたかってFUI高校生君に教えている図。
さて、今日は、試してみたいことが3つありました。
試したかったこと:その1
ダイヤモンドアンテナの RHM12 を立てるのにちょうどよさそうな 三脚をAliExpressで調達できた ので、試してみること。
風もゆるやかで、しっかりと立ちました。基台は コメットの万能基台CST-20 です。
ただ、ラジアル線5本引いてみても、29MHzでSWRが2以下に下がりません。ラジアル線を伸ばしてもくしゃくしゃに丸めてもダメ。三脚を伸ばしてみてもダメ・・・天を仰ぐと、そこには木陰を作っている大木が。ひょっとして生木の下ではダメか?と思い、試みに木の下から抜け出してみると・・・バッチリ1.5以下に下がりました!地面の状態は変わらなかったので、おそらくこの木の影響と思われます。こんなことは初めての経験でした。
で、29MHz/FM帯を聞いてみると、8エリア北海道が大オープンしています。VVR局は、今話題の10mハンディ機「 QTY28 」4Wで江別市とQSOに成功し、至極ご満悦^^。私もRHM12+IC-705/5Wで小樽とつながりました。
試したかったこと:その2
しばらく前に調達した 持ち運びできるクロス八木 でFMサテライトに挑戦。14時過ぎのPO-101はダウンリンクを受信できたものの、訳がわからずQSOならず。14時40分過ぎのSO-50を狙います。
今回は、2mダウンリンクのワッチはFUI局にお願いし、私は430の送信に集中。パスの後半、九州局が私のコールサインを呼ぶ声をFUI局が見事にキャッチしてくれて、QSOに成功!これが、私にとって初のサテライト交信になりました!
試したかったこと:その3
こどもの日の今日は、南極の8J1RLと日本の子供たちとのスケジュールQSOが予定されていました。17時過ぎ、南大塚のJA1RLだけでも聞こえたらいいかなとワッチ開始。
なんと、RHM12とIC-705の組み合わせで、JA1RL側だけでなく、8J1RLも51で受信できてしまいました。 去年は大阪池田市の1kW関ハム記念局8N3Qですら南極からの信号を受信できなかった のです。サイクル25が進んで、コンディションは確実に上がっていますね!杉並区クラブのメンバーと喜びを分かち合いました。
どうもいろいろくっちゃべってしまってQSOはあまりしませんでしたが、爽やかな初夏の陽気のもと行われた「杉並区アマチュア無線クラブ」の合同移動運用、中身の濃い1日となりました。
(2022-05-05 記)
2022年4月17日(土)夕刻、 2022年JARL選挙の開票結果が公表 されました。465票(関東地方本部区域で2位)というたくさんの皆様のご支持をいただき、関東地方本部区域の社員に当選することができました。ご支援ありがとうございました。
JARL選挙は候補者情報が少ない、そもそもどういう視点で選んだらよいのかわからないと言われます。今回も、 私の所信表明 だけでなく、
JARL選挙は何を選ぶのか(2022年版)
2022年JARL選挙の候補者情報
という記事を書きました。特に候補者情報の記事の閲覧数は1500回以上に達し、少しでも皆様のお役に立てたのでははないかとうれしく思っています。
また、私が一緒に社員として働きたいと思っている方が、今回もたくさん当選されました。特に、関東の JI1RKA板橋直樹さん と、東海の JN2OFP山田剛士さん という若きお二人が当選されたことを、自分のことのように喜んでいます。私は、今のJARL会員の中心世代ある70~60代の皆様からJARLとアマチュア無線を受け継ぎ、活性化させ、このお2人を含む次の世代に引き継いでいかなければならないと、改めて心に刻んでいます。
さて、社員としての次の仕事は、6月26日(日)に予定されている社員総会です。今年は、2021年度決算の承認に加え、理事の選任があります。 緊急の課題を3つ挙げ、JH4PHW坂井志郎社員、JJ1WTL本林良太社員と連名でJARL髙尾義則会長にお送りした「課題解決に向けての議論のご提案」 は、執行部に無視されたままですが、この事実は、現職理事である候補者の方々に、JARLの課題を解決する意思と能力があるのかを判断する重要な材料になると考えています。JARL会員の皆様から託された社員総会での投票権をどのように行使するか、社員総会当日まで2ヶ月、じっくり考えたいと思います。皆様のご意見をお寄せ下さい。
(2022-04-18 記)
そろそろ、投票用紙が送られてくる時期になりました。
何より大事なこと
JARL選挙は、私たちアマチュア無線家の代表組織の運命を誰に託すのかを決める選挙です。アマチュア無線家の人気投票ではありません。どうか、「コールサインを知っているか」だけで決めないで下さい。この記事などを参考にしていただき、どうか 棄権だけはされないようにお願い申し上げます。
JARL公式選挙公報
