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link JJ1LFO ~線無きことかな~ JJ1LFO ~線無きことかな~ (2024/5/14 15:36:00)

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feed IC-705 & PC 用に ヘッドセットを改造してみた (2022/4/3 17:00:00)
DSC_0870-01.jpeg


入手したヘッドセット

捨てられていた、まだ使えそうな片耳ヘッドセットを拾ってくる。
STANDARD 製の本体が CHP820 、ヘッドバンドが CMB820 という型番。
Web でメーカーの製品ページや取扱説明書を見つける事が出来なかったが、
の販売ページによると、特定小電力トランシーバー用のヘッドセットみたい。
DSC_0863-01.jpeg

ケーブルの途中に "CALL" スイッチがあり。これは IC-705 等の無線機の PTT に使えそう。

マイクは接話型。
マイクの表側と裏側に穴が開いていて差動になっており、
同じ位の音圧・位相になる遠い音源の音は打消しあうけど、
口元の音は表側の音圧が強いので拾うという、パッシブ・ノイズキャンセリング。
単純なノイズキャンセリングだが、試しに裏側の穴を指で押さえてみたら結構効果が有るのが確認できた。

しかし、ケーブルの先の接続端子がこんな感じで、このままでは使えない。

そこで、このケーブル先端の端子を切り取り、DINプラグに交換して。
DINジャックの PC ヘッドセット用ケーブルと、IC-705 ヘッドセット用ケーブルの2種類の変換ケーブルを作る事にする。

改造

CHP820 のケーブル先端を切断し、配線を調べると。
  • 黒: スピーカ-, CALL SW
  • 白: スピーカ+
  • 青: CALL SW
  • 緑: MIC
  • 編線: MIC GND
と判明したので、以下のような変換ケーブルの回路を考える。(クリックで拡大)
  • スピーカ用プラグとマイク用プラグの PC 用
  • CTIA 4極プラグのスマホ等用
  • 2.5mm Phone のマイク用と 3.5mm Phone のスピーカ用プラグの、無線機用
の3種類の変換ケーブルを考えたが、実際に作成したのは PC 用と無線機用のみ。

また、無線機用で使う時に CALL SW の GND がスピーカ側だと、
マイク単体で PTT として動作しないので、MIC GND 側になるように CHP820 の CALL SW部もパターンカットして改造。

ステレオの PC スピーカ出力をモノラルにする抵抗や、無線機のマイク・PTTとして動作させる為のキャパシタや抵抗は、DIN ジャック内に収める事にする。

作った変換ケーブルがこれ。
上側が無線機用のマイク・PTT/スピーカ変換ケーブル。
下側が PC ヘッドセット用ケーブル。
PC ヘッドセット用ケーブルの、ステレオ・ミニ・フォーン・プラグケーブルは、
手持ちの、4極-スピーカ・マイク変換ケーブルから切り取って流用。

使用感

  • 片耳ヘッドセットなので、周囲音も聞こえながらクリアに PC や無線機の音が聴ける。
  • 想像していたより圧迫感が少なく、暑苦しくもない。
  • 接話マイクは単純な割に効果があり、周りの雑音がかなり軽減される。ただし、喋っている声の低音は減っているようだが、会話用途には好都合?
  • 最近増えている Zoom などの PC リモートミーティングに便利。
  • 無線機ヘッドセットとしても、かなり有用。受信時にスピーカから音を出さなくて済むので、周囲に迷惑にならないし。接話型マイクのおかげで、逆に送信時は周りの騒音が回り込みにくい。

CTIA 4極変換バージョンも考えたけど、スマホなら Bluetooth イヤホン使うから必要ないか。
4極-SP/MIC変換ケーブルも安く売っているから、それ使えばいいし。



feed Raspberry Pi をはじめてみた (2022/2/2 18:05:00)

DSC_0848-01_20220202155910c60.jpeg 世間で流行っている Raspberry Pi

小さな電子工作向けには、少し大きいし消費電流も多そうなので。
今まで  PIC ESP32 , Arduino にしか手を出してこなかったのだが。

先日、知り合いが D-Star の dmonitor を、 Raspberry Pi4 を使って動かしているのを目の当たりにしたら。なんか妙に欲しくなって来た。
調べてみると、GNU Radio を動かしたり、FT8 の WTJX/JTDX も動作するし、RTL-SDR ドングルと組み合わせて受信専用 APRS I-Gate を構成出来ると知り、さらに欲しくなってしまい とうとう買ってしまった

Raspberry Pi 400 購入

いざ買おうとすると。
昨今の半導体不足の影響か Raspberry Pi 4 本体が、スイッチサイエンス/秋月電子/マルツ電波/千石電商などで軒並み 在庫なし入荷未定!!
前のモデルの Pi 3 でさえ入手不可能。

ただし、本体がキーボードと一体化した Raspberry Pi 400 は流通在庫があるようで、
秋月電子で購入できた。
マウスは買わなくても余っているのを使えば良いし AC アダプターも要らないけど(本当はキーボードも要らなかった)、HDMI 端子が Mini なのか Micro なのか分からなかったので HDMI ケーブルが付属している スタータキット にした。日本国内技適取得済。

初期設定

以下は、少々引っ掛かった所と、セキュリティ・リスク回避の為の設定方法の
自分の為の備忘録
(ネットには、もっと詳しい情報がゴロゴロしているので、そちらをご参照あれ)

OS

Pi に HDMI でディスプレイを接続しない状態で、PC から VNC 経由で Raspberry Pi Desktop を使いたかったのだが。
なぜか現時点で最新の、 Bullseye 2022-01-28 ではディスプレイを HDMI 接続しておかないと VNC で使えなかった。
一つ前の (Legacy) Buster にしたら大丈夫。

Bullseye も更新されて、簡単に HDMI 接続なしで VNC 出来るようになるのかな?

セキュリティ対策

PC やスマホと見た目が違うので忘れがちだが、ネットに繋いで使う事が多いのでセキュリティ対策を施しておく。
一連の連載記事「 ラズパイのセキュリテイ対策 」によると、あの NASA でも Raspberry Pi が抜け穴となってサイバー攻撃を受けたそう。

デフォルトユーザーのアカウントとパスワード変更
新しいアカウントを作成し、デフォルトユーザーを削除してアカウントを推定しにくくする。

新規ユーザー作成。
sudo adduser 新しいユーザー名

デフォルトユーザー pi と同じ group 権限付与。

sudo usermod -G pi,adm,dialout,cdrom,sudo,audio,video,plugdev,games,users,input,netdev,spi,i2c,gpio 新しいユーザー名 

デフォルトユーザー pi のホームディレクトをコピー。

sudo cp -R /home/pi/* /home/新しいユーザー名

デフォルトユーザー pi の自動ログイン無効化

diff /etc/lightdm/lightdm.conf.orig /etc/lightdm/lightdm.conf
126c126,127
< autologin-user=pi
---
> #     autologin-user=pi
> autologin-user=新しいユーザー名
diff /etc/systemd/system/autologin@.service.orig /etc/systemd/system/autologin@.service
28c28,29
< ExecStart=-/sbin/agetty --autologin pi --noclear %I $TERM
---
> #     ExecStart=-/sbin/agetty --autologin pi --noclear %I $TERM
> ExecStart=-/sbin/agetty --autologin 新しいユーザー名 --noclear %I $TERM

デフォルトユーザー pi の有効期限を過去にして、ログイン出来ないようにする。

sudo usermod --expiredate 1 pi

root のパスワードも変更しておく。

sudo passwd root


SSH を公開鍵認証方式にする。
秘密鍵と公開鍵のキーペアを作成。
ssh-keygen -t rsa

公開鍵の配置とパーミッション設定。

cat ~/.ssh/id_rsa.pub >> ~/.ssh/authorized_keys
rm ~/.ssh/id_rsa.pub
chmod 600 ~/.ssh/authorized_keys

SSH のパスワード認証方式を無効化。

diff /etc/ssh/sshd_config.orig /etc/ssh/sshd_config
56a57
> PasswordAuthentication no


これから

しばらく触ってみましたが。
組込用 CPU というよりも、普通に Linux パソコンですねこりゃ。
古くは SUN Sparc の Unix から、Windows Cygwin, Windows WSL と渡り歩いて来た身からすると馴染み深い。

先ずは、GNU Radio 動かして楽しんだ後に APRS I-Gate にでも挑戦してみますか。



feed IC-705 外部キーバッドをフリスクケースで作ってみた (2022/1/24 16:00:00)