JARL Webに掲載 されています。個人的な活動の説明ではなく、今後JARLをどうしていきたいのか、具体的にビジョンを示している方には好感が持てます。そして、若い方にもっともっと活躍して頂きたいと思います。
選挙ハガキ・選挙メール
一部の地域で、 会長や理事が社員を推薦?する 選挙ハガキや選挙メールが送られているようですが、おかしいと思いませんか?逆です。社員が、社員総会で理事を選任するのです。 JARL資金の個人的な流用 など、理事や会長がおかしなことをしていれば、会員の代表として、きちんと物申せる人が社員にならなければいけません。会長の推薦をうけた社員は、会長や理事には何も言えないのではないでしょうか。
どこから入手したか不明な住所録を使い、どこから出ているかわからない資金で、ふわっとした文言が並ぶ選挙ハガキやメールが有権者に送りつけられる。他方で、全候補者が掲載されている選挙公報はわざわざダウンロードしなければ読むことができず、公聴会のような機会もなく、まともな政策論争が行われない。こんな不公平な選挙で、JARLが良くなっていっているのならいいのですが、果たしてそうなのでしょうか?
理事・社員一覧表
JJ1WTL本林さん渾身の一覧表です 。候補者の過去の経歴が一目でわかります。長く務めているからといって良い方とは限らないと思いますが、重要な参考資料です。
候補者情報一覧表
前回は僭越ながら私が一覧表を作成しました が、今回は、JI1ARIとしみちさんが作成してくださいました。ブログやTwitterなど、各候補者が発信されている情報にアクセスできる必見の資料です。感謝申し上げます。
Noteの記事「JARL選挙2022」 https://note.com/ji1ari/n/n747f93afb1b1
Twitterの投稿
以下、各エリア別に私が知っている情報を書いていきます。
1エリア社員
定員20名に対し29名が立候補する激戦となりました。7K1BIB山内に清き1票をお与えください。私の所信はこちらです→ JARL選挙立候補に当たっての所信(2022年関東社員) 。
または、若きプログラマー、JI1RKA板橋直樹さんに1票をお願い致します。彼は前回惜しくも落選でしたが、準備書面を作成して社員に質問を依頼する等、「現職社員並み」の働きぶりでした。バーチャル・ハムフェス2021で彼の リモート運用とFaxについての講演 を聴いた方も多いのではないでしょうか。即戦力として働くと仰っています。板橋さんのブログはこちら。ソフトもダウンロードできます→ http://senkyo.ji1rka.radio/ http://blog.ji1rka.radio/ )。
髙尾会長と極めて近い候補者の 選挙公報 には「共通点」があるのにお気づきでしょうか。1行目にオレンジ色の標語が書かれている伊藤氏、渡辺氏(電子QSL委員)、比嘉氏(会員増強組織強化委員会委員)、仙石氏、鈴木氏(社員総会議長)の5名が該当します(板橋さんは違いますよw)。JA1MUY仙石氏は、2020年の社員総会で2・3エリアの理事全員の否認、2021年の社員総会でも 髙尾会長・日野岳専務理事の解任議案 否決に大きく貢献された方であり、当落が注目されます。
2エリア社員・3エリア社員
どちらも、今の執行部の問題点を鋭く指摘されている方々が多い選挙区です。このエリアでは、どなたに投票しても間違いはないと思いますが、個人的に、古くからの友人である若手候補、JN2OFP山田剛士さんを、どうぞよろしくお願い申し上げます。
4エリア
今回の最注目選挙区です。
中国本部長・理事選は、現職のJE4WWK金子氏と、元中国社員のJH4NMT松田氏が対立する構図です。金子氏は髙尾会長の全面的な支援を受けています。前回の選挙で、髙尾会長と連名で送付した選挙ハガキが局名録に掲載されていない会員住所に届いて問題となり、異議が2件も申し立てられましたが、理由らしい理由も示されず却下されるというとんでもない事件が起きました( JARL選挙の公正は死んだのか(その2) )。松田氏は社員としてのご経験が豊富で、JARLの現状に対する問題意識の非常に高い方です(松田氏のブログ→ http://4nmt.seesaa.net/ )。
4エリア社員は、定数8名に対し10名が立候補。試みに県別に見てみると、鳥取県のJH4MGU太田氏、島根県のJJ4QKY河村氏、JA4DND松浦氏はいずれも経験豊富な現職です。岡山県からは、元理事・地方本部長のJA4DLF綱島氏( JARL正常化タイムズ の編集者)と、髙尾会長らを支持する大崎氏が出馬しています。広島県から出馬されているJN4THO猶崎氏は35歳の若手で、個人的に期待しています。山口県からは4名が立候補するという大混戦で、JARLの現状に問題ありと考えるJA4LKB上田氏・JH4OUH児玉氏と、現執行部の支援を受ける青池氏(元山口県支部長)・末広氏、という構図です。
このエリアでどなたが落選するかによって、社員総会全体の構図が大きく変わります。
5エリア
無投票になりました。個人的には、バランス感覚に優れ誠実なお人柄の森田理事には、もっともっとご活躍頂きたいと思っています。
6エリア社員
定数8名。前回は立候補者が6名しかおらず無選挙でしたが、今回は10名が立候補され選挙になりました(現職6名・新人4名)。佐々木秀樹氏、中村博雄氏、佐々木正文氏を推薦する九州地方本部長名義のメールが出回っているようですので、この3人(いずれも福岡)は髙尾会長に近い方々と推測されます。個人的には、JR6IKD中嶋邦浩氏(熊本)、JH6QIL楠本真一氏(鹿児島)、JA6UHD河本鉄行氏(熊本)を応援します。
このエリアでも、どなたが落選するかによって、社員総会全体の構図が大きく変わります。
7エリア
7エリアも注目選挙区です。
青森県支部長・社員選は、現・東北社員であるJR7JAW槻木澤氏と、JL7GNT大向氏の一騎打ちとなりました。前回の選挙で、髙尾会長と槻木澤氏が連名で送付した選挙ハガキが局名録に掲載されていない会員住所に届いて問題となり、槻木澤氏は「勧告」との処分を受けています( JARL選挙の公正は死んだのか )。なのに、今回も連名のハガキを送っているようですね。槻木澤氏は、昨年の社員総会でも、髙尾会長・日野岳専務理事の解任議案否決に大きく貢献されました。他方で、JL7GNT大向氏は、八戸クラブの会長として地元から熱烈に支援されている方と伺っています。私なら大向氏に投票します。
山形県支部長は、前回も選挙でした。
7エリア社員は、定数8名に対し9名が立候補されています(現職6名、新人3名)。髙尾会長が、新人の安斎氏(青森)を推薦するハガキが出回っているようです。個人的には、JA7BCE市川氏(福島)とJK7LXU石岡氏(青森)を応援します。
8エリア
8エリア社員は、定数4人に対し5名が立候補。年の若いJE8KQR大國さんに頑張って頂きたいと思っています。
9エリア
無投票になりました。JARLの現状を憂いている社員の方が多いエリアです。
0エリア
0エリア社員は、定数4名に対し5人が立候補されています。すみませんあまり情報がありません。お持ちの方はお寄せ下さい。
14人の支部長社員の交代
去年の社員総会で、赤字決算はあと10数人が反対に回れば不承認とされていました。また、髙尾会長の解任議案はあと9名、日野岳専務の解任議案はわずか5名が賛成に回れば可決されていたところでした。 今回、14の支部で支部長が交代されました。ある支部では、会長が対立候補を立てようとしたが立てることができず無投票になったと聞いています。すでに、社員総会の勢力分布は大きく動いていると思われます。
繰り返しますが、どうか、 棄権だけはされないようにお願い申し上げます。 あわせて、 JARL選挙は何を選ぶのか(2022年版) もご覧いただけましたら幸いです。
(2022-03-26 記)
(脚注)この記事は、一般社団法人日本アマチュア無線連盟(JARL)で行われる選挙における投票先を選択するための情報という公共の利害に関する事実につき、有権者である会員に情報を提供するという公益を図ることを目的としており、内容はいずれも相当の根拠に基づく真実ですので、当然ながら名誉毀損にはあたりません。また、個人情報の漏洩も含んでおりません。誤りや追加情報等ありましたら、 「ご質問・ご意見」欄 から筆者宛てに直接ご連絡下さい。決して、本サイトのホスティング業者に連絡されることのないようお願い申し上げます。
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とっても小さいです。質感も悪くありません。
BANDボタンを押すと、FM→MW→SW→AIR→CB→VHF/UHF→UBD→WXと切り替わります。
- FM帯は最大64~108MHz。ステレオ受信可能。
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- AIRは118~138kHz。当然ですがAMだけ。
- CB帯は25~28MHz。AMとFMが聴けます。もうちょっと上まで行ってくれれば10mFMが聴けたのに、残念。
- VU帯は30~520MHz。FMだけです。6mAMや2mSSBは聴けません。残念。
- UBDは何の略かわかりませんが、VU帯の中で自分の好きな範囲を設定できるということのようです。
- WXは北米のNOAA Wether Radio用の162.400~162.550MHz。日本では何か聴けるのでしょうか。
バンドごとにメモリーが100個。スケルチも設定できます。感度はLOCAL/DX/NOROMALから選択可能(LOCALがないバンドがあります)。バンドごとにフィルタの幅も設定できます。なかなか芸が細かいです。
上下のTUNEボタンで周波数を合わせるときのチャンネルステップは、以下が選択可能。STEPボタンで切り替えます。
- FM : 50.0kHz,10.0kHz,100.0kHz.