DSC_0841-01-01.jpeg

IC-705 で CW 運用時、KEYER メモリーを送出するのに、いちいちメニューを開くのが面倒なので外部キーバッドを作成。

どうせ作るならと、電子工作界隈でちょっと流行っているフリスクのケースに組み込んでみた。

構想

  • 回路は基本的に IC-705 の取扱説明書に掲載されているもの。
  • 移動先にパドルを忘れてしまっても CW 運用できるように、応急キーを追加。
  • パドルと外部キーバッドを並列に接続するため、3.5mm Mini Stereo Phone ジャックを2個設ける。

回路図

IC-705_ExtKeypad.png

そして、今回の最大のテーマが。
  • 持ち出しやすく小型軽量化するために、フリスクのプラケースに収める。

ケースの調達

家の近所のコンビニやスーパーでは、なぜかプラケースじゃなくて金属缶の FRISK neo しか置いていなかった。
電子工作にとって金属ケースは有り難い点もあるがこのケースは構造上、基板を組み込むのが困難で使えない。
もしかして、プラケースのフリスクは無くなって金属缶の NEO だけになってしまった?と心配していたが。

なぜか、職場の近所の成城石井には金属缶 NEO は置いていないのに、プラケースのフリスクが売っていたので無事調達。

製作

最初に
  • フリスクのケース
  • ケースにぴったり収まるユニバーサル基板
  • 12 mm角タクトスイッチ x 8
を揃えて部品配置を検討した。

タクトスイッチの取り付け

この大きさのタクトスイッチを収まるようにする為には、各スイッチをほぼ密着させて配置するしかない。
そこでタクトスイッチの一方の端子は根元から切り取り。
さらに残した端子もユニバーサル基板の穴が小さく入らないので、基板ランド表面に半田付け用に、
スイッチ底面と同じ高さに切り揃える。
スイッチの固定は、基板に貼り付けた強力両面テープに頼る事に。
端子を処理したタクトスイッチを、端子がランドに合うように両面テープで固定し。
端子をランドと半田付け。

抵抗の取り付け

抵抗を基板に取り付けて配線。
ただしスペースが足りず手前側の抵抗は、基板ランド穴に挿入出来なかったので
スイッチの端子に直接半田付け。

ジャックの取り付け

赤丸で示した下部ケース内の壁が、Stereo Mini Jack を取り付けるのに邪魔なので。
壁を切り取り。
ジャック穴を空けて、無事2個のジャックを取り付け完了。
基板に応急用KEYの小さいタクトスイッチも半田付けして、ジャックとの配線も取り付け。
下部ケースに収めた状態がコチラ。

上部ケースの加工

次に上部ケースのスイッチのキートップの頭に合わせて穴あけ。
応急 KEY 用の穴もあけておく。
これで一通り揃う。

目隠しダストカバーの作成

と、ここでスイッチとケースの穴の間から中身が見えてしまうのが、見た目的に気になったのと。
基板上に貼り付けた両面テープに、埃が吸いつけられそうなので。

コピー用紙を図のように切り抜いて、ダストカバーを作成。

油性マジックで黒く塗り。
タクトスイッチの頭に合わせて置く。

タクトスイッチのキートップを嵌め込んで。
上部ケースを取り付けて完成。

使用感

3.5 mm Stereo Mini ジャックの片方と IC-705 の KEY ジャックを接続し、もう片方のジャックにパドルを接続して、こんな感じで使用中。

目標どおり小型軽量にまとまり。
いちいち MENU から呼び出さなくても、ワンタッチで KEYER メモリーが呼び出せてとても便利。
もうこれ無しには戻れない。
もっと早く作っていれば良かったです。

というか、最初から IC-705 本体パネルにスイッチを設けておくか、スピーカマイクに1~8のスイッチを付けておいて欲しかった。

応急用 KEY も、少し慣れれば通常の縦ブレ電鍵と同じように符号が打てますし、
TUNER 調整時等の連続キャリア送出にも使えて便利。

無理やりフリスクのケースに押し込む為に、タクトスイッチの端子加工や、片側の抵抗を基板じゃなくスイッチの端子に直接半田付けする羽目になりましたが。
初めてのフリスクケース経験にもなったので良しとします。

今後の改善点としては。
スイッチのキートップを黒1色じゃなく色分けした方が、周りが薄暗くなってもスイッチの押し間違いを防げて良さそう。
今度、秋葉原に寄る機会があったら探してこよう。

feed 7/21MHz帯ベランダ・ワイヤー・アンテナに3.5MHz帯延長エレメント追加してみた (2021/12/30 19:30:00)

DSCPDC_0003_BURST20211230104727084_COVER-01.jpeg 動機

で出られるようになった 7 MHz帯。
日中は日本全域からの電波が賑やかで安定して繋がるのですが、日没後は DX 局以外かなり静かになります。

そこで、夜間にも国内通信ができそうな 3.5 MHz帯への対応 を目論む。

構想

大きなインダクタンスのみによる延長

最初に  7 MHz帯延長エレメント追加の時 と同様にトラップじゃなくて、
インダクタンスの大きなのコイルで 7 MHz 帯を阻止かつ 3.5 MHz 帯の延長コイルとして使う方法を検討。
インダクタンス 300 uH 弱 、約 70 cm のワイヤ追加で使えそうな MMANA シミュレーション結果が得られた。


しかし短縮がキツ過ぎて 3.5 MHz帯の共振帯域が、かなり狭くなってしまう。
前回 の 7 MHz と 21 MHz の周波数3倍とは違い、3.5 MHz と 7 MHz では2倍しか離れていないのも難しくなる要因か。

7 MHz 帯トラップによる延長

そこで少しでも帯域幅をかせぐ為、やはり普通に 7 MHz トラップ を入れることに。
こちらも MMANA 簡易モデルでシミュレーションしてみた。

トラップの L が小さいと、延長ワイヤーが長くなり過ぎる。

ベランダに収まる、延長ワイヤー 2 m 未満にしようとするとだいたい 100 uH 位。
ほぼ 5 pF のキャパシタ―との並列で 7 MHz に共振。



まだまだ帯域幅は狭いが、これを採用することにする。

製作

トラップの作成

直径約 65 mm のペットボトルの切れ端に、0.32 mm UEW エナメル線を 32 ターン密巻で 100 uH になった。雨などで特性が変化するのを少しでも減らす為に、巻線の外側を自己融着テープで保護。
組み合わせるキャパシタ―には耐圧が必要だし。共振点を 7 MHz に合わせる為に調整も必要となるので 同軸ケーブルの芯線と編線の間の容量成分を利用 する。

50 Ohm 系の同軸ケーブルの芯線-編線間の容量は、約 100 pF/m なので。
少し長めの 8 cm 程度に切り出した 1.5D-2V の芯線と編線を、空芯 L に並列に接続。

徐々に同軸ケーブルを切り詰めていって、トラップの共振点を 7 MHzになるように上げていく。
結果、約 3 cm で 7 MHz に共振してくれました。
屋外に設置するので、念の為に同軸ケーブルの断面にホットメルトを塗り、熱収縮チューブを被せて防水処理をしておく。

既設の 7/21MHz帯ベランダ・ワイヤー・ アンテナ の先端にトラップを接続して、
その先に長さ約 2 m のワイヤーを付加。

延長ワイヤー調整

7 MHz 帯の共振点に殆ど影響が無いのを確認した後。
今度は延長したワイヤーを 3.5 MHz 帯の目的の周波数に共振するように短くしていく。
後から再度調整可能にする為に、ワイヤーは切り詰めるのではなく、
写真のように調整用に出したヒゲ状部分を折り曲げて電気的長さを短くする。

調整完了後の寸法は、こんな感じ。

調整後の実測

調整後に NonoVNA で実測。
  • SWR 最低値は 1.135 と十分に低い。
    • 帯域幅は SWR 1.5 以下で約 30 kHz。
    スクリーンショット 2021-12-30 172843

    • SWR 2.0 以下で約 52 kHz。
    スクリーンショット 2021-12-30 173002

シミュレーションより少しだけ帯域幅が広くなっているが、それでもやはり狭さは否めない。

使用感

今まで、無理やり手動 アンテナ ・チューナで SWR を落としても受信音は静かなままで Sメータが振らなかった 3.5 MHz帯でしたが。
日本全域と中国や極東ロシアの局が入感するようになりました。
送信も PSK Reporter を見る限り、海外は厳しいですが日本中には飛んで行っているみたい。