- MW : 522-1710kHz, stepping: 9.0kHz, 3.0kHz,
- : 520-1710kHz, stepping: 10.0kHz, 5.0kHz.
- SW : 5.0kHz, 1.00kHz, 0.10kHz, 0.02kHz, 0.01kHz.
- AIR : 25.0kHz, 12.5kHz, 8.3kHz
- CB : 5.00kHz, 1.00kHz, 0.10kHz, 0.02kHz, 0.01kHz
- VHF/UHF&UBD step: 25.0kHz, 12.5kHz, 7.5kHz, 5.0kHz, 1.0kHz
CBに1kHzステップがあるので、27.144MHzにもぴったり合わせられます。
VUで20kHzがないのが残念です。
TUNEボタンに加えて、右側のロータリーダイヤルでも周波数を合わせられます。周波数の数字の中に小さな上向きの▲があり、ロータリーダイヤルを回転させると▲が付いている桁の数字が上下します。1度ダイヤルを動かすと▲が点滅状態になり、このときにSTEPボタンを押すと、▲が右に一桁移動します。約5秒待つと、▲の点滅が点灯に変わり、この状態でSTEPボタンを押すと、上で説明したTUNEボタンのチャンネルステップが切り替わります。この辺の挙動はわかりにくく、何度もいじくってみてようやくわかりました。
近所の公園に持ち出して、D-808/VX-3と感度を比較してみました。
印象ですが、
- FM帯、MW帯、AIRバンドの感度はなかなかよい。
- SW帯の感度は悪くないが、ノイズや混変調に弱い印象。AFN810kHzの強電界地域だからかもしれない。
- CB帯はまだよくわからない。
- VU帯の感度は正直言ってよくない。至近距離のローカル局なら受信できた。ロッドアンテナを伸ばし切らない状態の方がよさそう。
ともかく、(いちおう)こんなに広い周波数帯をカバーしていて、SSBまで受信できるラジオがこんなに小さい筐体に収まっているのは驚きです。
アンテナ端子(3.5mmモノラル)があるほか、イヤホンのコードもアンテナになるようです。今後は、外部アンテナをつないだり、使い倒してみたいと思います。
(2022-03-14 記)
2022年JARL選挙に立候補しています。ご支援どうぞよろしくお願い申し上げます。
JARL選挙立候補に当たっての所信(2022年関東社員)
髙尾会長宛てに、「第1 カード転送の安定化」、「第2 法制度・バンドプラン改善対応」、「第3 財政健全化」について議論しましょうと、「課題解決に向けての議論のご提案」 を提出しましたが、 2月の理事会 では完全無視でした。「しっかり協議を行い、会員の皆様、アマチュア無線の発展に向けて取り組んで行く」との言葉はどこに行ってしまったのでしょうか。
さて、その間に、提案した課題の2番目、「 法制度・バンドプラン改善対応 」について考えてみます。
昨年(2021年)11月19日に行われた内閣府の経済活性化ワーキンググループで、「アマチュア無線免許手続」が取り上げられました。とても画期的なことです(JARL Webに掲載されていないのは、JARLが呼ばれなかったからでしょうか。)。
ワーキンググループの公表資料はこちら↓
JARL正常化タイムズ第16号 もご覧下さい。
このWGで、YOTA-JAPAN事務局の櫻井豊氏が、アマチュア無線免許手続について、以下の改革案を提言されました。
(引用ここから)
国家試験に合格後、技適・工事設計認証を受けた市販無線機を使う限りにおいては、取得した資格の操作範囲で自由に使える無線局免許とコールサイン(呼出符号)を付与。免許人は、実際に無線局を開設後に速やかに「届出」を行なうこととし、開設後の増設・取替・変更時も、技適・工事設計認証を受けた市販無線機に限り、同様に速やかに「届出」を行なうこととする。
(引用ここまで)
これに対し総務省は、「アマチュア無線をより活用しやすい制度・環境を実現することは、 将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成 等につながると考えられる」と述べ、「総務省の考え方と、櫻井様の考え方というのは、同じだと思っております」と応じています。
ここで想定されている免許手続の改革案は、おそらく、こういうことかと想像します。
現在 | 改革案 |
①国家試験に合格 /無線従事者養成課程修了 | ①国家試験に合格 /無線従事者養成課程修了 |
②従事者免許申請書を提出する | ②従事者免許申請書と開局申請書を 同時に提出する |
③従事者免許証が届く | ③従事者免許証と 無線局免許状が届く →コールサインが決まる! |
④開局申請書を提出する | ④無線機を指定する届出書を提出する |
⑤無線局免許状が届く →コールサインが決まる! | ⑤晴れてオンエア! |
⑥晴れてオンエア! |
2通の申請書を同時に提出?
まず②のところ。今は、まず従免を申請し、従免が届いてから開局申請を提出しますが、 このふたつの申請書を同時に提出してよいことにしよう 、と思われます。
例えば関東総合通信局の場合、従免の担当窓口である航空海上課がふたつの申請書を一括して受け付け、従事者免許証を作成した後、無線局開局申請書と一緒に局免を担当する陸上第三課に回す。陸上第三課は、無線局免許状を作成し、従事者免許証と無線局免許状をそろえて封筒に入れ、申請者に郵送する、ということではないかと想像します。これなら、提出作業が1回で済みます。
ワーキンググループで、ある委員のこのような発言も記録されています。
これは、庁内手続の問題として、大きな法令改正は必要なく実現できそうです(無線局開局申請書の従事者免許証番号の欄を空欄のまま受け付け、担当の方がその空欄を埋められるようにする、という点が法的なハードルでしょうか。)。
開局後の無線機の増設
次に、
- ①『免許人は、実際に無線局を開設後に速やかに「届出」を行なうこととし』
- ②『開設後の増設・取替・変更時も、技適・工事設計認証を受けた市販無線機に限り、同様に速やかに「届出」を行なうこととする。』
の部分を読み解きます。
実は、②は、すでに実現されているのです。
最初に「許可」と「届出」の違いを押さえておきます。
- 許可:役所が審査しOKしないと効果が発生しない。申請人は審査終了まで待つ必要 あり 。
- 届出:役所に届出書が到達すれば効果発生。申請人は審査終了を待つ必要 なし 。
コロナ禍もあり、総通の審査に時間がかかっています。アマチュア無線家としては、総通の審査終了を待つ必要がない「届出」の方が、早く無線機が使えてありがたいですね。
無線機を増設する場合、どんな場合でも総通の審査終了を待たないといけないと思っている方が多いようです。実は、「軽微な無線設備の変更」の場合は、総通の審査終了を待たなくてもよいのです。すなわち、
- 要件1:周波数、電波の型式又は空中線電力に変更がない
- 要件2:空中線電力200ワット以下
- 要件3:技適機種またはJARD/TSSの保証を受けた無線機への取替または増設
この3つの要件を満たす場合は、「届出」さえすればOKです。電子申請のときはデータの送信、紙申請のときはポストへの投函が終われば、増設した無線機を使い始めてよいのです。総通の審査終了を待つ必要はありません。
- 軽微でない無線設備の変更: 申請→→→→→→許可→変更検査→ 運用OK!
- 軽微な 無線設備の変更: 変更工事→届出→ 運用OK! →総通の受理連絡
というわけで、「届出」の方が断然早いのです。
アマチュア無線を長くやってらっしゃる方は、局免上、メジャーな周波数はすべて免許を下ろしていて、電波型式の一括コードも空中線電力、資格めいっぱいの上限に達しているのではないでしょうか。そういう方は、「要件1」はもう満たしています。ですので、新しい技適機種を買ってきても、周波数、電波の型式又は空中線電力に変更が生じませんから、総通に届出さえすれば、すぐに使ってOKです。JARD/TSSの保証を受けたときも、保証の手続が終わって総通に届出さえすれば、すぐに使ってOKです。もう、総通の手続が時間がかかるといってイライラしたり、総通に問い合わせの電話をしたりするのは、やめましょう。
この記事の末尾に、法律の条文の詳しい読み解きを付けました。ご興味をお持ちの方はご覧下さい。
わかものの成長ステップ
ところが、今からアマチュア無線を始めよう、というわかものは、ベテランハムのようにはいきません。局免の記載事項は、最初は少なく、だんだん増えていきます。4アマを取ったニューカマーは、例えばこんなハマり方をしていくのではないでしょうか?