ただし、
FT8 QSO では軒並み、こちらの受信レポートに対して送信レポートが約 10 dB 悪い。
短縮率が厳しい + ロケーションの悪さ (+ 出力 10 W とこのバンドでは貧弱?) の為かと思いますが、仕方ありませんね。

これで、3.5 / 7 / 21 MHz帯の 3 バンドに対応した、ベランダ・ワイヤー・ アンテナ が完成!
7 / 21 MHz帯は十分実用的ですが、3.5 MHz帯はギリギリという感じですが。

防水には気を使ったつもりですが。雨が降ったりすると、共振周波数が動くみたいです。
帯域幅が狭いので運用可能周波数に影響をモロに受けてしまいます。
いちいちベランダに行って、調整ヒゲの長さを変えて対応するのが面倒だ。

今後の改良

もう少しインダクタンス値を下げて、3.5 MHz帯延長ワイヤーの長さを長くして、帯域幅を少しでも広げたいですね。そうすれば雨が降るなどしても再調整の必要性が減らせるかも。

また欲が出てきて、次は 1.8 MHz帯対応にチャレンジしてみたくなってきました。
ベランダに延長ワイヤーを追加するスペースに余裕がもう無いので。
これまでの手法とは発想を変え。
電流腹が低くなるのを覚悟の上で、ワイヤーの根本にボトム・ローディング・コイルを挿入してみるか?
他のバンドを殺したくないので、遠隔でローディング・コイルの挿入/未挿入を切り替える手段の検討必要。

それよりも、14 MHz帯にも出られるように上級アマチュア無線従事者免許を取得するか?
大電力にそれ程魅力を感じていなかったし、昔は和文電気通信術がネックだったけど。
最近は電気通信術の実技も無くなったので、1アマでも目指してみましょうか。


feed IC-705 TUNER 一定キャリア送信プラグの作成 (2021/8/29 23:20:00)

IC-705 でアンテナ・チューナーの調整を行う時に。

SSB モードやエレキ―使用 CW モードでも、ワンアクションで一定キャリアを送信できる、
送信ボタンを作成した。

概要

瓦煎餅缶アンテナ・チューナー を調節するために、一定キャリアを出す為には、
・FM または AM モードに変更して PTT を押す。
・SSB モードの場合は、一定レベルのトーンを入力して PTT を押す。
のいずれか操作が必要で、ちょっと面倒臭い。

しかし IC-705 には、オート・アンテナ・チューナー用に本体右側面に
[TUNER] Jack が装備されている。
この端子を流用して、ワンタッチで一定キャリアの送信が出来ないか調べる。

すでに同じような事を考えている先人達が居るもので。

どちらも、
IC-705 に外部オート・アンテナ・チューナーが接続されたと認識させて [TUNER] 機能を有効にする為。
[TUNER]  Jack のKEY 端子に出ている 3.3 V を利用し、START 端子に電圧を与えている。

                                                          
さらに、キャリア送信するため KEY 端子を接地した瞬間も START 端子の電圧を保持させるために、
逆流防止のダイオードと電荷を溜めておくキャパシタ―を使用。

IC-705 [TUNER] Jack 回路

かつてのアマチュア無線機には、回路図が必ずついていたものですが、
なぜか最近の日本製の無線機には付属されないようです。
(普通に家庭用の据置テレビの背面にも、回路図が添付されていた時代が有りました。修理する人のため用だったのだと思うけど。
ちなみに大昔の自動車や二輪車の取説にも、電気配線図が掲載されていましたね。)


電波法施行規則 第三条 第一項 十五  に「アマチユア業務」とは、
「金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務をいう。」
とあるのですから、必ず回路図を付属して欲しいところです。

どこかに IC-705 のサービス・マニュアルが落ちていないか探していたら、つい最近とうとう見つけた。

  [TUNER]  Jack 周りの回路はこんな感じ ( IC-705 Service Manual  より)
  • CONNECT UNIT

  • MAIN UNIT


[TUNER]  Jack 
  • START 端子 (3.5mm Plug RING)
IC161 のバッファを通して CPU に入力される。
一定以上の電圧がかかると、外部オート・アンテナ・チューナーが接続されたと判断し、
[TUNER] 機能を有効にする。

[TUNER]機能が有効であれば、IC-705 の画面で [TUNER] ボタンを長押しすると、
外部オート・アンテナ・チューナーに TUNE 動作開始を指示する為。
Q162  MOS FET のオープンドレインを ON にして、0.5 秒間端子を接地する動作をしている。


  • KEY 端子  (3.5mm Plug TIP)
IC161 のバッファを通して CPU に入力される。
[TUNER]機能が有効時、接地されると一定キャリアを送信。

調査

[TUNER] 機能が有効になる、START 端子の電圧

手始めに、START 端子の電圧がどれ位なら [TUNER] Jack に外部チューナーが接続されたと認識して、[TUNER] 機能が有効になるかしらべた。

端子に電圧を 0V から徐々に上げていくと、約 1.5 V 以上になると [TUNER] 機能が有効になるようです。

KEY 端子からは約 3 Vの電圧が出ているので、これが利用可能。

START 端子電圧保持用のキャパシタ容量

KEY 端子を接地する事でキャリア送信が開始されるのだが。
同時に START 端子の電圧が下がってしまうと [TUNER] 機能が無効になるようで、
キャリア送信されない。

そこで、逆流防止のダイオードと電圧保持用のキャパシタが必要になる。
START 端子が本体側から接地されたときに、
電流が流れ過ぎないように抵抗も入れておく。

KEY端子を接地しても、しばらくSTART 端子の電圧を保持しておくキャパシタの容量が
どの程度以上あれば良いのか調べる為、ブレッドボードに回路を仮組み。

  • キャパシタ無しでは、スイッチを押しても送信が始まらない。 nocap.png

  • 0.1 uF 2個を直列にした、0.05 uF でも送信は始まらない。 0_05u.png

  • 0.1 uF 1個では、送信する時もあるが、かなりの割合で送信が始まらない。 0_1u.png

  • 0.1 uF 2個を並列にした、0.2 uF にすると、百発百中で送信が始まる。 0_2u.png
この場合、KEY 端子を接地してから、START 端子の電圧が 1.5 V を切るまでの時間は約 50 ms。

CPU による
  • 端子電圧ポーリング周期
  • デバウンス処理の手法
  • KEY 端子と START 端子の監視の順番
等の都合で、最低でも約 30~50 ms 以上の時間が必要になるようだ。

0.2 uF に対してマージンを持たせた 0.47 uF 以上の容量があれば十分そうであるが。

ちょうど手持ちに、電解コンデンサよりも小さくプラグに内蔵させるのに都合の良い、
ムラタの 1.0 uF という大容量の積層セラミックが有ったので、
これを使う事にする。
この時の START 端子の波形がこれ。START端子電圧 1.5 V を切るまで約 300 ms。 1u.png

製作

回路定数決定に必要な情報が集まったので、設計(という程大したことはない)した回路。
部品も少ないし。
移動での持ち出しも楽になるし、設置撤収時にケーブルが絡んだりして手間が増えないように。
直接 3.5 mm ミニ・フォーンプラグに組み込む事にする。

部品はこれだけ。
  • PUSH SW は押している間だけ ON する、ジャンクBOXにあったもの。
  • ダイオードも手持ちの、一般的なシリコン・小信号スイッチング・ダイオード。
  • キャパシタは前述のムラタの積層セラミック。
  • 3.5mm ミニ・ステレオ・フォーン・プラグ。カバーは不使用。
  • 抵抗の値はあまり神経を使う必要がないけど。 IC-705側のQ162 が ON してしまった時の電流を制限しており、あまり大きいと電圧降下が発生するので、だいたい1 k~数100 k オーム位の範囲なら問題ないでしょう。

各部品とプラグ、スイッチを空中配線で半田付けして。

念の為、実際に [TUNER] Jack に挿入して動作を確認しておく。
動作がOKなら。

振動や機械的ストレスで断線しないように、ホットメルトで固めて。

最後に、さらに熱収縮チューブを被せて補強して完成。


使用法

完成したプラグを、IC-705 の右側面の [TUNER] Jack に挿入。

MODE に関係なく、プラグ頭の SW を押している間。
一定キャリアが送信されます。

まとめ

この [TUNER] Jack に差す、一定キャリア送信プラグを使うことで。
AH-705 以外のマニュアル・チューナーや他社のオート・チューナーの調整時に、
いちいち送信モードを変えたりしなくてもキャリア送信がワンタッチで出来るようになりました。