ステップ | 無線局免許状 |
144/430のアナログハンディ機で開局! | 4VF 145/435MHz 10W |
144/430のモービル機を買った! | 4VF 145/435MHz 20W |
D-STAR機買った! | 4VA 145/435MHz 20W |
HF機買っちゃった♪ |
4MA 1910kHz 10W 4HA 3537.5kHz 10W 4HD 3798kHz 10W 4HA 7100kHz 10W 4HA 21225/24940kHz 10W 4VF 28.85/52MHz 10W 4VA 145/435MHz 20W |
FT8始める! | (局免変更なし) |
FreeDVやってみる! | 4MA G1E 1K60 G7W 1910kHz 10W 4HA G1E 1K60 G7W 3537.5kHz 10W 4HD G1E 1K60 G7W 3798kHz 10W 4HA G1E 1K60 G7W 7100kHz 10W 4HA G1E 1K60 G7W 21225/24940kHz 10W 4VF 1K60 G7W 28.85/52MHz 10W 4VA 145/435MHz 20W |
赤字は、局免の「周波数、電波の型式又は空中線電力」が変更される部分を意味します。この赤字部分を変更するために、「届出」ではなく「許可」となり、総通の審査完了=新しい局免の到着を待たなければいけない、ということになります。せっかくHF機を買っても1ヶ月お預けです。待っている間に、無線熱が冷めちゃうかもしれませんね。
FT8など、一括記載コードの範囲内のデジタルモードは、 2020年の規制緩和 ですぐに始められるようになりましたが(遅滞なく備考欄に「デジタルモードのため附属装置(PC)を接続」と書いた届けを出せばOK)、わかものが興味を持ちそうなFreeDVの電波型式は一括記載コードに入っていないので、「許可」となり、総通の審査完了=新しい局免の到着を待つ必要があります。
改正案?
ならば、最初から、局免にめいっぱい書いておけば、いいのですよね。全部「届出」になりますよね。
出来事 | 無線局免許状の指定事項 |
144/430のアナログハンディ機で開局! | 4MA G1E
1K60 G7W 1910kHz 10W 4HA G1E 1K60 G7W 3537.5kHz 10W 4HD G1E 1K60 G7W 3798kHz 10W 4HA G1E 1K60 G7W 7100kHz 10W 4HA G1E 1K60 G7W 21225/24940kHz 10W 4VF 1K60 G7W 28.85/52MHz 10W 4VA 145/435MHz 20W |
144/430のモービル機もらった! | (局免変更なし) |
430のD-STAR機買った! | (局免変更なし) |
HF機買っちゃった♪ | (局免変更なし) |
FT8始める! | (局免変更なし) |
FreeDVやってみる! | (局免変更なし) |
こうすれば、4アマニューカマーの無線機がどんどん増えていっても、すべて「届出」だけで済みます。総通の審査完了を待たなくてよいので、アマチュア無線家側のイライラも減りますし、新しい局免送付用の封筒を送らなくてもよくなります。総通としても、新しい局免を発送する手間がなくなりますし、「審査はまだでしょうか?」といったお問い合わせも減ります。Win-winです。
総務省としては、免許人の手元にある無線機のスペックを超えるバンド、モード、出力を局免に指定することに抵抗があるかもしれません。でも、今でも、一括記載コードは、手元の無線機では出せない電波型式を含んでいますし、5Wハンディ機でも10Wと書いているではないですか。さらにちょっと増えるだけです。大丈夫ですよ。
さて、それでは、アマチュア無線家側として、局免に、最初からどこまで書いておいて欲しいでしょうか。
最初から書いておいて欲しい周波数帯
市販の技適無線機があるHF帯~1280MHz帯、それから4630kHzは、ぜひ最初から局免に記載しておいて頂きたいと思います。2425MHzと5750MHzも、 ICOMさんが新製品を開発中ですので 、最初から局免に書いてしまいましょう。そういう運用を実現するためには、電波法関係審査基準の改正だけで済みますので、ハードルは決して高くないと思います。
他のマニアックな周波数帯(135kHzとか10GHz帯以上とか)は、必ず自作機になりますので、当面は、総通の審査=「許可」が必要としてもいいのではないでしょうか。
最初から書いておいて欲しい電波型式(モード)
FreeDVの電波型式「G1E」と「1K60 G7W」は、最初から一括記載コードに入れて頂きたいと思います。ついでに、 占有周波数帯幅の告示 に「G7W 許容値3kHz」を追加すれば、「1K60」といった占有周波数帯幅を付記する必要がなくなり(上記告示第2項参照)、FreeDVの新モードがリリースされても、「1K60」を「2K10」にいちいち変更したりするための許可申請手続は要らなくなります。これを実現するためには告示の改正が必要なので、ハードルはちょっと上がりますが、FreeDV愛好家が大歓迎の改正だと思います。
他に、実際にそれなりに使われているが、今の一括記載コードに含まれていないモードには何があるでしょうか。低周波発信器のCW音をAMに乗せるモード「A2A」は、 運用実績もありますし 入れても良さそうです(ちなみに低周波発振器のCW音をFMに乗せるモード「F2A」は、すでに一括記載コードに含まれています。)。PSK31をAMに乗せる「A2B」は不要でしょうか。無変調波「N0N」はいかがでしょうか?
最初から書いておいて欲しい出力
出力は、最初から各資格で認められる出力めいっぱいの数字を書いてしまいましょう。4アマはHF帯10Wそれ以外は20W、3アマは50W、1アマ2アマは200Wと、最初から書いてしまうというわけです。200Wを超えたいときは、素直に「許可」を受けましょう。
ニューカマーでは無い局
以上はこれから開局する人の話でしたが、すでに開局している人の局免も、この際同じようにめいっぱい書いてしまいましょう。「めいっぱい指定されているものとみなす」と、改正文に1行追加すればOKです。難しくありません。
『免許人は、実際に無線局を開設後に速やかに「届出」を行なうこととし』
内閣府WGの提案「①『免許人は、実際に無線局を開設後に速やかに「届出」を行なうこととし』」は、開局申請書に無線機を特定して記載しなくてもよい、購入してから届け出ればよい、という案と思われます。ここまで進むとさらにラクになりますね。
「 ワイヤレス人材やIoT人材の育成 」のための制度改革
おっと、内閣府ワーキンググループの提言の目的は、「将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成」でした。これに絡めることを忘れてはいけません。「免許手続の負荷を低減し、手続に煩わされず、ある程度自由な環境で電波を使った実験ができる環境をととのえることは、将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成に資する」これでよいと思います。
他に、「将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成」に資する制度改革として、何が考えられるでしょうか。
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多くのわかものが、VoIP(インターネットを経由するデジタル通信)に興味を持っています。ネットワークと無線技術の融合形態を経験することは、「将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成」に資すると考えられます。ですが、現在、D-STARレピータはリフレクタに接続できず、日本のレピータ網だけがガラパゴス化しています。そこで、D-STARレピータのリフレクタへの接続を認めていただきたいと思います(具体的には、電波法関係審査基準中、「レピーター局」の条件である「公衆網に接続することによって
一体として構成される2の レピーター局に係る中継を行う場合」を、「公衆網に接続することによって
複数の レピーター局に係る中継を行う場合」とするだけで、おそらく大丈夫なはずです。)。
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VoIPでは、自宅に小さなホットスポットを立ち上げ、手元の無線機からホットスポットを経由してネットワークに接続し、世界中のアマチュア局と交信することが行われています。ですが「自局内通信は許されない」という根拠のあやふやな解釈により、ホットスポットには自局とは別の局の免許(固定局または社団局)が必要と扱われてしまっています。しかし、わかものに、2局分の開局費用を払え!というのは酷であり、「将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成」の障害になっています。そこで、「自局内通信は許されない」との解釈を改めて頂きたいと思います。
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アマチュア無線に熱心に取り組んでいくと、50Wを超える出力を出したくなりますが、現在は、移動する局に加え、移動しない局を開設する必要があります。ですが、わかものに、2局分の開局費用を払え!というのは酷です。そこで、アマチュア局は移動する局に一本化し、50Wを超える無線機は常置場所だけで運用できる、として頂きたいと思います。
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日本の免許制度は、事後的な規制よりも、許可や届出といった事前規制に偏りすぎており、その結果、手続が煩雑となり、「将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成」のために、自由に試行錯誤できる環境が失われています。