ただ残念なのは。

  • IC-705 の [TUNER] 機能でキャリア送信時には、何故か SWR メーターを表示させていても、全然メーターが振れない。
AH-705 や AH-4 では TUNE 時に、ATT が挿入されて IC-705 側から見ると SWR が実際より良く見えてしまいユーザーが誤解するのを防止する為か?
そんなお節介せずに、IC-705 から見える SWR を表示してくれれば、マニュアル・アンテナ・チューナーの調整に便利だったのに。


  • もう一点、145 MHz帯と 430 MHz帯では [TUNER] 機能が有効に出来ません。
これも AH-705, AH-4 が前提という仕様でしょうね。

どちらも、 MENU>機能設定>チューナー>チューナー選択
「その他」 を選んだときは有効にして欲しい。
次回のファームウェアアップデートで改善されないかなぁ。

あと、SPDT 単極双投 Non-Shorting のモーメンタリ PUSH SW が使えれば、
Diode 無しに出来ましたね。



feed QRP SWRインジケータの製作 (2021/7/5 12:01:00)
2つの LED で整合具合を確認できる、ブリッジ方式の小型 SWR インジケータを製作した。

動機

では、スペースの関係もあるし、IC-705 本体に SWR メータ機能があるので省略していた、
SWR インジケータ。

アンテナ・チューナの調整時に、いちいち IC-705 の MULTI つまみを押して送信出力を絞り。
調整が終わったら、また送信出力を戻すのが面倒になってきた。
特に CW 運用中は MULTI つまみは、WPM の調整のままにしておきたい。

ブリッジ方式の SWR インジケータならば、スイッチ一つのワンアクションで
  • アンテナ側出力電力を約1/4に。アンテナからの無用な電波放射を少しでも減らす事ができる。
  • 送信機側からみた SWR が、最大でも 2.0 以内になるので出力段に優しい。
  • アンテナ・チューナの保護。
ということで目的に合致。

4SQRP 4S-Tuner の動作

Four State QRP Group が頒布している、David Cripe, NMØS さん設計の 4S-Tuner には、
一般的な SWR が下がると1つの LED が消灯するブリッジ方式のSWRインジケータとは違って。
赤色/緑色 2 つの LED を使い。

  • 赤色 LED:SWR が高いと点灯、低くなると暗くなり、最後は消灯
  • 緑色 LED:SWR が高いと消灯、低くなると明るくなる
  • SWR が 2.0 で、赤色 LED と緑色 LED が同じ明るさ

となる巧妙な回路で、直観的で分かりやすい使い勝手の
SWR インジケータが搭載されている。

4S-Tuner の SWR インジケータ回路は
の左半分を参照。

送信機からの入力電圧を D2, C3 で整流して LED の駆動電圧を作り。
47Ωのホイーストン・ブリッジで、負荷が 47Ωからずれると、
マイナス電位が現れる D1, C4 の接続点の電圧を利用して
赤色/緑色 LED の電流を制御する回路になっている。

詳細な動作を確認する為、下図のように
送信機から 5W 入力で、アンテナ負荷を 10 Ω から 250 Ω まで(SWR 1.0 から 5.0)振って
 LTspice でシミュレートしてみたところ。
どうも緑色 LED に電流が流れ過ぎのような感じ。
そこで、R4 の 1 kΩを 4.7 kΩと大きくしてみたら、
以下のように赤色と緑色の LED にバランス良く電流が流れるようになった。

しかし、赤色 LED が完全に消灯する範囲が SWR 1.5 以上と少し広すぎるように思う。

もう少し狭い範囲で赤色 LED が完全消灯するよう、回路を考え直す事にする。

製作した回路

回路の方針

  • SWR検出は、送信機の保護とアンテナからの無用な放射を削減する為にブリッジ方式。
  • 移動運用でも故障せず信頼性を高める為、メーターのような機械的可動部分を排除し LED による指示。
  • 製作の容易さと信頼性向上の為。できる限りシンプルな回路とし、部品点数を少なくする。
  • 赤色 LED の完全消灯によるSWR最低点指示は 1.2 程度以下。
  • 赤色 LED と緑色 LED が同程度の明るさとなるのは SWR 1.5 程度を目標。

回路図

動作原理

  • 送信機からの入力を D1, C1 で整流して LED を点灯させる電源に使う。
  • R1, R2, R3 と負荷となる ANTENNA で、ホイーストン・ブリッジを構成。
  • ANTENNA 負荷が 51 Ohm の場合はブリッジがバランスする為にR1, R2 の接続点と、R3 と負荷の接続点の間には電圧が現れない。
  • しかし ANTENNA 負荷が 51 Ohm から外れるに従って電圧が現れ、D2, C2 の接続点に整流された正の直流電圧が現れる。
  • この直流電圧で、Q1 による電圧制御定電流回路を駆動して赤色 LED を点灯させる。
  • Q1 の定電流回路には、反対側に Q2 による固定電圧定電流回路が組み合わされており Q1 のコレクタ電流が減るに従って Q2 コレクタ電流が流れ緑色 LED を駆動する。
  • SWR が 1.0 に近い場合には、赤色 LED には電流が流れず完全に消灯し、緑色 LED のみが点灯する。
  • 赤色 LED と緑色 LED の明るさが同じ位になる SWR は、R6, R7 の分圧回路による Q2 の Base 電圧で調節される。

使用部品

  • 送信機出力 5W を想定し、R1, R2, R3 は 51 Ohm, 2W の抵抗。
  • TR Q1, Q2 は、偶々手持ちにあった 2SC945 (古い!)を使用したが、一般的なシリコン低周波用 NPN トランジスタなら何でもOK.
  • D1, D2 も手持ちの 1N4188 を使用したが、こちらも一般的なシリコン小信号用ダイオードなら何でもOK. D2 はショットキーやゲルマにすると SWR 最低点の感度を少し上げることができる。

シミュレーション

事前に、LTspice によるシミュレーションで動作を確認しておく。
  • SWR 約 1.2 で、赤色 LED が完全に消灯。緑色 LED のみ点灯。
  • 赤色 LED と緑色 LED の駆動電流は、SWR 約 1.5 で同じ位。
と目標どおり。

製作

ケースは外形寸法 75mm x 40mm x 25mm のテイシン電機 TB-51B。
図面は引かずに、現物合わせで
  • BNC-J x 2
  • トグルSW
  • 3φ LED x 2
を簡単に穴あけ。
GND 配線をケチるのと、トグルSWの金属部を GND に落とす為に銅テープを使用。

基板は部品も少なく、わざわざ起こすまでもないのでユニバーサル基板に部品を取り付ける。
部品配置と接続パターンの検討データ。

小さく作りたいので、ケースへの固定はネジやスタッドを使わずに基本的にトグルSWで固定。
LED はケースに頭が出るように、浮かせて半田付け。

ケースに BNC-J を取り付け、基板をトグルSWで固定。
BNC-J から SW のTX側端子とANT側端子を配線。
送信機側 BNC-J の GND と、基板の GND も配線接続。
裏蓋を閉めて完成!
BNCP-BNCP変換コネクタを使用して、送信機のBNC-J 、アンテナチューナ側のBNC-J のどちらにも直接取り付けできる。


使用法

  • トグルSWのある方の BNC-J が、送信機(トランシーバ)側になるように同軸ケーブルまたは直接送信機に取り付ける。
  • (アンテナや)アンテナ・チューナを、反対側の BNC-J と接続する。
  1. トグルSWを LED と反対側に倒して SWR ブリッジ回路をバイパス。
  2. CW/SSB/AM モードにしたトランシーバからの雑音が一番大きくなるように、アンテナ・チューナを調節する。
  3. トグルSW を LED 側に倒して、赤色 LED が消灯して緑色 LED のみが点灯するように、アンテナ・チューナでさらに調節。
  4. 調節できたらトグルSW をLEDの反対側に戻しておく。

トグルSWを LED 側にしたままだと、SWR ブリッジ回路が挿入されたままになるので、
受信感度が落ちて、アンテナへの送信出力が 1/4 になったままになります。
くれぐれもアンテナ・チューナの調整が完了したら、トグルSWを戻すのをお忘れなく。

LED の光りかた動画

SWR と LED の光かたの関係はこんな感じ。



おわりに

  • トグルSW操作のワンアクションで SWR 調整が出来るようになり、かなり便利。
  • IC-705 の BNC アンテナ端子に直接、BNCP-BCNP 変換コネクタで取り付けて使っています。
  • 赤色 LED の明度変化は、もう少し緩やかな方が調整しやすいかも。

  • クロック下げた MicroChip PIC コントローラーなら消費電力も少なくてすみ。送信電力から電源取って動かせる。AD して SWR を 3~5点位の LED で表示させる事もできそう。小ピン PIC なら部品も少なくて小さく作れるだろうし。

結局、具体的な回路は別物になってしまったが。
2つの LED を使った直感的操作感の SWR インジケータという発想は、
David Cripe, NMØS さんの  4S-Tuner  が無かったら思いつかなかった。
アイデアを頂いた David さんに感謝します。









feed アンテナ・チューナーのコイルの未使用タップをショートするとQが下がって損失が増えるのか? (2021/6/4 23:00:00)

IC-705 亀井堂総本店 瓦煎餅缶 アンテナ・チューナー
で、T-match 回路のコイルの使い方に関して

未使用タップの端を、接地にショートする為コイルの向きを逆さまにしました。
(未使用タップをショートするとコイルの Q が下がるという報告もあるのだけど)

と書いたのですが。


実際に使ってみたところ、Q が下がって損失が増大しているようには見受けられない。

けど、ずっと心に引っ掛かっていた。

MIZUHO の QRP カップラー  の回路図を見ても、未使用タップがショートされているので。
問題になる程の損失増大と Q の低下は起きないのか?