総務省は、我が国は国土が狭く人口が稠密なため、電波も稠密かつ効率的に利用することが必要といいます。(同じように国土が狭く人口が稠密なのに、日本同様の厳しい事前規制を取っていない国はたくさんあるのですが、それはさておき、)他の無線局への障害を心配するのであれば、障害の可能性が低い一定の出力以下の弱小無線機については、「将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成」のために、例外を設けてもよいですよね?。現に、 今でも、 「空中線電力20ワット以下の送信機の 部品の変更 」については届出でよいとしているのですから、これを一歩進め、「空中線電力20ワット以下の送信機 への取替または増設 」は、届出だけですむようにできないでしょうか。JARD/TSSの保証が不要になり、必ずや、「将来の技術研究、開発に携わるワイヤレス人材やIoT人材の育成」に資することになります。
「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」
ちょうど、この1月から、総務省の主宰で、「ワイヤレス人材育成のためのアマチュア無線アドバイザリーボード」が開催されており、JARLからは髙尾会長が参加しているそうです。ですが、どのような議論がされているのか、一向に見えてきません。
髙尾会長におかれましては、一般アマチュアから意見を募集してとりまとめ、「アドバイザリーボード」の場で総務省に要望を出していただくようお願いします。この記事に書いた私の案は、どうぞご自由に使って頂いてかまいません。
千載一遇のチャンスを逃すわけにはいきませんので、よろしくお願いします。
【付録】条文の読み解き
備忘録を兼ねて、以下の3要件を満たすときは「届出」ですむ、という条文上の根拠を示しておきます。
要件1:周波数、電波の型式又は空中線電力に変更がない。
要件2:空中線電力200ワット以下
要件3:技適機種またはJARD/TSSの保証を受けた無線機への取替または増設
開局後に行う無線設備の変更の工事について規定する電波法の条文は第17条です。第3項で第9条を準用しているので、ここでは、準用を組み込んだ条文を示します。
第17条第3項による読み替え後の条文 |
---|
(変更等の許可) 第十七条 免許人は、無線設備の変更の工事をしようとするときは、あらかじめ総務大臣の許可を受けなければならない。但し、 総務省令で定める軽微な事項 については、この限りでない。 2 前項但書の事項について 無線設備の変更の工事をしたときは、遅滞なく その旨を総務大臣に 届け出 なければならない。 3 第一項の変更の工事は、 周波数、電波の型式又は空中線電力に変更を来すものであつてはならず 、かつ、第七条第一項第一号又は第二項第一号の技術基準(第三章に定めるものに限る。)に合致するものでなければならない。 |
「軽微な事項」とはなんぞやというと、電波法施行規則第10条に、このように規定されています。
(許可を要しない工事設計の変更等) 第十条 法第九条第一項ただし書の規定により変更の許可を要しない工事設計の軽微な事項は、別表第一号の三のとおりとする。 2 前項の規定は、法第十七条第三項において法第九条第一項ただし書の規定を準用する場合に準用する。 3 (省略) |
そこで別表第1号の3を見ると、アママチュア局のことは書いてなくて、最後の21号に「その他総務大臣が別に告示する工事設計」とあります。そこで、告示を見ないといけません。
その告示は、正式名称「 電波法施行規則別表第一号の三の第1の表21の項及び第2の表2の項の規定による許可を要しない工事設計の軽微な事項 」という長い名前の告示です。アマチュア無線に関する部分を抜き出します。
重要なのはこの表の「1」です。注により読み替えた後の文言を示します。
変更の工事のうち軽微なものとするもの | 適用の条件 |
1 空中線電力200ワット以下の送信機の変更の工事 | 当該部分の全部について, 適合表示無線設備に取り替える場合若しくはこれを増設する場合 又は 総務大臣が別に定めるところにより公示する者による、総務大臣が別に定める手続に従つて行つた法第3章の技術基準に適合していることの保証を受けた送信機に 取り替える場合若しくはこれを増設する場合(新たに付設する場合を含む。) |
「適合表示無線設備」はいわゆる技適機種、「 ・・・法第3章の技術基準に適合していることの保証を受けた送信機 」はJARD/TSSによる保証を受けた無線機、という意味です。
以上より、「技適機種の増設」または「JARD/TSSによる保証を受けた無線機の増設」は、「届出」で済むことが示されました。
なお、「届出」で済む場合、いつから増設した無線機を使ってよいか、という論点があります。一般には、「届出」をした時点、つまり、電子申請のときはデータの送信が完了すれば、紙申請のときはポストに投函すれば、増設した無線機を使い始めてよいと言われています(繰り返しますが、総通の審査終了を待つ必要はありません。)。
ですが、電波法の条文を正確に読むと、「無線設備の変更の工事を した とき」は「遅滞なく届け出」をしなさい、となっていますから、増設した無線機をまず先に使い始めて、届出は後から「遅滞なく」行えばいいはずです。この点も、アドバイザリーボードで明確にしていただきたいものです。
(2022-03-12 記)