しかし、未使用タップをショートしたコイルを。
1次巻線だけのトランスに中間にタップを出した、オートトランスとして考えると。
未使用タップをショートするという事は、非常に低抵抗の負荷が繋がる事になり、
急激なQの低下と損失の増大が起きても不思議は無い。


どちらの考えが正しいのか、分からなくなって来たので。
実際にどうなのか検証してみる。

インダクタンスの変化を、空芯コイルで実測比較

手始めに、未使用タップのオープンとショートでインダクタンスの違いを。

結局、大きさの関係で煎餅缶アンテナ・チューナーでは使えなかった、
MIZUHO の LA 空芯コイルで確認する。

  • 未使用タップを  オープン
黒と赤のクリップは、インダクタンス・メーターの測定端子


  • 未使用タップを  ショート
黄色クリップで未使用タップをショート


未使用タップを
  • オープンでは、3.870 uH だったのが
  • ショートすると、3.705 uH と少し減少
と、ショートする事でインダクタンスが少し減る事が確認できた。

漏れ磁束が増える?浮遊容量が増える?
どういう理由だろうか。
分かる方居られましたら教えてください。

としても、オートトランスとして見做した場合に想像していたような
劇的な変化では無い。

実際の T-match 回路で損失を比較する

上記の、空芯コイルのインダクタンス・メーターによる測定では、コイルの Q を安定的に正確に測るのが難しかった。

それに最終的に知りたいのは、アンテナ・チューナーのコイルの未使用タップをショートすると、挿入損失がどれ位増えてしまうのか?なので。

NanoVNA で、実際の T-match 回路でコイルの未使用タップをショートしたら、挿入損失がどの程度増加するのか直接確認することにした。


テストする回路はこんな感じ。

T-match_L_shunt.png

ジャンパ線で、コイルの途中のタップと、未使用タップをオープンのままにするかショートするかを切り替えて挿入損失を確認する。


入出力が 50 Ohm で、通過周波数を 7.00 MHz になるようにバリコンを調整する。


  • A: 未使用タップを オープン

スクリーンショット 2021-06-04 210527 7.00 MHz での、挿入損失に相当する S21 は -0.165 dB


  • B: 未使用タップを ショート する

L_Shunt s2p

コイルのインダクタンスが減った為か、マッチング周波数が高い方にずれた。


  • C: 未使用タップを ショート したまま、 7.00MHz になるようにバリコンを再調整
L_Shunt Retuned s2p 7.00 MHz での、挿入損失に相当する S21 は -0.178 dB


  • 分かりやすいように、 A: C: を並べて表示。青点線が オープン A: 、茶点線が ショート C:

A C 比較 挿入損失に相当する S21 はコイルの未使用タップを オープンしてもショートしても 、測定誤差程度で 殆ど違いは無い


ショートした方が帯域が少し広くなっているのは、コイルのインダクタンスが少し減少した事で説明できる。 しかしコイル自体の損失が増えて、 コイル自体の Q が大幅に低下したと示す結果にはならなかった


結論

T-match 形式のアンテナ・チューナーにおいて。
使用するコイルの 未使用タップをショート しても、問題になる程の 明らかな挿入損失増大/コイル自体の Q の低下は発生していない。
未使用タップに発生する高電圧発生によるトラブルを防止するためには、未使用タップのショートも意味があるだろう。

但し、未使用タップをショートするとコイルの インダクタンスが若干減少 する。この現象のメカニズムはさらなる検証・検討・説明が必要ですね。












feed IC-705 をPCとケーブル接続無しで FT8 する。 (2021/5/23 21:30:00)
IC-705 は USB ケーブルで PC と接続して、
  • USB Audio による送/受信音声のやりとり
  • USB 仮想 COM による CI-V リグコントロール
が使えるので、
WSJT-X や Turbo Hamlog などとの接続を、
USB ケーブルたった一本でシンプルに出来るので、大変良い。

のだが。
やはりノイズの塊である PC とケーブルで直接接続される事には違いなく。
私の環境では、どうしても PC ノイズが受信信号に混入してしまう。
何故か USB 仮想 COM を使うとSメータの振れが変わる位に、急激にノイズが増えます。
また送信時の USB ケーブルへの高周波回り込みも激しく、
複数のパッチンコア無しでは、USB Audio が切れまくり。

それじゃ、USB じゃなくて Bluetooth で繋いでみたら?
と思い試したところ。

リグコントロールの仮想 COM は、USB ではなく Bluetooth SPP の仮想 COM を使う事でノイズ増加を回避できたのですが。

送/受信音声の方は Bluetooth HFP/HSP のオーディオストリームだと、
勝手にノイズリダクションが働いて、WSJT-X のデータ音声(トーン信号)が勝手に消されたりするし、
レイテンシーも大きいので、USB から Bluetooth への乗り換えが出来ませんでした。

結局、USB ケーブルにパッチンコアを付けまくり、USB アイソレータなども試しながら、
オーディオのやりとりの為だけに USB ケーブル接続で使っていました。

IC-705 Firmware Version 1.20 (2021/01/22)  で 
・WLANの親機モードを追加
されたのを機に、
ケーブル接続無しの WLAN で PC とのリグコントロールと送/受信音声のやりとりが出来ないか検討する。

リグコントロールは Bluetooth でワイヤレス化できているので、
最低限 WLAN で送/受信音声のやりとりが出来れば目的は達成なのだが。
いろいろ検索しても、IC-705 の WLAN 仮想オーディオ・ドライバらしきものを発見できずに、
諦めかけていた。

しかし!!
最近になって、ICOMのトランシーバーを USB またはネットワーク経由で、
遠隔制御かつ送/受信音声のストリーミングを可能にするオープン・ソースの
                wfview
という、素晴らしいプロジェクトを見つけた。
本来はアイコム純正  RS-BA1 のように、リモートでトランシーバーを使って交信する為のソフトウェア。

もしかしたら、ネットワーク仮想オーディオ・ドライバが付属しているのでは?
と期待したが独立してはいなかった。
ソースファイルは Gitlab にあるので、自分で作る事も可能か。 

wfview   を動かす


IC-705 WLAN を親機に設定

リモート設定でネットワークユーザーを IC-705 上に作る。

移動運用時などの WiFi AP なしでも PC と接続できるように。
接続設定(親機)のWLAN の SSID とパスワードを設定し、IP Address を控えておく。

WLAN 接続設定の接続タイプを  親機  に設定し WLAN ON。


wfview の設定

wfview のダウンロードページ からインストーラーをダウンロードして、インストール。

PCのネットワークの WiFi で、 設定した SSID とパスワードで IC-705 と接続しておく。

wfview を起動して、 Settings タブを開き。
  • Radio IP Address
  • Username
  • Password
に、IC-705 に設定した値を入力して Enable LAN Connect ボタンをクリックすると、
wfview が動き始めます。

メイン画面はこんな感じ。
ウォーターフォールも滑らかに動きます。

いまのところ、メーターは S メーターのみですが、
の Todo に、
Add hide/show for additional controls: SWR, ALC, Power, S-Meter interface
と有りますから期待できます。

と、wfview 自体が動くだけでも楽しいのですが。
私がやりたいのは、WLAN 経由のオーディオで WSJT-X を動作させるのが目的。

仮想オーディオ・ケーブルの追加

今は亡き?Ustream が流行りだした頃から、ゲームの実況動画配信とかするときに。
PC 上のゲーム・アプリから配信アプリにオーディオをPC内でルーティングする、
通称ステミキ:ステレオミキサーが使われてきた。

最近の Windows PC のサウンドカードのドライバーには、デフォルトでステレオミキサー機能が付いたものが多いらしいが、私が IC-705 に繋げようとしているノートPCには付いていなかった。

最近の仮想オーディオ・ケーブルの状況は、どうなっているんだろうと検索すると。
  • かつてこの手の定番だった 旧 NetDuetto は SYNCROOM となって存在している。
  • 売り物の仮想オーディオ・ケーブルもある。
  • Free の  VB-CABLE  というのが軽くて良いらしい。
と分かった。
NetDuetto を使っていた事もあるのだが、余計なアプリもインストールされるので、
今回は VB-CABLE  を使ってみる。

VB-CABLE の導入

単純に  VB-CABLE  Web サイトからダウンロードして、インストールするだけです。

インストールが終われば、サウンドの録音タブと再生タブに、
CABLE Input と CABLE Output が現れます。
スクリーンショット 2021-05-23 204857



WSJT-X のオーディオを WLAN 経由に設定

IC-705 のオーディオと、PC 上の wfview までは WLAN でやりとり出来ているので。
wfview のオーディオ入出力を、WSJT-X のオーディオ入出力と接続すれば目的達成。

WSJT-X のオーディオ設定

設定>オーディオ
で、サウンドカードの入出力に、CABLE Output/Input を選ぶ。

wfview のオーディオ設定

  • Settings タブの Audio Output/Input に CABLE Input/Output を設定。
  • 念の為、 Data Mod Input が LAN になっているのを確認。
  • RX/TX Latency は、WSJT-X の DT に影響するので出来るだけ短い値にしたいところだが、短すぎると音切れなどの不具合が発生する。ウィンドウ最下部の rtt の2倍程度以上あれば大丈夫そう。

これらの設定で、
      IC-705 <- WLAN -> wfview <- 仮想オーディオ・ケーブル -> WSJT-X 
の接続完成。

これで無事に PC と IC-705 間の煩わしいケーブル接続無しで、
USB ノイズや回り込みの心配なく、WSJT-X で FT8 で交信できるようになりました。

WSJT-X でなくても、JTDX でも同様の方法で可能と思います。

いちいち wfview を起動するのも少し面倒なので、
やはり WLAN 仮想オーディオ・ケーブルが欲しくなって来た。

feed 21MHz帯ベランダ・ワイヤー・アンテナに7MHz帯延長エレメント追加してみた (2021/5/23 12:00:00)

製作の動機

庭付き一戸建てのような恵まれた条件とは違って。
集合住宅住まいでは、まともなHF(短波帯)アンテナを上げられないと、長年諦めていた HF 帯だが。
IC-705 を入手して、どうしてもHFに出てみたくなった。

ベランダに21MHz帯(波長 15 m)に共振させた、1/4波長の針金アンテナを設置してみたところ。
集合住宅の地上階という最悪に近いロケーションにも関わらず。
FT8 や WSPR のデジタル・モードなら送信出力5Wで、
東南アジアから豪州などのオセアニアだけでなく、北中米位までは飛んでいく。
秋になって来たら交信は出来ていないけど、夏には入感していなかった東欧の局が受信されるようになってきた。

これに味をしめ。
出ている局数が21MHz帯の何倍も多い7MHz帯にも出られるように、延長エレメントを追加してみた。


21MHz帯版ワイヤー・アンテナ

7MHz帯は波長40mもあって、1/4波長でも10m, 半波長なら 20m もあるのでベランダには到底張れそうにはないから、21MHz帯をターゲットに。

最初、メーカー製の出来合いのHFアンテナも検討するが。
  • ダイポールはグランド不要で魅力的なのだが。長さが1/2波長で7m超になるし、給電線引き出しのセンターを支えるのが面倒そう
  • 両端を支えるだけで良くて、水平に張れそうなツェップ(ライク)なアンテナもあるが。これも1/2波長で長すぎる。
  • その他の固定用のアンテナは、見た目がいかつ過ぎて目立ち過ぎ。近隣からの不審の眼が怖い
  • モービルホイップ流用は短縮がきつ過ぎるので、効率が落ちて飛びがイマイチっぽい
というデメリットも有るし、結構なお値段。

残念ながら地上階なので、釣り竿から長いワイヤー垂らすという普及している方法も採れない。

21MHzの波長は15mなので、1/4波長なら導線の短縮率の考慮なしで約3.6m。
これならば垂直アンテナは無理だとしても、ベランダにL字型風に張れそう。
100円ショップかホームセンターで園芸用の針金買って来て、簡単に作れるだろう。
それに、ただの針金なら目立ちにくくて、近所から怪しまれずに済むか??

ベランダでグランドは取れるか

1/4波長アンテナは接地型アンテナなので、いかに良好なグランドを取れるかが鍵。
まずは、アルミ製のベランダ・フェンス手摺が接地されているかを調査。

100V コンセントのLIVE側(非接地側)とフェンス手摺の間の交流電圧をテスターで測ってみると。
ちょうどAC 100Vあるので接地されていそう。

!!注意!!
100VコンセントのNEUTRAL側(接地側)とフェンス手摺の間を、テスターの抵抗計で測ろうとしないでください。
間違えてコンセントのLIVE側(非接地側)と接触すると、
ブレーカーが落ちてしまったり、
大電流が流れてテスターが壊れるだけじゃなく、
火を噴いて怪我をする可能性もあります
s

給電ボックス

グランドの取れる目途がついたので、手持ちの防水ボックスを加工して、
  • アンテナ線と、グランド線を接続する、ターミナルポスト
  • 無線機からの同軸ケーブルを接続する、M型ジャック
を取り付け。

クランプ金具で手すりに固定して給電部とする。


グランド線

手摺フェンスの固定用ボルトを利用して、給電ボックスのグランド・ターミナルに接続。


二つに分かれている、手摺フェンス同士も接続。



接地されているとはいえ、高周波的にどれだけ良好なグランドになっているか心配もあるので。
念の為に、5m位と10m位の電線もカウンターポイズとしてターミナルに接続して、
ベランダ床に適当に這わせておいた。

アンテナ線

MMANA というアンテナ・シミュレータで、超簡略化した垂直アンテナ
(ベランダという狭い空間では周囲に色んなものがあり過ぎて、精密にシミュレートするのは無理なので、かなりの手抜きの簡単なモデル)
で 21.050MHzで共振する長さを出してみたら。

  • 長さ 3.46 m
  • インピーダンス 36 - 0.5j Ω
という結果。
約 3.5 m ならばベランダに張るには現実的な長さ。

そこで長めの4m弱の針金を、給電ボックスのアンテナ・ターミナルに接続し。
物干しポールを利用して略L字型にアンテナを張る。

少しでも周囲の影響を避ける為に、上階ベランダの下部と自階ベランダ・手摺フェンスの上端の中間位を狙って展開。

アンテナ線の固定は、100円ショップで買ってきた園芸用のビニール?製の絶縁ロープ。
折り曲げ部は写真のように、アンテナ針金線に輪っかを作って固定。

調整

余裕を持って長めにしておいた、アンテナ線の共振周波数を測り。
目的の周波数に近づくようにアンテナ線を徐々に短くしていく。

給電ボックスの M型ジャック に、ワンターン・コイル
を付けて、これにディップ・メータのコイルを結合させて、ダイヤルを回してメータがピクッと下がる共振周波数を探します。

共振周波数の測定には、かなり昔にオークションで入手した。
いまは亡き  DELICA 三田無線
本当に真空管のグリッド・リーク電流でメータを振らせるクラシックでビンテージなグリッド・ディップ・メータを使用。


NanoVNA を入手した今となっては。
共振周波数を目盛りで読み取れるだけだし、
真空管式なので100 V電灯線が必要で、電源入れてから暖まるのを待つ
等のデメリットもあるのですが。

直接物理的に接続不要で、影響少なく非接触で
アンテナ線そのものの共振周波数が測れるし、
共振時の抵抗分が 50 オームからかけ離れていても大丈夫という、
捨てがたいメリットも。

グリッド・ディップ・メータについては、
ラジオ温故知新  のリンクにある、
三田無線の社長だった茨木悟氏が著した 「 グリッドディップ・メーターの使い方 」 に詳しいです。


最初は目標の 21.050 MHz より少し低い周波数になるように、
段々とアンテナ線を切り詰めていき。
後から長さを調整して共振周波数を調整できるように、端を折り曲げて調整ヒゲを残して、
絶縁ロープで引っ張ってアンテナをピンと張ります。

調整の結果、
  • 給電部からの垂直立ち上げ部 約1.1 m強
  • ほぼ水平に斜めに張った 約2.1 m強
  • 端の調整用ヒゲ 約0.3 m弱
の合計約 3.5 m と、シミュレーションより少し長い感じで、
ちょうど目的の周波数に共振してくれました。


7MHz帯用 延長エレメント 追加

最悪なロケーションにも拘らず、単なる針金アンテナで十分に 21 MHz 帯を結構楽しめていたのですが。
局数の多い 7 MHz 帯に出て見たくなり、アンテナ・チューナーで無理やり SWR を落として電波を出してみた。
共振していないアンテナでは、やはり無理があるみたいで全然飛ばない。

そこで、現状の 21 MHz帯1/4波長エレメントに、21 MHz帯への影響をあまり与えずに、
7 MHz 帯にも共振させる追加延長エレメントを考える。

シミュレーション

一番最初に思いつく、21 MHz は阻止して 7 MHz は通過させる21 MHz 並列共振トラップを仕込んで延長する方法を 、MMANA でいろいろ試してみる。

トラップの L が小さいと
  • 7 MHz用の延長部の長さが長くなりすぎてベランダに収まりそうにない。
と分かった。

そこで、トラップの L を大きくしていくと
  • 7 MHz 用の延長エレメントも 2 m 以下で 7 MHz に共振できる。
と分かってきた。
共振周波数が 21 MHz 固定で、L を大きくしているので当然 C が小さくなるのだが、
ほぼ無視できる位に、かなり小さくなってしまっているのに気が付く。

ならばと発想を変えて、トラップではなく
  • 21 MHz には十分大きなインピーダンスをもつコイル
  • 7 MHz には延長部を実用的な長さにする中間ローディング短縮コイル
となる L の大きさを求めることにする。

単純化した垂直アンテナのモデルで 30 uH 位の L ならば、

  • 給電部 ~ 3.77m ワイヤ ~ 短縮コイル 30 uH ~ 1.95 m ワイヤ
VERT15and40_load30uH_Geo.png
で、

  • 21 MHz の電流分布とインピーダンスは


  • 7 MHz の電流分布とインピーダンスは
VERT15and40_load30uH_07MHz_View.png


と、実現できそうなシミュレーション結果が得られた。

延長コイル

問題となるコイルだが、
PET なら耐候性も十分ありそう(だから環境ゴミ問題にもなる位)なので、
飲み終わったコーラのペットボトルを切り出し利用して、
エナメル線を巻き付けて作る。

巻き数は、RF Design Note の  ソレノイド・コイル  設計 ツール
を使って算出。27 回巻きで約 30 uH が得られる計算。

ただし、写真のコイルはいろいろ調整した後に、結局最終的に 23 回巻きの約 23 uH (共に 23 なのは偶然)にしたものです。

調整

既設の 21 MHz 用エレメントの先に、
30 uF コイルを取り付け、
その先に余裕を持って2 m強のワイヤーを付けて、
7 MHz 帯の共振周波数を測ると。
妙に低い 6 MHz 位に共振してしまった。

ワイヤーを切り詰めていって共振を 7 MHz まで持っていくと、
長さが 20 cm 位まで短くなってしまい。
やはり簡易シミュレーションと現実は違うのかと、しばし悩む。

21 MHz の共振周波数を測ってみると、以前と変わらない周波数だったので、
コイルのインダクタンスが大きすぎると判断。

今度は、逆に延長ワイヤーを周辺環境で現実的に張りやすい約 2 m の長さに固定し、
コイルの巻き線を減らしてインダクタンスを小さくしていき、
現物合わせで 7 MHz帯に共振させる方向で調整する。

いろいろ試行錯誤の結果、
  • コイルの巻き数 23 回のインダクタンス約 23 uH
  • 延長ワイヤの長さ約 1.6 m 
というところに落ち着きました。

再度、21 MHz の共振周波数を測ると、まだあまり変化が無かったので、
もっとベランダの大きさに余裕があればインダクタンスを減らして
延長ワイヤを長くできそう。

使用感

IC-705 外部電源使用 10 W出力で、こんな貧弱なベランダ針金アンテナでも、
7 MHz 帯 FT8, WSPR では国内全域はもとより、アジア、豪州に加え北中南米とも交信可能になりました。
まだ応答した事はありませんが、 CW でアメリカ大陸の局もばっちり聴こえています。
また、少し心配していた 21 MHz帯への影響も、全く感じられません。

21 MHz帯は1/4波長フルサイズのため十分に帯域が広く実用的ですが、
7 MHz 帯は中間ローディング・コイルによる約 57% 短縮率となるので、
かなり共振帯域が狭くなります。(それでもモビホよりは緩いですよね)

私の場合は、FT8等のデジタル・モードと CW がメインですので困りませんが、
SSB も含めてアクティブに運用したい場合は、もう少し工夫が必要になるか。
コイルのインダクタンスを少なくして、延長ワイヤーを伸ばせば少し帯域も広がるはず。

このアンテナの共振周波数のインピーダンスを、最近入手した NanoVNA で測ってみました。
当然、共振周波数でのリアクタンス成分は 0 に近いのですが、
シミュレーションの傾向どおり、抵抗成分は 50 Ωよりかなり低くなっていました。

そのため送信機の 50 Ωに整合させる為、結局のところアンテナ・チューナーが必要になってしまいます。
ただ、近年流行している非共振のランダム・ワイヤーにATUの組み合わせとは違って、
アンテナ・ワイヤー自体は共振しているのでワイヤーからの放射効率は良いのでは?
延長エレメント無しの 7 MHz 非共振ワイヤーに、
アンテナ・チューナーを使って無理やり 7 MHz帯で使用した時との差から。
ワイヤー・エレメント自身が共振している重要性を実感しています。

今後の改良

つい最近、やっと CW デビューしました。
夜間になると 7 MHz帯では少なくなる CW 国内局が、3.5 MHz帯は逆に多く出ているのに気が付き、今度は 3.5 MHz 帯にも出たくなってきました。
そこで、3.5 MHz帯用の延長エレメント追加しようかと目論んでいます。

簡単に MMANA でシミュレーションしてみると、7 MHz帯延長エレメントの先に、
300 uH 位のコイルと 80 cm 位の延長エレメントの追加で 3.5/7/21 MHz帯対応が出来そう。
ただ 300 uH となると、手巻き空芯コイルでは厳しそうなので、
フェライト・トロイダルコイルを使うか?などと思案中。

最後に

集合住宅住まいでは厳しいだろうと、漠然と諦めていた HF 帯運用が。
100円ショップで揃うような安価な材料で、
7/21 MHz帯の2バンドで実用になると分かったのは、
かなりの収穫でした。

以前の私のように HF 帯を諦めているアパマン・ハムの方々の参考になれば幸いです。














feed USB 5V入力12V出力変換アダプターの製作 (2020/10/27 20:04:00)

製作の動機

最近は、車載用のレーダー探知機やポータブルナビも12電源じゃなくてUSB端子から充電できるような製品が増えているが、12Vシガーソケットから電源供給・充電するタイプの機器もまだまだ転がっている。

殆ど車に乗らない生活スタイルに変わったので、車載機器を持ち出していてバッテリーが空になった時に充電する手段が無くて困っていた。

普段からスマホ用にモバイルバッテリーやUSB電源アダプターは持ち歩いているで、
USB の 5V を 12V に昇圧して DC IN ジャックに変換する機器が在ればいいのだが、
検索してもなかなか良いものが無い!
ので、自分で作ることにした。

検討・調達

5V -> 12V 昇圧用の適当な部品が無いかネットで検索してみたら、
インダクタ不要のチャージポンプIC
というのが有った。

NJU7660 は USB の 5V 入力だと倍電圧で10Vでちょっと足りない。
NJU7670 は負電圧用だけど3倍電圧出力があり、逆に使えば15V=3x 5V出力可。しかし15Vを12Vに落とすのに3端子シリーズレギュレーターなんかを使ったら、折角のインダクタ不要のスペースメリットが無くなってしまう。

という、入力電源電圧範囲:4.5V~5.5V、+12V ±5%安定化出力 という電圧に関してはベストなICもあった。

しかし、変換効率が良く、部品が少なくて小さく作れるメリットが非常に魅力的なキャパシタによるチャージポンプ方式も、宿命的に出力電流があまり取れず充電用途には役不足なので諦める。

そこで常識的にインダクタを使った古典的な昇圧DC-DCコンバータICで、
スイッチング素子内蔵の JRC NJM2374  や Linear Technology LT1172 あたりのICと、インダクタを物色に秋葉原へ。

で、 秋月電子 に寄って部品棚を物色していると

最大24V出力 昇圧型スイッチング電源モジュール LMR62421(TI)使用キット[AE-LMR62421]
仕様
・出力電圧範囲:3.5V~24V
・入力電圧範囲:2.7V~5.5V(入力電圧<出力電圧)
・スイッチング周波数:1.6MHz
・効率:90%(入力5V、出力12V、電流0.3A)

という 30 mm角、高さ14 mmのDC-DC昇圧キットを発見!
これなら基板作成の手間も不要だし、DIP IC とバラの部品で組むより小さく作れそうなので、コレにする。
ついでに出来るだけ小さくてモジュールが収まりそうなプラケースも調達。

製作

家に帰ってから説明書とDC-DC ICのデータブックをチェック。
  • DC-DC IC は TI の LMR62421 という、なんの変哲もないスイッチング素子内蔵の 5 pin 昇圧 PWM DC-DC 

  • 電流制限は内蔵スイッチング素子のON期間中の電流監視で大きさは固定。
  • 負荷電流が大きくなると、PC の USB 5V 出力 500 mA を超える可能性もあるが、モバイルバッテリーなら大丈夫か?
  • DC-DC IC 等の表面実装部品は基板に半田付け済。電解コンデンサやVR、端子台などを半田付けするだけで完成。小さい部品が見づらくなったお年頃には有難い :-)

回路図はシンプルでなんの変哲もないこんなの。
多回転半固定抵抗 VR1 で昇圧出力電圧を調整できる。


動作確認

CN1 Vin+ に USB VUBS +5V を掛けて、
CN2 Vout が 12V になるように VR1 を調整する。

約 180 mA の負荷を掛けた時の、
U1 LMR62421 Pin.1 "SW" のスイッチング電圧波形を確認した。
負荷 約180mA 5V/div, 0.2us/div
インダクタンス L1 の電流が 0 にならない電流連続モードで動作しており。
変なリンギングも無く、きれいなスイッチング波形。

次に、負荷を軽く約 10 mA で観測してみる。
インダクタンス L1 の値からすると、電流不連続モードに突入するので
負荷が大きい時のように綺麗なスイッチング波形にはならないはず。
負荷 約10mA 5V/div, 0.2us/div
予想通りに、インダクタンスに電流が流れない区間が出来てスイッチング波形が暴れる。
主にインダクタンスとスイッチング素子の寄生容量による共振現象で、高周波ノイズをまき散らす。
しかし、歯抜けのPWM波形にまで酷くはなっていない。

さらに負荷を軽くすると、PWM周期の1周期の間にスイッチングが行われない場合が出てきて、
歯抜けPWM風のスイッチング動作になり、低周波ノイズをまき散らすことになる。
この低周波ノイズは周期がランダムっぽく、高周波ノイズのように簡単にフィルターで落とすことが難しい。

昇圧スイッチング回路は、原理的には車のイグニッションコイルによる高圧発生回路と同じ。
完璧な無負荷でスイッチングが起きると、超高電圧が発生してしまう。
実際には完全な無負荷はあり得ないので、超が付くほどの高電圧にはならないが。

そこで、あまり軽負荷になりすぎないように。
動作中の表示も兼ねて、Green LED + 1 kOhm の約10 mA @12V 負荷を出力 CN2 に付加しておくことにした。
 

初号機

最初、写真のような小さいプラケースに
USBケーブルと、
JEITA(旧EIAJ)電圧区分#4 のDCジャックを、
取り付けて組み込んだ。

  初号機 組込後
でも、カバンの中でかさばって邪魔に感じてたので、もっと小型化を画策。

弐号機

小型化の為に、
場所を食うJACK類を
  • MicroUSB Type-B JACK ケーブル
  • JEITA(EIAJ) 電圧区分#4 DC JACK ケーブル
に置き換えて、
背の高いネジ端子 CN1, CN2 を外し、
代わりにケーブルを直接基板端子に接続。
変な力が接続部に掛からないようにケーブルを、
結束バンドで基板に固定。
最小出力負荷を与える、動作チェック用 LED + 抵抗も取り付ける。

背の高い電解コンデンサ C1, C2 を一旦取り外し、
足の長さを延長して、横倒しにして半田づけ。

これまた背の高い、多回転可変抵抗 VR1 を外し、
出力電圧が約 12 V になるように、18 kOhm の固定抵抗に交換。

これで高さが低くなって、全体を薄くできた。

ケースの代わりに、熱収縮チューブで覆って絶縁。

完成。

かなりペタンこになって、持ち歩いても邪魔にならなそう。

実際に使うときには、
12V 機器側に合わせた DC PLUG と、JEITA(EIAJ) 電圧区分#4 DC PLUG 
を接続したケーブル・アダプターで電源供給。


閑話休題


DC プラグ・ジャック端子規格

ACアダプターのDC端子の、極性やプラグ形状の乱立をなんとかしたいと、
旧 EIAJ, 現 JEITA が、せっかく 
という統一規格を作ったのだが、
結局あまり普及しなかった。

そうこうしている内に、Mini -> Micro USB 端子が電源供給端子として
使われるようになって普及している。+5V が欲しいならコレが一番便利。

今後は、この用途にも Type-C USB が使われるようになるのかな?
電力や電圧もいっぱい取れるし。
ネックはコントローラーICが必要になるので、コストがどれだけ抑えられるか。


DC-DCコンバーターの設計について

DC-DCコンバーターは、一般的なアナログ回路ともデジタル回路とも、ちょっとセンスが違うので。
意外にベテランと思われるエンジニアにも、しっかり理解されていない場合がある。

PWM 方式 DC-DC で、一番のキモはインダクタンスの選定。

コントローラーICが決められていたら、

  • スイッチング周波数
  • 消費電流の固定費になる IC 自体の消費電流
  • スイッチング素子の抵抗成分、最小電圧
  • フライホイール・ダイオード内蔵であれば、その Vf

などは選択の余地ほぼなし。

動作条件として

  • 入力電圧範囲
  • 出力電圧と、想定する負荷電流範囲

が同一でも、

  • 高負荷時の効率を重視するのか?軽負荷時の効率を重視するのか?
  • 電流不連続モードまで使うのか?避けるのか?

という設計者の意図次第で、最適なインダクタンスは変わるので、
一意に決まるものではない。

なので、
「このインダクタ定数の選定理由は?」
           と訊いて、
「データシートの回路例の部品定数だ」 
と答えが返ってきたら、
その設計はかなり怪しいと思って間違いなし。
回路例と自分の欲しい動作条件が全く同一なのか?意図も一緒なのか?

また、盲点として。
シリーズ・レギュレーターと違って、PWM 方式の DC-DC コンバーターの場合。
負荷が重いときより、軽い時にノイズをまき散らしたりスイッチングが不安定になって問題を起こしやすい。

ある程度いい加減に設計されていても、極端に定格を満たしていない部品を使わないかぎり、
負荷が重い時は安定して動作しやすい。
しかし、負荷が軽くなるとインダクタ電流不連続モードに突入しやすくなる。
電流不連続モードのインダクタ電流が流れない区間では、
インダクタの抵抗成分で電力消費されないので、
変換効率を上げる為に意図して使われる場合もある。
でも、電流が流れずスイッチング素子がOFFという事は、
インダクタが不安定なオープン状態。
極端になるとコイルが鳴き出したり、出力ノイズが大きくなったりして
用途によっては問題となる。


そして、パワー・インダクタという部品も曲者。

同じコアで、インダクタンス増やそうとすると、細い線をいっぱい巻くので、
  • 直流抵抗が増えて損失も増える
  • 磁気飽和も起こしやすい

逆に、インダクタンス減らすために、太い電線を少なく巻くと
  • 損失も減って大電流まで磁気飽和を起こさないけど
  • インダクタのリップル電流振幅が大きくなりすぎる

全てのパラメーターがトレードオフの関係。
その上に、個別の型番毎の流通量で値段も違うので、
小さいコアの部品の方が絶対安いとも限らない。

ホントは、出力電流に応じてインダクタンス値が可変にできたら、
設計がかなり楽になるのだが、残念ながら現時点ではそんな都合の良い部品はないね。

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